「195」(2005/11/04 (金) 02:48:24) の最新版変更点
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195.肉入り
風に揺られる草が、寝転んだ♂BSの頬をなでていた。
彼は、なんとなくそれが、飾り気の無かった♀BSの手に似ている、そんな事を考えていた。
空だけが、彼と違って相変わらず人工的に青いままだ。
打倒秋菜を目指すに当たって間違いを彼はひとつ犯していた。
それは地図を見返して気づいた簡単な、見落としだった。
つまりは、プロンテラ城が禁止エリアでない筈は無い、という事実。
これまで、正気を失っていたが故だが、このまま進めば空しく爆死する所だった。
しかし、自分は一体どうすべきか。
一気に突き落とされたかのような気分がした。
そんなどん底から見上げてみると、冴えた方法は初めからたった一つしかなかった。
「殺そうか」
彼はつぶやいた。
そうだ。殺そう。
再び秋菜に会い、殺すためにはそうするしか。
復讐を遂げる。その為だけに十人近くもの人間を殺す。
♂BSは、その事実に笑った。それは、乾いていた。
結局、やることは変わらない訳だ。
本当は、正気に戻ったふりをしているだけなのやも。
だが他に選択肢は無い。
自らの命を絶って、全てを終わらせる程彼は潔くもなかった。
そして、それを選択しうる力が彼にはあった。
それにBSは人を殺しすぎたから。
生き残り達は、決して彼を受け入れないだろう。
他の参加者の善意(それがあったとして)は、最早期待できない。
殺す為だけに殺す。そうで無くなっただけマシなのだろうか。
だが。
ずきり、と酷く頭が痛むのを彼は感じた。
皆殺しを考える一方で、善意の生き残りとの共闘を期待する自分がいたからだ。
「今更どうやって?」
そんな事は無理な相談だ。
──殺そうか。例え、それがどんな結末になろうと。
結局、それだけが彼の知りえて、理解しうる唯一の選択であり、真実だった。
それを肯定する様に、頭痛は波が引くようにいつの間にか消えていた。
「往く、か」
例え、何もかもが失われ、あるいは既に無くなっていたとしても。
持ち上げた彼の顔には、迷いが無い。
そうする事でしか、このゲームを自分が生き残った上で終わらせられないなら。
こんな馬鹿馬鹿しいゲームは、この手でもう終わりにしてしまおう。
レクイエムを歌いながら。既に死んだ人達と、これから殺す、あるいは死ぬ人達の為に。
心を定めると、立ち上がり彼は更に南に下り始めた。
さっき、自分を避けて、南へと逃げていった♀ローグの事を覚えていたから。
まずは、彼女から殺そうか。
彼は、そう考えていた。
<♂BS BOTマーダー=>肉入りマーダーに 持ち物は変わらず。体力復帰
ローグを求めて南下>
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