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183.代償 [夕方~夜付近] ---- 冷やりとした感覚が体を支配していく。 指先から、頭から、体全体へと伝わっていくように。 しびれるような傷の痛みも今はもうない。 ヒタヒタと忍び寄る死の感覚。 確実に迫ってくる終焉。 ――俺は……死ぬのか―― ――まだ、生きなければいけないのに―― ――俺は、俺はまだ―― ――ねぇ―― ――死ねない…死ねないんだ―― ――ねぇ、ねぇってば―― ――誰……だ…?―― ――君は何をしているの?―― ――生きるために…闘っている―― ――何と闘っているの?―― ――決まっている……敵とだ―― ――う~ん、じゃあなんで闘ってるの?―― ――さっきも言っただろう……生きるためだ―― ――あれ、そうだっけ?それじゃ、なんで闘わなくちゃいけないの?―― ――なん…で…?―― ――うん、なんで闘わなくちゃいけないの?―― ――闘わなければいけない……そういう場所だから…だ―― ――じゃあ……どうして君はそういう場所にいるの?―― ――どうして―― ――まるで…地獄みたいな所じゃない…不安、殺戮、恐怖、惨殺、不信、裏切り、赤く染まっていく体……血に塗れた手―― ――何が…言いたいんだ―― ――別に……ただ私は、なんで君がそんな事をしてるのか…しりたかっただけ―― ――なんで……なんでなんだろう、な―― ――わからないの?―― ――ああ、わからない…な―― ――それじゃ…もう最後に一個だけきくね―― ――なんだ…?―― ――君って笑えなかったっけ?―― 「う……ぁ……」 ゆっくりと眼を開ける。 まず視界に入るのは自分の左手、それから砂浜。 ゆっくりと指先に力を込める、ふるふると震えながらも手は握れた。 「生きて…いる……」 体全体がひんやりとしている、体の感覚は無いに等しい。 わずかに動かせる部分はないかと体中に力をこめる、しかし思いとは裏腹に体は弱弱しい反応を返すばかり。 (だめ、か…血を流しすぎた…体温も奪われた、か……) (ひとまずは……生きていることを喜ぼう……) (寝ていれば体力は回復するだろう……少しでも…動くことが、できれば……) 視線だけを動かして周囲を観察する、うつ伏せに転がっているために確認できる範囲はかなり狭かった。 目に付くのはほんの数十センチ先にある小さな清流。 ちろちろと流れるそれはどうやら体の下半身もぬらしているらしい。 次に目に付くのは小枝程度の流木。 湿ったものが大半だが、奥にあるものは乾燥しているのもあるようだ。 うまく使えば火をおこすこともできるだろう。 周囲を観察しているうちに段々と体に血が通っていくのを彼は実感した。 と同時に背中にズキリとした痛みが走る。 「ぐぁ……」 (そう、か……刺されたんだったな) 血が通ったせいで痛みを実感する事になってしまった事に、彼はむしろ喜んだ。 自分の外傷の確認、失った機能、戦闘能力の低下、自分の身体状況。 それらをすばやく確認することができるから。 わずかに動くようになった左手を動かして左目に軽く触れてみる。 (左目……は、もう見えんな) (その上……焼けどのおまけつき、か……) (まさに泣き面に蜂……というやつだ) (這いずるようには…動けるか。だが得策ではない、な) (せめて……たって歩けるようには、ならんと、な) 体力が回復するまではそこに横たわっている事に決めた彼はゆっくりと右目を閉じる。 口で静かに、大きく呼吸をしながら回復をまつ。 (世界というものは本当に広い…広いな……) (自分よりも強い奴ら等は沢山いる……それは今までの事でわかっていたはず…) (俺は……どうかしている……) (何故♀ローグにあんな事を言った……何故♀アコに止めを刺さなかった……) (目の前で殺すチャンスがあった奴も沢山いた……なのになぜ……) (指輪……そうか指輪か……) (あの子に……銀の指輪をあげたら…お礼に花の指輪をくれたんだっけ……?) (だめだ……何を考えている…らしくない…らしくないぞ……♂クルセ……) (闘うことだけ考えていればいい……俺はまだ死ねない……) <♂クルセイダー> 現在位置:D-3 髪型:csm:4j0h70g2 所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ナイフ(背中に刺さったまま) 状態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身    精神不安定 ---- | [[戻る>2-182]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-184]] |

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