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056 刃を心に ドンッッ 突然の音。吹き飛び、大地に仰向けに倒れる悪ケミ。 私は素早く悪ケミの側に駆け寄り、息を見る。 大丈夫、気絶しているだけだ。 一安心して悪ケミが吹き飛んだ方向と逆の方向、つまり攻撃の来た方向に目を凝らす。 もちろん遠距離攻撃を仕掛けてきた相手を探すためだ。 広陵とした大地、点在する大小の岩々。 しかし、見渡す世界には誰も居ない。 軽く深呼吸、それから肉体のギアを無理矢理トップに入れる。 先の一撃には明らかに殺意がこもっていた。 抗うには、悪ケミを護るためには全力を出すしかない。 数々の死線を生き抜いてきた私の体は私にそう要求した。 ───また、殺すのかい? 心の中で誰かが囁く。 望んでいるわけではない、望むはずもない。 けれど、迷っていては殺される。 死ぬのは怖くない、本当に怖いのは─── 空気が僅かに震えるのを感じ取った私は大地を蹴り、横に飛ぶ。 ドンッッ 直後、先ほどまで私の居た場所でレンガ色の土が爆ぜた。 何かに抉り取られたかのような跡、球状の孔。 ドンッッ、ドンッッ 連続して放たれる何か、その何かを鋭敏化させた感覚で見切り、避ける。 5回、6回、7回、全ての攻撃を暗殺者としての歩法を駆使して、避ける。 避けながら頭の中では相手の攻撃、相手の位置、相手の動きを推測、 拾い集めた情報を束ね、1つの体系に再構築する。 「十中八九、指弾モンクだね」 呟き、相手を悪ケミから離れさせるため、自らがおとりになる。 腰を低く、上半身を前に倒し地を這うような姿勢で前方に疾駆。 「岩陰を利用した見事な攻撃、だけど、そこかな」 駆けながらそこらに転がっていた石を右手ですくうように拾い上げ、左手に投げ渡し、素早く放り投げる。 放たれた石は矢のように鋭く、岩陰から僅かに外れた何もない空間を─── その位置に、指弾を放つべく岩陰から姿を現したサングラスをかけたモンクが躍り出てきたのは 恐らく偶然ではないのだろう。 「───ッ!!───」 グラサンモンクは突然の逆襲に、強引に身をよじることで投石を回避する。 ところが一瞬、指弾を放つのが遅れたほんの数秒の時間が彼から勝利を奪った。 グラサンモンクの眼前にアサシンが迫る。 いや、アサシンではない。アサシンでは説明が付かない。 それほどに彼は迅く、そして、巧みであった。 「お前はいったい誰なんだ?」 発言と同時にグラサンモンクの視界は横転する。 意識は深い深い闇の中へ。 グラサンモンクの意識を刈り取ったのは単なる蹴り技。 ただし、尋常ならざる速度で放たれた跳び蹴り。 グラサンモンクは3メートルほど吹き飛び、地面を転がる。 アサシン姿の彼はその様子を岩の側面にトカゲのようにへばりついた姿勢で眺め、 「私かい・・・?私は・・・忍者だよ」 そう言った。 ───残念、殺さなかったんだ? 再び聞こえる声。 何も考えずただひたすらに、殺すためだけに生きていたあの頃の自分。 アサシンを、暗殺者としての道を捨てる前の自分。 今の私は忍者だ。 刃を心に隠し、人を殺さないアサシン、それが忍者。 だから、最弱の職業。 しかし、忍者としての道を歩むことをアサシンギルドは許さなかった。 その結果がこのBRへの強制参加。 後悔はない。 私にとって死ぬことは生き続けることと大差ない。 本当に怖いのは─── ───死に場所がないことだ だから私は願った、命を賭けて護るべき人との出会いを。 そして誓った。 この島で最初に出会った人、その人を護り抜いて死のうと。 「ちょっとあなた大丈夫だった?」 悪ケミはいつの間に目を覚ましたのか、土埃で汚れた体を気にもせず私の側まで近寄ってくると、心配そうな声で私に話しかけてきた。 心配なのはむしろそっちの方だ。 世界せーふくが目的だ、なんて言っていた割には行動がどこかちぐはぐなのがおかしい。 「そうだね、大丈夫だったよ。  