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 158 涙雨 ----  ──彼は雨の日が嫌いだった。  しとしと鬱陶しく降り注ぐそれは何時だって彼を責め立てるからだ。  それを見ていると、嫌でも過去を思い出す。  普段なら限界までアルコールを詰め込んだ後に後の事なんて考えず、死んだように眠るのが習慣だった。  嫌な記憶はそれで全て薄靄の掛かった向こう側に追いやってしまう。  無性に、その儀式めいた堕落に身を任せたい気分だった。  ──こういう雨の時には、碌な事が無い。  まるで、酒を流し込んだ後の意識みたいな光景だった。  薄靄がかって、陰鬱で。一時の休息を木を雨避けにする事さえも許さない、とでも言いたいのか。  勿論、今や真っ黒くなっている曇天は彼に答えなんて返しはしないのだが。  しとしと。しとしとしと。  それから、誰かを守る、なんて目標に関して彼はとことん天に見放されているらしい。  そもそも柄じゃなかった。あの一瞬は、天津のニンジャみたいな格好をした男のせいだった。  少し前だってそうだ。守る積りが殺してしまった。  手を血で真っ赤に染めてる奴は、自分で自分の死刑執行礼状に署名している人間で。  そんな人間がそんな真っ当な事を考える事自体、お門違い、と言う奴だったのだろう。  そう言っていいのは罪を支払い終えた奴か、さもなくば狂人だけでオレはそのどちらでもない、と今更ながら彼は思う。  ぴちゃんぴちゃん、と木の葉から雫が滴る音が聞こえる。  ──つくづく、人間と言う奴は因果な生き物だ。何時だって世界の外側の狂人共の好き勝手に操られる。  濡れた下草を踏む音が混じる。  座して、只雨が上がる事を待ちながら瞑目していた彼にとって、それはサングラスが曇る事よりも簡単に認識できる事だった。  立ち上がり、僅かずれていたサングラスを正す。ずきずきと腕が痛んでいたが、意思の力で押し殺した。  どうやら、彼の門を新顔の死神が叩きに来たらしい。  素面で過ごす雨の日は何時だってこうだ。けれど今日は珍しく彼自身がダンスのお相手。  薄ぼんやりと落ち窪んで見える目が、彼を見ていた。 「やあ。始めまして、でいいか?」  サングラスを掛けた彼が苦手なものは、眩しい場所と穏やかな空気。  ぽぅ、と浮かびあがる気弾はウィル・オ・ウィスプ。  迎え火の様に揺らめく。 「───」  死神は、何も言わない。  大鎌の代わりに提げた剣だけがぎらぎら光っている。  結局、サングラスの男は骨の髄まで殺し屋家業に染まってしまっていて。  その過酷な過去も、自傷行為と言える鍛錬でさえも。それを形作る為の物でしかなくなっていた。  意思が伴わぬ偽悪であっても悪は悪。救いようの無い人間である事は代りが無い。  そう。何時だって彼は殺し屋だったし、殺し屋でしかなかった。  自分にそう言うと、慣れない『守る』なんて言葉から開放された様な気分になった。 「一応、言っておくとオレは殺し屋だ。…そう名乗るのも変な話なんだけどな」  だから、この言葉は自分に役割を自覚させる為の引き金だった。  オレは殺し屋。頼まれて人を殺す。今や、あの人たちに顔向けも出来ないクズ野朗。  だけど、必用なら死神にさえあの世の渡し賃をくれてやる。  それでいい。それだけでいい。  気分は冴え渡り、九回の裏。守備投手は守る事よりも目の前のそれを叩きのめす事に専念する。 「ああ、そうだな。それじゃあ俺は殺人鬼だな」  不思議と、そう言う♂クルセイダーに彼は嫌悪を感じなかった。  きっと、彼の虚ろで割れたビー球みたいな目を彼もしているからだろう。  ♂クルセイダーも同じ印象を受けているに違いない。  