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165.契約完了 [2日目昼:雨の前] ---- 殺される。殺される。殺される。 追いつかれたら、どうしようもないほどに殺される。 いまの私ではなんの抵抗もできずに、もてあそばれて、殺される。 ドワーフの作る金細工のように細やかでうつくしい髪がみだれることもいとわずに、少女は森の中を駆けていた。 およそ普段の生活ではありえないほどの運動量に、肺が酸素をもとめてわめきたてている。 足りない、まだ足りない、と少女の小さな口はせかされていた。 それでも少女は止まるわけにはいかない。 少女にとっては、ここが正念場であった。 ほんのついさっきまでは、少女は守られる立場であったのだ。 けれどいまは、違う。 いまの少女を守ってくれるものは誰もいない。 生き抜いて、彼の仇を討つためには、少女は自分ひとりの力でなんとかしなければならないのである。 さいわいにも、少女を追ってくる男は身体能力の上では、少女とそれほどかわらないらしかった。 いや、魔法という奇蹟をあつかう力をのぞけば、男はむしろ、少女よりも劣っているらしい。 そのせいもあってか、この命をかけた鬼ごっこの軍配は、少女にあがった。 男は森の中で、少女を見失ってしまったのである。 一度少女の姿が見えなくなってしまい、気配までもが消えてしまうと、男が少女を見つけ出すことは困難であった。 男は手近な木の幹に、右手の刃物を突き刺して悔しがった。 なんどもなんども突き刺して、それで多少は気が済んだのか、 左目につけた片眼鏡をはずし、服の裾を使って磨きなおすと、もういちどはめこむ。 「残念です。あと少しというところだったのですが・・・・」 しかし男の表情はすでに冷静さを取り戻しており、瞳は氷のように、冷たい感情を放っていた。 「ちょうどいい機会です。もうひとつの青箱もあけておくとしましょう」 わずかに口もとをゆるめてそう言うと、男は荷袋から取り出した青い箱のふたを丁寧な手つきで開きはじめた。 「・・・」 「・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 男は無言のまま、なにも見なかったことにしてふたを閉じようとした。 ところがふたの中にいたそれが、そうはさせまいと鋭くとがった槍のようなもので男の手をしたたかに突き刺した。 わずかにうめいた男の手から、ぼとりと青箱がこぼれ落ちた。 「痛いゾ、ニンゲン」 それは不思議な抑揚で、人の言葉を話した。 夜のように黒い体毛におおわれた、羽根の生えた奇妙な生き物が、そこにいた。 満月のように丸い目が、男を見ているのであろうか、大きく開かれている。 「まさかデビルチが入っているとは、どうやらこの青箱は普通ではないようですね」 刺された左手を痛そうにさすりながら、男は視線をデビルチと称した生き物に向けて放った。 ひとりと一匹の視線がにわかにぶつかりあう。 「悪くない目をシているナ、ニンゲン。  悪魔と契約ヲしても、成し遂げタい願いを持った目ダ」 よろこびを含んだ声が、デビルチの口から発せらると、その内容に、男も少しだけ口端をつりあげる。 「えぇ、私の願いはひとつだけです。そのためならば、悪魔にもなりましょう」 「いいゾ、ニンゲン。汝の力にナろウ。  コトが成されタあかつキには、相応のモノはモらうけどナ」 「構いませんよ」 男はどこからか+10スティックキャンディーを取り出し、すっとデビルチに差し出す。 「契約成立ダ。担保代わリに受け取っておくゾ」 デビルチはそう言うと、矛を持っていない方の手でスティックキャンディーを受け取り、 ふさがった両手でリズムをとりながら踊りはじめた。 男は忘れられない彼女との記憶の中から、その踊りがデビルチの契約の儀式であることを思い出し、微笑した。 こうして男はこのゲームでは貴重な貴重な、殺戮の同行者を手に入れたのであった。 〈♂WIZ〉 現在地 E-7 所持品 コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子     未開封青箱1つ レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード スキル サイト サイトフラッシャー ファイヤーピラー クァグマイア ファイヤーウォール     フロストダイバー 備 考 「研究」のために他者を殺害 黒髪 土気色肌 丁寧口調 マッド     ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害     フードを洗って使えるようにするか、♀ノービスを見失った     デビルチと主従関係の契約 〈デビルチ〉 現在地 E-7 所持品 +10スティックキャンディ 備考  悪魔 ♂WIZと主従関係の契約 〈♀ノービス〉 現在地 E-7 所持品 未開封青箱1つ スキル しんだふり 外 見 ノビデフォ金髪 備 考 E-7の森の中を逃走中 ---- | [[戻る>2-164]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-166]] |