なぜだか分からないけど襲ってきた人はどこかに逃げてしまったんだ」 「なるほど、もしかして私に恐れをなして逃げたってことかな。  ほら、私って最強の女だし。  良かったわね、あなただけだったらとっくに殺されてたところよ」 悪ケミはニコーっと得意げな笑みを浮かべ、満足そうにうんうんと頷く。 「うん、そうだね───ところでこれからどうしようか?」 「そうね、この岩だらけの平野を突っ切れば多分海岸だと思うわ。  行きましょう」 私の手を取り、歩き始める悪ケミ。 不思議な行動ばかりの彼女に何故か鼻の奥がくすぐったくなる。 最初に出会った人が君で良かった。 私は彼女に聞こえないように小さな声でそう呟き、空を見た。 見上げた空はどこまでも青く、そしてどこまでも広かった。 〈悪ケミ> 現在位置:岩場(G-7) 海岸(H-7)を目指す 所持品:バフォ帽、サングラス、支給品一式 外見特徴:不明 思考:脱出する。まずは海岸に向かう 備考:なし 参考スレッド:悪ケミハウスは三箱目 〈忍者> 現在位置:岩場(G-7)海岸(H-7)を目指す 所持品:不明 外見特徴:不明 思考:悪ケミについていく。殺し合いは避けたい <グラサンモンク> 現在位置:岩場(G-7) 所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 外見特徴:csm:4r0l6010i2 備考:特別枠 ※気功、白刃取り、金剛、指弾、阿修羅、ヒール使用可能  右心臓 気絶させられただけで死んではいない 参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】 作品「雨の日」、「青空に響く鎮魂歌」よりモンク (♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
056 刃を心に ドンッッ 突然の音。吹き飛び、大地に仰向けに倒れる悪ケミ。 私は素早く悪ケミの側に駆け寄り、息を見る。 大丈夫、気絶しているだけだ。 一安心して悪ケミが吹き飛んだ方向と逆の方向、つまり攻撃の来た方向に目を凝らす。 もちろん遠距離攻撃を仕掛けてきた相手を探すためだ。 広陵とした大地、点在する大小の岩々。 しかし、見渡す世界には誰も居ない。 軽く深呼吸、それから肉体のギアを無理矢理トップに入れる。 先の一撃には明らかに殺意がこもっていた。 抗うには、悪ケミを護るためには全力を出すしかない。 数々の死線を生き抜いてきた私の体は私にそう要求した。 ───また、殺すのかい? 心の中で誰かが囁く。 望んでいるわけではない、望むはずもない。 けれど、迷っていては殺される。 死ぬのは怖くない、本当に怖いのは─── 空気が僅かに震えるのを感じ取った私は大地を蹴り、横に飛ぶ。 ドンッッ 直後、先ほどまで私の居た場所でレンガ色の土が爆ぜた。 何かに抉り取られたかのような跡、球状の孔。 ドンッッ、ドンッッ 連続して放たれる何か、その何かを鋭敏化させた感覚で見切り、避ける。 5回、6回、7回、全ての攻撃を暗殺者としての歩法を駆使して、避ける。 避けながら頭の中では相手の攻撃、相手の位置、相手の動きを推測、 拾い集めた情報を束ね、1つの体系に再構築する。 「十中八九、指弾モンクだね」 呟き、相手を悪ケミから離れさせるため、自らがおとりになる。 腰を低く、上半身を前に倒し地を這うような姿勢で前方に疾駆。 「岩陰を利用した見事な攻撃、だけど、そこかな」 駆けながらそこらに転がっていた石を右手ですくうように拾い上げ、左手に投げ渡し、素早く放り投げる。 放たれた石は矢のように鋭く、岩陰から僅かに外れた何もない空間を─── その位置に、指弾を放つべく岩陰から姿を現したサングラスをかけたモンクが躍り出てきたのは 恐らく偶然ではないのだろう。 「───ッ!!───」 グラサンモンクは突然の逆襲に、強引に身をよじることで投石を回避する。 