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081 私の進むべき道 (定時放送前後) ---- ♂ローグを避けるため、南へと移動していた♀BS一行。 そこへ降ってくるかのように、男の笑い声が響いた。 もちろんそれがGMジョーカーのものであることは言うまでもない。 「あいっかわらずカンにさわる声だねぇ……」 楽しくてしょうがない、といったジョーカーの口調が、♀BSの神経を逆撫でした。 本当なら聞きたくもないのだが、生命に関わる重要事項な以上そうもいかない。 『これより現時点での死亡者の名簿を読み上げたいと思いまーす。よろしいですかー、読みますよー』 軽い口調で、ジョーカーは殺伐とした内容を読み上げる。 9名の死亡者。その最後の人物の名を聞いたとたん、ダンサーの表情が強張った。 「嘘……」 知った仲である♀プリーストの死に呆然とするダンサー。 彼女らしくない表情に♀BSと♂スパノビは顔を見合わせた。 「どうしたっていうのかね」 「お、おで、わかんね」 (……どうして) ♂騎士と♀プリーストは、どこか昔の夫と自分に似ていた。 だからこそ非情になると決めたのに、二人に対してらしくない行動をとってしまったのだが。 夫と自分の代わりに幸せになってほしい。どこかでそう思っていたのかもしれない。 だが…もはやそれは叶わなくなってしまった。 (守ってやれって言ったのに、何やってたのよ!) 一人生き残った♂騎士。不甲斐ない彼にダンサーの苛立ちがつのる。 (情けない…女の子を見捨てるなんて。……そうじゃないかもしれないけど、でも…!) 怪我をしていたのだから仕方がない。♀プリーストが命懸けで彼を逃がしたのかもしれないじゃないか。 そう思い直し気持ちを静めようとするのだが、うまくいかない。 抑えきれないこの感情は一体何なのだろう。 それは自分を裏切った夫に対するものにも似た―― 「…知り合いでもいたのかい?」 様子のおかしいダンサーに、♀BSが心配そうに声をかける。 「少し、ね」 返すダンサーの声には、やはり覇気がない。 「か、かなしいかおされると、おでも、か、かなしい」 ♂スパノビも眉をハの字に下げてダンサーを見つめていた。 純真な彼の瞳。こんな大きななりをしているのに、残してきた子供を思い出すのは何故なのだろう。 ――私、何やってるのよ。この子たちに心配かけたりなんかして。 子供を心配させることなんて、もう二度としないってあの時決めたのに! かつて夫を思い出して一人泣いていたところを、子供に見つかってしまった時。 泣いている彼女を、理由はわからないながらも一生懸命励まそうとしていた子供の表情をふと思い出して。 「もう大丈夫よ…ありがと」 その時子供にしたように頭を撫でてやると、♂スパノビはぱあっと顔を輝かせた。 ……そうよ。今私がするべきことは感傷に浸ることじゃない。 この子を…穢れを知らないこの子を、守ってあげることじゃないの。 ♂スパノビの笑顔が気づかせてくれた。 戻って♂騎士に言ってやりたいことはたくさんある。だが、彼女がするべきことはそれではないのだと。 夫への怒りに縛られるのではなく、守るべき子供と共に歩む―― ダンサーは今までそうして生きてきたのだ。ならば…… 「これからも、そうするだけよね」 自分に言い聞かせるようにそう呟き。 ♂スパノビの頭をもう一度撫でてやると、ダンサーは優しい微笑を浮かべた。 「なんだ、そんな顔できるんじゃないか。そっちのほうが似合ってるよ」 「わ、わらってくれた。お、おで、うれしい」 本当に嬉しそうに満面の笑顔を浮かべる♂スパノビ。その笑顔がダンサーには本当に眩しく見えて。 あなたのおかげよ、本当にありがとう――彼に、そっと感謝した。 「あ、そうそう! 言わなきゃいけないことがあったんだ!」 突然♀BSが慌てだす。尋常ではない慌て方をする彼女に、ダンサーは目を丸くした。 「まずいよ。さっきの放送で言ってたんだけど、ここ禁止区域みたいなんだよ!」 ♀BSが地図を片手に言う。ダンサーは慌てて自分の地図を取り出した。 彼女が♀プリーストの死に自分の過去を重ね、感傷に浸っている間に禁止区域の発表があったらしい。 確かに♀BSの言うとおり、彼女らのいるエリアが闇に沈んだかのように黒くなっている。 「こんな大事なことを聞き逃してたなんて、ほんと私どうかしてたのね」 ふぅ、とダンサーは溜息をついた。