「2-160」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

2-160」(2006/02/18 (土) 08:45:02) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

160 沈む心 [午後(雨の降り出す前)] ---- どうして。 ♂アコライトの思考はただひとつの言葉で支配されていた。 蟲に襲われたところで記憶が途切れ。 それから目を覚ました彼がはじめに見たものは血に塗れた彼の従者であった。 どうして、どうして貴女が死ななければならないんですか。 貴女は僕の傍にずっといてくれるんじゃなかったんですか。 ジルタスさん。貴女は。あなたは…… 初めて会ったときはひたすら恥ずかしかった。 色事に今まで縁がなかったものだから、彼女にどう接すればいいのかもわからなかったし、目のやり場にも困った。 しかし殺しあわなければいけないという極限の状況で、彼の精神を支えていたのは彼女だった。 ♂ローグに襲われたときに、彼女が身を挺して彼を守ってくれた時から、彼自身もそれを実感するようになっていた。 だからはぐれてしまってからも、彼女との合流を願っていたのだ。 だが、再び♂アコライトが彼女を見たときにはすでに―― お願いです、ジルタスさん。起きてください。 僕がこれまでどれほど貴女に救われてきたか。どれだけ貴女が大切な存在だったか――今頃になって気づいたんです。 だからもう一度、僕をご主人様と呼んで、笑顔を見せてほしいんです。もう恥ずかしがったりなんかしませんから。 震える手で♂アコライトはジルタスの仮面に手をかけた。 仮面を取った彼女の顔は初めて見たが、とても美しいと♂アコライトは思った。 もっとも、その素顔で微笑んでくれる日はもう永遠にこないのだけれども。 しばらく呆然としていた♂アコライトが、♂ハンターと淫徒プリの会話に気がついたのは果たして運命なのだろうか。 彼は今まで二人の存在にすら気づいていなかったというのに。 吸い寄せられるように二人に近づく。気取られないぎりぎりの位置で彼は立ち止まった。 ジルタスの傷が蟲によるものではない。それを聞いた瞬間、彼の体を戦慄が走った。 ならば誰がやったのか。一言も聞き逃すこともしたくない。♂アコライトは神経を耳に集中させた。 ――あの潰れるような傷の付き方は、おそらくモンクの拳によるものでしょう。 淫徒プリのその言葉が、彼の耳を、脳を雷光のように貫いた。 ♂アコライトの思考が沈んでいく。 今までとは真逆に、それ以後の会話がまるで聞こえなくなるまでに――泥に飲まれたかのようにただ深く。 モンクが、モンクの奴が貴女を殺したんですね、ジルタスさん。 あいつら、神罰の代行者なんて言ってるけど口ばっかりだ。だって何も悪くない貴女を殺したんですから。 ああ、貴女を殺した罪深い奴なんか、地獄に落ちてしまえばいいのに。 ジルタスさんを殺しておいてのうのうと生きるそいつが憎い。憎い憎い憎い。 心の中で叫ぶ。自分の黒い感情に気づいたとき、彼の思考が凍りつく。 それが♂アコライトが以前の彼であった最後の瞬間だった。 そうだ……僕がそいつを殺せばいいんですよね。ふふ、こんなことに気づかなかったなんてどうかしてました。 そいつには、ジルタスさんの何十倍もの痛みと苦しみを与えてやります。そして最後は、僕の手で地獄に落とす。 そう、罪人は地獄に落ちて、煉獄の炎に焼かれる苦しみを永遠に味わえばいいんです。 神は復讐をお許しにはならないでしょうが、それでもいい。僕は結局は神の僕ではなく、人間なのですから。 どこかある意味では純粋な♂アコライトの思考。 だがその危険性は、暗い影となって彼の表情に表れる。 彼の瞳に宿る妖しい光を感じ取った淫徒プリは微かな寒気すら覚え、彼を視線で追う。 ♂アコライトはジルタスのもとに戻っただけで何をするわけでもなかったのだが。 慟哭していた先ほどとは一転して、穏やかな表情でジルタスの傍に座る♂アコライトに、淫徒プリは底知れぬ不安を感じていた。 土葬の前に、ホルグレンから少し離れた場所に転がっていたメイスを手に取った彼を、誰も咎めようとはしなかった。 ♀BSはそれに気づくことができるほど冷静ではなかったし、♂スパノビは咎めるようなことはしない。 ♀アルケミストは自分の策略に思考を巡らせていた。 もし気づいたとしても彼女であれば、ただでさえ貧弱なのだから武器くらい持って少しはましになればいい、と思っただろう。 淫徒プリは微かな不安を覚えてはいたのだが、彼は♂アコライトの暗黒面が自分達に牙を剥くことはないだろうと考えていた。 ♂ハンターを追うと決まったときに、♂アコライトは微かな笑みを浮かべた。 ♂ハンターはジルタスを殺害した人間を追いにいったのだろうとは、彼も薄々感じていたからだ。 ジルタスさん、見ていますか? 僕、これから貴女を殺した奴を探しにいくんです。 途中で邪魔をされなければいいのだけれど。まぁ、邪魔をするような奴も死んでしまえばいいと思います。 