「025」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

025」(2005/11/01 (火) 14:27:08) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

025.逢いたい ----   彼女──女ブラックスミスにとって、山小屋の傍に闇ポタルされたのは幸いだった。 急いで小屋の中に身を隠し、早速、荷物の確認を行う。 食料。赤ポーション。地図。名簿。そして、青く塗装された古めかしい箱が2つ。 「──うん、まずはこの箱が大事だよね。」 こんな境地に立たされても、彼女は冷静で、賢明であった。 独り言を呟き、大きい方の箱を開けてみる。 ──ぼろマント1個、獲得。 「これは……当たり、なのかな?」 魔法防御力が上がると云われる、このマント。 ウィザードや、マジシャンの攻撃から身を守るのには良いだろう。 所々に虫食いのような穴が空いたそれをさっと羽織ってみると、煤けた匂いがした。 「うん、悪くないかもね。次、次っと。」 今度は、小さい方の箱を手に取り、蓋を開けてみる。 中に入っていたのは、ひとかけらの鋼鉄だった。 「何もこんなときに……」 その言葉。単に、この殺し合いゲームに適したアイテムではなかったからではない。 こうした鉄の塊を見ると、あの人のことを、思い出す。 いつもプロンテラの街で自分の銘入りの武器を売っていた、鍛冶屋の、あの人のこと。 全てのポテンシャルを戦闘に費やした私とは対照的に、あの人は、腕のいい鍛冶屋だった。 こっそり隣で露店出したりしたっけ。 偶然のフリして、「また会ったね」なんて会話もした。 でも、本当はずっと追いかけていた。あの人の、こと。 白い服の女性に説明を受けているときには気付かなかった。 でも、闇ポタルされたとき、ほんの一瞬だけ、ポタルの光に飲まれていくあの人の姿が見えた気がする。 気がする、じゃない。見えた。夢にまで見た姿だ、間違いない。 あの人も、この馬鹿馬鹿しいゲームに参加させられているのだろうか。 今、どこにいるのだろう。まだ、生きているだろうか。それとも既に誰かに── 「……いけない、そんなこと考えない!」 女ブラックスミスは大きく首を振って、自らの思考を遮った。 冷静になれ。 「──そうだ、武器を確保しなくちゃ。」 防具だけでは、話にならない。 誰かを傷つける目的ではないにせよ、敵から身を守るためには武器が不可欠という判断だった。 小屋の中を物色する。 長身を生かし、上の方の棚から、見つけたもの。 「……よし、これなら私にも扱える──」 それは、一振りの包丁だった。 ケースを腰のベルトに括りつけ、そこに本体を刺す。 「これでオーケイだね。」 腰に両手をあて、一息つく。 後は── あの人を、見つけるだけ。 あの人を、見つけられるだろうか。 もし、無事にあの人に出会えたとしても、あの人は私を信頼してくれるだろうか。 不安が過ぎる。が、悩んでいても仕方が無い。 再びずた袋を背負い、女ブラックスミスは小屋を後にした。 <♀ブラックスミス 包丁1個、ぼろマント1個、鋼鉄1個 獲得> ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[024]] | [[目次]] | [[026]] |

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー