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173.Forest in the Rain 【2日目午後】 ---- 「やー、ホントに降り出しましたね、雨。さっきまでお天気良かったのに、いやはや~」 巨大な木の下の、巨大なうろの中に、明るい声が少し反響する。 「・・・うん。鳥さんが、教えてくれたから」 少しはにかみながらそう言う♀ハンターに、♀スーパーノービスはふくれた振りをした。 「もう、こんな素敵な力があるんなら、なんでもっと早く教えてくれなかったんですかー。私と♀ハンターさんの仲だって言うのにっ」 勿論、♀スーパーノービスが全てを解っている上での冗談ではあるが、気恥ずかしさに♀ハンターは首を傾げた。 彼女達は森から森へと、木々の間を縫うように移動していた。森の中であれば、他の参加者や敵意のあるものに発見され難いということ、また発見されたとしても身を隠し易いということが利点として挙げられる。逆に言えば、こちらからも他の参加者の接近に気づき難いということでもあるのだが、彼女達の場合は♀ハンターに味方する野鳥達が情報として周囲の人の動きを知らせてくれる。当然、森であればそんな野鳥達も多く、言わば森は♀ハンターの『領域(テリトリー)』であるとも言えた。 「・・・あ」 ふっと♀ハンターが顔を上げる。 「どうしました?」 「あの、さっきの・・・だけど。木が、燃えてるって」 先程、二人は少し遠くで爆発音のような音を聴いている。やはり、この森の中で何かがあったというのは間違いなさそうだ。 気付くと雨音に混じって、種類は解らないものの鳥の鳴き声が微かに聴こえた。♀ハンターはこの鳥と『会話』しているのだろう。 「クルセイダーと、モンクさん・・・どちらも男の人で、・・・あの、会ったらきっと、・・・・・・殺される、って。あ、大丈夫・・・この場所にいれば、会うことはないって・・・今のところ」 立ち上がりかけた♀スーパーノービスに、♀ハンターは鳥から得た情報の概要を説明する。 「クルセイダーさんにモンクさん・・・その方達に会うのは危険だって、覚えとかなきゃいけませんね」 ♀スーパーノービスは少しだけ険しい顔をしたが、冷たい腐葉土の上に座り直した時にはその表情はいつもの暢気なものに戻っていた。 「とは言え、火が燃えてるのに気付いた誰かさんがこの辺りに集まって来ないとは限りません。濡れちゃいますケド、もう少し雨が小降りになってきたら、移動した方がいいかもですね」 ♀ハンターは頷くと、この冷たそうな雨の中に飛び出して行くことを思って身震いした。 「・・・・・・寒そうですよね」 ♀スーパーノービスと視線を交わし、二人で苦笑する。   *  *  * 【幕間 その頃のふぁる】 ――寒ぃ・・・・・・ぜぇ・・・・・・羽根が重い・・・・・・ぜぇ・・・はぁ・・・・・・、畜生、こんな雨ン中までオレサマが来てやったってのに・・・・・・、ドコに隠れてンだアイツは・・・・・・!!   *  *  * 「・・・思ったより凄いことになってますね。でも、これは・・・・・・」 辺り一面は黒焦げ、という表現が最も似合うであろう様相を呈していた。木々が、土が、そして――人が、燃え尽きた跡が残されている。 「この雨で火が消えちゃったにしても、煙も出てないし・・・」 「あの、誰か、誰か近くにいる?」 ♀ハンターの声に応えるように、ちちちと言う鳥の鳴き声が雨の中に聴こえた。姿は見えないが、雨でも木々の間に鳥達は沢山隠れているのだろう。そのまま小声で♀ハンターは何かを話し始めた。 「ね、ね、おねえちゃん」 この状況を整理しようと頭の中が忙しかったためか、おねえちゃん、というのが自分のことであると気付くのに、一瞬の間があった。♀スーパーノービスは苦笑しながら訊く。 「はいはい、何でしょう~」 「燃えてるのは、この場所じゃないって。ここは、時間はわかんないけど・・・、昨日、燃えてたみたいだって」 「昨日・・・?」 ちらりと、黒い人の形をした塊を見る。 「あ、おねえちゃん・・・」 それに近付く♀スーパーノービスに不安そうな声をかけるが、構わず♀スーパーノービスは黒い屍とその周りを調べ始めた。衣服は既に炭になってしまったらしく、見ただけでは参加者のうち誰なのかは判別がつかない。 「・・・女性の方、みたいですね」 定時放送で名を呼ばれた女性参加者を思い出してみたが、数が多過ぎて、やはり判断はできそうにない。 諦めて、他に遺留品はないかと周囲を見回したところ、少し離れたところに短剣と、何か黒い塊が転がっていた。拾いあげてみると、煤は付着しているものの、それ自体は別に燃えてしまったわけではないことが解る。大きさは両手で抱え上げることができる程度、見た目ほど重くはない。何やらからくり仕掛けの小箱のようだ。 「ねね、♀ハンターさん。これ、何だかわかります?」 雨に濡れたその黒い物体を♀ハンターに見せると、答が返ってきたことに♀スーパーノービスは少し意外そうな表情を見せた。何気なく訊いてみただけで、♀スーパーノービスとしてもこの黒い物体の正体の手がかりになるとは思わなかったからだ。 「それ、トラップですね」 「トラップ?」 「うん。設置用トラップがあれば、あたしでも作れるくらいの。それはもう、出来上がったものみたい。トーキーボックスって言って」 ハンターの設置用スキルのひとつ、トーキーボックス。♀スーパーノービスにも、それがどういったものであるのか、という知識はあった。 「これ、まだ使えます?」 「うん、多分。壊れてなければ」 何かに使えるような気がするのだが、今は何も思いつかない。とりあえず、拾っておいて損はないだろう。 「じゃ、これは♀ハンターさんに預けておきますね。それと、これ」 トーキーボックスと一緒に、拾った短剣を♀ハンターに渡す。 「あれ、これ・・・」 「見たところ、フォーチュンソードみたいですね。♀ハンターさん、持っておいてください」 「でも、おねえちゃんのほうがこういう武器、使えるんじゃ・・・」 「私にはホラ、これがちゃんとありますから」 そう言って腰から抜いたダマスカスをひらひらさせると、 「護身用ですよ、一応ね。それに、持ってるだけで幸せになれるって言いますから、その短剣は」 ♀スパノビはウインクすると、強引にフォーチュンソードを♀ハンターの腰に挿し込んだ。 「さ、行きましょうか。♀ハンターさん、鳥さんなびげーとの方、宜しくお願いしますよっ」 目を閉じ、静かに動かぬ骸に手を合わせると、♀スーパーノービスは歩き始めた。慌てて♀ハンターも同じようにすると、後を着いて行こうとした時、くしゅんっと声がした。 「・・・どこか安全な、雨宿りできる場所見つけたいですね~」 雨はまだ振り止む気配を見せない。 <♀ハンター 現在位置・・・F-7> <所持品:スパナ 古い紫色の箱 設置用トーキーボックス フォーチュンソード> <スキル:ファルコンマスタリー ブリッツビート スチールクロウ> <備考:対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは??? 島にいる鳥達が味方> <状態:びしょ濡れ。♀スパノビを信頼> <♀スパノビ 現在位置・・・F-7> <外見:csf:4j0610m2> <所持品:S2ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒> <スキル:集中力向上> <備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)> <状態:びしょ濡れ。♀ハンターの生い立ち、鳥との会話能力を知る> ---- | [[戻る>2-172]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-174]] |

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