貴女を殺したやつを見つけたら、目いっぱいの苦しみを与えてやりますね。ふふふ……楽しみだなぁ。 僕にもできますよね? ジルタスさん。――いえ、やってみせます。 僕、頑張りますから。どうか見守っていてくださいね。 少年は闇に堕ちた。皮肉にも彼を守ろうとした男が、彼を狂わせてしまったのだ。 それは♂アコライトのうかがい知れぬ、守りたいと思う心の衝突により生じた悲しい運命。 ジルタスとグラサンモンクの間で起きた誤解――それを知らない♂アコライトの心は、ただ闇に沈む。 <♂ハンター> 現在地:G-6→? 所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢 外見:マジデフォ金髪 備考:極度の不幸体質 D-A二極ハンタ 状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。 <♂アコライト> 現在地:G-6→? 所持品:ジルタス仮面(ジルタスの遺品) メイス 外見:公式通り 備考:支援型 状態:ジルタスの死のショックにより狂気を帯びる。♂ハンターを追う。 <淫徒プリ> 現在地:G-6→? 所持品:女装用変身セット一式 青箱1 外見:女性プリーストの姿 美人 備考:策略家。Int>Dexの支援型 状態:軽度の火傷。魔法力の連続行使による多少の疲労。♂ハンターを追う。 <♀ケミ> 現在地:G-6→? 所持品:S2グラディウス、青箱2個+青箱1個(♂BSの物) カード帖(ホルグレンの遺品) 外見:絶世の美女 備考:策略家。製薬ステ。やっぱり悪 状態:軽度の火傷。♂ハンターを追う。 <♀BS> 現在地:G-6→? 所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品) 外見:むちむち。カートはない 備考:ボス、筋肉娘 状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。父(ホルグレン)の死にショックを受け精彩を欠く。♂ハンターを追う。 <♂スパノビ> 現在地:G-6→? 所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり 外見:巨漢、超強面だが頭が悪い 状態:瀕死状態から脱出。眠りからは覚めている。♂ハンターを追う。 ---- | [[戻る>2-159]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-161]] |
160 沈む心 [午後(雨の降り出す前)] ---- どうして。 ♂アコライトの思考はただひとつの言葉で支配されていた。 蟲に襲われたところで記憶が途切れ。 それから目を覚ました彼がはじめに見たものは血に塗れた彼の従者であった。 どうして、どうして貴女が死ななければならないんですか。 貴女は僕の傍にずっといてくれるんじゃなかったんですか。 ジルタスさん。貴女は。あなたは…… 初めて会ったときはひたすら恥ずかしかった。 色事に今まで縁がなかったものだから、彼女にどう接すればいいのかもわからなかったし、目のやり場にも困った。 しかし殺しあわなければいけないという極限の状況で、彼の精神を支えていたのは彼女だった。 ♂ローグに襲われたときに、彼女が身を挺して彼を守ってくれた時から、彼自身もそれを実感するようになっていた。 だからはぐれてしまってからも、彼女との合流を願っていたのだ。 だが、再び♂アコライトが彼女を見たときにはすでに―― お願いです、ジルタスさん。起きてください。 僕がこれまでどれほど貴女に救われてきたか。どれだけ貴女が大切な存在だったか――今頃になって気づいたんです。 だからもう一度、僕をご主人様と呼んで、笑顔を見せてほしいんです。もう恥ずかしがったりなんかしませんから。 震える手で♂アコライトはジルタスの仮面に手をかけた。 仮面を取った彼女の顔は初めて見たが、とても美しいと♂アコライトは思った。 もっとも、その素顔で微笑んでくれる日はもう永遠にこないのだけれども。 しばらく呆然としていた♂アコライトが、♂ハンターと淫徒プリの会話に気がついたのは果たして運命なのだろうか。 彼は今まで二人の存在にすら気づいていなかったというのに。 吸い寄せられるように二人に近づく。気取られないぎりぎりの位置で彼は立ち止まった。 ジルタスの傷が蟲によるものではない。それを聞いた瞬間、彼の体を戦慄が走った。 ならば誰がやったのか。一言も聞き逃すこともしたくない。♂アコライトは神経を耳に集中させた。 ――あの潰れるような傷の付き方は、おそらくモンクの拳によるものでしょう。 淫徒プリのその言葉が、彼の耳を、脳を雷光のように貫いた。 ♂アコライトの思考が沈んでいく。 今までとは真逆に、それ以後の会話がまるで聞こえなくなるまでに――泥に飲まれたかのようにただ深く。 モンクが、モンクの奴が貴女を殺したんですね、ジルタスさん。 