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070.女王の選択【夜(放送後)】 ---- 既に日は落ちた。つい先ごろまで夕日が差し、深い森の中ですら その美しさに触れることができたが、今はただひたすらに闇が広がっている。 月を頼りにしても、物の形を判別することすら難しい。 動物たちが眠りに入り始めるころ、小さい者たちは今とばかりに活動を始める。 そんな森の中に、木々の間からわずかに漏れ入る月明かりをうけ、燐光に包まれる女性がいた。 「ふん、流石に仮の体では眷属も召び出せぬか。 羽虫ばかりを徒に呼び寄せてもしようがないのだがな……」 つい、と彼女が指を空に滑らせると何十何百という虫がそれに倣って弧を描く。 夜は飛ばない者までもが彼女を慕うように群れ集い、彼女自身の羽の光を受け彼らも明滅していた。 彼女の周りに集う虫は、昨日まで自身が治めていた愛おしいかの地のものと、性質は変わらない。 ということは、何も空間がねじれているわけではないし、愚かな人間が摂理を組み換えて 無理矢理に作った環境というわけでもないらしい。そこには、確かに彼女が愛する自然があった。 しかしそうすると解せないのが、魔力が著しく弱くなっている点であった。 先ほどの狼藉者は、とりあえずいつもの癖で始末してしてしまったのだが、まさか自分が 剣を握ることになるとは思っていなかったのだ。 叩きつけられた衝撃で狼狽する女に、最後の一撃にと雷撃をくれてやったまでは良かったのだが。 皮膚が少々黒ずむ程度でなかなか発火には至らない。その上女が命を手放さない。 とりあえず妙な動きをされても困るので短剣を投げ動きを封じ、 首を捻りながら何度となく雷撃を叩き込んでいるうちに、気付けば漸く女は死に絶えていた。 「なんぞ、封印でも施されておるのかの。これでは我が器を探すこともままならぬな……」  ◇◇◇ 「……何用じゃ、おんし」 涼やかに響く若い女の声は、巨大に咲き乱れる花の間から投げかけられた。 陽光を受け輝く紫紺の髪に、ルティエの街より白い肌、すらりと伸びた腕と 短い薄布を滑らせ惜しげもなく素肌を晒す脚。 まだ成熟しきっていない体であるにも関わらず、それは強烈な色を放っている。 「我らが棲み処にたった一人で踏み入るとは、随分と勇ましいことよ」 彼女はミストレス。狂った巨大花の群生する山脈を、一手に治める女主人だ。 そして、その女王の城に単身乗り込んできた男がいた。 洗練された白い服に不釣合いな帽子を被った彼は、女王直属の兵に 一分の隙もなく囲まれていた。 兵らはじりじりと男に詰め寄る。誰か一匹が短慮を起こした瞬間に、 その男の体は串刺しになってしまうだろう。 「良い、下がれ。話くらいは聞いてやろう。 それで今日は一体どんな用向きか、道化」 命令を受け、サ、と波を引くように兵は消えた。 死のすぐ隣に立っていたにもかかわらず笑顔を貼り付けたままだった男が、 さらに上を行く笑みをつけて女王に近づいた。 「いやぁ、ありがとうございます。実は私、今はイゾルデ皇后に雇われている身でしてね。 我が女王様が現在為されている事業に、ぜひ貴女の協力をとりつけてこいとのことで」 「……ジョーカー。小娘の使い走りとはまた、おんしも格を下げたな。 何故人間の女ごときのために我が出向かなければならない?殺されぬうちに帰れ」 「久々にお会いできたのです、もう少し二人っきりの時間を楽しみましょうよ。 そうそう、今年は大事な大事な500年に一度の転生期と、窺いましたが」 「道化。我は、二度も同じことを口にする気はない」 「貴女が選んだ次の体。そうですねぇ、今度もまた随分と幼いようですが… 駄目ですよ、あんな風に隙間から見えてしまう場所に置いていたら。 びっくりしたウチの若いのが、丁重に弔って火葬したそうです」 「見え透いた嘘をつくな。我が精神はあの器と繋がっておる。 今もちゃんと……」 と、女王が目を閉じたときだった。突然膨れ上がった濃い気配に彼女が驚いて目を開けると、 そこには道化に横抱きにされた少女の体があった。 