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132 人殺し達の戦い [第2回放送直前] ---- 青箱に手をかける♀ノビを♂アサが止める。 怪訝そうな顔で口を開きかける♀ノビの口を、♂アサは手で塞ぐ。 「……人が来た。お前はここで待て」 そう小声で言って、すぐにその場を立とうとする♂アサの動きが止まる。 ♀ノビが♂アサの手を握ったままで居るからだ。 一瞬振り払おうと思った♂アサだったが、すがるような表情の♀ノビを見て考え直した。 『……くそっ』 心の中だけで舌打ちしながら、♀ノビの手を握り返す♂アサ。 「良く聞け。お前はそこの茂みに隠れて、俺が合図するまでその場を動くな」 「は、はい」 「そして俺が『貫け』と叫んだら、その場から真っ直ぐ前に向けてソードを突き出せ。腰の高さでソードを両手に持ち、体当たりする要領で全力で突っ込め」 その指示の内容に驚く♀ノビ。 「それがお前の役目だ。それさえ果たせば最悪の事態も回避出来る。お前はそれだけを考えて茂みに潜め。いいな?」 いきなりの事に動揺する♀ノビ。 「で、でも……」 しかし♂アサはぴしゃっと言い放つ。 「復唱しろ。お前は何をする?」 「え、えと……茂みに隠れて、♂アサシンさんが『貫け』って言ったらソードを突き出す」 「どうやって突き出す?」 「腰の高さで、ソードを両手に持って、体当たりするように……」 そこまで聞くと、♂アサは立ち上がる。 「よし、質問は無しだ。お前はただそれをやるだけでいい。絶対にビビるな、それ以外の事は全て俺が整える。いいな?」 時間が無い、それは♂アサの様子から♀ノビにも理解出来た。 だから、♀ノビは真剣なまなざしで肯くと、何も言い返さずに茂みに潜んだ。 そんな♀ノビの様子を見て、笑みが零れかける♂アサ。 『やる事さえありゃ不安に潰されるって事も無いだろ』 何時来るかわからない者に怯えて待ち続けるというのは、想像している以上に苦痛な事だ。 せめてもやる事を与えておけば、それ以外の不安な懸案を考えずに済むだろうという♂アサの配慮であった。 そしてすぐに表情が変わる。 彼方に見えた人影は、もうすぐそこまで近づいていたのだ。 人影は♂アサに言う。 「……お前は殺し合いに乗っているのか?」 ♂アサシンは相手の姿を見て、眉を潜める。 「おい、お前は神に仕えるクルセイダーじゃないのか?」 その男、♂クルセは表情一つ変えずに応える。 「そうだ」 ♂アサシンは♂クルセを睨み付ける。 「なら、なんだっててめえは人殺しの目してやがんだ?」 やはり♂クルセは無表情で応えた。 「流石にアサシンなだけあって、人殺しには敏感だな」 腰を低く構える♂アサシン。 「そうだ、俺はアサシンだ。だから無駄な期待なんざしてねえで、殺し合いに備えな」 ♂クルセはシミターを抜く。 「人殺しの目か……よっぽどお前の目の方がそれらしいぞ」 ♂アサは♂クルセの真正面から飛び込む。 ♂クルセは袈裟懸けに右から斬りつけるが、それを頭を低く屈めて、左に一歩大きく踏み込む事でかわす♂アサ。 すぐさま♂クルセも手首を返して、低い位置の♂アサに向かって、今度は左から斬り返すが、それを♂アサは右足の膝で♂クルセの右手を押さえて剣を止める。 ♂クルセの剣が止まったその僅かな間に♂アサは攻撃に転じる。 右手の親指を♂クルセの目に向かって突き出すと、♂クルセは仰け反りながら体ごと大きく♂アサから離れるよう後ろに下がる。 しかし♂アサも逃がさずとばかりに更に踏み込む。 そんな♂アサの腹部に下がりながら剣を当てる♂クルセ。もちろん勢いが無いのでその状態のままで斬る事は出来ない。 しかし、そこから全力で剣を引けば♂アサの横腹は斬れる。 時間の猶予は僅かだ、その間に♂アサは♂クルセの襟を左手で掴み、その頭部を引き寄せながら顔面に頭突きをかました。 頭突きをくらいながらも剣を全力で引いた♂クルセも見事だったが、それ以上に♂アサは巧みであった。 頭突きの直後、剣を引く速度に合わせて体を半回転させ、剣での傷を最小限に押さえながら左の肘打ちを♂クルセに見舞ったのだ。 肘打ちが当たった事を知った♂アサは全速でその場から離れる。 そのすぐ後に、肘打ちを喰らった♂クルセから間髪入れずの反撃の突きが来たが、♂アサはそれを読んでいた模様。 そこで二人の距離が少し離れる。 ♂アサは舌打ちをした。 『タフだな。それに……思った以上に手練れだコイツ』 頭突き、肘打ちの二発もまともに入ったのに、♂クルセの動きにはまるで乱れが無い。 周囲に邪魔者の気配は無い。 ならばまだしばらくは♂クルセとの戦いに集中出来る。 どうやって♂クルセを殺すか? それだけを考えていられるのだ。 この時、♂アサシンは確実に殺し屋であった。 ♂クルセは♂アサシンの動きに警戒を強める。 武器を持っていない事は、♂アサシンの戦闘力を下げる理由にはなりえない様だ。 しかし♂クルセは焦らない。 持久戦こそがクルセイダーの最も得意とする戦いだ。 