ところが一瞬、指弾を放つのが遅れたほんの数秒の時間が彼から勝利を奪った。 グラサンモンクの眼前にアサシンが迫る。 いや、アサシンではない。アサシンでは説明が付かない。 それほどに彼は迅く、そして、巧みであった。 「お前はいったい誰なんだ?」 発言と同時にグラサンモンクの視界は横転する。 意識は深い深い闇の中へ。 グラサンモンクの意識を刈り取ったのは単なる蹴り技。 ただし、尋常ならざる速度で放たれた跳び蹴り。 グラサンモンクは3メートルほど吹き飛び、地面を転がる。 アサシン姿の彼はその様子を岩の側面にトカゲのようにへばりついた姿勢で眺め、 「私かい・・・?私は・・・忍者だよ」 そう言った。 ───残念、殺さなかったんだ? 再び聞こえる声。 何も考えずただひたすらに、殺すためだけに生きていたあの頃の自分。 アサシンを、暗殺者としての道を捨てる前の自分。 今の私は忍者だ。 刃を心に隠し、人を殺さないアサシン、それが忍者。 だから、最弱の職業。 しかし、忍者としての道を歩むことをアサシンギルドは許さなかった。 その結果がこのBRへの強制参加。 後悔はない。 私にとって死ぬことは生き続けることと大差ない。 本当に怖いのは─── ───死に場所がないことだ だから私は願った、命を賭けて護るべき人との出会いを。 そして誓った。 この島で最初に出会った人、その人を護り抜いて死のうと。 「ちょっとあなた大丈夫だった?」 悪ケミはいつの間に目を覚ましたのか、土埃で汚れた体を気にもせず私の側まで近寄ってくると、心配そうな声で私に話しかけてきた。 心配なのはむしろそっちの方だ。 世界せーふくが目的だ、なんて言っていた割には行動がどこかちぐはぐなのがおかしい。 「そうだね、大丈夫だったよ。  なぜだか分からないけど襲ってきた人はどこかに逃げてしまったんだ」 「なるほど、もしかして私に恐れをなして逃げたってことかな。  ほら、私って最強の女だし。  良かったわね、あなただけだったらとっくに殺されてたところよ」 悪ケミはニコーっと得意げな笑みを浮かべ、満足そうにうんうんと頷く。 「うん、そうだね───ところでこれからどうしようか?」 「そうね、この岩だらけの平野を突っ切れば多分海岸だと思うわ。  行きましょう」 私の手を取り、歩き始める悪ケミ。 不思議な行動ばかりの彼女に何故か鼻の奥がくすぐったくなる。 最初に出会った人が君で良かった。 私は彼女に聞こえないように小さな声でそう呟き、空を見た。 見上げた空はどこまでも青く、そしてどこまでも広かった。 〈悪ケミ> 現在位置:岩場(G-7) 海岸(H-7)を目指す 所持品:バフォ帽、サングラス、支給品一式 外見特徴:不明 思考:脱出する。まずは海岸に向かう 備考:なし 参考スレッド:悪ケミハウスは三箱目 〈忍者> 現在位置:岩場(G-7)海岸(H-7)を目指す 所持品:不明 外見特徴:不明 思考:悪ケミについていく。殺し合いは避けたい <グラサンモンク> 現在位置:岩場(G-7) 所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 外見特徴:csm:4r0l6010i2 備考:特別枠 ※気功、白刃取り、金剛、指弾、阿修羅、ヒール使用可能  右心臓 気絶させられただけで死んではいない 参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】 作品「雨の日」、「青空に響く鎮魂歌」よりモンク (♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記) ---- | [[戻る>2-055]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-057]] |

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