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another 目覚め ---- 首筋の冷たい感触は彼に避けられない死を感じさせた。 押し当てられたカタールの刃は命を奪う死神の鎌で、死神は彼の背後で、彼をあざけるように笑っていた。 「安いねぇ。あんたの命は安すぎるよ。そんな安物を買ったアタシはなんて不幸なんだろうね」 男が意外に思うほど、死神の声は美しくやわらかな女性の声だった。 抑揚にどこか底意地の悪さが見え隠れするあたり、この女はもしかするとひどく若いのかもしれない。 男はそう思った。 けれど男は後ろを振り向くこともできず、顔を確認することもできないので、しかたなく悪態をつくことにした。 どうせ自分の命は女の思うがままなのだ。いっそ怒らせて、憤怒の表情をさせて殺された方が幾分かは気も晴れよう。 気分が晴れたところで殺されるのだから意味はないということを考えないようにして、男は口を開いた。 「なんだ、アサシンってやつは殺すことよりもしゃべることに夢中になるものなのか?  それともいつでも殺せるって立場に酔ってんのか? どっちにしてもたいしたアサシンじゃないな。  俺がお前の立場だったらなにも言わせることなく即座に殺してるぜ。あんた、まぬけか?」 男の言葉を女はふっと鼻で笑った。 どんな大層な御託を並べるかと期待して、この程度の悪態しかでなかったことに女は自嘲したい気分になったのかもしれない。 「あんたもアサシンだってのに随分とまぁ行儀のいいアサシンだね。  もっとアタシをゾクゾクさせてくれるような醜い罵倒の言葉を吐いてくれると期待したんだけど、残念だよ。  あぁ、残念。こんなんじゃすこしも感じられないじゃないか」 男は───♂アサシンは───絶句した。どうやら相手の女は変わっているを通り越して変態だったらしい。 死を押し付けられた人間の今わの際に吐く罵詈雑言を期待するなんていうのは、悪趣味このうえないことだ。 それを言うとアサシンという職業自体はどうなのだという気もしなくもなかったが、とりあえず♂アサシンは閉口した。 「おや、だんまりかい。つれないねぇ。顔はサドっ気がありそうなわりに、心はマゾだったりするのかい?  いいよ、それならそれで、すこしずつ切り刻んであげようかね」 直後、首に当てられていたカタールが放された。とんだ女の気まぐれに、これ幸いと♂アサシンは脱兎のごとく地面を蹴った。 「まだまだ元気じゃないか。うんうん、やる気じゅうぶん。そうでなくっちゃね」 ギィンとカタールがぶつかり合う金属音が響いた。そのたびに青白い火花がはじけ、夜の闇の中でわずかな灯りとなった。 ♂アサシンの目がとらえた女の顔は、彼が想像した通りに、若かった。もしかすると自分より年下かもしれない。 そう思えるほど、戦っている女の顔は少女のもので、全体的に小さく、瞳だけがどんぐりのようにくりくりとして、かわいらしかった。 もっとも戦っている最中に相手のことをかわいらしいなどと思う余裕は、限りなくなかったのではあるが。 何合目になるかわからない回数カタールをぶつけ合って、♂アサシンは少女が自分に手加減をしているような気がした。 どうにも手ごたえらしい手ごたえがなく、うまくかわされているような気がしたのだ。 これには♂アサシンの心も少々平静さを乱した。 「お前、やっぱり自分の優位さに酔ってんじゃねぇか!」 語気を強くして、同時にカタールをすさまじいほどの高速で少女の体を目掛けて叩き込んだ。 少女は避ける。目覚しいほどの動きでカタールの八連攻撃を避ける。 そんなもの目を閉じたって避けられるさと少女のくりくりとした瞳が笑った。 あまりにあざやかにソニックブローを回避されたことで、♂アサシンの思考は逆に冷静さを取り戻した。 