確実かつ正確に対応し、時間をかける。 ♂アサシンの疲労を待つのももちろんだが、時間をかける事で誰かに見つかったとしても、その職柄から♂クルセに味方する可能性も高い。 間違っても殺し屋の目をした今の♂アサシンに、味方する者は居ないだろうという読みであった。 ♂クルセはその読みに従って、剣を正面に構え、静かに♂アサシンの動きを待つ。 ♂アサシンはいつの間にか拾っていた小石を、指の動きだけで♂クルセに放つ。 狙いは僅かにそれて、♂クルセの頬に石が当たる。 しかし♂アサシンから目を離さなかった♂クルセは、♂アサシンがクローキングでその場から消えるのを確かに見た。 すぐさま後方にある林の中に駆け込む。 林の一番外側にあった木を背に、襲い来る♂アサシンに備えた♂クルセ。 しかし、♂アサシンは予想外にも♂クルセの間合いから少し離れた場所に姿を現した。 そして大声で叫ぶ。 「貫け!」 見事、そう♂アサシンは思った。 ♂クルセはいきなり側面からナイフを脇腹に突き立てられたにも関わらず、僅かに体勢を崩しかけただけですぐに持ち直し、それを仕掛けた相手に剣を向けたのだ。 『相手が俺じゃなきゃ、お前は死なずに済んだぜ』 振り上げた剣を振り下ろす間も無く、♂アサシンの跳び蹴りが♂クルセに命中する。 転倒し、林の中に転がり込んだ♂クルセは、立ち上がり様に剣を右下に構える。 ♂アサシンがまた姿を消したのにも気付いていたようだ。 そのままの姿勢で目線をゆっくりと動かし、聴覚だけでなく、視覚でも周囲を探る♂クルセ。 その視界が♀ノビを半分程捉えた所で、その時は来た。 右下に下げた剣からは、ちょうど♂クルセの体を中心に正反対側に当たる左後方から♂アサシンは襲いかかった。 ♂アサシンの踏み込みの音と同時に♂クルセの左腕が♂アサシンの首元に突き出される。 その反応の早さは、それこそこの♂アサシンの動きを読んでいたとしか思えない程であった。 『読まれた!? だがっ!』 その太い腕が♂アサシンの首を掴み、動きを制する。 すぐさま剣を突き込もうとする♂クルセであったが、それは♂アサシンの予想の内であった。 「くっ!」 ♂クルセをもってしても、二度目の痛撃は流石に声を殺しきれなかった。 いつの間にか♀ノビからソードを奪い、♂アサシンはこの瞬間に♂クルセの脇腹に突き立てていたのだ。 そしてすぐ右腕を♂クルセの突きだしている左腕に絡ませ、体重を乗せる。 その動きで♂クルセの剣は空を切り、代りに♂アサシンは♂クルセの腕をとったままでその体を地面に押し倒す事に成功した。 左腕を、取った♂クルセの左腕に添え、完全にその動きを封じる♂アサシン。 ♂アサシンもこれ以上動けないが、こちらには♀ノービスが居る。 ♂クルセの胴に刺さったままのソードを彼女が抜き、その首に突き立てればゲームセットだ。 しかし、幾多の戦場を戦い抜いた♂クルセもこのままでは終わらなかった。 左腕を取られ、地面に組み伏せられた状態のまま、右の手のひらを地面に向け、バッシュを放った。 その衝撃で♂クルセの左肩が外れ、♂クルセは地面に押しつけられたままで半回転。 バランスを崩した♂アサシンに、♂クルセはその勢いを利用した右肘打ちを叩き込んだ。 両者はすぐに立ち上がるが、形勢不利と判断した♂クルセは身を翻してその場を走り去る。 ♂アサシンは目線で♀ノビに合図した後、すぐに追撃に移るつもりだったが、止めた。 ふっと軽く息を吐いた後、♀ノビに歩み寄る。 「……そんな顔すんじゃねえよ」 そう言いながら左手を上げる。 ♀ノビはびくっと体を震わせるが、♂アサシンはゆっくりとその頭に手を置き、優しく一撫でしてすぐに手を離す。 「これがプロ同士の殺し合いだ。感想はどうだ?」 ♀ノビは♂アサのこの問いに答える事が出来なかった。 そんな二人にジョーカーの癇に障る声が響く。 それを聞く♀ノビの表情を見た♂アサシンは心の中だけで呟いた。 『……限界か。これ以上はこいつには耐えられないかもしんねえな……』 <♂アサシン><現在位置:小さな森(E-7)> <所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2> <スキル:クローキングLv10> <備考:♀ノービスを生き残らせると決意、♀アサシンとは顔見知りだった?> <♀ノービス><現在位置:小さな森(E-7)> <所持品:未開封青箱×1> <スキル:死んだふり> <外見:ノビデフォ金髪> <♂クルセ> 位置:小さな森(E-7)から逃亡中 所持品:s2ブレストシミター(亀将軍挿し) (腹部にソードを刺したまま) 外見:csm:4j0h70g2 ---- | [[戻る>2-131]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-133]] |

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