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195.肉入り  風に揺られる草が、寝転んだ♂BSの頬をなでていた。  彼は、なんとなくそれが、飾り気の無かった♀BSの手に似ている、そんな事を考えていた。  空だけが、彼と違って相変わらず人工的に青いままだ。  打倒秋菜を目指すに当たって間違いを彼はひとつ犯していた。  それは地図を見返して気づいた簡単な、見落としだった。  つまりは、プロンテラ城が禁止エリアでない筈は無い、という事実。  これまで、正気を失っていたが故だが、このまま進めば空しく爆死する所だった。  しかし、自分は一体どうすべきか。  一気に突き落とされたかのような気分がした。  そんなどん底から見上げてみると、冴えた方法は初めからたった一つしかなかった。 「殺そうか」  彼はつぶやいた。  そうだ。殺そう。  再び秋菜に会い、殺すためにはそうするしか。  復讐を遂げる。その為だけに十人近くもの人間を殺す。  ♂BSは、その事実に笑った。それは、乾いていた。  結局、やることは変わらない訳だ。  本当は、正気に戻ったふりをしているだけなのやも。  だが他に選択肢は無い。  自らの命を絶って、全てを終わらせる程彼は潔くもなかった。  そして、それを選択しうる力が彼にはあった。  それにBSは人を殺しすぎたから。  生き残り達は、決して彼を受け入れないだろう。  他の参加者の善意(それがあったとして)は、最早期待できない。  殺す為だけに殺す。そうで無くなっただけマシなのだろうか。  だが。  ずきり、と酷く頭が痛むのを彼は感じた。  皆殺しを考える一方で、善意の生き残りとの共闘を期待する自分がいたからだ。 「今更どうやって?」  そんな事は無理な相談だ。  ──殺そうか。例え、それがどんな結末になろうと。  結局、それだけが彼の知りえて、理解しうる唯一の選択であり、真実だった。  それを肯定する様に、頭痛は波が引くようにいつの間にか消えていた。 「往く、か」  例え、何もかもが失われ、あるいは既に無くなっていたとしても。  持ち上げた彼の顔には、迷いが無い。  そうする事でしか、このゲームを自分が生き残った上で終わらせられないなら。  こんな馬鹿馬鹿しいゲームは、この手でもう終わりにしてしまおう。  レクイエムを歌いながら。既に死んだ人達と、これから殺す、あるいは死ぬ人達の為に。  心を定めると、立ち上がり彼は更に南に下り始めた。  さっき、自分を避けて、南へと逃げていった♀ローグの事を覚えていたから。  まずは、彼女から殺そうか。  彼は、そう考えていた。 <♂BS BOTマーダー=>肉入りマーダーに 持ち物は変わらず。体力復帰 ローグを求めて南下> ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[194]] | [[目次]] | [[196]] |

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