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 041.♂アコライト的目覚め(但し目の前には乳がある) ----  ──う、うう。ここは一体何処なんだろう、と僕は思う。  ふかぁっ、とした柔らかくて暖かいのは、多分ベットと布団だろう。  ちゅんちゅん、と遠くからスズメの鳴き声が聞こえる。何時もの朝の音だった。  ああ。良かった。あの島は。僕があんな酷い事に巻き込まれたのはきっと夢だったんだ。  目を開ける。けれど何か、えも言われぬ柔らかいような心地よい圧迫感を覚えて、彼は横を向いた。 「ああ、起きたのね。ご主人様」  そこに彼が見た事も無いような綺麗な人が。  要するに具体的に描写すると、彼と同じ布団に潜り込み…所謂、同衾である…彼の方を向いてにっこりと微笑んでいた。  身持ちの硬い彼からしてみれば殆ど裸同然(とは言っても普通の人間からすればそれは水着程度の服である)な格好の、 とんがり耳の女性が。彼に対してその様な格好で。(因みに彼の年齢は十四歳である。そして、修道士的な生活の少年である)  というか、先程よりふかふかとしたこの感覚は一体何なのであろうか?主に体の横合い辺りで。  ♂アコライトの思考はここで完全停止。  ぱくぱくと陸に打ち上げられた魚みたいに呼吸しながら必死に事態の収拾を図る。  …Q.目の前の女性は誰か  …A.とても綺麗で僕の事をご主人様と呼ぶお姉さん。そして僕にぴったりとくっ付いている。(二色に分けられた水着着用)  しかし、更に思考は混乱の極に叩き込まれる。  さっぱり訳が判らない。いや、僕が何処にて何故こうなってるのかは解ったけど理論と現実のつじつまが…  この二つの大きくて柔らかいものは一体如何にっ!? 「いきなり倒れちゃって驚いたわ。初心なのね」 「いいいいい、いやっ。ぼぼぼぼ、僕はっですねっ。っていうかお願いだから離れてーっ!!」  などと言いつつ、ぎゅむっと少年の頭を抱きしめた女性にじたばた暴れながら少女の悲鳴の様な声を上げていた。  で。からかえなくなった事が少しばかり不満そうなジルタスと(但し仮面は外している)、微妙に顔を背けている♂アコライトは、 彼らが先程まで居た海岸に程近い家屋の中でテーブルを挟んで向き合っていた。 「で、これからどうするの?」  とはジルタスの言である。  たゆんたゆんと揺れる何かから意図的に視線を逸らしつつ、少年は彼が考えていた事を述べる事にした。 「僕は仲間を探そうと思うんだ。殺し合いなんてご免だし、そんな自信も無いから」  しかし、ジルタスは彼の提案にいかにもつまらなそうな顔をしていた。 「ご主人様。私に殺させればいいじゃない。それに仲間を探しても結局ここから帰れるのは一人よ?」  そんな現実主義的な言葉に少年は応えてがぶりを振った。  横顔にはありありと苦悩が浮かんでいて、それを見てジルタスはおや、と言う顔をする。 「ダメだ。それじゃ何時かは僕らも殺されちゃうよ」 「確かにそうね…でも、仮にご主人様の言うとおりに仲間になってくれる人間が見つかったとしても その連中がきっとアタシとご主人様を助けてくれるって訳じゃないわ。  ここはキャンプ場じゃなくて、殺しも騙すのも認められたキリングフィールド。  考え無しに仲間ばかり増やすんじゃなくて、生き残る為にありったけの才能を絞ってくれる人じゃないと」 「…そうだね。あはは、僕にはちょっと考えが足りなかった…かな。ただのアコライトだし」  力なく笑って肩を落とす♂アコライトを慰める様にジルタスは慌てて口を開いた。 「弱気にならないで。ご主人様、君は自分で思ってるより強いから」  ぱちくり、と女魔族のイメージとは余りに不釣合いなその言葉に驚いた様な顔を♂アコライトは浮かべる。 「アタシは、君も知っての通りの魔族。でも、その分戦場については良く知ってるわ。  