要するに絶対的にお互いが相容れない存在なのだと気づいていた。  傍目からすれば、殺し屋同士の争いには見えず。  そもそも互いに名乗り合っている時点で、それではなく。  雨が顔を濡らしていた。お互い髪を額に貼り付けて、まるで亡霊みたいな格好だった。 「さて、互いの目的をはっきりさせておこう。オレはお前を殺したい。お前はオレを殺したい。それでいいな」 「──なら、始めから俺を殺せばいいだろう」 「フェアじゃないからな」 「そうか。じゃあ仕方無いな」  淡々としたやり取りが続く。  単に、出合った時からそれは決闘以外の何者でもなかった。  ──ぴちゃん。  また何処かで雫が垂れ落ちる音が聞こえた。  それが合図だった。  ドウッ。  重くくぐもった音を響かせて伸ばしたサングラスの男の指から、指弾が走った。  互いの相対距離は凡そ10m。十分死神の剣の懐だったが、彼もこの距離からは外さない。  越えようの無い距離であり、男の勝利は揺るがない筈だった。  ──その、筈であった。  かぃぃぃん、と世にも涼やかな衝突音が響く。  見れば♂クルセイダーの前には薄緑色をした半透明の盾が一瞬現れていた。  男の指弾と同じようにそれも弱体化しているのだが♂クルセは角度を付け、受け流す事で防いだのだ。  最もそれがあろうと無かろうと、彼はまっすぐに男目掛けて走っただろうが。  見事、と思う暇も無い。滑り込む様な足取りで近づいてきたそいつの脇に鋼の色が輝いていた。  早い。そして冷静に相手の殺害を狙う剣だった。それにこちらは素手。身一つで回避を続けなければならない。  腰を落としていない、指弾使い特有の構えのお陰もあって一度は回避できた。  だが、二度目三度目はわからない。接近戦では明らかに相手に分があった。  懐の外に逃れれば彼の勝ちであるのだろうが、残念ながら残影は習得していない。 「無いモノねだりだとは解ってるが──」 「そんな暇があるなら、神にでも祈ったらどうだ?」  言葉と共に、びっ、と男の片腕に鋭い痛みが走った。  生熱い血が流れ、滴る。  おぼつかない回避を男が繰り返す度、傷ばかりが増えていく。 「がぁ……っ!!」  そんな狂人に祈る言葉は無い、と口の中で怒鳴りながら男は死中の活、とでも呼ぶようなチャンスを探っていた。  出血は遠からず彼の動きを鈍らせ、その命を奪うだろう。  一刻も早く脱出しなければならなかった。  死神に六文銭を叩き付けてやらなければいけない。  ♂クルセイダーの剣が奔る。  ぴっ、と彼の血が跳んだ。それが、足元の水溜りに落ちて消える。  徐々に、剣筋が致命のそれへと変わっていく。  一方的な死合展開。痛みが酷い。傷はまだ癒えているとは言いがたく。  ああ。それでも。一撃だ。  彼の指弾は大砲である。白兵を挑む兵士なぞ、紙切れの如く吹き飛ばして余りある。  ぴちょん、と又水滴が滴った。  雨に濡れた髪は額に張り付き──風も吹いていないと言うのに、勢い良く揺れた。  サングラスの殺し屋が、一瞬の隙を突き、♂クルセイダーから飛びずさった。  濡れたクルセイダーの装束は、酷く重い。元々、外気に曝す事を想定されていないのだ。  対するモンクのそれは、その真逆。  僅かな差だ。けれども、それが殺し屋に勝機を与えていた。  ──笑う。  殺し屋は、雨の日に。  この死地においてこそ。  さも愉快げに。まるで、熱に浮かされたみたいに、笑ってる。  陰鬱な死神とは、まるで真逆みたいで。  そうだ。頭が割れそうになるぐらい、こんな雨の日は嫌いだ。  なら。全て忘れてしまうぐらい、自分を火にくべてしまえばいい。 「──くたばれ」  嗤いながら、殺し屋は呟く。  ──蒼白い光が指先に灯るのも、僅かな時間。  