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152.不幸なめぐり合わせ [午前中] ---- やってくる。アイツがやってくる。 ホルグレンさんを捕食したアイツが、今度はその口を僕に向けて、やってくる。 いやだ、死ぬのはいやだ。いやだ、痛いのはいやだ。いやだ、生きられないのはいやだ。 こんな死に方は───いやだ。 けれど、そんな♂アコライトの身をすくみあがらせ、絶叫させるほどの恐怖を与えた蟲は、♂アコライトの心の状態などに興味はなかった。 興味があるのは、かの者があまたの蟲を統べる女王ミストレスの器かどうか、それから美味しいのかどうか。それだけである。 では、♂アコライトは器なのか? 否定。 目の前の人間からは器の気配は感じられない。 とすると、蟲の取る行動はひとつしかなかった。空腹を満たすための食事である。 蟲にとってみれば、これまでの食事はとうてい満足のいくものではなかった。 生まれたときに食べた肉は、こってりと脂ばかりのった、味気のないぶよぶよの肉であったし、 先ほどやっとのことでありつけた二度目の肉は、かたく筋張っていて、しかもぱさぱさしていた。 そこへきてようやく、若くてみずみずしい肉に出会えたのである。 ためらう理由など、一片もない。 蟲は、その毒々しく青い体を♂アコライトへ向けると、驚くべき速さで♂アコライト目掛けて飛びかかった。 未成熟なためか人間の大人ほどの大きさではないにせよ、子供よりは大きい青い塊が跳ねたのだ。 ホルグレンが殺されたところを目撃してしまい恐慌状態にある♂アコライトが、あまりの恐怖に気を失うのも無理からぬことであった。 蟲は意図せず腰から崩れ倒れた♂アコライトの上に覆いかぶさるように落下する。 自らの力で倒す手間が省けたのである。これほど楽な狩りはない。 口をあけ、ふぞろいにならぶグロテスクな牙をむき出しにして、 人間の肉の中でも特に好みの部位である喉の肉にかぶりつこうとする。 ところが蟲は、♂アコライトの上に落ちることはできなかった。 ドンッ、と低い音を響かせて蟲は♂アコライトから離れること3メートルほどの位置に弾き飛ばされたのである。 からだの色と同じ、気味の悪いほどに青い体液を撒き散らしながら、蟲は大地をのたうつ。 そこへ先ほどと同じ低い音。さらにもう一度。 音とともに蟲はからだをえぐられ、青い雨を降らせた。 音が10回は続いただろうか、蟲はひくひくとからだをふるわせたまま、ついには声すらも出さなくなった。 「ひとりしか、救えなかったか」 男は岩場のかげからするりとあらわれ、気を失っている♂アコライトに近づき、息を確認する。 サングラスが向いた先には、恐怖に顔をゆがめたホルグレンが、蟲に食いかけられたままのあわれな姿で横たわっていた。 「またオレの目の前で、知っている人が死んだ」 男は喉の奥から絞り出すように、声を出す。組織に身を置いている男にとって死は日常であった。 けれど、ホルグレンは、首都に暮らす善良な民である。 本来ならば死とは無縁の生活を送っているはずの彼の死は、男に、このゲームの悲惨さをあらためて教えたのだ。 「大丈夫だ。絶対にお前を守ってやるからな」 気絶したままの♂アコライトをそのままに、男はすっくと立ち上がる。 独特の呼吸法で深呼吸すると、モンクのみが可能といわれる体外への気の放出を行う。 淡いかがやきを放つ気の塊を自身の周囲に浮遊させ、男はサングラス越しの視線を北の方角に向けた。 「蟲の次は女王様か。魔物が相手なら、遠慮なく殺(や)らせてもらうぞ」 はき捨てるように言って、男は指弾の体勢に入る。 男の視線が捉えるのは、こちらに向かい憤怒の表情を浮かべ、 サベージのごとく突進してくる翡翠色の長髪を持った仮面の女であった。 その者が魔物であることを男は知っている。 その者が油断ならぬ相手であることも男は知っている。 けれど男は知らなかった───その者が♂アコライトの従者であることを。 ジルタスもまた、知らなかった───その者が♂アコライトの命の恩人であることを。 こうして不幸なめぐり合わせによる戦いは始まったのである。 <蟲> <現在地:G-6> <備考:「器」を見つけたらミストレスに知らせる> <状態:死亡 or 瀕死> <♂アコライト> <現在地:G-6> <外見:公式通り> <所持品:なし> <備考:支援型> <状態:気絶中> <グラサンモンク> <現在地:G-6> <所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス> <外見的特徴:csm:4r0l6010i2> <備考:特別枠> 右心臓 ヒール、気功、白刃取り、指弾、金剛、阿修羅使用可能 助けを求める人達を守りたい 参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】     作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記) <状態:ジルタスを敵と認識> <ジルタス> <現在地:G-6> <所持品:種別不明鞭、ジルタス仮面> <備考:首輪を付けられている> <状態:やや麻痺の後遺症が残るが動ける。♂アコライトを助けにいく。 グラサンモンクが♂アコライトを襲ったと誤解> ---- | [[戻る>2-151]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-153]] |