気を引き締めなくては。 「とにかく早くこのエリアから出ないと。あのピエロ野郎が大変なことになりますよ~なんてふざけたこと言ってたからね。  まったく……首輪がボン、首がポーン、なんてぞっとしないよ」 そう言い♀BSは肩をすくめてみせた。 「お、おで、よくわかんねえけど、なにかたいへんなんだな…?」 ♂スパノビは状況がよくわかっていなさそうだったが、とりあえず何かまずいということはわかったらしい。 「…急ぎましょう。逃げ遅れて死ぬなんてごめんだわ」 帰りを待つ子供たちのためにも、ここで終わるわけにはいかないもの。 そう小さく呟き、ダンサーは表情を引き締めた。 時間にあまり猶予はない。 3人は顔を見合わせ頷きあうと、禁止区域から逃れるために走りだした。 ♀BSと協力して♂スパノビを守る。 残してきた大切な子供たちのために、自分の命だって守ってみせる。 けして両立は不可能なんかじゃない。私は、私の信じる道を進んでやるわ。 固い決意を胸に、踊り子は夜を駆ける。 <♀BS> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:ツーハンドアックス(♂スパノビの箱から) 外見特徴:ボス、筋肉娘、カートはない。むちむち。 状態:負傷箇所に痛みが残る。 貧血は解消。 <♂スパノビ> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:スティレット(♀BSのもの)、ガード、ほお紅(♀BSのもの)、装飾用ひまわり(♀ダンサーから) 外見特徴:巨漢。超強面だが頭が悪い。カートあり。 状態:ヒールを使用したことにより少々顔色が悪い。 <ダンサー> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:ロープ、カード帖 外見的特徴:美女、子持ち、母性本能大 状態:木にぶつけられた衝撃で少し背中が痛い。 <残り40名> ---- | [[戻る>2-080]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-082]] |
081 私の進むべき道 (定時放送前後) ---- ♂ローグを避けるため、南へと移動していた♀BS一行。 そこへ降ってくるかのように、男の笑い声が響いた。 もちろんそれがGMジョーカーのものであることは言うまでもない。 「あいっかわらずカンにさわる声だねぇ……」 楽しくてしょうがない、といったジョーカーの口調が、♀BSの神経を逆撫でした。 本当なら聞きたくもないのだが、生命に関わる重要事項な以上そうもいかない。 『これより現時点での死亡者の名簿を読み上げたいと思いまーす。よろしいですかー、読みますよー』 軽い口調で、ジョーカーは殺伐とした内容を読み上げる。 9名の死亡者。その最後の人物の名を聞いたとたん、ダンサーの表情が強張った。 「嘘……」 知った仲である♀プリーストの死に呆然とするダンサー。 彼女らしくない表情に♀BSと♂スパノビは顔を見合わせた。 「どうしたっていうのかね」 「お、おで、わかんね」 (……どうして) ♂騎士と♀プリーストは、どこか昔の夫と自分に似ていた。 だからこそ非情になると決めたのに、二人に対してらしくない行動をとってしまったのだが。 夫と自分の代わりに幸せになってほしい。どこかでそう思っていたのかもしれない。 だが…もはやそれは叶わなくなってしまった。 (守ってやれって言ったのに、何やってたのよ!) 一人生き残った♂騎士。不甲斐ない彼にダンサーの苛立ちがつのる。 (情けない…女の子を見捨てるなんて。……そうじゃないかもしれないけど、でも…!) 怪我をしていたのだから仕方がない。♀プリーストが命懸けで彼を逃がしたのかもしれないじゃないか。 そう思い直し気持ちを静めようとするのだが、うまくいかない。 抑えきれないこの感情は一体何なのだろう。 それは自分を裏切った夫に対するものにも似た―― 「…知り合いでもいたのかい?」 様子のおかしいダンサーに、♀BSが心配そうに声をかける。 「少し、ね」 返すダンサーの声には、やはり覇気がない。 「か、かなしいかおされると、おでも、か、かなしい」 ♂スパノビも眉をハの字に下げてダンサーを見つめていた。 純真な彼の瞳。