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103 間者【明け方】 ---- 諸君はアナベルツ教国をご存知であろうか? フレイアを信仰している宗教国家であり軍事国家である。 ちなみにミッドガルド王国の主神はオーディン。 シュバルツバルド共和国と神聖ミッドガルド王国が同盟国で あるなら、アナベルツは敵対国だ。 アナベルツ教国はミッドガルド王国の東に位置する。 まあ、二つの国が対立する原因は色々あるが 一番の理由は宗教の違いであろう。 アナベルツは教国と名がつく通り教皇を頂点とする熱心な宗教国であり 異教国のミッドガルドを討ち果たそうとするのは自然の成り行きであった・・・・・・。 更なる薀蓄を披露することもできるがスペースが足りないことは必至なので物語に入ろう。 *** もうすぐ日の出を迎える時刻。 いつもの霊廟のごとき地下室でGM橘とGM森は密会していた。 「おいおい、どうなってるんだ?♂騎士の奴ヤバイんじゃないのか?」 あらかさまに不満を体全体で表しながら抗議するGM森。 「オーバーリアクションはやめてください。まだ想定範囲内です」 GM橘はうるさそうに眼鏡をクイッと上げる。 ロウソクの光が幽かに二人を照らす。 「しかし、そうは言うがなぁ。もしアイツがリタイアしたら トトカルチョで俺は破産するぞ」 そう、GM橘が彼に胴元の話を持ちかけ彼はその話に乗った。 そして彼らは本来参加予定の♀プリと♂騎士を極秘裏に処分し 代わりに彼らを無理矢理ゲームに放り込んだ。 そしてGM森は大穴の♂騎士に有り金を全部賭けている。 「大丈夫です。彼には貴方の力を仕込んだでしょう。 これぐらいの怪我なら一晩で回復します」 むう・・・・・・とGM森は唸る。 そう、彼には予めGM森が肉体強化を施している。 これぐらいの怪我なら何も心配することはない。 ところが・・・・・・ 「だが、問題は精神の方だ!」 唸っていたGM森が激情を抑えきれず思わず声を荒げる。 男の腐ったような♂騎士に男らしさの塊のような彼が憤りを覚えるのも無理はない。 「落ち着いてください。確かに愛した女の一人も守りきれないどころか 自らの手にかけるとは愚かとしか言えませんがどうせ足手まといだったのです」 本当はその言葉とは裏腹にGM橘は何故、彼がそうしたのかを知っている。 だが、とりあえず彼は慰めるようにGM森の肩に手をかける。 「ええい!やめろ!大体、本当にアイツが苦労して探し当てた条件を満たす者なのか!?」 GM森がGM橘の手を乱暴にはねのける。 「ええ・・・・・・最初から殺人オーラを発している者は徒党を組んだ者達にやられます。 しかし、本来の姿を隠し、一番最後で力を発揮できる♂騎士こそが理想なのです。 現に彼は最強レベルのPTに潜り込んだではありませんか? さらに彼の潜在能力は著しく高い。 死んだ♀プリの父親が一目置いていたぐらいなのですからね・・・・・・」 GM橘が眼鏡を抑え、ニヤリと笑う。 ロウソクの光が眼鏡の表面で揺れる。 「一つの体に二つの魂か・・・・・・面倒な奴だ・・・・・・」 GM森が渋々納得し、謎めいた言葉を残した。 こうして彼らは各々の部屋に戻る・・・・・・ *** 「頼むゼ♂騎士・・・・・・大金をせしめて面白おかしく生きてやるんだからよ! ・・・・・・っておっととと」 GM森は思わず顔がニンマリとするのを必死で手で隠すとズンズンと進んでゆく。 彼は金と己の腕力のみを信ずる・・・・・・。 *** 「必ず優勝してイゾルデとの目通しの時、その首をもぎ取ってください・・・・・・。 貴方は聖戦士なのです。猊下のためにその命捧げるのが使命なのですから・・・・・・! ククク・・・・・・ハハハ・・・・・・アハハハハハ!」 ♂騎士にGM森が肉体改造を施したならGM橘が精神改造を施したのだ。 それはどうしようもない恐怖を植えつけることにより ♀プリを殺させる精神改造であった。 それは魂の封印を解く儀式と言えるであろう。 GM橘はアナベルツ教皇のみを盲信する・・・・・・。 *** 「哀れな男ですねぇ。しかし、美味なる料理には必ず隠し味が必要といいます。 女王様の舌に適う料理をお作りになられてくださぁい。