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119 そして夜は明けて【日の出前後~早朝】 ---- よく狙いをつけて手を離したつもりだったけど、槍は触手野郎に当たらなかったみたいだ。 残念、腕が痛いけどもう一度。今度は当たるように。間違いなく、殺せるように。 ――腰の後ろにくくりつけていたナイフを逆手に引き抜き、後ろに倒れこむ化け物に追いすがる。 はい、マスター。小さい刃物でもちゃんと使えば十分武器になるんですよね。 大事なことは狙いをきちんと…あ。困ったな、急所ってどこなんだろう? 人だったら…頭とか喉とか、心臓なんだろうけど。 あ、化け物に追いついた。もういいや、とにかく頭だ。魔物には心臓がないやつもいるらしいから、確実にいかなきゃ。 うん、日が昇ってきたかな?あいつの肉に覆われた頭部が少し狙いやすくなった気がする。 ――少し開いた口(中に歯と舌が見えるから口なのだろう)にナイフを捻じ込む。 ――そうして突進した勢いのまま、内部で刃先を頭のほうに突き上げる。 ごっぎ、うわぁ嫌な音。あと、手が痺れる…それにこの手ごたえ、ナイフ駄目になっちゃったかも。 でもまぁいいよね、これで死んでくれたみたいだし。うん、死んで、死ん、いや、まだ終わってない。 ――ずる、と女の頭から刃の曲がったナイフを抜き出し、それを手の中でくるりと回して柄の尻を頭部に叩きつける。 ――がつ。がつ。ごつ。痙攣する体に跨り何度も何度も叩きつける。 まだ終わってないぞ、頑張れ、僕。しっかり打って、打って、叩いて。 ああ、嫌だ。もっともっとちゃんと打たなきゃ、潰さなきゃ。これじゃまだ分かる。  ねぇ、もう平気じゃないの?ほら、ピクリとも動かないよ。 ううん、まだだめ。まだ、だめ。 ――ついに柄の部分もひしゃげた。ナイフは投げ捨てて適当に掴んだ石を振り上げる。 だめ、だめ、だめ。ちゃんと潰して、ちゃんと壊して。  ねぇ、そんなに心配しなくても、それはもう死んじゃったよ。 だめ、だめだってば。ちゃんとわからないようにして。 ――片手に余る大きさの石を両手でしっかりと握って、頭の上まで持ち上げるとそのまま勢いを付けて降ろす。 ――あああ、ああ 早く壊れて。早く早く、辺りが明るくなるまえに。  ねぇ。 だめ、お願い見せないで。違う違う違う。早く壊れて。壊れて、壊れて。別のものになって。 ――彼女の腹に馬乗りになって、一心不乱に打ち付ける。一心不乱に。打つ。どこを、なにで。 ――わああ、わぁ、ああああ。 こんなものは違う。こんなものは、こんな、これは違う。いいやこれは。  ねぇ、それは、人間のあたまだよ。 「ひっ、うわぁぁぁ!!!」 人じゃないか、人じゃないか人じゃないか人じゃないか!! 赤い血が髪について、散らばった長い髪の先のほうだけ金髪が残ってる。 顔がぐちゃぐちゃに潰れた、赤い女の人の死体。死体!? 死体だ!でもどうしよう、手が止まらない。石を振り下ろすのを止められない。 どうして、どうして。どうして僕はこんなことをしてるんだ。 どうしてこんなものの上に乗っている。こんなものを見てる。 あああ、どうして、こんな。 ぼくが人を殺したなんてそんな護るって誓った決めたんだあの剣で誰も傷つけたりしないって 護る 何を  誰かの命を あの人の事を  護る誰か 誰が 誰  護る  あの人 どこ   僕あの人を   護 る   護った そう護った 僕が護ったのは     僕の   命 「あああああ、ああ、ああああああ!!」 お願い、早く――  ◇◇◇ 彼らは、生き残った彼らはただ呆然と眼前の風景を見ていた。視界に入れていた、というほうが正しいか。 宿の主人からややこしい商売の話を聞かされる時のように、その様子は彼らの頭の中を駆け抜けるだけだった。 数分前までお互いに疑いを抱きつつ相手を品定めしていたのが嘘のような惨状。 信用できるか、どこかに嘘がないか、もしや何か企んでいるのか、そんな思考が全て馬鹿馬鹿しいほどの。 突然の襲撃者は男二人を打ち倒し、今は絶叫を上げながらダンサーを殺している。 いや、先刻までダンサーだったものを執拗に石で打ち嬲っている。 あまりの光景に彼らは我が身可愛さに逃げることすら忘れ、また負傷者の手当ても忘れていた。 しばらくして襲撃者の剣士が上げる叫びが咆哮から悲鳴の色へと変わると、弾かれたように一人が我に返る。 