あいつら、神罰の代行者なんて言ってるけど口ばっかりだ。だって何も悪くない貴女を殺したんですから。 ああ、貴女を殺した罪深い奴なんか、地獄に落ちてしまえばいいのに。 ジルタスさんを殺しておいてのうのうと生きるそいつが憎い。憎い憎い憎い。 心の中で叫ぶ。自分の黒い感情に気づいたとき、彼の思考が凍りつく。 それが♂アコライトが以前の彼であった最後の瞬間だった。 そうだ……僕がそいつを殺せばいいんですよね。ふふ、こんなことに気づかなかったなんてどうかしてました。 そいつには、ジルタスさんの何十倍もの痛みと苦しみを与えてやります。そして最後は、僕の手で地獄に落とす。 そう、罪人は地獄に落ちて、煉獄の炎に焼かれる苦しみを永遠に味わえばいいんです。 神は復讐をお許しにはならないでしょうが、それでもいい。僕は結局は神の僕ではなく、人間なのですから。 どこかある意味では純粋な♂アコライトの思考。 だがその危険性は、暗い影となって彼の表情に表れる。 彼の瞳に宿る妖しい光を感じ取った淫徒プリは微かな寒気すら覚え、彼を視線で追う。 ♂アコライトはジルタスのもとに戻っただけで何をするわけでもなかったのだが。 慟哭していた先ほどとは一転して、穏やかな表情でジルタスの傍に座る♂アコライトに、淫徒プリは底知れぬ不安を感じていた。 土葬の前に、ホルグレンから少し離れた場所に転がっていたメイスを手に取った彼を、誰も咎めようとはしなかった。 ♀BSはそれに気づくことができるほど冷静ではなかったし、♂スパノビは咎めるようなことはしない。 ♀アルケミストは自分の策略に思考を巡らせていた。 もし気づいたとしても彼女であれば、ただでさえ貧弱なのだから武器くらい持って少しはましになればいい、と思っただろう。 淫徒プリは微かな不安を覚えてはいたのだが、彼は♂アコライトの暗黒面が自分達に牙を剥くことはないだろうと考えていた。 ♂ハンターを追うと決まったときに、♂アコライトは微かな笑みを浮かべた。 ♂ハンターはジルタスを殺害した人間を追いにいったのだろうとは、彼も薄々感じていたからだ。 ジルタスさん、見ていますか? 僕、これから貴女を殺した奴を探しにいくんです。 途中で邪魔をされなければいいのだけれど。まぁ、邪魔をするような奴も死んでしまえばいいと思います。 貴女を殺したやつを見つけたら、目いっぱいの苦しみを与えてやりますね。ふふふ……楽しみだなぁ。 僕にもできますよね? ジルタスさん。――いえ、やってみせます。 僕、頑張りますから。どうか見守っていてくださいね。 少年は闇に堕ちた。皮肉にも彼を守ろうとした男が、彼を狂わせてしまったのだ。 それは♂アコライトのうかがい知れぬ、守りたいと思う心の衝突により生じた悲しい運命。 ジルタスとグラサンモンクの間で起きた誤解――それを知らない♂アコライトの心は、ただ闇に沈む。 <♂ハンター> 現在地:G-6→? 所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢 外見:マジデフォ金髪 備考:極度の不幸体質 D-A二極ハンタ 状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。 <♂アコライト> 現在地:G-6→? 所持品:ジルタス仮面(ジルタスの遺品) メイス 外見:公式通り 備考:支援型 状態:ジルタスの死のショックにより狂気を帯びる。♂ハンターを追う。 <淫徒プリ> 現在地:G-6→? 所持品:女装用変身セット一式 青箱1 外見:女性プリーストの姿 美人 備考:策略家。Int>Dexの支援型 状態:軽度の火傷。魔法力の連続行使による多少の疲労。♂ハンターを追う。 <♀ケミ> 現在地:G-6→? 所持品:S2グラディウス、青箱2個+青箱1個(♂BSの物) カード帖(ホルグレンの遺品) 外見:絶世の美女 備考:策略家。製薬ステ。やっぱり悪 状態:軽度の火傷。♂ハンターを追う。 <♀BS> 現在地:G-6→? 所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品) 外見:むちむち。カートはない 備考:ボス、筋肉娘 状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。父(ホルグレン)の死にショックを受け精彩を欠く。♂ハンターを追う。 <♂スパノビ> 現在地:G-6→? 所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり 外見:巨漢、超強面だが頭が悪い 状態:瀕死状態から脱出。眠りからは覚めている。♂ハンターを追う。 <残り:29人> ---- | [[戻る>2-159]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-161]] |

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
人気記事ランキング
目安箱バナー