その…色々冒険者を見てきたけど、ご主人様みたいに自分の感情を戦場でも忘れない人は少ないから」 「え…あー…うん。ありがと」  ぐしゃぐしゃと栗毛を撫で回してくるジルタスに♂アコライトは戸惑った様な声を上げる。  一方の女魔族は、というとそんな彼を見ると微笑んだ。どきり、と僅かに棘が刺さったような痛みを♂アコライトは覚えた気がした。  何故なら。そんなジルタスの微笑みが、彼が良く知る天使のそれと重なったような気がしたので。 「決まりね。ご主人様。先ず信頼できる仲間を探す。それで生き残って──」 「それで、あわよくば、皆無事で帰るって事だよね」  言葉の最後を取られ、少し息を詰まらせた顔のジルタスに少年は言う。  それから、二人で申し合わせた様に笑い出した。  こんな場所だからこそ。こうやって笑い合えるのはかけがえの無い事だと♂アコライトは思った。 「ふふ、面白い人ね、本当」 「こちらこそっ…あははは」  と、そこで少年は思い出す。話している内にすっかり忘れていたのだけれど──重要な、非常に重要な問題だ。  不意に真面目な顔をした彼に、ジルタスは胡乱げな顔をする。  そして♂アコライトは、視界の端に写る衣装箪笥を見ながら彼女に言った。 「ええと…ごめん。先ずは着替えて。お願いだから。それと」  少年は言葉を続ける。 「ジルタスさん。ご主人様って呼ぶのは止めて。僕は♂アコライトでいいから」 「…解ったわ。宜しくね、♂アコライト」  そして、伸びて来た彼女の手袋に包まれた手を少年は握り返した。  因みに。彼は女性が着る服と彼女の諸々のサイズについては無知であったようである。 <ジルタス 状態:服は着替える事に。但しどんな服かは次の人任せ 持ち物:鞭、ジルタス仮面 場所:海岸から少し離れた家> <♂アコライト 状態&持ち物変化なし 場所:ジルタスと同一> [[戻る>2-040]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-042]]
 041.♂アコライト的目覚め(但し目の前には乳がある) ----  ──う、うう。ここは一体何処なんだろう、と僕は思う。  ふかぁっ、とした柔らかくて暖かいのは、多分ベットと布団だろう。  ちゅんちゅん、と遠くからスズメの鳴き声が聞こえる。何時もの朝の音だった。  ああ。良かった。あの島は。僕があんな酷い事に巻き込まれたのはきっと夢だったんだ。  目を開ける。けれど何か、えも言われぬ柔らかいような心地よい圧迫感を覚えて、彼は横を向いた。 「ああ、起きたのね。ご主人様」  そこに彼が見た事も無いような綺麗な人が。  要するに具体的に描写すると、彼と同じ布団に潜り込み…所謂、同衾である…彼の方を向いてにっこりと微笑んでいた。  身持ちの硬い彼からしてみれば殆ど裸同然(とは言っても普通の人間からすればそれは水着程度の服である)な格好の、 とんがり耳の女性が。彼に対してその様な格好で。(因みに彼の年齢は十四歳である。そして、修道士的な生活の少年である)  というか、先程よりふかふかとしたこの感覚は一体何なのであろうか?主に体の横合い辺りで。  ♂アコライトの思考はここで完全停止。  ぱくぱくと陸に打ち上げられた魚みたいに呼吸しながら必死に事態の収拾を図る。  …Q.目の前の女性は誰か  …A.とても綺麗で僕の事をご主人様と呼ぶお姉さん。そして僕にぴったりとくっ付いている。(二色に分けられた水着着用)  しかし、更に思考は混乱の極に叩き込まれる。  さっぱり訳が判らない。いや、僕が何処にて何故こうなってるのかは解ったけど理論と現実のつじつまが…  この二つの大きくて柔らかいものは一体如何にっ!? 「いきなり倒れちゃって驚いたわ。初心なのね」 「いいいいい、いやっ。ぼぼぼぼ、僕はっですねっ。っていうかお願いだから離れてーっ!!」  などと言いつつ、ぎゅむっと少年の頭を抱きしめた女性にじたばた暴れながら少女の悲鳴の様な声を上げていた。  で。