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134 数奇な出会い[第2回定時放送後] ---- 2回目の放送で彼女の名前が呼ばれるであろうことはわかっていた。 そのことで♀騎士の笑顔が、また遠いものになってしまうこともわかっていた。 この世界では死んだ人間が生き返ることはない。そして殺したのは他ならない、この俺だ。 だけど─── 『まずは・・・♀剣士さん』 なにも一番最初に彼女の名前を読み上げることはないんじゃないかと思った。 おそるおそる顔を♀騎士の方へゆっくりと向ける。 ほら、やっぱり。 ♀騎士は出会ったときの今にも泣き出しそうな顔に戻っている。 いや、あのときはたしか、本当に泣き出しちまったんだっけ。 一見勝気そうに見えるつり目がうっすらと涙を湛え、こぼれ落とす準備を始めている。 小さくすぼんだ口がかすかに震えながら、けれど泣き出すことを懸命にこらえているようにも見てとれる。 ♀騎士のすらりと伸びた手足も、白魚のように美しい肌も、ふわりと伸びた目を引く紅色の髪も、 そのすべてがひどく儚げで、触れただけで壊れてしまうんじゃないか。そう思えた。 不意にきゅっと俺の法衣の裾を♀騎士が掴む。きっとひとりじゃないことを確かめたいんだと思う。 そのことが分かっていながらも、俺は♀騎士にかけてやれる言葉がない。 こんなことならもう少し女性に対しての接し方なんてのも学んでおけばよかったと内心で愚痴る。 いつからだっただろう、タートルアイランドにこもってただひたすらに強さを求め始めたのは。 「♂モンクさん」 そして気がつけばこのゲームへの招待状が俺に届けられていた。 修道院にとってはどうせ生きてるのか死んでるのかもわからない俺がいまさらどうなったところで構わない、ということなんだろう。 自分にしては珍しくネガティブな思考が頭の中を巡り始めたことで俺は軽くかぶりを振った。 「♂モンクさん!」 そこで俺はようやく隣りに座って身体を休めていた♀騎士がいつの間にか立ち上がっていて、俺に呼びかけていたことに気付く。 彼女は少しだけ怒ったみたいに細い眉をつり上げて、俺の右手を掴み、俺を起きあがらせた。 「どうしたんだ?」 突然の彼女の不自然な行動に戸惑いながらも彼女の目を見る。 と、独特の赤みを帯びた黒色の瞳に思わず吸い込まれそうになる。 それほどに深みのある輝きを彼女の瞳は放っていた。 「あっち、あれを見てください。人が…人がいます」 言いながら彼女はひとさし指を使って方向を指し示した。 ゆっくりとその先へ首を向けると、一本の木が、そして木の幹に寄りかかるようにしてぐったりとしているひとりの男がいた。 目を凝らしてよく見ると男の衣服にクルセイダーの装飾があるのが分かる。 どうやら傷を負っているらしく、自分の体に一通りの治療を施したあとといった様子だった。 「怪我をしているみたいですけど…」 「クルセイダーねぇ。常識的に考えれば味方と言えるけど、この島で常識なんてものが通用するかしら」 ふたりして顔を見合いながら、♂クルセイダーを見やりながら、逡巡により時間は流れる。 その間も♂クルセイダーが動く気配はなく、こちらに気がついた様子もない。 それほどの深手を♂クルセイダーは負っているのだろうか。 「♀騎士はどうしたい? 俺は君が思った通りにしてくれて良いと考えてる」 俺の質問に彼女は顔をわずかにうつむけ思案をし始めた。彼女も迷っているのだろう。 この島ではそれが当然だ。信用や信頼なんてものはこの島で不幸な結果に最も近いとも言える。 現に俺も一度は殺戮者に身を墜とすことを考えたくらいだ。 それに刃物を満足に扱えない♀騎士だったからこそこうして気を許しているんであって、 そうでなければ上辺だけの協力しかするつもりはなかった。 ところが─── 「♂クルセイダーさんを助けましょう。だって私は……騎士ですから」 まだ不自然さを残しながらも彼女は精一杯の笑顔で俺にそう言った。 本当の笑顔からはほど遠い、壊れそうな硝子の笑顔。 そんな表情を見せられたんじゃ俺も覚悟を決めなければならない。 「分かった。それじゃ俺も精一杯のことはするよ。生臭坊主だから治療の腕前は当てにしないでくれよ」 無造作に伸びた髪をかきあげながら目で彼女に合図する。 そして俺と彼女は♂クルセイダーの元へと歩み寄った。 この選択肢が俺たちにとって最悪の結果をもたらすなんてことを、そのときの俺たちはまだ知る由もなかった。 <♂モンク> 髪型:アサデフォ 所持品:黙示録・四葉のクローバー 備考:諸行無常思考、楽観的 刃物で殺傷 ♀騎士と同行 現在地:E-7 (F-7付近) <♀騎士> 髪型:csf:4j0i8092 所持品:S1シールド、錐 備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えない ♂モンクと同行 赤みを帯びた黒色の瞳 現在地:E-7 (F-7付近) <♂クルセ> 髪型:csm:4j0h70g2。 所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ソード 備考:最低限の傷の手当て済 重症か軽症かは不明 ♂モンク、♀騎士に気付いているかも不明 現在地:E-7 (F-7付近) ---- | [[戻る>2-133]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-135]] |

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