はっきりとまともにやりあったときの勝機のなさを実感したのだ。 とすると彼が生き延びるためにできることは、いかに上手く逃げるか、この一点に絞られた。 「───サイト」 ♂アサシンがクローキングを使おうとした矢先に、少女はぼそりとそうつぶやいた。 ♂アサシンがこのタイミングで暗闇にまぎれて逃げようとするなんてことを、少女はお見通しだったのだ。 ♂アサシンが舌打つ暇もなく、目の前には少女のカタールが、その刃先が迫っていた。 それを紙一重のところで避けて、♂アサシンはふところに忍ばせていた石ころを投げつけた。 少女はカタールの柄ともいえる部分を使ってうまく石をはじくと、♂アサシンに向けて背中を向けた。 これも読まれてるのかよ、と♂アサシンは内心でびくついた。 彼はちょうどバックステップで逃げようと思ったところだった。しかしお互いが背を同じ方向に向けていたのでは、逃げ切ることはできそうにない。 (待てよ・・・・・・こっちに背中向けてるまぬけに逃げる必要なんてないじゃないか・・・・・・) 相手の無防備さに気がついたのか、♂アサシンは大きく跳躍し、少女の背中を袈裟斬りすべくカタールを振りかぶった。 いまだに少女は先ほど使ったサイトのせいでハイディングもクローキングも使えない状態だった。 つまりこの一撃を少女は避けることができない。♂アサシンは少女のまぬけさに感謝した。 ところが♂アサシンが斬りさいたのは、虚空だった。 まったくもって信じられない跳躍力だった。少女は♂アサシンの急襲すらも読み切って真上に高く飛び上がったのだ。 ♂アサシンはまんまと罠にひっかかったのだ。 ♂アサシンの頭上から少女のカタールが牙を剥いた。身軽なアサシンとはいっても全体重を乗せた攻撃だ。受けきれるものではない。 そう判断し、♂アサシンはいちかばちかの賭けに出た。少女のカタールが突きではなく、斬りであることに賭けたのだ。 咄嗟に伏せ、腹を地面にこすらせるようにして、♂アサシンは相手の攻撃が通過することを祈った。 風切り音を立てて♂アサシンの頭上をカタールの刃が通過した。♂アサシンの勘は的中したのだ。 四肢すべてを使って♂アサシンは後方に跳んだ。次の攻撃がくる前に体勢を立て直そうと思ったのだ。 ところが、二撃目は来なかった。 少女がなぜか、その場に立ちつくしていたのだ。 一瞬これなら逃げられると思ったが、♂アサシンはなぜか逃げなかった。 逃げるよりも攻撃の手を止めた理由を聞きたかったのだ。 「なんでそこで止めるんだ? お前はどうみたって俺より強いはずだぜ」 不満そうにこぼす♂アサシンの声を聞いて、少女はからからと笑った。 少女らしからぬ笑い方だった。 「やめだよ、やめやめ。あんたを殺すのは、いまはやめさ」 「どういうつもりだ?」 「どうもこうもないさ。アタシはね、未熟な果実は食べない主義なんだよ。よーく熟れて、甘くなってから食べるのが好きなのさ」 夜闇で表情はわからなかったため、♂アサシンは少女の真意を測り損ねていた。 そのことを敏感に察したのか、少女は回りくどい言い方をやめた。 「あんたがもうちょっと強くなったら殺そうって思っただけさ。あんたは強くなるよ。ちゃんと人を殺せるようになりさえすればね」 するどく刺すような口調に、♂アサシンは動揺するしかなかった。 自分が人を殺したことがないことを、彼女は看破していたのだ。そして、殺すことを覚えてこい、そう言ったのだ。 「アタシの依頼はね、いつまでたっても人を殺す依頼を受けようとしないあんたを始末しろってことだったのさ。  好きな女のためだかなんだか知らないけどね。あんただってアサシンだろ、なにをうじうじしてんだい。  一度殺しに手を染さえすれば、あんたは間違いなく強くなるよ」 「なるほどね、さすがにアサシンギルドのお偉いさんも、人を殺さないアサシンには厳しいってわけだ。  