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088 夢と悪夢と現実と【定時放送後~夜】 ---- 幸せな夢を見ていた────はずだった 憧れの冒険者になった時はすべてものが輝いて見えた。 騎士様の振るう剣に憧れ、魔法の神秘的な美しさに惚れ、聖者の癒しに心惹かれた。 (私はおっちょこちょいだから商人はちょっとムリそうだな。  エッチな服は恥ずかしいけど踊るのは好きだからダンサーとかいいな) すれ違う冒険者を見てはその姿になった自分を夢想した。 まだ何になるかは決まっていないけど、転職のことを考えるだけでドキドキした。 優しいカプラさんや案内のお姉さんに挨拶して、今日もモンスターを倒す冒険に出た。 街を出てすぐ一匹のルナティックが目に止まった。 最初は可哀相で攻撃することが出来なかったルナティックも、今では簡単に倒せる。 (可愛くてもこの子はモンスターだし、自分が強くなるためだもん仕方ないよね) 初心者が扱いやすいように作られたマインゴーシュをえいっと突き出す。 狙い違わず刃先がルナティックへと埋まっていく。 キュともキャともつかない悲鳴をあげてルナティックは倒れた。 そして短剣を引き抜いた傷口から、信じられないほどの血飛沫が上がった。 まだ生温かいそれは目の前を一色に染め上げた。 (…………えっ!?) 驚いて落としてしまった短剣がさくっという音を立てて地面に突き刺さった。 反射的に音のしたほうを見ると、短剣は赤いダガーへと変わっていた。 ぬめりとした赤黒い液体がべっとりと着いていた。 ダガーから目を逸らしたくて元のルナティックの方へと視線を移すと、そこには♀シーフが倒れていた。 胸元がぐちゃぐちゃに切り刻まれた"死体"だった。 (ゎ……わタシ…が……ころシ……………コロシタノ?) 恐怖に叫ぼうとしたが喉が引き攣るばかりで声はでなかった。 膝がガクガクと暴れだし、抑えようとすればするほど動きが激しくなった。 耐え切れず膝を折り地面に座り込むと、今度は体の震えが止まらなくなった。 自分で自分を強く抱きしめることしか出来なかった。 ──お前は人殺しだ (ソ……んな………違っ…・・わたシ………) ──自分の為なら人だってモンスターと変わらない (そンナつも…り……はッ………いやぁァっ!!) 「違うッ!」 ♂アサシンの叫び声に♀ノービスは目を覚ました。 唐突に現実に戻された♀ノービスは、ぼんやりとした目で♂アサシンのほうを見つめていた。 徐々に意識が覚醒していく中、彼女は見てしまった。 彼の、暗殺者の眼を。 ♀シーフがしていたのと同じ人殺しの眼を。 (殺ラレルマエニ殺ラナイト) はっ、と自分の今考えたことに恐怖した。 (違うっ私は人殺しなんてしたくない!) そう自分に言い聞かせながらも、♀ノービスは近くに置いてあった自分の荷物を引き寄せた。 そして♂アサシンから渡されていたソードの柄に、そっと手をかけた。 <♂アサシン><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)> <所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2> <スキル:クローキングLv10> <備考:暗殺者としてひと皮剥けるべく♀ノービスを殺すか逡巡。そして・・・> <状態:葛藤> <♀ノービス><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)> <所持品:ソード、未開封青箱×1> <スキル:死んだふり> <外見:ノビデフォ金髪> <状態:寝起き、悪夢による恐慌> ---- | [[戻る>2-087]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-089]] |
088 夢と悪夢と現実と【定時放送後~夜】 ---- 幸せな夢を見ていた────はずだった 憧れの冒険者になった時はすべてものが輝いて見えた。 騎士様の振るう剣に憧れ、魔法の神秘的な美しさに惚れ、聖者の癒しに心惹かれた。 (私はおっちょこちょいだから商人はちょっとムリそうだな。  エッチな服は恥ずかしいけど踊るのは好きだからダンサーとかいいな) すれ違う冒険者を見てはその姿になった自分を夢想した。 まだ何になるかは決まっていないけど、転職のことを考えるだけでドキドキした。 優しいカプラさんや案内のお姉さんに挨拶して、今日もモンスターを倒す冒険に出た。 街を出てすぐ一匹のルナティックが目に止まった。 最初は可哀相で攻撃することが出来なかったルナティックも、今では簡単に倒せる。 (可愛くてもこの子はモンスターだし、自分が強くなるためだもん仕方ないよね) 初心者が扱いやすいように作られたマインゴーシュをえいっと突き出す。 狙い違わず刃先がルナティックへと埋まっていく。 キュともキャともつかない悲鳴をあげてルナティックは倒れた。 そして短剣を引き抜いた傷口から、信じられないほどの血飛沫が上がった。 まだ生温かいそれは目の前を一色に染め上げた。 (…………えっ!?) 驚いて落としてしまった短剣がさくっという音を立てて地面に突き刺さった。 反射的に音のしたほうを見ると、短剣は赤いダガーへと変わっていた。 ぬめりとした赤黒い液体がべっとりと着いていた。 ダガーから目を逸らしたくて元のルナティックの方へと視線を移すと、そこには♀シーフが倒れていた。 胸元がぐちゃぐちゃに切り刻まれた"死体"だった。 (ゎ……わタシ…が……ころシ……………コロシタノ?) 恐怖に叫ぼうとしたが喉が引き攣るばかりで声はでなかった。 膝がガクガクと暴れだし、抑えようとすればするほど動きが激しくなった。 耐え切れず膝を折り地面に座り込むと、今度は体の震えが止まらなくなった。 自分で自分を強く抱きしめることしか出来なかった。 ──お前は人殺しだ (ソ……んな………違っ…・・わたシ………) ──自分の為なら人だってモンスターと変わらない (そンナつも…り……はッ………いやぁァっ!!) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「違うッ!」 ♂アサシンの叫び声に♀ノービスは目を覚ました。 唐突に現実に戻された♀ノービスは、ぼんやりとした目で♂アサシンのほうを見つめていた。 徐々に意識が覚醒していく中、少女は見てしまった。 彼の、暗殺者の眼を。 ♀シーフがしていたのと同じ人殺しの眼を。 (殺ラレルマエニ殺ラナイト) はっ、と自分の今考えたことに恐怖した。 (違うっ私は人殺しなんてしたくない!) そう自分に言い聞かせながらも、♀ノービスは近くに置いてあった自分の荷物を引き寄せた。 そして♂アサシンから渡されていたソードの柄に、そっと手をかけた。 <♂アサシン><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)> <所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2> <スキル:クローキングLv10> <備考:暗殺者としてひと皮剥けるべく♀ノービスを殺すか逡巡。そして・・・> <状態:葛藤> <♀ノービス><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)> <所持品:ソード、未開封青箱×1> <スキル:死んだふり> <外見:ノビデフォ金髪> <状態:寝起き、悪夢による恐慌> ---- | [[戻る>2-087]] | [[目次>第二回目次]] | [[進む>2-089]] |

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