「ええ、ちゃぁーんと、無事でここにありますよ。すみませんね、火葬はおちゃめなジョークです。 でも、やっと見つけた憑依に適う体ですしねぇ、なくなったら困りますよねぇ」 男の腕に抱かれた少女は、気を失っているのか、もしくは既に死体なのか微動だにしない。 「貴様……!その汚い手を我が器から離さぬか!」 「分かりました、それじゃ離しましょうか♪」 言うが早いか、男は少女の体を無造作に手放した。 その瞬間足元に魔方陣が現れ、地面に落下し鈍い音を響かせるはずであったそれは、 光柱に飲まれ掻き消えてしまった。 「……一体何処へ送った、言え」 怒りをあらわにした女王に、しかし彼は動じることなく答える。 「貴女が私にご協力くださるのでしたら、それはもうすぐにでもご案内しますよ」 男が用意した転移魔方陣をくぐった先は、人間達が言うところの 「部屋」だった。部屋の中には彼ら二人きりだが、奥の扉から続く隣側にはかなりの数の 人間の匂いがしている。女王は意識を集中させる。その数、ざっと見積もって60ほどか。 その殆どが彼女の敵ではないようだ。ただし数人、油断の出来ないものもいた。 「なんじゃここは。さっさと我が器に案内せぬか」 「せっかく久しぶりにお会いできたんですから、もうちょっとこう……ねぇ、 私も男ですし、期待するものがあるんですがね」 「妄想を口に出すのは虚しいと思わんか?愚か者。滅びろ」 「わかりました、大人しく案内いたしましょう。ただしこちらの体に入っていただきますよ。 貴女の正体が知れたらパニックになって、ご案内するどころではなくなってしまうのでね」 そう言って男が指し示したのは、人間の女の体だった。 「趣味の悪い…お前が用意したのか、この体は。 まったく、随分と体つきの豊かな娘を選んだものよ」 「趣味、悪いですかねぇ?こういうの好きなんですが」 「我の好みとは正反対だの。まぁ、元がウィザードならばしばらく問題はなかろう」 まぁまぁ、ともかくお願いします、そう急かされて、彼女が体を乗り換える。 魔物の中でも始祖、太祖と呼ばれるほどに力の強い者たちには、その本体が 精神体である者も多い。彼女もまた、自身を適当な物体に憑依させることで世界に干渉していた。 ミストレスが移る前は髪が短く肌も浅黒かった人間の体は、彼女が入った瞬間に作り変えられた。 髪は紫に、そして腰に届くほど伸び、肌には雪のように白い色が浮かび上がった。 「おお、成熟した体の貴女はやはり美しいですねぇ。 貴重な姿を見られて嬉しいですよ。では、こちらの扉からどうぞ」 行って、道化が扉を開く。その先のホールにはやはり、60人ほどの人間たちが集っていた。 何を、と問う暇もなく背中を押され扉の向こうに投げ出される。 顔をあげた瞬間、先ほどまで後ろにいた男の声が拡声器を通して堂内に響き渡った。  ◇◇◇ 「殺し合いだと?我とあの人間どもとがか」 ルールを説明されたときには何を血迷ったことを、と思ったが、 先ほどジョーカーが語った内容によれば、既に人間が人間を殺したらしい。 同族で食い合うなど、生命として馬鹿げている。 個々が高い精神を持ち、それ故に到底一群として生きられぬというのに、 何故ここまで奴らは台頭し、そして我ら生物は淘汰されていったのか。 彼女の中で人間は、もはや群れとして生きる虫達とは根本として違っていたし、 しかし動物達と同じ哺乳類だと認めることもまた、出来なかったのだ。 全く別の、おぞましい生き物。異質な生命。呪われているとすら思える。 到底理解なぞ出来ぬから、北の魔王のように人の王と馴れ合うこともしなかった。 ここまでひたすらに人を避けてきたというのに、この大事な転生の時期に 手を出されようとは、一体誰が想像できただろう。 出発の際、彼女が他の人間たちのように荷物を受け取ってポータルに乗る直前、 こちらを見ていた道化が折り畳んだ紙を投げてよこした。やはりというか手紙であり、 「貴女に出す初めてのラブレターなので、胸が高鳴ってしまいますよ。 