鈍い破裂音を轟かせ、指弾が──  かっ、とその瞬間、殺し屋は己の目を見開いた。  どうした事か。彼が捕らえていた♂クルセイダーは彼を『追ってこない』。  これは一体どういう事か。  暗色に濁るサングラス越しの世界。そこで、その死神は弓みたいに自分の体を引き絞っていて。  その手には、緩く曲線を描き煌く刃……ブレストシミター。まるで、それは矢の様だ。  スローモーション。投擲姿勢を取った♂クルセイダーの腕が、唸りを上げる。  ──そして、指弾と共に一閃の銀光が降りしきる雨を切り裂いた。  彼自身にしても、それに気づいたのと、起していた撃鉄を無視して強引に体を捻った時のどちらが早かったのか理解できなかった。  だずん、と大きな音を立てて殺し屋の真横、彼が雨宿りをしていた木の幹に突き立ち、途端に爆音を上げる。  僅かに、早かった。コンマ数秒前の死を回避して、彼は地面を無様に転がる。勿論、放った指弾は外れたに違いない。 「ぐ…っ」  立ち上がる。見れば、ごうごう音を立てて木が燃え上がっている。  突き立っていた筈のシミターは──無い。♂クルセイダーの姿も見えない。  それで、彼は死神は諦めて立ち去ったのだと悟った。  決闘は、どちらの勝利でもなく物別れに終わったらしい。  ──不意に空を見上げる。  まるで、泣いている様に、相変らずしとしとと雨は降り続いていた。 <グラサンモンク 持ち物状態変化なし 場所F7> <♂クルセイダー 同じく 場所 F7=>移動> <残り:29人> ---- | [[戻る>2-157]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-159]] |
 158 涙雨 ----  ──彼は雨の日が嫌いだった。  しとしと鬱陶しく降り注ぐそれは何時だって彼を責め立てるからだ。  それを見ていると、嫌でも過去を思い出す。  普段なら限界までアルコールを詰め込んだ後に後の事なんて考えず、死んだように眠るのが習慣だった。  嫌な記憶はそれで全て薄靄の掛かった向こう側に追いやってしまう。  無性に、その儀式めいた堕落に身を任せたい気分だった。  ──こういう雨の時には、碌な事が無い。  まるで、酒を流し込んだ後の意識みたいな光景だった。  薄靄がかって、陰鬱で。一時の休息を木を雨避けにする事さえも許さない、とでも言いたいのか。  勿論、今や真っ黒くなっている曇天は彼に答えなんて返しはしないのだが。  しとしと。しとしとしと。  それから、誰かを守る、なんて目標に関して彼はとことん天に見放されているらしい。  そもそも柄じゃなかった。あの一瞬は、天津のニンジャみたいな格好をした男のせいだった。  少し前だってそうだ。守る積りが殺してしまった。  手を血で真っ赤に染めてる奴は、自分で自分の死刑執行礼状に署名している人間で。  そんな人間がそんな真っ当な事を考える事自体、お門違い、と言う奴だったのだろう。  そう言っていいのは罪を支払い終えた奴か、さもなくば狂人だけでオレはそのどちらでもない、と今更ながら彼は思う。  ぴちゃんぴちゃん、と木の葉から雫が滴る音が聞こえる。  ──つくづく、人間と言う奴は因果な生き物だ。何時だって世界の外側の狂人共の好き勝手に操られる。  濡れた下草を踏む音が混じる。  座して、只雨が上がる事を待ちながら瞑目していた彼にとって、それはサングラスが曇る事よりも簡単に認識できる事だった。  立ち上がり、僅かずれていたサングラスを正す。ずきずきと腕が痛んでいたが、意思の力で押し殺した。  どうやら、彼の門を新顔の死神が叩きに来たらしい。  素面で過ごす雨の日は何時だってこうだ。