それなら俺を殺す必要は、もうないぜ」 「どういうことだい?」 「俺はもう、彼女を守ってやる必要なんてなくなったのさ。彼女はあいつが守ってくれるからな。  だから大丈夫、俺は人殺しを断らない。それであんたの依頼も終了だろ」 どこかふっきれたように話す♂アサシンの声は、さびしさとやさしさがまぜこぜになったような声だった。 「なんだ、つまんないねぇ。せっかくアタシがなぐさめてあげようと思ったのに、もう諦めがついてんじゃないか」 「ロリコンじゃあるまいし、年下には興味ないな」 「アタシが年下だと思ってるんなら間違いだよ。アタシは童顔なだけなんだからね。  それにあんた、アタシのことまんざらでもないだろう? 戦ってる最中だってのにあんたがアタシを見る目は女を見る目だったじゃないか」 少女らしからぬ色付いた声を出す目の前のアサシンに、♂アサシンは言葉に詰まった。 図星だったのだ。 先ほどの戦いの中でサイトの炎越しに見た彼女に、♂アサシンが惹かれていたのは隠しようのない事実だった。 (おかしいな・・・・・・俺の好みは♀WIZみたいな、色香にあふれる大人な女性だったはずなんだが・・・・・・) するすると近寄ってくる♀アサシンを、♂アサシンは牽制することができなかった。 気がつけば彼女は吐く息の音が聞こえそうな距離まで近づいており、♂アサシンの背中にはいつのまにか彼女の両手が回されていた。 「いろいろと鍛えてあげるよ。アサシンとしても、男としても、ね」 光のない夜、二つの影が一つに重なった。 まぁ、いいか、と♀アサシンのやわらかな唇の感触を♂アサシンは深く考えもせず堪能することにした。 これがまさかロリコンへの目覚めになることなど、このときの彼は夢にも思っていなかった。 ---- [[戻る>第二回番外編]]
another 目覚め ---- 首筋の冷たい感触は彼に避けられない死を感じさせた。 押し当てられたカタールの刃は命を奪う死神の鎌で、死神は彼の背後で、彼をあざけるように笑っていた。 「安いねぇ。あんたの命は安すぎるよ。そんな安物を買ったアタシはなんて不幸なんだろうね」 男が意外に思うほど、死神の声は美しくやわらかな女性の声だった。 抑揚にどこか底意地の悪さが見え隠れするあたり、この女はもしかするとひどく若いのかもしれない。 男はそう思った。 けれど男は後ろを振り向くこともできず、顔を確認することもできないので、しかたなく悪態をつくことにした。 どうせ自分の命は女の思うがままなのだ。いっそ怒らせて、憤怒の表情をさせて殺された方が幾分かは気も晴れよう。 気分が晴れたところで殺されるのだから意味はないということを考えないようにして、男は口を開いた。 「なんだ、アサシンってやつは殺すことよりもしゃべることに夢中になるものなのか?  それともいつでも殺せるって立場に酔ってんのか? どっちにしてもたいしたアサシンじゃないな。  俺がお前の立場だったらなにも言わせることなく即座に殺してるぜ。あんた、まぬけか?」 男の言葉を女はふっと鼻で笑った。 どんな大層な御託を並べるかと期待して、この程度の悪態しかでなかったことに女は自嘲したい気分になったのかもしれない。 「あんたもアサシンだってのに随分とまぁ行儀のいいアサシンだね。  もっとアタシをゾクゾクさせてくれるような醜い罵倒の言葉を吐いてくれると期待したんだけど、残念だよ。  あぁ、残念。こんなんじゃすこしも感じられないじゃないか」 男は───♂アサシンは───絶句した。どうやら相手の女は変わっているを通り越して変態だったらしい。 死を押し付けられた人間の今わの際に吐く罵詈雑言を期待するなんていうのは、悪趣味このうえないことだ。 