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とけてひとつに
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月明かりに照らされたアメジストを連想させる紫色の生糸に包まれて、
彼女は目覚めのときを待ちわびているかのようにぷるぷると震えていた。
よほど急(せ)いているのか、震動の周期はひどく短く、そして激しい。
時おり発せられる、ん、あはぁっ、とあえぐ声が交わりの行為にも似てひどく艶かしく、
声を聞く私のからだまでおかしな方向にそれていくみたいで、すこし怖い。
ぶるぶる、ぶるぶる。ふるえる繭はさらに小刻みに、さらに激しく。
あえぐ声はさらに淫らに、さらに大きく。
ハヤク、ハヤクと絶頂のときへ向かい駆け登る。
そして───
んんっ、んぁぁぁっ、とひときわ大きな声をあげて彼女は達した。
ぴりぴりぴり、彼女を包む生糸が破れ、内側からは彼女そのものがあらわれる。
異性ならばひとめ見ただけで魂までも魅了されるであろう、妖艶なからだ。
妖しく色づいた唇が内に眠る欲望を喚起させ、たわわに実った白桃のような双丘が本能を駆り立てるのだ。
指に宿った白魚が気を狂わすほどの興奮を、下腹部からこぼれ落ちる蜂蜜が心を溶かすほどの快楽を与えるのだろう。
嬌艶なるアメジスト、まさにそう呼ぶにふさわしい宝石が目の前の彼女だった。
彼女は血のように紅い瞳で私を見るや、ぺろりと舌なめずりをした。
うれしそうに、両の頬を薄紅色に染めながら、しゅるしゅると私に近づく。
どうしてか私は動くこともできず、そんな私に彼女のしなやかな肢体がねっとりと絡みつく。
「さがしておったぞよ、我の新しい器。さぁ、ひとつになるのじゃ」
てらてらと濡れた唇が私の唇と重なる。私の咥内をにゅるりと入り込む彼女の舌。
「んっ、むぁ・・・ふぁっ」
にゅるにゅる、にゅるにゅると彼女の舌が私の舌を陵辱していく。
その腰が落ちそうになる快感と、肉感的な彼女の肌に、私の脳が真白く焼ける。
*** じしゅきせい ***
「どうじゃ、我慢できぬであろう。我とひとつになりたいであろう。
あんずることなどないのじゃ。そなたと我ははじめからひとつになるべくこうしておるのじゃからの」
頭が快楽という名の泉で満ちる。それはあらがえようのないほどの本能。
どうすることもできない衝動に、私はただすがるような目で彼女を見てうなずいた。
溶けていく、私と彼女のからだが一つに交わっていく。
例えるなら砂漠で水を求め、数日間さまよった末に降りはじめた雨を全身で感じているような、暴力のような心地良さ。
一つになるということ以外が考えられなくなってしまうほどの、麻薬。
溶ける、溶けていく。私のこころが彼女のなかへ、ゆっくりと溶けていく。
こころが、自我が、誰かのために流した涙が、溶けていく。
あぁ、なんて───しあわせ
そして私は、ミストレスの転生のために用意された器に過ぎなかった私は、しあわせに満ち溢れて、消えた。
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[[戻る>第二回番外編]]
とけてひとつに
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月明かりに照らされたアメジストを連想させる紫色の生糸に包まれて、
彼女は目覚めのときを待ちわびているかのようにぷるぷると震えていた。
よほど急(せ)いているのか、震動の周期はひどく短く、そして激しい。
時おり発せられる、ん、あはぁっ、とあえぐ声が交わりの行為にも似てひどく艶かしく、
声を聞く私のからだまでおかしな方向にそれていくみたいで、すこし怖い。
ぶるぶる、ぶるぶる。ふるえる繭はさらに小刻みに、さらに激しく。
あえぐ声はさらに淫らに、さらに大きく。
ハヤク、ハヤクと絶頂のときへ向かい駆け登る。
そして───
んんっ、んぁぁぁっ、とひときわ大きな声をあげて彼女は達した。
ぴりぴりぴり、彼女を包む生糸が破れ、内側からは彼女そのものがあらわれる。
異性ならばひとめ見ただけで魂までも魅了されるであろう、妖艶なからだ。
妖しく色づいた唇が内に眠る欲望を喚起させ、たわわに実った白桃のような双丘が本能を駆り立てるのだ。
指に宿った白魚が気を狂わすほどの興奮を、下腹部からこぼれ落ちる蜂蜜が心を溶かすほどの快楽を与えるのだろう。
嬌艶なるアメジスト、まさにそう呼ぶにふさわしい宝石が目の前の彼女だった。
彼女は血のように紅い瞳で私を見るや、ぺろりと舌なめずりをした。
うれしそうに、両の頬を薄紅色に染めながら、しゅるしゅると私に近づく。
どうしてか私は動くこともできず、そんな私に彼女のしなやかな肢体がねっとりと絡みつく。
「さがしておったぞよ、我の新しい器。さぁ、ひとつになるのじゃ」
てらてらと濡れた唇が私の唇と重なる。私の咥内をにゅるりと入り込む彼女の舌。
「んっ、むぁ・・・ふぁっ」
にゅるにゅる、にゅるにゅると彼女の舌が私の舌を陵辱していく。
その腰が落ちそうになる快感と、肉感的な彼女の肌に、私の脳が真白く焼ける。
*** じしゅきせい ***
「どうじゃ、我慢できぬであろう。我とひとつになりたいであろう。
あんずることなどないのじゃ。そなたと我ははじめからひとつになるべくこうしておるのじゃからの」
頭が快楽という名の泉で満ちる。それはあらがえようのないほどの本能。
どうすることもできない衝動に、私はただすがるような目で彼女を見てうなずいた。
溶けていく、私と彼女のからだが一つに交わっていく。
例えるなら砂漠で水を求め、数日間さまよった末に降りはじめた雨を全身で感じているような、暴力のような心地良さ。
一つになるということ以外が考えられなくなってしまうほどの、麻薬。
溶ける、溶けていく。私のこころが彼女のなかへ、ゆっくりと溶けていく。
こころが、自我が、誰かのために流した涙が、溶けていく。
あぁ、なんて───しあわせ
そして私は、ミストレスの転生のために用意された器に過ぎなかった私は、しあわせに満ち溢れて、消えた。
関連話:[[144.Goodbye my princess>2-144]]
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[[戻る>第二回番外編]]
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