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180.根本価値の齟齬~ 別離   DOPが手を振りながら深淵の騎士子と♂ケミに近づく。 「すぐに見つかったか、何よりだ」 ♀騎士もすぐ隣に居て深淵の騎士子達を見る。その目は少なくとも敵を見る目ではない。 深淵の騎士子は二人を見てそう思ったが、二人が近づききる前に問う。 「♀ハンターはお前達が?」 ♀騎士は一瞬体を堅くする、代りにドッペルゲンガーが答えた。 「いや、我々ではない。誰がやったかは知らぬが……こういうのを指して天罰というのだったか?」 深淵の騎士子は油断無い目つきで質問を続ける。 「ではその♀騎士の気配は何だ? 先ほどとはまるで違う……よっぽど我ら魔の者に近い気配だ」 その深淵の騎士子の言葉でドッペルゲンガーと♀騎士は、深淵の騎士子の態度が堅い理由に思い至った。 ♀騎士は矢が突き刺さっていた腹部を押さえながら言う 「私はハンターとの戦いで瀕死の重傷を負い、ドッペルゲンガー殿の血を受ける事で生きながらえたのだ」 そして自嘲気味に笑う。 「我が身の未熟をドッペルゲンガー殿に救ってもらった……感謝の言葉も無い」 状況を把握した深淵の騎士子。だが冷たい視線は変わる事は無かった。 「……で? 我々に何の用だ?」 この質問は予想していなかったのか、ドッペルゲンガーも♀騎士も驚いた顔をする。 「用? 怨敵ハンターは倒れたけど真の敵はいまだ健在。 なら同じ敵を持つ者同士、共に行動した方が良いに決まっている」 ♀騎士の言葉に、深淵の騎士子は隣の♂ケミの手をぎゅっと握る。 「……悪いが他を当たれ」 「何?」 「他を当たれと言うておる。我らは貴様等と行動を共にする気なぞ無い」 深淵の騎士子の言葉に、ドッペルゲンガーが怪訝そうな顔になる。 「……何を言っているのだ貴様は?」 深淵の騎士子は大声を出す。 「♂ケミを殺そうとしたお前と組む気は無いと言っているのだ! とっとと失せるが良いっ!」 ドッペルゲンガーは深淵の騎士子を見る、そしてその真意を測ろうとするが、読み切れない。理解出来ない。 「私がその人間を殺す理由はとうに失せているが……」 「うるさい! そんな簡単な理由で私の仲間を殺そうとするような奴なぞ信用できんと言っているのだ!」 ドッペルゲンガーにとってはまったくもって理解出来ない事を言う。 眉間にしわを寄せ、首を傾げるドッペルゲンガー。代りに♀騎士が口を開く。 「お互い目的ははっきりしている。その為に共闘は必要な行為だと私は考えているけど……あなたは違うの?」 「失せろ。三度目は言わんぞ」 ドッペルゲンガーが何かを言い返そうとしたが、それを♀騎士が制して言う。 「……わかった。私達はプロンテラを目指すから、気が変わったら追ってきて」 色々言いたそうなドッペルゲンガーの手を引いてその場を去ろうとする♀騎士。 だが、ドッペルゲンガーはその手を振り払う。 「馬鹿な、奴らの戦力は貴重だ。ここで別れる事の理由は私にはわからぬ」 そう言うドッペルゲンガーに♀騎士は説得の言葉に詰まる。 「仲間とやらを失って臆病風にでも吹かれたか? 愚かな……戦ってこそその魂も救われ、そして更なる犠牲も押さえられるというに……」 そのドッペルゲンガーの言葉に、深淵の騎士子が激怒する。 「黙れっ! 貴様等に我らの何がわかるかっ!? 何かといえば武器を振りかざして突進するしか能の無い猪武者がえらそうにほざくな!」 その言葉に♀騎士は真っ青な顔になる。そしてそれを見たドッペルゲンガーも穏やかではいられない。 「……我が娘を愚弄する気か? それは命を賭けての言葉であろうな」 「愚弄? ふざけるな! 冷静に事に当っていた我が仲間に槍を向けたのは貴様であろうが!」 「愚か者には相応しい報いだ。ふん、臆病者と愚か者がたったの二人だけで一体何を為せるつもりだというのだ?」 「貴様っ!」 遂に深淵の騎士子が動く。 ドッペルゲンガーも即座に応戦体勢に入るが、それぞれ深淵の騎士子は♂ケミが、ドッペルゲンガーは♀騎士が羽交い締めにして止める。 「お、落ち着いてよ! ここでケンカする理由こそ無いじゃないか!」 「落ち着いてドッペルゲンガー。いいから、この子達はこの子達の考えがあるんだから……」 それぞれ無視出来ない相手に止められたせいか、渋々だが二人共矛を収める。 ♀騎士はドッペルゲンガーの手を引きながら、今度こそこの場を去る。 「すまない、こんなつもりじゃなかった……悪意の言葉はドッペルゲンガーに代って私が謝るから許して欲しい」 ♂ケミは深淵の騎士子の前に立って言った。 「……こっちこそごめん。でも……僕も君達を信用出来ないよ……だって君達は……」 そこまでで言葉を切る♂ケミ、すぐに♀騎士が言う。 「ええ、私達は目的の為に必要かどうか以外はあまり考慮しない。 そうしなければ勝てないから……」 「そんなに簡単に割り切れないよ。いや……僕は割り切る気なんて無い。仲間も友達も大事だから」 「そう。