それを言うとアサシンという職業自体はどうなのだという気もしなくもなかったが、とりあえず♂アサシンは閉口した。 「おや、だんまりかい。つれないねぇ。顔はサドっ気がありそうなわりに、心はマゾだったりするのかい?  いいよ、それならそれで、すこしずつ切り刻んであげようかね」 直後、首に当てられていたカタールが放された。とんだ女の気まぐれに、これ幸いと♂アサシンは脱兎のごとく地面を蹴った。 「まだまだ元気じゃないか。うんうん、やる気じゅうぶん。そうでなくっちゃね」 ギィンとカタールがぶつかり合う金属音が響いた。そのたびに青白い火花がはじけ、夜の闇の中でわずかな灯りとなった。 ♂アサシンの目がとらえた女の顔は、彼が想像した通りに、若かった。もしかすると自分より年下かもしれない。 そう思えるほど、戦っている女の顔は少女のもので、全体的に小さく、瞳だけがどんぐりのようにくりくりとして、かわいらしかった。 もっとも戦っている最中に相手のことをかわいらしいなどと思う余裕は、限りなくなかったのではあるが。 何合目になるかわからない回数カタールをぶつけ合って、♂アサシンは少女が自分に手加減をしているような気がした。 どうにも手ごたえらしい手ごたえがなく、うまくかわされているような気がしたのだ。 これには♂アサシンの心も少々平静さを乱した。 「お前、やっぱり自分の優位さに酔ってんじゃねぇか!」 語気を強くして、同時にカタールをすさまじいほどの高速で少女の体を目掛けて叩き込んだ。 少女は避ける。目覚しいほどの動きでカタールの八連攻撃を避ける。 そんなもの目を閉じたって避けられるさと少女のくりくりとした瞳が笑った。 あまりにあざやかにソニックブローを回避されたことで、♂アサシンの思考は逆に冷静さを取り戻した。 はっきりとまともにやりあったときの勝機のなさを実感したのだ。 とすると彼が生き延びるためにできることは、いかに上手く逃げるか、この一点に絞られた。 「───サイト」 ♂アサシンがクローキングを使おうとした矢先に、少女はぼそりとそうつぶやいた。 ♂アサシンがこのタイミングで暗闇にまぎれて逃げようとするなんてことを、少女はお見通しだったのだ。 ♂アサシンが舌打つ暇もなく、目の前には少女のカタールが、その刃先が迫っていた。 それを紙一重のところで避けて、♂アサシンはふところに忍ばせていた石ころを投げつけた。 少女はカタールの柄ともいえる部分を使ってうまく石をはじくと、♂アサシンに向けて背中を向けた。 これも読まれてるのかよ、と♂アサシンは内心でびくついた。 彼はちょうどバックステップで逃げようと思ったところだった。しかしお互いが背を同じ方向に向けていたのでは、逃げ切ることはできそうにない。 (待てよ・・・・・・こっちに背中向けてるまぬけに逃げる必要なんてないじゃないか・・・・・・) 相手の無防備さに気がついたのか、♂アサシンは大きく跳躍し、少女の背中を袈裟斬りすべくカタールを振りかぶった。 いまだに少女は先ほど使ったサイトのせいでハイディングもクローキングも使えない状態だった。 つまりこの一撃を少女は避けることができない。♂アサシンは少女のまぬけさに感謝した。 ところが♂アサシンが斬りさいたのは、虚空だった。 まったくもって信じられない跳躍力だった。少女は♂アサシンの急襲すらも読み切って真上に高く飛び上がったのだ。 ♂アサシンはまんまと罠にひっかかったのだ。 ♂アサシンの頭上から少女のカタールが牙を剥いた。身軽なアサシンとはいっても全体重を乗せた攻撃だ。受けきれるものではない。 そう判断し、♂アサシンはいちかばちかの賭けに出た。少女のカタールが突きではなく、斬りであることに賭けたのだ。 咄嗟に伏せ、腹を地面にこすらせるようにして、♂アサシンは相手の攻撃が通過することを祈った。 