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037 遭遇、そして同行 ---- 鳥が、教えてくれた。 近くに居る『誰かの存在』 身を隠す場所を求めて…走り続けて… 気配が消え、彼女は一度足を止めた。 ふぅ、と安堵の息を吐く。 「もう…追ってきてないよ…ね?」 そう思いつつも、鞄の中から取り出したスパナを片手に持った。 戦うのは怖い、人なんか殺せない。 …でも、死にたくない。 生きて帰って…自分のパートナーとも呼べる鷹に会いたい。 そう、彼女が思った時だ。 ―消えたはずの気配の主が彼女の前に現れたのは。 「これはこれは…また、モルモットを見つける事が出来るとは…」 ♀ハンターが振り返ったとき、そこには♂ウィザードが居た。 その手に握られているのは…血が付着したコンバットナイフ。 見たところ…♂ウィザードに目立った切り傷などは無い。 ―この人はゲームに乗って…既に誰かを襲ってる… ♀ハンターはスパナをぎゅっ、と握り締めた。 「先ほどは不意打ちでせっかくのモルモットを見逃す事になってしまいましたからねぇ…」 ♂ウィザードは不敵な笑みを浮かべながら、♀ハンターに歩み寄る。 ♀ハンターの構えは、とても自分を殺せるような構えではない。 何より彼女は人を殺せるような表情、をしていない。 そう判断した♂ウィザードはゆっくりと"モルモット"を追い詰めようと考えた。 ―予想外の人物がここに現れるなんて、知る由も無く。 逃げないと。 ♀ハンターの脳裏をその言葉がよぎる。 だけど、この♂ウィザードに背を向けたら。 手に持っているコンバットナイフで恐らく…刺される。 「ふぁる…」 相棒の名前を呟く。 何とかしてこの場を切り抜けて…。 生きてまた、相棒と会いたいのに。 「あたしは…どうしたらいいの…?」 こんな所で死にたくない。 だけど人を殺すなんて出来ない。 誰かを頼ることも…出来ない。 思わず、目から涙が零れた。 ♂ウィザードが近づいてくる。 「追い詰めてじわじわと殺そうかと思ったんですが逃げないんですか」 「来ないで…近づいたらこのスパナで…!」 声を振り絞って♀ハンターは叫んだ。 スパナを構えた手は震えている。 「その構えで私は殺せませんよ…モルモットさん」 距離が―近づく。 ♂ウィザードに注意を注いで居た為、彼女は足元の大きな石に気づかなかった。 足を取られ、ガクッ、と彼女はその場に崩れる。 にやり、と♂ウィザードが笑った。 体勢を直すより…明らかに♂ウィザードが彼女にコンバットナイフを振るのが速い。 「さて…斬り刻んで差し上げますね…!」 ♂ウィザードが♀ハンターへ向けてコンバットナイフを振り下ろした。 ♀ハンターは目を瞑った。 そうしたら、少しでも痛みが和らぐかもしれないと思ったから。 ガキィィィン! 何かがぶつかる音がした。 …そして、一向に♀ハンターに痛みは走らなかった。 「…な」 声を上げたのは、♂ウィザードだった。 ♀ハンターが…恐る恐る目を開けるとそこには誰かが立っていた。 そして♂ウィザードのコンバットナイフは弾け飛んでいて。 「大丈夫ですか?」 そう♀ハンターに声をかけた誰かは… 頭にシルクリボンを付けた、スーパーノービスの少女だった。 「これは…邪魔が入りましたが…スーパーノービスとは興味深いモルモットが増えましたね…ククッ」 「…どうせなら、ハムスターにして下さい」 そう微笑みながら言った♀スパノビは小さな声でぼそりと呟く。 『立てますか?』 その言葉にこくり、と頷く♀ハンター。 小さく返事をすると♀スパノビは右手にダマスカスを構えたまま♂ウィザードを見た。 「とりあえず、悪趣味な方のモルモットにもハムスターにもなる気はありません」 『貴方は、ゲームに乗っていない…そう見えたから手を出したのですが』 ♂ウィザードに向けて冷静に言葉を放ちつつ、小さな声で♀ハンターにだけ聞こえるように♀スパノビは言う。 『私はこのゲームから生きて帰ろう、って思ってます。だけど、自分から人を殺すつもりはありません』 おんなじ、だ。 ♀ハンターはそう思った。 自分と同じ考えをこの♀スパノビは持っているんだ。 『もし貴方が私の事を信じてくれるなら。一緒に行動しませんか?』 その言葉に♀ハンターは躊躇した。 