ふふふふふ・・・・・・」 そして体が異様に熱を持ち、のた打ち回っているその哀れな男を GMジョーカーはただ、愉快気に観察する。 GM橘はまだ泳がせておこう。 まだまだ楽しめそうなのだから。 GMジョーカーはイゾルデのみを狂信する・・・・・・。 *** 明け方、♂騎士は体が灼けるような熱さと闘いながら内なる声を聞いたような気がした・・・・・・。 <♂騎士> 現在位置:E-3 所持品:S3ナイフ、ツルギ 外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔 備考:超回復による体全体の発熱。 未亡人PTに同行するかはまだ不明。 <残り37名> ---- | [[戻る>2-102]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-104]] |
103 間者【明け方】 ---- 諸君はアナベルツ教国をご存知であろうか? フレイアを信仰している宗教国家であり軍事国家である。 ちなみにミッドガルド王国の主神はオーディン。 シュバルツバルド共和国と神聖ミッドガルド王国が同盟国で あるなら、アナベルツは敵対国だ。 アナベルツ教国はミッドガルド王国の東に位置する。 まあ、二つの国が対立する原因は色々あるが 一番の理由は宗教の違いであろう。 アナベルツは教国と名がつく通り教皇を頂点とする熱心な宗教国であり 異教国のミッドガルドを討ち果たそうとするのは自然の成り行きであった・・・・・・。 更なる薀蓄を披露することもできるがスペースが足りないことは必至なので物語に入ろう。 *** もうすぐ日の出を迎える時刻。 いつもの霊廟のごとき地下室でGM橘とGM森は密談していた。 「おいおい、どうなってるんだ?♂騎士の奴ヤバイんじゃないのか?」 あらかさまに不満を体全体で表しながら抗議するGM森。 「オーバーリアクションはやめてください。まだ想定範囲内です」 GM橘はうるさそうに眼鏡をクイッと上げる。 ロウソクの光が幽かに二人を照らす。 「しかし、そうは言うがなぁ。もしアイツがリタイアしたら トトカルチョで俺は破産するぞ」 そう、GM橘が彼に胴元の話を持ちかけ彼はその話に乗った。 そして彼らは本来参加予定の♀プリと♂騎士を極秘裏に処分し 代わりに彼らを無理矢理ゲームに放り込んだ。 そしてGM森は大穴の♂騎士に有り金を全部賭けている。 「おやおや、彼に特性のプロテインを飲ませたはずでしょ? それなら何も心配は要らないかと思われますが・・・・・・?」 むう・・・・・・とGM森は唸る。 特性のプロテインというが実はGM森がアサシンギルドから 調達した強力な麻薬の一種だということをGM橘は知っていた。 ハシーシャンと呼ばれる服毒暗殺者が使用している 麻薬をひたすら純度を高める。 そしてその中に企業秘密な物質を混ぜるとできあがる実験的麻薬だ。 どうやってGM森がそれを手に入れることができたのかは不明だが 効果は予測できるだけで反射速度向上、肉体増強、痛覚遮断などであろう。 さらに最初から状態がおかしいことをGMジョーカーに悟られてはいけないから 段々と効果が出るようGM森が調整したものだ。 ただし、どれくらい寿命が大幅に削られるのとかは知ったことではない。 4日間保ってくれればいいのだ。 これぐらいの怪我なら何も心配することはない。 「だが、問題は精神の方だ!」 唸っていたGM森が激情を抑えきれず思わず声を荒げる。 男の腐ったような♂騎士に男らしさの塊のような彼が憤りを覚えるのも無理はない。 「落ち着いてください。確かに愛した女の一人も守りきれないどころか 自らの手にかけるとは愚かとしか言えませんがどうせ足手まといだったのです」 本当はその言葉とは裏腹にGM橘は何故、彼がそうしたのかを知っている。 だが、とりあえず彼は慰めるようにGM森の肩に手をかける。 「ええい!やめろ!大体、本当にアイツが苦労して探し当てた条件を満たす者なのか!?」 GM森がGM橘の手を乱暴にはねのける。 「ええ・・・・・・最初から殺人オーラを発している者は徒党を組んだ者達にやられます。 しかし、本来の姿を隠し、一番最後で力を発揮できる♂騎士こそが理想なのです。 