風切り音を立てて♂アサシンの頭上をカタールの刃が通過した。♂アサシンの勘は的中したのだ。 四肢すべてを使って♂アサシンは後方に跳んだ。次の攻撃がくる前に体勢を立て直そうと思ったのだ。 ところが、二撃目は来なかった。 少女がなぜか、その場に立ちつくしていたのだ。 一瞬これなら逃げられると思ったが、♂アサシンはなぜか逃げなかった。 逃げるよりも攻撃の手を止めた理由を聞きたかったのだ。 「なんでそこで止めるんだ? お前はどうみたって俺より強いはずだぜ」 不満そうにこぼす♂アサシンの声を聞いて、少女はからからと笑った。 少女らしからぬ笑い方だった。 「やめだよ、やめやめ。あんたを殺すのは、いまはやめさ」 「どういうつもりだ?」 「どうもこうもないさ。アタシはね、未熟な果実は食べない主義なんだよ。よーく熟れて、甘くなってから食べるのが好きなのさ」 夜闇で表情はわからなかったため、♂アサシンは少女の真意を測り損ねていた。 そのことを敏感に察したのか、少女は回りくどい言い方をやめた。 「あんたがもうちょっと強くなったら殺そうって思っただけさ。あんたは強くなるよ。ちゃんと人を殺せるようになりさえすればね」 するどく刺すような口調に、♂アサシンは動揺するしかなかった。 自分が人を殺したことがないことを、彼女は看破していたのだ。そして、殺すことを覚えてこい、そう言ったのだ。 「アタシの依頼はね、いつまでたっても人を殺す依頼を受けようとしないあんたを始末しろってことだったのさ。  好きな女のためだかなんだか知らないけどね。あんただってアサシンだろ、なにをうじうじしてんだい。  一度殺しに手を染さえすれば、あんたは間違いなく強くなるよ」 「なるほどね、さすがにアサシンギルドのお偉いさんも、人を殺さないアサシンには厳しいってわけだ。  それなら俺を殺す必要は、もうないぜ」 「どういうことだい?」 「俺はもう、彼女を守ってやる必要なんてなくなったのさ。彼女はあいつが守ってくれるからな。  だから大丈夫、俺は人殺しを断らない。それであんたの依頼も終了だろ」 どこかふっきれたように話す♂アサシンの声は、さびしさとやさしさがまぜこぜになったような声だった。 「なんだ、つまんないねぇ。せっかくアタシがなぐさめてあげようと思ったのに、もう諦めがついてんじゃないか」 「ロリコンじゃあるまいし、年下には興味ないな」 「アタシが年下だと思ってるんなら間違いだよ。アタシは童顔なだけなんだからね。  それにあんた、アタシのことまんざらでもないだろう? 戦ってる最中だってのにあんたがアタシを見る目は女を見る目だったじゃないか」 少女らしからぬ色付いた声を出す目の前のアサシンに、♂アサシンは言葉に詰まった。 図星だったのだ。 先ほどの戦いの中でサイトの炎越しに見た彼女に、♂アサシンが惹かれていたのは隠しようのない事実だった。 (おかしいな・・・・・・俺の好みは♀WIZみたいな、色香にあふれる大人な女性だったはずなんだが・・・・・・) するすると近寄ってくる♀アサシンを、♂アサシンは牽制することができなかった。 気がつけば彼女は吐く息の音が聞こえそうな距離まで近づいており、♂アサシンの背中にはいつのまにか彼女の両手が回されていた。 「いろいろと鍛えてあげるよ。アサシンとしても、男としても、ね」 光のない夜、二つの影が一つに重なった。 まぁ、いいか、と♀アサシンのやわらかな唇の感触を♂アサシンは深く考えもせず堪能することにした。 これがまさかロリコンへの目覚めになることなど、このときの彼は夢にも思っていなかった。 関連話:[[121.再会>2-121]] ---- [[戻る>第二回番外編]]

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