「神よ、力をお借りします!ホーリーライト!」 「ひあぅっ!」 短い言葉と共に淫徒プリの手の平から生まれた光弾が平野を走り、ばしいっ、と狂ったように叫ぶ少年のこめかみを打つ。 その衝撃でダンサーに馬乗りになっていた♂剣士はぐらりと体を傾けた。そして倒れた姿勢のまま、泣き叫ぶ。 試した事などないが、この術は人間の頭にまともに当てれば首があらぬ方向に曲がるはず。それが力任せの平手打ち程度の 威力しか出ていないことを確認し、彼女は歯噛みする。しかし。例えスキルが通じなくてもチャンスは今この時だ。 座り込む♀BSと呆けた顔で動かない♀アルケミ、そしてろくに戦力を持たない自分。 残った者の構成では、相手が混乱している内に何としても排除するしかない。 それが出来るのは、今この中で彼女だけ。 「攻撃スキルも駄目とはね…!♀アルケミさん、こちらに来て私の後ろへ。 ♀BSさん、立てますか?私が援護するのでアレを倒して下さい」 声を掛けてもただ立ち尽くす♀アルケミには、もうこの際構っていられない。離れていればさほどの危険もないだろう。 敵の殲滅を優先して♀BSに駆け寄り、気休め程度にブレッシングを唱えて送り出そうとする。しかし彼女は動かない。 「何をしているんです、早く立って。貴女、死にたいの?」 「あんた…なに、言ってんの。それより早くコイツ治してよ……ねぇ、もう」 「いいから立ちなさい!何をですって?アレを殺せと言ったんです!」 剣士はまだ転がって何かを喚いている。早く始末しなくては。 淫徒プリは♀BSを持ち上げ無理矢理立たせると、未だ斧を握ったままの彼女にさらに呪文を唱えた。 「この者は我らが父の兵にしてその剣、イムポシティオマヌス!」 呪文の発動と同時にぐ、と♀BSの両手に力が入り、彼女の態度とは裏腹にぎりりと斧を握りこむ。 「おい、アタイに何をした…!」 「そして御身の盾となる者!キリエエレイソン!」 「やめろって!そんなことより…ああ、くそっ!」 ありったけの戦闘補助呪文を浴びせられて、♀BSの意に反して彼女の足はひとりでに動き出す。 淫徒プリがそれを見届けて速度増加を唱えると、とうとう♀BSの体は神の敵を打ち殺すために駆け出した。 「ひ、いぃいあ、僕は、僕、あぁぁぁ」 「ああ、畜生ぉッ!うわああ、ああああっ!!」 ♂剣士はダンサーの死体の脇で頭を抱えてうずくまり、彼が持っていた石に頭を打ち付けている。 そこに咆哮と共に斧を構えた♀BSが突っ込み、もはやどちらの叫びとも付かぬ大音声の中彼らはぶつかった。 一つ目の夜が完全に明けた。地にしがみ付いていた闇は駆逐され、天上の神の恵みが島を包む。 朝日を受け光の中に暴き出された♀BSの足元には、無残に殺されたのダンサーの遺体と 首を飛ばされた♂剣士の体が転がった。 <♀BS> 位置:F-6(まばらな木立のある草原地帯) 所持品:ツーハンドアックス 外見:むちむち 、カートはない 状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。やや混乱。 備考:ボス、筋肉娘 <♂スパノビ> 位置:F-6 所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり 外見:巨漢、超強面だが頭が悪い 状態:瀕死 <ダンサー> 位置:F-6 所持品:ロープ、カード帖 外見:美女 ダンサーの公式外見 状態:死亡 備考:子持ち、母性本能大 <淫徒プリ> 位置:F-6 所持品:女装用変身セット一式 青箱 外見:女性プリーストの姿 美人 状態:軽度の火傷 備考:策略家 Int>Dexの支援型 <♀ケミ> 位置:F-6 所持品:S2グラディウス、青箱2個 外見:絶世の美女 状態:軽度の火傷 備考:策略家 製薬ステ <♂剣士> 位置:F-6 所持品:熱血鉢巻(ヘルファイアはダンサーの遺体近くに) 外見:ノビデフォ髪 (csm:4g022?) 状態:死亡 備考:JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。 <残り33名> ---- | [[戻る>2-117]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-120]] |