けれど今日は珍しく彼自身がダンスのお相手。  薄ぼんやりと落ち窪んで見える目が、彼を見ていた。 「やあ。始めまして、でいいか?」  サングラスを掛けた彼が苦手なものは、眩しい場所と穏やかな空気。  ぽぅ、と浮かびあがる気弾はウィル・オ・ウィスプ。  迎え火の様に揺らめく。 「───」  死神は、何も言わない。  大鎌の代わりに提げた剣だけがぎらぎら光っている。  結局、サングラスの男は骨の髄まで殺し屋家業に染まってしまっていて。  その過酷な過去も、自傷行為と言える鍛錬でさえも。それを形作る為の物でしかなくなっていた。  意思が伴わぬ偽悪であっても悪は悪。救いようの無い人間である事は代りが無い。  そう。何時だって彼は殺し屋だったし、殺し屋でしかなかった。  自分にそう言うと、慣れない『守る』なんて言葉から開放された様な気分になった。 「一応、言っておくとオレは殺し屋だ。…そう名乗るのも変な話なんだけどな」  だから、この言葉は自分に役割を自覚させる為の引き金だった。  オレは殺し屋。頼まれて人を殺す。今や、あの人たちに顔向けも出来ないクズ野朗。  だけど、必用なら死神にさえあの世の渡し賃をくれてやる。  それでいい。それだけでいい。  気分は冴え渡り、九回の裏。守備投手は守る事よりも目の前のそれを叩きのめす事に専念する。 「ああ、そうだな。それじゃあ俺は殺人鬼だな」  不思議と、そう言う♂クルセイダーに彼は嫌悪を感じなかった。  きっと、彼の虚ろで割れたビー球みたいな目を彼もしているからだろう。  ♂クルセイダーも同じ印象を受けているに違いない。  要するに絶対的にお互いが相容れない存在なのだと気づいていた。  傍目からすれば、殺し屋同士の争いには見えず。  そもそも互いに名乗り合っている時点で、それではなく。  雨が顔を濡らしていた。お互い髪を額に貼り付けて、まるで亡霊みたいな格好だった。 「さて、互いの目的をはっきりさせておこう。オレはお前を殺したい。お前はオレを殺したい。それでいいな」 「──なら、始めから俺を殺せばいいだろう」 「フェアじゃないからな」 「そうか。じゃあ仕方無いな」  淡々としたやり取りが続く。  単に、出合った時からそれは決闘以外の何者でもなかった。  ──ぴちゃん。  また何処かで雫が垂れ落ちる音が聞こえた。  それが合図だった。  ドウッ。  重くくぐもった音を響かせて伸ばしたサングラスの男の指から、指弾が走った。  互いの相対距離は凡そ10m。十分死神の剣の懐だったが、彼もこの距離からは外さない。  越えようの無い距離であり、男の勝利は揺るがない筈だった。  ──その、筈であった。  それは如何なる幸運か。  外れる筈の無かった指弾は、♂クルセイダーの殺意を恐れたかの様に、 紙一重──彼のコメカミを引き裂きながらも、直撃することなく通過していった。  最もそれがあろうと無かろうと、彼はまっすぐに男目掛けて走っただろうが。  不幸を呪う暇も無い。滑り込む様な足取りで近づいてきたそいつの脇に鋼の色が輝いていた。  早い。そして冷静に相手の殺害を狙う剣だった。それにこちらは素手。身一つで回避を続けなければならない。  腰を落としていない、指弾使い特有の構えのお陰もあって一度は回避できた。  だが、二度目三度目はわからない。接近戦では明らかに相手に分があった。  懐の外に逃れれば彼の勝ちであるのだろうが、残念ながら残影は習得していない。  初弾を外してしまった事が酷く痛手になっている。  あるいは、それは先に受けたジルタスからの手傷が原因だったのかもしれない。  鞭は既に外して、一応ヒールもかけておいた筈なのだけれど。 「無いモノねだりだとは解ってるが──」 「そんな暇があるなら、神にでも祈ったらどうだ?」  