165.契約完了 [2日目昼:雨の前] ---- 殺される。殺される。殺される。 追いつかれたら、どうしようもないほどに殺される。 いまの私ではなんの抵抗もできずに、もてあそばれて、殺される。 ドワーフの作る金細工のように細やかでうつくしい髪がみだれることもいとわずに、少女は森の中を駆けていた。 およそ普段の生活ではありえないほどの運動量に、肺が酸素をもとめてわめきたてている。 足りない、まだ足りない、と少女の小さな口はせかされていた。 それでも少女は止まるわけにはいかない。 少女にとっては、ここが正念場であった。 ほんのついさっきまでは、少女は守られる立場であったのだ。 けれどいまは、違う。 いまの少女を守ってくれるものは誰もいない。 生き抜いて、彼の仇を討つためには、少女は自分ひとりの力でなんとかしなければならないのである。 さいわいにも、少女を追ってくる男は身体能力の上では、少女とそれほどかわらないらしかった。 いや、魔法という奇蹟をあつかう力をのぞけば、男はむしろ、少女よりも劣っているらしい。 そのせいもあってか、この命をかけた鬼ごっこの軍配は、少女にあがった。 男は森の中で、少女を見失ってしまったのである。 一度少女の姿が見えなくなってしまい、気配までもが消えてしまうと、男が少女を見つけ出すことは困難であった。 男は手近な木の幹に、右手の刃物を突き刺して悔しがった。 なんどもなんども突き刺して、それで多少は気が済んだのか、 左目につけた片眼鏡をはずし、服の裾を使って磨きなおすと、もういちどはめこむ。 「残念です。あと少しというところだったのですが・・・・」 しかし男の表情はすでに冷静さを取り戻しており、瞳は氷のように、冷たい感情を放っていた。 「ちょうどいい機会です。もうひとつの青箱もあけておくとしましょう」 わずかに口もとをゆるめてそう言うと、男は荷袋から取り出した青い箱のふたを丁寧な手つきで開きはじめた。 「・・・」 「・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 男は無言のまま、なにも見なかったことにしてふたを閉じようとした。 ところがふたの中にいたそれが、そうはさせまいと鋭くとがった槍のようなもので男の手をしたたかに突き刺した。 わずかにうめいた男の手から、ぼとりと青箱がこぼれ落ちた。 「痛いゾ、ニンゲン」 それは不思議な抑揚で、人の言葉を話した。 夜のように黒い体毛におおわれた、羽根の生えた奇妙な生き物が、そこにいた。 満月のように丸い目が、男を見ているのであろうか、大きく開かれている。 「まさかデビルチが入っているとは、どうやらこの青箱は普通ではないようですね」 刺された左手を痛そうにさすりながら、男は視線をデビルチと称した生き物に向けて放った。 ひとりと一匹の視線がにわかにぶつかりあう。 「悪くない目をシているナ、ニンゲン。  悪魔と契約ヲしても、成し遂げタい願いを持った目ダ」 よろこびを含んだ声が、デビルチの口から発せらると、その内容に、男も少しだけ口端をつりあげる。 「えぇ、私の願いはひとつだけです。そのためならば、悪魔にもなりましょう」 「いいゾ、ニンゲン。汝の力にナろウ。  コトが成されタあかつキには、相応のモノはモらうけどナ」 「構いませんよ」 男はどこからか+10スティックキャンディーを取り出し、すっとデビルチに差し出す。 「契約成立ダ。担保代わリに受け取っておくゾ」 デビルチはそう言うと、矛を持っていない方の手でスティックキャンディーを受け取り、 ふさがった両手でリズムをとりながら踊りはじめた。 男は忘れられない彼女との記憶の中から、その踊りがデビルチの契約の儀式であることを思い出し、微笑した。 こうして男はこのゲームでは貴重な貴重な、殺戮の同行者を手に入れたのであった。 〈♂WIZ〉 現在地 E-7 所持品 コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子       レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード スキル サイト サイトラッシャー ファイヤーピラー クァグマイア ファイヤーウォール     フロストダイバー 備 考 「研究」のために他者を殺害 黒髪 土気色肌 丁寧口調 マッド     ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害     ♀ノービスを見失った     デビルチと主従関係の契約 〈デビルチ〉 現在地 E-7 所持品 +10スティックキャンディ 備考  悪魔 ♂WIZと主従関係の契約 〈♀ノービス〉 現在地 E-7 所持品 未開封青箱1つ スキル しんだふり 外 見 ノビデフォ金髪 備 考 E-7の森の中を逃走中 ---- | [[戻る>2-164]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-166]] |

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