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045 現実を見据えるということ ---- 男は静かに森の中を歩いている。 時たまぺきりという小枝をふみしめる音がする。 空に向かってたくましく成長している若芽を無慈悲に踏み潰す。 足元にある命を気にしていてはおちおち歩くことすら出来ない。 今の彼にとって開けた視界の前にある命はどれほどのものなのだろうか。 しゃらんしゃらんと綺麗な音を立てながら一人の少女が歩いている。 「…う~、こわいようこわいよう」 おっかなびっくりといった感じで歩いている。 そこは割りと見通しのいい平野で草もくるぶし程度までしか生えてはいない。 遠くから誰かが近づいてくればすぐに分かるほど見通しのいい平野だった。 「でも、ここなら誰かきてもすぐわかるよね、うん」 少女は自分で自分を納得させながら歩いていく。 少女のつけた鈴のしゃらんしゃらんという音にまじってかすかに小川のせせらぎが聞こえていた。 「…あ、川だ~、水はきれいだけど~……飲めるかな?」 少女はそういって川にかけよると両手で水をすくって口にいれる。 澄んだ味が口の中に広がる、水って美味しい物だったんだ等と思いながらちょこんと川原にすわる。 「はぁ……なんでこんな事になっちゃったんだろ……」 少女は応えのでない自問自答を繰り返す。 少女は何もしていない、だがギルドから見れば何もしていないからこそ邪魔なのである。 血は止まったかな?等とつぶやきながら背中をちらちら見たりまた水を飲んだりしている。 「あ……人かな……」 小川の下流のほうから誰かがゆっくりと歩いてくる。 少女の心臓の鼓動が高鳴る。 また襲われたら?闘える?襲われる?襲われる? 少女はガチガチと歯を鳴らしながら立ち上がる。 ゆっくりと歩いてくる男、♂クルセにむかって大声で話しかける。 「あ、あの、えっと、こ、こんにちは」 ♂クルセは意に介さずゆっくりと歩いている。 「あ、あのですね…カード帖があるんですけど、えっと…その……」 な、なにをいったらいいんだろう、で、でも、でもあの人優しそうだから。 きっと大丈夫、大丈夫、うん、大丈夫だから。 心の中でくりかえす。 そしてはっと我に帰ると、目前に♂クルセの姿。 髪に隠れていて左目は見えないが右目はまっすぐに♀ローグを見つめている。 「あ、あの、これと、武器を、交換してほしいな~なんて…」 ゆっくりと恐る恐るカード帖を差し出す。 その瞬間、まさに一瞬だった。 ♂クルセは差し出された右手を捕えるとそのまま♀ローグを地面に引き倒すとその背中に膝をのせる。 急に腹部を打ったためにぐぇっという声をあげる♀ローグ。 あああ、やっぱりだめなんだ、しんじゃうんだしんじゃうんだ。 「まずは考えろ」 ♂クルセがゆっくりと喋りだす。 「ここはどういう場所で何をしなければいけないかを」 「目的のためにまず手段を得ようとしたのはいい判断だ」 「だが相手の目的も考えなければいけないということだ」 「相手が必ずしもお前のそれを求めているとは限らない」 「ましてや協力してくれるかどうか、その判断がまず第一だ」 「以上だ……質問は?」 ♀ローグは突然の事と腹部の痛み、背中の傷に膝を強打された痛みとで頭がまわなくなっている。 その頭でこう考えた。 私、たすかるのかな? 「質問は、ない、な……」 ♂クルセイダーはゆっくりと腰に挿しているシミターを抜いた。 「以上の事を守れば……お前はもう少し生きられた、な……」 ♂クルセは♀ローグの首筋に刃を当てると音も無く引いた。 ♂クルセは小川のほとりに生えている小さな花を一つ手折ると物言わぬ体になった♀ローグに供える。 「せめて……安らかに……」 ♂クルセは胸の前で小さく十字を描くとすっと立ち上がり花を手折る時についでに拾ったカード帖を開いてみる。 「これ、は……」 手にしたカードには威風堂々とした将軍のように見える亀の絵柄が浮かび上がっている。 「悪くない、いや……運がいい、か……」 ♂クルセはそのカードを迷いなくシミターに挿し込む。 そしてシミターの鞘を空に投げるとカラカラという音とともに鞘が転がった。 「西、か……次は殺しに来る相手だといいが、な……」 ♂クルセはゆっくりと西にむかって歩いていった。 <♂クルセ> 現在位置-南東の平原(F-8) 西にむかって移動中 所持品-s2シミター(タートルジェネラル挿し) 外見特徴-csm:4j0h70g2(らぐなの何か。参照) <♀ローグ> 現在位置-南東の平原(F-8) 備考-死亡 F-8について 南から北にむかって小川が流れている。 見通しのいい平野。 東にわずかに砂まじりの平野。 <残り44人> [[戻る>2-044]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-046]]