言葉と共に、びっ、と男の片腕に鋭い痛みが走った。  生熱い血が流れ、滴る。  おぼつかない回避を男が繰り返す度、傷ばかりが増えていく。 「がぁ……っ!!」  そんな狂人に祈る言葉は無い、と口の中で怒鳴りながら男は死中の活、とでも呼ぶようなチャンスを探っていた。  出血は遠からず彼の動きを鈍らせ、その命を奪うだろう。  一刻も早く脱出しなければならなかった。  死神に六文銭を叩き付けてやらなければいけない。  ♂クルセイダーの剣が奔る。  ぴっ、と彼の血が跳んだ。それが、足元の水溜りに落ちて消える。  徐々に、剣筋が致命のそれへと変わっていく。  一方的な死合展開。痛みが酷い。傷はまだ癒えているとは言いがたく。  ああ。それでも。一撃だ。  彼の指弾は大砲である。当たったが最後、白兵を挑む兵士なぞ、紙切れの如く吹き飛ばして余りある。  ぴちょん、と又水滴が滴った。  雨に濡れた髪は額に張り付き──風も吹いていないと言うのに、勢い良く揺れた。  サングラスの殺し屋が、一瞬の隙を突き、♂クルセイダーから飛びずさった。  濡れたクルセイダーの装束は、酷く重い。元々、外気に曝す事を想定されていないのだ。  対するモンクのそれは、その真逆。  僅かな差だ。けれども、それが殺し屋に勝機を与えていた。  ──笑う。  殺し屋は、雨の日に。  この死地においてこそ。  さも愉快げに。まるで、熱に浮かされたみたいに、笑ってる。  陰鬱な死神とは、まるで真逆みたいで。  そうだ。頭が割れそうになるぐらい、こんな雨の日は嫌いだ。  なら。全て忘れてしまうぐらい、自分を火にくべてしまえばいい。 「──くたばれ」  嗤いながら、殺し屋は呟く。  ──蒼白い光が指先に灯るのも、僅かな時間。  鈍い破裂音を轟かせ、指弾が──  かっ、とその瞬間、殺し屋は己の目を見開いた。  どうした事か。彼が捕らえていた♂クルセイダーは彼を『追ってこない』。  これは一体どういう事か。  暗色に濁るサングラス越しの世界。そこで、その死神は弓みたいに自分の体を引き絞っていて。  その手には、緩く曲線を描き煌く刃……ブレストシミター。まるで、それは矢の様だ。  スローモーション。投擲姿勢を取った♂クルセイダーの腕が、唸りを上げる。  ──そして、指弾と共に一閃の銀光が降りしきる雨を切り裂いた。  彼自身にしても、それに気づいたのと、起していた撃鉄を無視して強引に体を捻った時のどちらが早かったのか理解できなかった。  だずん、と大きな音を立てて殺し屋の真横、彼が雨宿りをしていた木の幹に突き立ち、途端に爆音を上げる。  僅かに、早かった。コンマ数秒前の死を回避して、彼は地面を無様に転がる。勿論、放った指弾は外れたに違いない。 「ぐ…っ」  立ち上がる。見れば、ごうごう音を立てて木が燃え上がっている。  突き立っていた筈のシミターは──無い。♂クルセイダーの姿も見えない。  それで、彼は死神は諦めて立ち去ったのだと悟った。  決闘は、どちらの勝利でもなく物別れに終わったらしい。  ──不意に空を見上げる。  まるで、泣いている様に、相変らずしとしとと雨は降り続いていた。 <グラサンモンク 持ち物変化なし ♂クルセとの交戦により、軽症を受ける。 前回交戦時の傷は応急手当のみ。 場所F7> <♂クルセイダー 同じく 場所 F7=>移動> <残り:29人> ---- | [[戻る>2-157]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-159]] |

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