だから私達はこうなったのかもね……」 ♀騎士達は一路プロンテラを目指していた。 ドッペルゲンガーは不機嫌の極み、それを見て♀騎士は苦笑する。 「あの深淵の騎士……魔物というより人間に近い」 ドッペルゲンガーは不機嫌な顔のまま♀騎士の言葉を聞く。 「人間は、辛い目に遭った時とか……どうしても態度が頑なになる。 そんな時力押しで何かをさせようとしても無駄よ」 「……それに意味はあるのか?」 そう言うドッペルゲンガーに♀騎士は再度苦笑する。 「全く無い。でもあの状態で私達と一緒に戦ったら……きっと何処かで致命的な事が起きる。 そうならないよう祈りながら戦うのも手だけど、あまり建設的ではない」 「わからぬ。理解出来ぬ。したいとも思わぬな」 「心が弱いんでしょうね……でも知ってる?」 「む?」 「あなたの娘も根本的な所ではそうなのよ……覚えておいてね」   <DOP 所持品/ツヴァイハンター・小青箱      現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中      備 考/♀騎士と魔族での血縁関係となる。打倒♀GM秋菜 > <♀騎士 所持品/無形剣・コットンシャツ・ブリーフ      現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中      備 考/DOPと魔族での血縁関係となる。♂騎士の仇、♀GM秋菜を討つ目的を持つ> <♂アルケミ 所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90[騎士子の治療時に使用]、それ以外100ヶ、すり鉢一個 石をつめこんだ即席フレイル        現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中> <深遠の騎士子 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能) 遺された最高のペコペコ         現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中         備考:アリスの復讐>注:深淵の騎士子、♂ケミのすぐそばに、深遠の騎子の愛馬がいる ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[180]] | [[目次]] | [[182]] |
180.根本価値の齟齬~ 別離   DOPが手を振りながら深淵の騎士子と♂ケミに近づく。 「すぐに見つかったか、何よりだ」 ♀騎士もすぐ隣に居て深淵の騎士子達を見る。その目は少なくとも敵を見る目ではない。 深淵の騎士子は二人を見てそう思ったが、二人が近づききる前に問う。 「♀ハンターはお前達が?」 ♀騎士は一瞬体を堅くする、代りにドッペルゲンガーが答えた。 「いや、我々ではない。誰がやったかは知らぬが……こういうのを指して天罰というのだったか?」 深淵の騎士子は油断無い目つきで質問を続ける。 「ではその♀騎士の気配は何だ? 先ほどとはまるで違う……よっぽど我ら魔の者に近い気配だ」 その深淵の騎士子の言葉でドッペルゲンガーと♀騎士は、深淵の騎士子の態度が堅い理由に思い至った。 ♀騎士は矢が突き刺さっていた腹部を押さえながら言う 「私はハンターとの戦いで瀕死の重傷を負い、ドッペルゲンガー殿の血を受ける事で生きながらえたのだ」 そして自嘲気味に笑う。 「我が身の未熟をドッペルゲンガー殿に救ってもらった……感謝の言葉も無い」 状況を把握した深淵の騎士子。だが冷たい視線は変わる事は無かった。 「……で? 我々に何の用だ?」 この質問は予想していなかったのか、ドッペルゲンガーも♀騎士も驚いた顔をする。 「用? 怨敵ハンターは倒れたけど真の敵はいまだ健在。 なら同じ敵を持つ者同士、共に行動した方が良いに決まっている」 ♀騎士の言葉に、深淵の騎士子は隣の♂ケミの手をぎゅっと握る。 「……悪いが他を当たれ」 「何?」 「他を当たれと言うておる。我らは貴様等と行動を共にする気なぞ無い」 深淵の騎士子の言葉に、ドッペルゲンガーが怪訝そうな顔になる。 「……何を言っているのだ貴様は?」 深淵の騎士子は大声を出す。 「♂ケミを殺そうとしたお前と組む気は無いと言っているのだ! とっとと失せるが良いっ!」 ドッペルゲンガーは深淵の騎士子を見る、そしてその真意を測ろうとするが、読み切れない。理解出来ない。 「私がその人間を殺す理由はとうに失せているが……」 「うるさい! そんな簡単な理由で私の仲間を殺そうとするような奴なぞ信用できんと言っているのだ!」 ドッペルゲンガーにとってはまったくもって理解出来ない事を言う。 眉間にしわを寄せ、首を傾げるドッペルゲンガー。代りに♀騎士が口を開く。 「お互い目的ははっきりしている。その為に共闘は必要な行為だと私は考えているけど……あなたは違うの?」 「失せろ。