152.不幸なめぐり合わせ [午前中] ---- やってくる。アイツがやってくる。 ホルグレンさんを捕食したアイツが、今度はその口を僕に向けて、やってくる。 いやだ、死ぬのはいやだ。いやだ、痛いのはいやだ。いやだ、生きられないのはいやだ。 こんな死に方は───いやだ。 けれど、そんな♂アコライトの身をすくみあがらせ、絶叫させるほどの恐怖を与えた蟲は、♂アコライトの心の状態などに興味はなかった。 興味があるのは、かの者があまたの蟲を統べる女王ミストレスの器かどうか、それから美味しいのかどうか。それだけである。 では、♂アコライトは器なのか? 否定。 目の前の人間からは器の気配は感じられない。 とすると、蟲の取る行動はひとつしかなかった。空腹を満たすための食事である。 蟲にとってみれば、これまでの食事はとうてい満足のいくものではなかった。 生まれたときに食べた肉は、こってりと脂ばかりのった、味気のないぶよぶよの肉であったし、 先ほどやっとのことでありつけた二度目の肉は、かたく筋張っていて、しかもぱさぱさしていた。 そこへきてようやく、若くてみずみずしい肉に出会えたのである。 ためらう理由など、一片もない。 蟲は、その毒々しく青い体を♂アコライトへ向けると、驚くべき速さで♂アコライト目掛けて飛びかかった。 未成熟なためか人間の大人ほどの大きさではないにせよ、子供よりは大きい青い塊が跳ねたのだ。 ホルグレンが殺されたところを目撃してしまい恐慌状態にある♂アコライトが、あまりの恐怖に気を失うのも無理からぬことであった。 蟲は意図せず腰から崩れ倒れた♂アコライトの上に覆いかぶさるように落下する。 自らの力で倒す手間が省けたのである。これほど楽な狩りはない。 口をあけ、ふぞろいにならぶグロテスクな牙をむき出しにして、 人間の肉の中でも特に好みの部位である喉の肉にかぶりつこうとする。 ところが蟲は、♂アコライトの上に落ちることはできなかった。 ドンッ、と低い音を響かせて蟲は♂アコライトから離れること3メートルほどの位置に弾き飛ばされたのである。 からだの色と同じ、気味の悪いほどに青い体液を撒き散らしながら、蟲は大地をのたうつ。 そこへ先ほどと同じ低い音。さらにもう一度。 音とともに蟲はからだをえぐられ、青い雨を降らせた。 音が10回は続いただろうか、蟲はひくひくとからだをふるわせたまま、ついには声すらも出さなくなった。 「ひとりしか、救えなかったか」 男は岩場のかげからするりとあらわれ、気を失っている♂アコライトに近づき、息を確認する。 サングラスが向いた先には、恐怖に顔をゆがめたホルグレンが、蟲に食いかけられたままのあわれな姿で横たわっていた。 「またオレの目の前で、知っている人が死んだ」 男は喉の奥から絞り出すように、声を出す。組織に身を置いている男にとって死は日常であった。 けれど、ホルグレンは、首都に暮らす善良な民である。 本来ならば死とは無縁の生活を送っているはずの彼の死は、男に、このゲームの悲惨さをあらためて教えたのだ。 「大丈夫だ。絶対にお前を守ってやるからな」 気絶したままの♂アコライトをそのままに、男はすっくと立ち上がる。 独特の呼吸法で深呼吸すると、モンクのみが可能といわれる体外への気の放出を行う。 淡いかがやきを放つ気の塊を自身の周囲に浮遊させ、男はサングラス越しの視線を北の方角に向けた。 「蟲の次は女王様か。魔物が相手なら、遠慮なく殺(や)らせてもらうぞ」 はき捨てるように言って、男は指弾の体勢に入る。 男の視線が捉えるのは、こちらに向かい憤怒の表情を浮かべ、 サベージのごとく突進してくる翡翠色の長髪を持った仮面の女であった。 その者が魔物であることを男は知っている。 その者が油断ならぬ相手であることも男は知っている。 けれど男は知らなかった───その者が♂アコライトの従者であることを。 ジルタスもまた、知らなかった───その者が♂アコライトの命の恩人であることを。 こうして不幸なめぐり合わせによる戦いは始まったのである。 &lt;蟲&gt; &lt;現在地:G-6&gt; &lt;備考:「器」を見つけたらミストレスに知らせる&gt; &lt;状態:死亡 or 瀕死&gt; &lt;♂アコライト&gt; &lt;現在地:G-6&gt; &lt;外見:公式通り&gt; &lt;所持品:なし&gt; &lt;備考:支援型&gt; &lt;状態:気絶中&gt; &lt;グラサンモンク&gt; &lt;現在地:G-6&gt; &lt;所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス&gt; &lt;外見的特徴:csm:4r0l6010i2&gt; &lt;備考:特別枠&gt; 右心臓 ヒール、気功、白刃取り、指弾、金剛、阿修羅使用可能 助けを求める人達を守りたい 参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】     作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記) &lt;状態:ジルタスを敵と認識&gt; &lt;ジルタス&gt; &lt;現在地:G-6&gt; &lt;所持品:種別不明鞭、ジルタス仮面&gt; &lt;備考:首輪を付けられている&gt; &lt;状態:やや麻痺の後遺症が残るが動ける。♂アコライトを助けにいく。 グラサンモンクが♂アコライトを襲ったと誤解&gt; ---- | [[戻る>2-151]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-153]] |

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