「2-177」(2006/03/21 (火) 21:11:07) の最新版変更点
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177.人と魔と
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「しかし主人ヨ、おぬしはもう少し冷酷かと思っておったのだがナ。」
従者である、デビルチが主である♂WIZに言った。
「先ほどの♂マジの件ですか?」
「そうダ。別の実験に使ったとはイえ、あれほどたやすくカレる者も残っておるまいに。」
歩調を健気にも♂WIZに合わせながら言う。
「たしかにそうでしょうね。実力差もありましたし、戦力差もありました。
あそこまで相手を圧倒するチャンスはもう無いかもしれませんね。」
♂WIZはあっさり認める。それはつまり意図的に見逃したと言ったも同然である。
「なれバ、なぜ見逃した?あの約束は守ルほどのものであったか?」
デビルチは以外に突っ込んで追求してくる。♂WIZは苦笑して答えた。
「確かに約束もあります。それに魂の探求にも、実験は必要です。
ですが、見逃した理由には、もう一つあるのですよ。」
そう言って♂WIZはとんがり帽子を左手ではずした。そして帽子を眺めながら、
思い出すように話し出した。
「そうですね、私と彼の立場が似ていたからですよ。彼の境遇は、あなたと契約を
結ぶ少し前の私に似ていたのです。」
そう言うと、持っていたとんがり帽子を目深に被り直した。その仕草をデビルチは
下から見上げる。可愛らしい手であご?をさすりながら質問してくる。
「主人ヨ、似ているとはドコノことだ?たしかに二人とも魔術師ではアルが、
逆に言えばそれくらいしか、共通点がナイぞ?まさか、主人モギャンブルで
生き残ったのか?」
デビルチにそう聞かれ、♂WIZは口元に自嘲的な笑みを浮かべた。
「その通りです。実は私も1%以下の賭けに乗らざるを得なかったことがあったのです。
そして、それに打ち勝った。そこが私と彼の共通点です。」
「なるほどナ、♂マジの中に己を見たか。たしかにそれではコロセンナ。」
デビルチはようやく合点が言ったと、うれしそうにキキキと笑う。
が、♂WIZは少し物思いに耽る。
(私が賭けに勝った時、♂アサシンは死んだ。しかし、私が賭けに負けた今回、
私は生き残っている。命を奪い合うこの島で、賭けに負けて、しかし生き残り、
一つの実験の被験者も得られた。幸運と言っていいだろう。)
♂マジと♀マジに施した実験は順調なようだ。魔法で確認してみると、距離こそ
離れているが、方向は大体合っている。♂マジに正しい方向を教えたのには理由がある。
二人が近づくことで、距離感がある程度判ってくる。そうなれば、方向と距離で
彼女の魂の位置が特定できるようになるはずである。それに、二人を感じ取れなれば、
それは二人が死んだことを意味し、そちらに危険(おそらくはマーダラー)があると
推定することもできる。いわば、二人は♂WIZのレーダーでもあるのだ。
(彼が私から走り去ってから1時間ほど経ちましたか、あの速度でこの距離感、
そして♀マジと彼との距離の縮まり方・・・。ふむ、地図を見ているかのように、
位置関係が分るとよかったのですが、やはり人の視点と同じ感覚でしか、分りませんか。
距離が離れれば、離れるほど、実際の移動距離よりも少なく感じるようですね。
方向は問題ありませんが、距離は遠くなるほど不正確になっていきますね。
このままでは魂の探索など、到底無理ですか・・・。まだまだ改良が必要ですね。)
先ほどまで、明るかった空が暗くなってきた。遠くの雲が稲妻を孕んでいるのが見える。
どうやら、一雨来そうだ。♂WIZは雨宿りできる場所があるか、周囲を見渡す。
すると、先の方に民家が見える。何件かあるようだ。
「主人ヨ、あの家に一時避難するカ?」
「ええ、雨に濡れても体力を消耗するだけですし、そんな環境で戦闘になって、
勝利するには、なかなか骨が折れるでしょう。ですが、屋内なら最悪待ち伏せも
できます。接近戦は余儀なくされますが、反面私の魔法も避けようがなくなります。
あなたが足止めすれば、例え身を隠したローグでも発見することができるので、
警戒する場所を限定できる屋内は、私たちにとってそんなに悪い環境ではないはずです。」
そう言った♂WIZに、デビルチは特に反論することもなく、従った。
♂WIZは素早く民家に近づき、窓から中を窺う。特に異常は見られない。デビルチを
中に先行させる。ハイディングなどで隠れていないとも限らない。が、中は本当に、
もぬけの空の様だ。雨が周囲にぽつぽつと降り出してきた。とりあえずはここで、
雨宿りもいいだろう。ただ、周囲には何件か民家があるので、その中に他の参加者が
いないとも限らない。暗くなってから、デビルチを偵察に行かせるのもいいだろう。
暗がりで体の黒いデビルチは、しかしハイディングなどの隠遁の技を見破る目を持つ。
そういう意味ではうってつけだ。
♂WIZは外からは見えない位置へ移動して、床のホコリを払うと、
ゆっくりと腰を降ろした。そして、鞄から食料を取り出し、半分にちぎって、
片方をそばにたたずむデビルチに与える。デビルチはトライデントを肩に立てかけて、
両手で食料を受け取り、一口で放り込んだ。うまそうにもしゃもしゃ食べている。
その様子を見ながら、♂WIZは襲撃者への対策と雨が止んだあとのことを考えていた。
<♂Wiz>
位 置:D-5(民家内で休息中)
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアピラー クァグマイア ファイアウォール
フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
備考 :「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害
デビルチと主従契約
<デビルチ>
現在地:D-5(民家内で休息中)
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備考 :悪魔 ♂WIZと主従契約
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