今まで、人を信じたことなんか無かった。 だからこそ、余計に躊躇した。 この♀スパノビを信じていいのか。 「ククククク…私から逃げられると思っているのか?」 「うん、思ってますよ~」 そう微笑むと、♀スパノビは♀ハンターの手を引いた。 ♂ウィザードが魔法を唱え始める。 「こっちの道から、私来たので。逃げ道くらいはわかってます」 見渡す限りの森林。 ♂ウィザードの魔法が完成、したのだが木が邪魔で魔法を打つことができない。 「ほらね?」 それを計算していた、♀スパノビは♀ハンターに向けて微笑んだ。 ♂ウィザードは追いかけようとした…のだが。 先ほど♂アルケミストに頂いたタックルの痛みが今になって来たらしい。 2人の姿が森林に消えて、♂ウィザードは小さく舌打ちをした。 だが、このまま終わらせるわけにはいかない。 別の実験体を探すのだ。 悔しさは直に吹き飛び、また探究心が彼を動かす。 コンバットナイフを拾うと、彼は不気味な笑みを浮かべた。 いつの間にか隣に並んで走る♀スパノビと♀ハンター。 ♂ウィザードが追ってくる気配は無い。 「逃げ切れたようですね~」 今まで鷹しか信じていなかったから…人を信じていいのか解らない。 ただこの♀スパノビの笑顔と、その言葉には嘘がないように思えた。 ふぁる… 完全に信じるのは無理かもしれないけど… あたし、この♀スパノビさんと一緒に行動してみることにする。 絶対に帰って、また一緒に…。 「…あの…さっきの事だけど…」 <♀ハンター:C-3→C-5 所持品変化無し 備考:対人恐怖症・鳥と会話ができる・ステータスは純鷹師 弓の扱いに関しては未知数 ♀スパノビと同行> <♀スパノビ:北へ→C-3→C-5 所持品変化無し 備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)> <♂ウィザード:C-3 所持品変化無し 備考:♂ケミのタックルの痛みが残っている 新たな人間を探して移動> [[戻る>2-036]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-038]]
037 遭遇、そして同行 ---- 鳥が、教えてくれた。 近くに居る『誰かの存在』 身を隠す場所を求めて…走り続けて… 気配が消え、彼女は一度足を止めた。 ふぅ、と安堵の息を吐く。 「もう…追ってきてないよ…ね?」 そう思いつつも、鞄の中から取り出したスパナを片手に持った。 戦うのは怖い、人なんか殺せない。 …でも、死にたくない。 生きて帰って…自分のパートナーとも呼べる鷹に会いたい。 そう、彼女が思った時だ。 ―消えたはずの気配の主が彼女の前に現れたのは。 「これはこれは…また、モルモットを見つける事が出来るとは…」 ♀ハンターが振り返ったとき、そこには♂ウィザードが居た。 その手に握られているのは…血が付着したコンバットナイフ。 見たところ…♂ウィザードに目立った切り傷などは無い。 ―この人はゲームに乗って…既に誰かを襲ってる… ♀ハンターはスパナをぎゅっ、と握り締めた。 「先ほどは不意打ちでせっかくのモルモットを見逃す事になってしまいましたからねぇ…」 ♂ウィザードは不敵な笑みを浮かべながら、♀ハンターに歩み寄る。 ♀ハンターの構えは、とても自分を殺せるような構えではない。 何より彼女は人を殺せるような表情、をしていない。 そう判断した♂ウィザードはゆっくりと"モルモット"を追い詰めようと考えた。 ―予想外の人物がここに現れるなんて、知る由も無く。 逃げないと。 ♀ハンターの脳裏をその言葉がよぎる。 だけど、この♂ウィザードに背を向けたら。 手に持っているコンバットナイフで恐らく…刺される。 「ふぁる…」 相棒の名前を呟く。 何とかしてこの場を切り抜けて…。 生きてまた、相棒と会いたいのに。 「あたしは…どうしたらいいの…?」 こんな所で死にたくない。 だけど人を殺すなんて出来ない。 誰かを頼ることも…出来ない。 思わず、目から涙が零れた。 ♂ウィザードが近づいてくる。 「追い詰めてじわじわと殺そうかと思ったんですが逃げないんですか」 「来ないで…近づいたらこのスパナで…!」 声を振り絞って♀ハンターは叫んだ。 スパナを構えた手は震えている。 「その構えで私は殺せませんよ…モルモットさん」 距離が―近づく。 ♂ウィザードに注意を注いで居た為、彼女は足元の大きな石に気づかなかった。 足を取られ、ガクッ、と彼女はその場に崩れる。 にやり、と♂ウィザードが笑った。 体勢を直すより…明らかに♂ウィザードが彼女にコンバットナイフを振るのが速い。 「さて…斬り刻んで差し上げますね…!」 ♂ウィザードが♀ハンターへ向けてコンバットナイフを振り下ろした。 ♀ハンターは目を瞑った。 そうしたら、少しでも痛みが和らぐかもしれないと思ったから。 ガキィィィン! 何かがぶつかる音がした。 …そして、一向に♀ハンターに痛みは走らなかった。 「…な」 声を上げたのは、♂ウィザードだった。 ♀ハンターが…恐る恐る目を開けるとそこには誰かが立っていた。 そして♂ウィザードのコンバットナイフは弾け飛んでいて。 「大丈夫ですか?」 そう♀ハンターに声をかけた誰かは… 頭にシルクリボンを付けた、スーパーノービスの少女だった。 「これは…邪魔が入りましたが…スーパーノービスとは興味深いモルモットが増えましたね…ククッ」 「…どうせなら、ハムスターにして下さい」 そう微笑みながら言った♀スパノビは小さな声でぼそりと呟く。 『立てますか?』 その言葉にこくり、と頷く♀ハンター。 小さく返事をすると♀スパノビは右手にダマスカスを構えたまま♂ウィザードを見た。 「とりあえず、悪趣味な方のモルモットにもハムスターにもなる気はありません」 『貴方は、ゲームに乗っていない…そう見えたから手を出したのですが』 ♂ウィザードに向けて冷静に言葉を放ちつつ、小さな声で♀ハンターにだけ聞こえるように♀スパノビは言う。 『私はこのゲームから生きて帰ろう、って思ってます。だけど、自分から人を殺すつもりはありません』 おんなじ、だ。 ♀ハンターはそう思った。 自分と同じ考えをこの♀スパノビは持っているんだ。 『もし貴方が私の事を信じてくれるなら。一緒に行動しませんか?』 その言葉に♀ハンターは躊躇した。 今まで、人を信じたことなんか無かった。 だからこそ、余計に躊躇した。 この♀スパノビを信じていいのか。 「ククククク…私から逃げられると思っているのか?」 「うん、思ってますよ~」 そう微笑むと、♀スパノビは♀ハンターの手を引いた。 ♂ウィザードが魔法を唱え始める。 「こっちの道から、私来たので。逃げ道くらいはわかってます」 見渡す限りの森林。 ♂ウィザードの魔法が完成、したのだが木が邪魔で魔法を打つことができない。 「ほらね?」 それを計算していた、♀スパノビは♀ハンターに向けて微笑んだ。 ♂ウィザードは追いかけようとした…のだが。 先ほど♂アルケミストに頂いたタックルの痛みが今になって来たらしい。 2人の姿が森林に消えて、♂ウィザードは小さく舌打ちをした。 だが、このまま終わらせるわけにはいかない。 別の実験体を探すのだ。 悔しさは直に吹き飛び、また探究心が彼を動かす。 コンバットナイフを拾うと、彼は不気味な笑みを浮かべた。 いつの間にか隣に並んで走る♀スパノビと♀ハンター。 ♂ウィザードが追ってくる気配は無い。 「逃げ切れたようですね~」 今まで鷹しか信じていなかったから…人を信じていいのか解らない。 ただこの♀スパノビの笑顔と、その言葉には嘘がないように思えた。 ふぁる… 完全に信じるのは無理かもしれないけど… あたし、この♀スパノビさんと一緒に行動してみることにする。 絶対に帰って、また一緒に…。 「…あの…さっきの事だけど…」 <♀ハンター:C-3→C-5 所持品変化無し 備考:対人恐怖症・鳥と会話ができる・ステータスは純鷹師 弓の扱いに関しては未知数 ♀スパノビと同行> <♀スパノビ:北へ→C-3→C-5 所持品変化無し 備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)> <♂ウィザード:C-3 所持品変化無し 備考:♂ケミのタックルの痛みが残っている 新たな人間を探して移動> ---- [[戻る>2-036]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-038]]

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