三度目は言わんぞ」 ドッペルゲンガーが何かを言い返そうとしたが、それを♀騎士が制して言う。 「……わかった。私達はプロンテラを目指すから、気が変わったら追ってきて」 色々言いたそうなドッペルゲンガーの手を引いてその場を去ろうとする♀騎士。 だが、ドッペルゲンガーはその手を振り払う。 「馬鹿な、奴らの戦力は貴重だ。ここで別れる事の理由は私にはわからぬ」 そう言うドッペルゲンガーに♀騎士は説得の言葉に詰まる。 「仲間とやらを失って臆病風にでも吹かれたか? 愚かな……戦ってこそその魂も救われ、そして更なる犠牲も押さえられるというに……」 そのドッペルゲンガーの言葉に、深淵の騎士子が激怒する。 「黙れっ! 貴様等に我らの何がわかるかっ!? 何かといえば武器を振りかざして突進するしか能の無い猪武者がえらそうにほざくな!」 その言葉に♀騎士は真っ青な顔になる。そしてそれを見たドッペルゲンガーも穏やかではいられない。 「……我が娘を愚弄する気か? それは命を賭けての言葉であろうな」 「愚弄? ふざけるな! 冷静に事に当っていた我が仲間に槍を向けたのは貴様であろうが!」 「愚か者には相応しい報いだ。ふん、臆病者と愚か者がたったの二人だけで一体何を為せるつもりだというのだ?」 「貴様っ!」 遂に深淵の騎士子が動く。 ドッペルゲンガーも即座に応戦体勢に入るが、それぞれ深淵の騎士子は♂ケミが、ドッペルゲンガーは♀騎士が羽交い締めにして止める。 「お、落ち着いてよ! ここでケンカする理由こそ無いじゃないか!」 「落ち着いてドッペルゲンガー。いいから、この子達はこの子達の考えがあるんだから……」 それぞれ無視出来ない相手に止められたせいか、渋々だが二人共矛を収める。 ♀騎士はドッペルゲンガーの手を引きながら、今度こそこの場を去る。 「すまない、こんなつもりじゃなかった……悪意の言葉はドッペルゲンガーに代って私が謝るから許して欲しい」 ♂ケミは深淵の騎士子の前に立って言った。 「……こっちこそごめん。でも……僕も君達を信用出来ないよ……だって君達は……」 そこまでで言葉を切る♂ケミ、すぐに♀騎士が言う。 「ええ、私達は目的の為に必要かどうか以外はあまり考慮しない。 そうしなければ勝てないから……」 「そんなに簡単に割り切れないよ。いや……僕は割り切る気なんて無い。仲間も友達も大事だから」 「そう。だから私達はこうなったのかもね……」 ♀騎士達は一路プロンテラを目指していた。 ドッペルゲンガーは不機嫌の極み、それを見て♀騎士は苦笑する。 「あの深淵の騎士……魔物というより人間に近い」 ドッペルゲンガーは不機嫌な顔のまま♀騎士の言葉を聞く。 「人間は、辛い目に遭った時とか……どうしても態度が頑なになる。 そんな時力押しで何かをさせようとしても無駄よ」 「……それに意味はあるのか?」 そう言うドッペルゲンガーに♀騎士は再度苦笑する。 「全く無い。でもあの状態で私達と一緒に戦ったら……きっと何処かで致命的な事が起きる。 そうならないよう祈りながら戦うのも手だけど、あまり建設的ではない」 「わからぬ。理解出来ぬ。したいとも思わぬな」 「心が弱いんでしょうね……でも知ってる?」 「む?」 「あなたの娘も根本的な所ではそうなのよ……覚えておいてね」   <DOP 所持品/ツヴァイハンター・小青箱      現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中      備 考/♀騎士と魔族での血縁関係となる。打倒♀GM秋菜 > <♀騎士 所持品/無形剣・コットンシャツ・ブリーフ      現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中      備 考/DOPと魔族での血縁関係となる。♂騎士の仇、♀GM秋菜を討つ目的を持つ> <♂アルケミ 所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90[騎士子の治療時に使用]、それ以外100ヶ、すり鉢一個 石をつめこんだ即席フレイル        現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中> <深遠の騎士子 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能) 遺された最高のペコペコ         現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中         備考:アリスの復讐>注:深淵の騎士子、♂ケミのすぐそばに、深遠の騎子の愛馬がいる ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[179]] | [[目次]] | [[181]] |

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