119 そして夜は明けて【日の出前後~早朝】 ---- よく狙いをつけて手を離したつもりだったけど、槍は触手野郎に当たらなかったみたいだ。 残念、腕が痛いけどもう一度。今度は当たるように。間違いなく、殺せるように。 ――腰の後ろにくくりつけていたナイフを逆手に引き抜き、後ろに倒れこむ化け物に追いすがる。 はい、マスター。小さい刃物でもちゃんと使えば十分武器になるんですよね。 大事なことは狙いをきちんと…あ。困ったな、急所ってどこなんだろう? 人だったら…頭とか喉とか、心臓なんだろうけど。 あ、化け物に追いついた。もういいや、とにかく頭だ。魔物には心臓がないやつもいるらしいから、確実にいかなきゃ。 うん、日が昇ってきたかな?あいつの肉に覆われた頭部が少し狙いやすくなった気がする。 ――少し開いた口(中に歯と舌が見えるから口なのだろう)にナイフを捻じ込む。 ――そうして突進した勢いのまま、内部で刃先を頭のほうに突き上げる。 ごっぎ、うわぁ嫌な音。あと、手が痺れる…それにこの手ごたえ、ナイフ駄目になっちゃったかも。 でもまぁいいよね、これで死んでくれたみたいだし。うん、死んで、死ん、いや、まだ終わってない。 ――ずる、と女の頭から刃の曲がったナイフを抜き出し、それを手の中でくるりと回して柄の尻を頭部に叩きつける。 ――がつ。がつ。ごつ。痙攣する体に跨り何度も何度も叩きつける。 まだ終わってないぞ、頑張れ、僕。しっかり打って、打って、叩いて。 ああ、嫌だ。もっともっとちゃんと打たなきゃ、潰さなきゃ。これじゃまだ分かる。  ねぇ、もう平気じゃないの?ほら、ピクリとも動かないよ。 ううん、まだだめ。まだ、だめ。 ――ついに柄の部分もひしゃげた。ナイフは投げ捨てて適当に掴んだ石を振り上げる。 だめ、だめ、だめ。ちゃんと潰して、ちゃんと壊して。  ねぇ、そんなに心配しなくても、それはもう死んじゃったよ。 だめ、だめだってば。ちゃんとわからないようにして。 ――片手に余る大きさの石を両手でしっかりと握って、頭の上まで持ち上げるとそのまま勢いを付けて降ろす。 ――あああ、ああ 早く壊れて。早く早く、辺りが明るくなるまえに。  ねぇ。 だめ、お願い見せないで。違う違う違う。早く壊れて。壊れて、壊れて。別のものになって。 ――彼女の腹に馬乗りになって、一心不乱に打ち付ける。一心不乱に。打つ。どこを、なにで。 ――わああ、わぁ、ああああ。 こんなものは違う。こんなものは、こんな、これは違う。いいやこれは。  ねぇ、それは、人間のあたまだよ。 「ひっ、うわぁぁぁ!!!」 人じゃないか、人じゃないか人じゃないか人じゃないか!! 赤い血が髪について、散らばった長い髪の先のほうだけ金髪が残ってる。 顔がぐちゃぐちゃに潰れた、赤い女の人の死体。死体!? 死体だ!でもどうしよう、手が止まらない。石を振り下ろすのを止められない。 どうして、どうして。どうして僕はこんなことをしてるんだ。 どうしてこんなものの上に乗っている。こんなものを見てる。 あああ、どうして、こんな。 ぼくが人を殺したなんてそんな護るって誓った決めたんだあの剣で誰も傷つけたりしないって 護る 何を  誰かの命を あの人の事を  護る誰か 誰が 誰  護る  あの人 どこ   僕あの人を   護 る   護った そう護った 僕が護ったのは     僕の   命 「あああああ、ああ、ああああああ!!」 お願い、早く――  ◇◇◇ 彼らは、生き残った彼らはただ呆然と眼前の風景を見ていた。視界に入れていた、というほうが正しいか。 宿の主人からややこしい商売の話を聞かされる時のように、その様子は彼らの頭の中を駆け抜けるだけだった。 数分前までお互いに疑いを抱きつつ相手を品定めしていたのが嘘のような惨状。 信用できるか、どこかに嘘がないか、もしや何か企んでいるのか、そんな思考が全て馬鹿馬鹿しいほどの。 突然の襲撃者は男二人を打ち倒し、今は絶叫を上げながらダンサーを殺している。 いや、先刻までダンサーだったものを執拗に石で打ち嬲っている。 あまりの光景に彼らは我が身可愛さに逃げることすら忘れ、また負傷者の手当ても忘れていた。 しばらくして襲撃者の剣士が上げる叫びが咆哮から悲鳴の色へと変わると、弾かれたように一人が我に返る。 「神よ、力をお借りします!ホーリーライト!」 「ひあぅっ!」 短い言葉と共に淫徒プリの手の平から生まれた光弾が平野を走り、ばしいっ、と狂ったように叫ぶ少年のこめかみを打つ。 その衝撃でダンサーに馬乗りになっていた♂剣士はぐらりと体を傾けた。