すみませんね、こうでもしないと、私女王様に首をきられちゃいますもので。 卑怯な手段も道化の非力さ故ということで、どうかご寛恕のほどを。 さしあたって貴女の大事な器の件ですが、場所はこの島のどこかに、とだけ言っておきましょう。 どうぞご自由に探して、ご自由にお持ち帰りください。 なんでしたら着たままお帰りいただいても結構ですよ、もちろん最後の一人として」 ふざけた内容だが、どうやら後半は嘘ではないらしい。集中させれば、たしかにこの場に 器が存在している気配を感じられる。ただ、いつものように糸を手繰って たどり着けるような正確さはなく、気配自体がもやのように霧散してしまっていた。 場所を変え、時間を変えて何度試みても変わらないところをみると、やはり 何かしらの呪に阻害されているのだろう。これでは距離の見当も付かないが、 とにかく探し出すしかない。木々の隙間に隠れる月を見上げ、彼女は決意した。 あれがなければ次の500年、花の山脈の女王は存在できないのだ。 「迂闊であった…いや、我が愚かだったのだな。認めよう、ジョーカー。 おんしはきちんと殺しに行ってやるから、せいぜい歓迎の仕度をしておくとよいわ。 空を舞う者の女王をこのように地に這わせ、楽に死ねるなぞと思うなよ」 <ミストレス> 現在位置・・・(森の中)E-8 容姿…髪は紫、長め 所持品・・・ミストレスの冠、カウンターダガー、カード帳(♀アサの遺品は拾わず) 備考…仮初の身(見た目はWIZ)だが、時々ミストレスの翼が背に現れる 備考…飛ぶ虫を操れる 備考…GMの用意した体に入った(首輪ついた)ことで、各能力減退。 目的…「器」を探し出し、ついでにジョーカーを殺して山に帰る。 ("器"がぼてっとその辺に落ちてるのか、はたまた参加者のうちの誰かなのかとかはお任せします) ---- | [[戻る>2-069]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-071]] |
070.女王の選択【夜(放送後)】 ---- 既に日は落ちた。つい先ごろまで夕日が差し、深い森の中ですら その美しさに触れることができたが、今はただひたすらに闇が広がっている。 月を頼りにしても、物の形を判別することすら難しい。 動物たちが眠りに入り始めるころ、小さい者たちは今とばかりに活動を始める。 そんな森の中に、木々の間からわずかに漏れ入る月明かりをうけ、燐光に包まれる女性がいた。 「ふん、流石に仮の体では眷属も召び出せぬか。 羽虫ばかりを徒に呼び寄せてもしようがないのだがな……」 つい、と彼女が指を空に滑らせると何十何百という虫がそれに倣って弧を描く。 夜は飛ばない者までもが彼女を慕うように群れ集い、彼女自身の羽の光を受け彼らも明滅していた。 彼女の周りに集う虫は、昨日まで自身が治めていた愛おしいかの地のものと、性質は変わらない。 ということは、何も空間がねじれているわけではないし、愚かな人間が摂理を組み換えて 無理矢理に作った環境というわけでもないらしい。そこには、確かに彼女が愛する自然があった。 しかしそうすると解せないのが、魔力が著しく弱くなっている点であった。 先ほどの狼藉者は、とりあえずいつもの癖で始末してしてしまったのだが、まさか自分が 剣を握ることになるとは思っていなかったのだ。 叩きつけられた衝撃で狼狽する女に、最後の一撃にと雷撃をくれてやったまでは良かったのだが。 皮膚が少々黒ずむ程度でなかなか発火には至らない。その上女が命を手放さない。 とりあえず妙な動きをされても困るので短剣を投げ動きを封じ、 首を捻りながら何度となく雷撃を叩き込んでいるうちに、気付けば漸く女は死に絶えていた。 「なんぞ、封印でも施されておるのかの。これでは我が器を探すこともままならぬな……」  ◇◇◇ 「……何用じゃ、おんし」 涼やかに響く若い女の声は、巨大に咲き乱れる花の間から投げかけられた。 陽光を受け輝く紫紺の髪に、ルティエの街より白い肌、すらりと伸びた腕と 短い薄布を滑らせ惜しげもなく素肌を晒す脚。 まだ成熟しきっていない体であるにも関わらず、それは強烈な色を放っている。 「我らが棲み処にたった一人で踏み入るとは、随分と勇ましいことよ」 彼女はミストレス。狂った巨大花の群生する山脈を、一手に治める女主人だ。 そして、その女王の城に単身乗り込んできた男がいた。 洗練された白い服に不釣合いな帽子を被った彼は、女王直属の兵に 一分の隙もなく囲まれていた。 兵らはじりじりと男に詰め寄る。誰か一匹が短慮を起こした瞬間に、 その男の体は串刺しになってしまうだろう。 「良い、下がれ。話くらいは聞いてやろう。 それで今日は一体どんな用向きか、道化」 命令を受け、サ、と波を引くように兵は消えた。 死のすぐ隣に立っていたにもかかわらず笑顔を貼り付けたままだった男が、 さらに上を行く笑みをつけて女王に近づいた。 「いやぁ、ありがとうございます。実は私、今はイゾルデ皇后に雇われている身でしてね。 我が女王様が現在為されている事業に、ぜひ貴女の協力をとりつけてこいとのことで」 「……ジョーカー。小娘の使い走りとはまた、おんしも格を下げたな。 何故人間の女ごときのために我が出向かなければならない?殺されぬうちに帰れ」 「久々にお会いできたのです、もう少し二人っきりの時間を楽しみましょうよ。 そうそう、今年は大事な大事な500年に一度の転生期と、窺いましたが」 「道化。我は、二度も同じことを口にする気はない」 「貴女が選んだ次の体。そうですねぇ、今度もまた随分と幼いようですが… 駄目ですよ、あんな風に隙間から見えてしまう場所に置いていたら。 びっくりしたウチの若いのが、丁重に弔って火葬したそうです」 「見え透いた嘘をつくな。我が精神はあの器と繋がっておる。 今もちゃんと……」 と、女王が目を閉じたときだった。突然膨れ上がった濃い気配に彼女が驚いて目を開けると、 そこには道化に横抱きにされた少女の体があった。 「ええ、ちゃぁーんと、無事でここにありますよ。すみませんね、火葬はおちゃめなジョークです。 でも、やっと見つけた憑依に適う体ですしねぇ、なくなったら困りますよねぇ」 男の腕に抱かれた少女は、気を失っているのか、もしくは既に死体なのか微動だにしない。 「貴様……!その汚い手を我が器から離さぬか!」 「分かりました、それじゃ離しましょうか♪」 言うが早いか、男は少女の体を無造作に手放した。 その瞬間足元に魔方陣が現れ、地面に落下し鈍い音を響かせるはずであったそれは、 光柱に飲まれ掻き消えてしまった。 「……一体何処へ送った、言え」 怒りをあらわにした女王に、しかし彼は動じることなく答える。 「貴女が私にご協力くださるのでしたら、それはもうすぐにでもご案内しますよ」 男が用意した転移魔方陣をくぐった先は、人間達が言うところの 「部屋」だった。部屋の中には彼ら二人きりだが、奥の扉から続く隣側にはかなりの数の 人間の匂いがしている。女王は意識を集中させる。その数、ざっと見積もって60ほどか。 その殆どが彼女の敵ではないようだ。ただし数人、油断の出来ないものもいた。 「なんじゃここは。さっさと我が器に案内せぬか」 「せっかく久しぶりにお会いできたんですから、もうちょっとこう……ねぇ、 私も男ですし、期待するものがあるんですがね」 「妄想を口に出すのは虚しいと思わんか?愚か者。滅びろ」 「わかりました、大人しく案内いたしましょう。ただしこちらの体に入っていただきますよ。 貴女の正体が知れたらパニックになって、ご案内するどころではなくなってしまうのでね」 そう言って男が指し示したのは、人間の女の体だった。 「趣味の悪い…お前が用意したのか、この体は。 まったく、随分と体つきの豊かな娘を選んだものよ」 「趣味、悪いですかねぇ?こういうの好きなんですが」 「我の好みとは正反対だの。まぁ、元がウィザードならばしばらく問題はなかろう」 まぁまぁ、ともかくお願いします、そう急かされて、彼女が体を乗り換える。 