現に彼は最強レベルのPTに潜り込んだではありませんか? さらに彼の潜在能力は著しく高い。調べたところロードナイトである 死んだ♀プリの父親も彼には一目置いていたらしいですよ?」 GM橘が眼鏡を抑え、ニヤリと笑う。 ロウソクの光が銀眼鏡の表面で揺れる。 「一つの体に二つの魂か・・・・・・面倒な奴だ・・・・・・」 GM森が渋々納得し、謎めいた言葉を残した。 こうして彼らは各々の部屋に戻る・・・・・・ *** 「頼むゼ♂騎士・・・・・・大金をせしめて面白おかしく生きてやるんだからよ! ・・・・・・っておっととと」 GM森は思わず顔がニンマリとするのを必死で手で隠すとズンズンと進んでゆく。 彼は金と己の腕力のみを信ずる・・・・・・。 *** 「必ず優勝してイゾルデとの目通しの時、その首をもぎ取ってください・・・・・・。 貴方は聖戦士なのです。猊下のためにその命捧げるのが使命なのですから・・・・・・! ククク・・・・・・ハハハ・・・・・・アハハハハハ!」 ♂騎士にGM森がを麻薬を投与したならGM橘が暗示をかけた。 それはどうしようもない恐怖を植えつける暗示である。 スパイとしての特殊訓練を積んでいる彼の特殊技能の一つだ。 もちろん、洗脳というほどのものではないが深層心理に植えつけられた その暗示は島の異様な雰囲気の中では♀プリを殺してしまうほどの 強大な狂気と化す。 「貴方は本当に優秀な駒です・・・・・・いきなり期待通りの事をしたのですから・・・・・・。 足枷を自ら外してしまいましたね・・・・・・ククククク」 GM橘はアナベルツ教皇のみを盲信する・・・・・・。 *** 「哀れな男ですねぇ。しかし、美味なる料理には必ず隠し味が必要といいます。 女王様の舌に適う料理をお作りになられてくださぁい。ふふふふふ・・・・・・」 体が異様に熱を持ち、のた打ち回っているその哀れな男を GMジョーカーはただ、愉快気に観察する。 残念なことにGM橘の目論見が明るみに出たのは今回の バトルロワイヤルが始まってからだ。 GMジョーカーとしてはイゾルデ様のゲームを汚されるのは 激しい怒りを覚えている。 しかし、ゲームを中断して♂騎士を連れ戻すのは自らの無能さをイゾルデ様に 曝け出してしまうことになるので絶対に嫌だ。 ならば♂騎士にはせいぜい踊ってもらうだけだ。 「さて、お目通しの時にイゾルデ様を暗殺する計画ですか・・・・・・」 だが、ふと、GMジョーカーは考え込む。 確かにイゾルデ様は勝ち抜いた者を見たいがために 優勝者とだけはお目通りする。 何故、そうするのかは酔狂という他ないが ♂クルセもイゾルデ様と謁見をしている。 だけど、それは自分も含めて厳重なGM達の警備の中でのお目通りになる。 例え、♂騎士が優勝したとしてもどんなに強者でも一人では暗殺は無理だろう。 「他にも実行部隊が居るということですかぁ・・・・・・一体誰でしょうかねぇ・・・・・・?」 となるとGM橘と♂騎士とその他の戦力で一気に襲い掛かるしかない。 ならば相手方の戦力をなんとか早急に割り出さなければいけない。 GM橘をまだまだ泳がせなければいけないようだ・・・・・・。 「だが!それもいいですねぇ!一網打尽にしてイゾルデ様にさらにさらにお褒め預かろうでは ありませんかぁ!あーははっはははは!」 GMジョーカーは若きイゾルデの肖画像の前で笑い狂う。 GMジョーカーはイゾルデのみを狂信する・・・・・・。 *** 明け方、♂騎士は体が灼けるような熱さと闘いながら内なる声を聞いたような気がした・・・・・・。 <♂騎士> 現在位置:E-3 所持品:S3ナイフ、ツルギ 外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔 備考:特殊プロテインによる体全体の発熱。未亡人PTに同行するかはまだ不明。 <残り37名> ---- | [[戻る>2-102]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-104]] |

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