からかえなくなった事が少しばかり不満そうなジルタスと(但し仮面は外している)、微妙に顔を背けている♂アコライトは、 彼らが先程まで居た海岸に程近い家屋の中でテーブルを挟んで向き合っていた。 「で、これからどうするの?」  とはジルタスの言である。  たゆんたゆんと揺れる何かから意図的に視線を逸らしつつ、少年は彼が考えていた事を述べる事にした。 「僕は仲間を探そうと思うんだ。殺し合いなんてご免だし、そんな自信も無いから」  しかし、ジルタスは彼の提案にいかにもつまらなそうな顔をしていた。 「ご主人様。私に殺させればいいじゃない。それに仲間を探しても結局ここから帰れるのは一人よ?」  そんな現実主義的な言葉に少年は応えてがぶりを振った。  横顔にはありありと苦悩が浮かんでいて、それを見てジルタスはおや、と言う顔をする。 「ダメだ。それじゃ何時かは僕らも殺されちゃうよ」 「確かにそうね…でも、仮にご主人様の言うとおりに仲間になってくれる人間が見つかったとしても その連中がきっとアタシとご主人様を助けてくれるって訳じゃないわ。  ここはキャンプ場じゃなくて、殺しも騙すのも認められたキリングフィールド。  考え無しに仲間ばかり増やすんじゃなくて、生き残る為にありったけの才能を絞ってくれる人じゃないと」 「…そうだね。あはは、僕にはちょっと考えが足りなかった…かな。ただのアコライトだし」  力なく笑って肩を落とす♂アコライトを慰める様にジルタスは慌てて口を開いた。 「弱気にならないで。ご主人様、君は自分で思ってるより強いから」  ぱちくり、と女魔族のイメージとは余りに不釣合いなその言葉に驚いた様な顔を♂アコライトは浮かべる。 「アタシは、君も知っての通りの魔族。でも、その分戦場については良く知ってるわ。  その…色々冒険者を見てきたけど、ご主人様みたいに自分の感情を戦場でも忘れない人は少ないから」 「え…あー…うん。ありがと」  ぐしゃぐしゃと栗毛を撫で回してくるジルタスに♂アコライトは戸惑った様な声を上げる。  一方の女魔族は、というとそんな彼を見ると微笑んだ。どきり、と僅かに棘が刺さったような痛みを♂アコライトは覚えた気がした。  何故なら。そんなジルタスの微笑みが、彼が良く知る天使のそれと重なったような気がしたので。 「決まりね。ご主人様。先ず信頼できる仲間を探す。それで生き残って──」 「それで、あわよくば、皆無事で帰るって事だよね」  言葉の最後を取られ、少し息を詰まらせた顔のジルタスに少年は言う。  それから、二人で申し合わせた様に笑い出した。  こんな場所だからこそ。こうやって笑い合えるのはかけがえの無い事だと♂アコライトは思った。 「ふふ、面白い人ね、本当」 「こちらこそっ…あははは」  と、そこで少年は思い出す。話している内にすっかり忘れていたのだけれど──重要な、非常に重要な問題だ。  不意に真面目な顔をした彼に、ジルタスは胡乱げな顔をする。  そして♂アコライトは、視界の端に写る衣装箪笥を見ながら彼女に言った。 「ええと…ごめん。先ずは着替えて。お願いだから。それと」  少年は言葉を続ける。 「ジルタスさん。ご主人様って呼ぶのは止めて。僕は♂アコライトでいいから」 「…解ったわ。宜しくね、♂アコライト」  そして、伸びて来た彼女の手袋に包まれた手を少年は握り返した。  因みに。彼は女性が着る服と彼女の諸々のサイズについては無知であったようである。 <ジルタス 状態:服は着替える事に。但しどんな服かは次の人任せ 持ち物:鞭、ジルタス仮面 場所:海岸から少し離れた家> <♂アコライト 状態&持ち物変化なし 場所:ジルタスと同一> ---- [[戻る>2-040]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-042]]

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