そして倒れた姿勢のまま、泣き叫ぶ。 試した事などないが、この術は人間の頭にまともに当てれば首があらぬ方向に曲がるはず。それが力任せの平手打ち程度の 威力しか出ていないことを確認し、彼女は歯噛みする。しかし。例えスキルが通じなくてもチャンスは今この時だ。 座り込む♀BSと呆けた顔で動かない♀アルケミ、そしてろくに戦力を持たない自分。 残った者の構成では、相手が混乱している内に何としても排除するしかない。 それが出来るのは、今この中で彼女だけ。 「攻撃スキルも駄目とはね…!♀アルケミさん、こちらに来て私の後ろへ。 ♀BSさん、立てますか?私が援護するのでアレを倒して下さい」 声を掛けてもただ立ち尽くす♀アルケミには、もうこの際構っていられない。離れていればさほどの危険もないだろう。 敵の殲滅を優先して♀BSに駆け寄り、気休め程度にブレッシングを唱えて送り出そうとする。しかし彼女は動かない。 「何をしているんです、早く立って。貴女、死にたいの?」 「あんた…なに、言ってんの。それより早くコイツ治してよ……ねぇ、もう」 「いいから立ちなさい!何をですって?アレを殺せと言ったんです!」 剣士はまだ転がって何かを喚いている。早く始末しなくては。 淫徒プリは♀BSを持ち上げ無理矢理立たせると、未だ斧を握ったままの彼女にさらに呪文を唱えた。 「この者は我らが父の兵にしてその剣、イムポシティオマヌス!」 呪文の発動と同時にぐ、と♀BSの両手に力が入り、彼女の態度とは裏腹にぎりりと斧を握りこむ。 天使の歌により戦意を向上させ、味方の攻撃力を上乗せする神聖魔法がかけられた。 一時的に好戦的になるはずなのだが、制限下においてはまだ足を踏み出すには至らないらしい。 追い討ちで淫徒プリがさらに呪文を上乗せする。 「おい、アタイに何をした…!」 「そして御身の盾となる者!キリエエレイソン!」 「やめろって!そんなことより…ああ、くそっ!」 ありったけの戦闘補助呪文を浴びせられて、♀BSの意に反して彼女の足はひとりでに動き出す。 淫徒プリがそれを見届けて速度増加を唱えると、とうとう♀BSの体は神の敵を打ち殺すために駆け出した。 「ひ、いぃいあ、僕は、僕、あぁぁぁ」 「ああ、畜生ぉッ!うわああ、ああああっ!!」 ♂剣士はダンサーの死体の脇で頭を抱えてうずくまり、彼が持っていた石に頭を打ち付けている。 そこに咆哮と共に斧を構えた♀BSが突っ込み、もはやどちらの叫びとも付かぬ大音声の中彼らはぶつかった。 一つ目の夜が完全に明けた。地にしがみ付いていた闇は駆逐され、天上の神の恵みが島を包む。 朝日を受け光の中に暴き出された♀BSの足元には、無残に殺されたのダンサーの遺体と 首を飛ばされた♂剣士の体が転がった。 <♀BS> 位置:F-6(まばらな木立のある草原地帯) 所持品:ツーハンドアックス 外見:むちむち 、カートはない 状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。やや混乱。 備考:ボス、筋肉娘 <♂スパノビ> 位置:F-6 所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり 外見:巨漢、超強面だが頭が悪い 状態:瀕死 <ダンサー> 位置:F-6 所持品:ロープ、カード帖 外見:美女 ダンサーの公式外見 状態:死亡 備考:子持ち、母性本能大 <淫徒プリ> 位置:F-6 所持品:女装用変身セット一式 青箱 外見:女性プリーストの姿 美人 状態:軽度の火傷 備考:策略家 Int>Dexの支援型 <♀ケミ> 位置:F-6 所持品:S2グラディウス、青箱2個 外見:絶世の美女 状態:軽度の火傷 備考:策略家 製薬ステ <♂剣士> 位置:F-6 所持品:熱血鉢巻(ヘルファイアはダンサーの遺体近くに) 外見:ノビデフォ髪 (csm:4g022?) 状態:死亡 備考:JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。 <残り33名> ---- | [[戻る>2-117]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-120]] |

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