こんな大きななりをしているのに、残してきた子供を思い出すのは何故なのだろう。 ――私、何やってるのよ。この子たちに心配かけたりなんかして。 子供を心配させることなんて、もう二度としないってあの時決めたのに! かつて夫を思い出して一人泣いていたところを、子供に見つかってしまった時。 泣いている彼女を、理由はわからないながらも一生懸命励まそうとしていた子供の表情をふと思い出して。 「もう大丈夫よ…ありがと」 その時子供にしたように頭を撫でてやると、♂スパノビはぱあっと顔を輝かせた。 ……そうよ。今私がするべきことは感傷に浸ることじゃない。 この子を…穢れを知らないこの子を、守ってあげることじゃないの。 ♂スパノビの笑顔が気づかせてくれた。 戻って♂騎士に言ってやりたいことはたくさんある。だが、彼女がするべきことはそれではないのだと。 夫への怒りに縛られるのではなく、守るべき子供と共に歩む―― ダンサーは今までそうして生きてきたのだ。ならば…… 「これからも、そうするだけよね」 自分に言い聞かせるようにそう呟き。 ♂スパノビの頭をもう一度撫でてやると、ダンサーは優しい微笑を浮かべた。 「なんだ、そんな顔できるんじゃないか。そっちのほうが似合ってるよ」 「わ、わらってくれた。お、おで、うれしい」 本当に嬉しそうに満面の笑顔を浮かべる♂スパノビ。その笑顔がダンサーには本当に眩しく見えて。 あなたのおかげよ、本当にありがとう――彼に、そっと感謝した。 「あ、そうそう! 言わなきゃいけないことがあったんだ!」 突然♀BSが慌てだす。尋常ではない慌て方をする彼女に、ダンサーは目を丸くした。 「まずいよ。さっきの放送で言ってたんだけど、ここ禁止区域みたいなんだよ!」 ♀BSが地図を片手に言う。ダンサーは慌てて自分の地図を取り出した。 彼女が♀プリーストの死に自分の過去を重ね、感傷に浸っている間に禁止区域の発表があったらしい。 確かに♀BSの言うとおり、彼女らのいるエリアが闇に沈んだかのように黒くなっている。 「こんな大事なことを聞き逃してたなんて、ほんと私どうかしてたのね」 ふぅ、とダンサーは溜息をついた。気を引き締めなくては。 「とにかく早くこのエリアから出ないと。あのピエロ野郎が大変なことになりますよ~なんてふざけたこと言ってたからね。  まったく……首輪がボン、首がポーン、なんてぞっとしないよ」 そう言い♀BSは肩をすくめてみせた。 「お、おで、よくわかんねえけど、なにかたいへんなんだな…?」 ♂スパノビは状況がよくわかっていなさそうだったが、とりあえず何かまずいということはわかったらしい。 「…急ぎましょう。逃げ遅れて死ぬなんてごめんだわ」 帰りを待つ子供たちのためにも、ここで終わるわけにはいかないもの。 そう小さく呟き、ダンサーは表情を引き締めた。 時間にあまり猶予はない。 3人は顔を見合わせ頷きあうと、禁止区域から逃れるために走りだした。 ♀BSと協力して♂スパノビを守る。 残してきた大切な子供たちのために、自分の命だって守ってみせる。 けして両立は不可能なんかじゃない。私は、私の信じる道を進んでやるわ。 固い決意を胸に、踊り子は夜を駆ける。 <♀BS> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:ツーハンドアックス(♂スパノビの箱から) 外見特徴:ボス、筋肉娘、カートはない。むちむち。 状態:負傷箇所に痛みが残る。 貧血は解消。 <♂スパノビ> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:スティレット(♀BSのもの)、ガード、ほお紅(♀BSのもの)、装飾用ひまわり(♀ダンサーから) 外見特徴:巨漢。超強面だが頭が悪い。カートあり。 状態:ヒールを使用したことにより少々顔色が悪い。 <ダンサー> 現在位置:F-5(禁止区域を避けるためにF-6に全速移動中) 所持品:ロープ、カード帖 外見特徴:美女、子持ち、母性本能大 状態:木にぶつけられた衝撃で少し背中が痛い。 <残り40名> ---- | [[戻る>2-080]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-082]] |

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