045 現実を見据えるということ ---- 男は静かに森の中を歩いている。 時たまぺきりという小枝をふみしめる音がする。 空に向かってたくましく成長している若芽を無慈悲に踏み潰す。 足元にある命を気にしていてはおちおち歩くことすら出来ない。 今の彼にとって開けた視界の前にある命はどれほどのものなのだろうか。 しゃらんしゃらんと綺麗な音を立てながら一人の少女が歩いている。 「…う~、こわいようこわいよう」 おっかなびっくりといった感じで歩いている。 そこは割りと見通しのいい平野で草もくるぶし程度までしか生えてはいない。 遠くから誰かが近づいてくればすぐに分かるほど見通しのいい平野だった。 「でも、ここなら誰かきてもすぐわかるよね、うん」 少女は自分で自分を納得させながら歩いていく。 少女のつけた鈴のしゃらんしゃらんという音にまじってかすかに小川のせせらぎが聞こえていた。 「…あ、川だ~、水はきれいだけど~……飲めるかな?」 少女はそういって川にかけよると両手で水をすくって口にいれる。 澄んだ味が口の中に広がる、水って美味しい物だったんだ等と思いながらちょこんと川原にすわる。 「はぁ……なんでこんな事になっちゃったんだろ……」 少女は応えのでない自問自答を繰り返す。 少女は何もしていない、だがギルドから見れば何もしていないからこそ邪魔なのである。 血は止まったかな?等とつぶやきながら背中をちらちら見たりまた水を飲んだりしている。 「あ……人かな……」 小川の下流のほうから誰かがゆっくりと歩いてくる。 少女の心臓の鼓動が高鳴る。 また襲われたら?闘える?襲われる?襲われる? 少女はガチガチと歯を鳴らしながら立ち上がる。 ゆっくりと歩いてくる男、♂クルセにむかって大声で話しかける。 「あ、あの、えっと、こ、こんにちは」 ♂クルセは意に介さずゆっくりと歩いている。 「あ、あのですね…カード帖があるんですけど、えっと…その……」 な、なにをいったらいいんだろう、で、でも、でもあの人優しそうだから。 きっと大丈夫、大丈夫、うん、大丈夫だから。 心の中でくりかえす。 そしてはっと我に帰ると、目前に♂クルセの姿。 髪に隠れていて左目は見えないが右目はまっすぐに♀ローグを見つめている。 「あ、あの、これと、武器を、交換してほしいな~なんて…」 ゆっくりと恐る恐るカード帖を差し出す。 その瞬間、まさに一瞬だった。 ♂クルセは差し出された右手を捕えるとそのまま♀ローグを地面に引き倒すとその背中に膝をのせる。 急に腹部を打ったためにぐぇっという声をあげる♀ローグ。 あああ、やっぱりだめなんだ、しんじゃうんだしんじゃうんだ。 「まずは考えろ」 ♂クルセがゆっくりと喋りだす。 「ここはどういう場所で何をしなければいけないかを」 「目的のためにまず手段を得ようとしたのはいい判断だ」 「だが相手の目的も考えなければいけないということだ」 「相手が必ずしもお前のそれを求めているとは限らない」 「ましてや協力してくれるかどうか、その判断がまず第一だ」 「以上だ……質問は?」 ♀ローグは突然の事と腹部の痛み、背中の傷に膝を強打された痛みとで頭がまわなくなっている。 その頭でこう考えた。 私、たすかるのかな? 「質問は、ない、な……」 ♂クルセイダーはゆっくりと腰に挿しているシミターを抜いた。 「以上の事を守れば……お前はもう少し生きられた、な……」 ♂クルセは♀ローグの首筋に刃を当てると音も無く引いた。 ♂クルセは小川のほとりに生えている小さな花を一つ手折ると物言わぬ体になった♀ローグに供える。 「せめて……安らかに……」 ♂クルセは胸の前で小さく十字を描くとすっと立ち上がり花を手折る時についでに拾ったカード帖を開いてみる。 「これ、は……」 手にしたカードには威風堂々とした将軍のように見える亀の絵柄が浮かび上がっている。 「悪くない、いや……運がいい、か……」 ♂クルセはそのカードを迷いなくシミターに挿し込む。 そしてシミターの鞘を空に投げるとカラカラという音とともに鞘が転がった。 「西、か……次は殺しに来る相手だといいが、な……」 ♂クルセはゆっくりと西にむかって歩いていった。 <♂クルセ> 現在位置-南東の平原(F-8) 西にむかって移動中 所持品-s2シミター(タートルジェネラル挿し) 外見特徴-csm:4j0h70g2(らぐなの何か。参照) <♀ローグ> 現在位置-南東の平原(F-8) 備考-死亡 F-8について 南から北にむかって小川が流れている。 見通しのいい平野。 東にわずかに砂まじりの平野。 <残り44人> ---- [[戻る>2-044]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-046]]

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