魔物の中でも始祖、太祖と呼ばれるほどに力の強い者たちには、その本体が 精神体である者も多い。彼女もまた、自身を適当な物体に憑依させることで世界に干渉していた。 ミストレスが移る前は髪が短く肌も浅黒かった人間の体は、彼女が入った瞬間に作り変えられた。 髪は紫に、そして腰に届くほど伸び、肌には雪のように白い色が浮かび上がった。 「おお、成熟した体の貴女はやはり美しいですねぇ。 貴重な姿を見られて嬉しいですよ。では、こちらの扉からどうぞ」 行って、道化が扉を開く。その先のホールにはやはり、60人ほどの人間たちが集っていた。 何を、と問う暇もなく背中を押され扉の向こうに投げ出される。 顔をあげた瞬間、先ほどまで後ろにいた男の声が拡声器を通して堂内に響き渡った。  ◇◇◇ 「殺し合いだと?我とあの人間どもとがか」 ルールを説明されたときには何を血迷ったことを、と思ったが、 先ほどジョーカーが語った内容によれば、既に人間が人間を殺したらしい。 同族で食い合うなど、生命として馬鹿げている。 個々が高い精神を持ち、それ故に到底一群として生きられぬというのに、 何故ここまで奴らは台頭し、そして我ら生物は淘汰されていったのか。 彼女の中で人間は、もはや群れとして生きる虫達とは根本として違っていたし、 しかし動物達と同じ哺乳類だと認めることもまた、出来なかったのだ。 全く別の、おぞましい生き物。異質な生命。呪われているとすら思える。 到底理解なぞ出来ぬから、北の魔王のように人の王と馴れ合うこともしなかった。 ここまでひたすらに人を避けてきたというのに、この大事な転生の時期に 手を出されようとは、一体誰が想像できただろう。 出発の際、彼女が他の人間たちのように荷物を受け取ってポータルに乗る直前、 こちらを見ていた道化が折り畳んだ紙を投げてよこした。やはりというか手紙であり、 「貴女に出す初めてのラブレターなので、胸が高鳴ってしまいますよ。 すみませんね、こうでもしないと、私女王様に首をきられちゃいますもので。 卑怯な手段も道化の非力さ故ということで、どうかご寛恕のほどを。 さしあたって貴女の大事な器の件ですが、場所はこの島のどこかに、とだけ言っておきましょう。 どうぞご自由に探して、ご自由にお持ち帰りください。 なんでしたら着たままお帰りいただいても結構ですよ、もちろん最後の一人として」 ふざけた内容だが、どうやら後半は嘘ではないらしい。集中させれば、たしかにこの場に 器が存在している気配を感じられる。ただ、いつものように糸を手繰って たどり着けるような正確さはなく、気配自体がもやのように霧散してしまっていた。 場所を変え、時間を変えて何度試みても変わらないところをみると、やはり 何かしらの呪に阻害されているのだろう。これでは距離の見当も付かないが、 とにかく探し出すしかない。木々の隙間に隠れる月を見上げ、彼女は決意した。 あれがなければ次の500年、花の山脈の女王は存在できないのだ。 「迂闊であった…いや、我が愚かだったのだな。認めよう、ジョーカー。 おんしはきちんと殺しに行ってやるから、せいぜい歓迎の仕度をしておくとよいわ。 空を舞う者の女王をこのように地に這わせ、楽に死ねるなぞと思うなよ」 <ミストレス> 現在位置・・・(森の中)E-8 容姿…髪は紫、長め 所持品・・・ミストレスの冠、カウンターダガー(♀アサの遺品は拾わず) 備考…仮初の身(見た目はWIZ)だが、時々ミストレスの翼が背に現れる 備考…飛ぶ虫を操れる 備考…GMの用意した体に入った(首輪ついた)ことで、各能力減退。 目的…「器」を探し出し、ついでにジョーカーを殺して山に帰る。 ("器"がぼてっとその辺に落ちてるのか、はたまた参加者のうちの誰かなのかとかはお任せします) ---- | [[戻る>2-069]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-071]] |

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