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193.夜空に輝くもの [二日目 夜~定時放送前] ---- 「おや・・。あのお嬢さんと♂騎士は生き残りましたか・・・。」 すっと左手でとんがり帽子のつばを持ち、帽子を被り直す。 「キキキー、主人ヨ、当てが外れたナ。」 いい加減重いので下ろしたデビルチが、♂WIZの反応が楽しみだとでも言うように、 見上げながら言ってきた。♂WIZはふぅ、とため息を漏らし、彼女たちがいる民家を見る。 「まさか、イグドラシルの実とは・・・。しかも半分にして使うとは・・・。  全く予想していませんでしたよ。あの状態で生き残れるとは・・・。  詰めが甘かったですね。やはり止めは刺すべきでしたか。完全に私のミスです。」 ♂WIZはめずらしくも自らの非を認める。デビルチは何度かうなずくと、 持っているトライデントで、件の民家を指した。 「反省もヨイガ、主人ヨ、これからドウするのだ?生き残ってはいるが、 見てきた限りデハ満足に動けなさそうだったぞ。」 ♂WIZはデビルチを見る。確かに好機ではある。戦力として数えられるのは、 ♂セージと♂プリースト、♂アルケミスト位だろう。♀WIZと♂騎士は行動不能、 ♂シーフと♀商人は戦力外として、問題はなさそうだ。 だが、♂セージが問題である。デビルチの見聞きしてきたことを整理すると、 ♂セージがかなり厄介である可能性が高い。技能、知識もそうだが、指揮能力が良い。 ♂シーフと♀商人を戦力外としたが、♂セージの指揮能力如何によっては、 立派な戦力となりうる。そうすると、3対2ではなく、5対2となり、 ♀WIZと♂騎士を殺せないばかりか、逆に追い込まれる可能性がある。 「あの♂セージをどうにかしなければ、誰も手に掛けられないでしょう。」 「それほどの者ナノカ?あの男ハ?」 「元々セージとは相性がよくありません。私は魔力をもって魔法を引き起こしますが、  彼らは魔力でもって魔法を打ち消したりできるのです。解りますか?相手は  私が魔法を用意している間に、魔法を打ち消せるのです。打ち出した魔法を  吸収したり、魔法を発動させるために貯めた魔力を奪われたり、魔法の影響を  受け付けない空間を作れたりするのですよ。」 ♂WIZが説明すると、デビルチは民家に向けていたトライデントを、普通に持ち直した。 「確かにソレデは、相性が悪いナ。」 ♂WIZはデビルチの言葉にうなずいて、民家を見ながら言った。 「それに相性とは別に、♂セージは厄介なのですよ。」 その言葉にデビルチは♂WIZを見上げる。 「ほう・・・、まだ何かアルのか。」 「ええ、そうです。あの♂セージ冷静に合理的な判断を下しています。  あなたが聞いてきたように、仲間から反発されることも、  必要ならばあえて言っているようですし、それで誰も反論できないでいるのですから、  ♂セージの発言力と説得力の高さがうかがい知れます。よって、私は厄介な相手と  判断しているのですよ。」 ♂WIZは思案している。どうやって戦うか・・・。改めて件の民家を観察する。 屋根は板張りで、風で飛ばないようにレンガが置かれている。 壁はレンガで作られているが、経年劣化なのかそれほど頑丈ではなさそうだ。 平屋で部屋の数も2つもないだろう。似たような家がいくつかはあるが、 どこも質素な作りをしている。元々ここで暮らすための家ではないのかもしれない。 (さて、どうしますか・・・。♂セージをどうにかしたいですが、まず無理でしょうね。  かといって、そのまま襲撃しても、♀WIZと♂騎士は倒せないでしょうし、  ♂セージと♂アルケミスト、♂プリーストを相手に勝負も無謀ですね。) ♂WIZは片眼鏡をはずして、両目をきつく瞑る。そして上を向いてつけなおす。 もう日が落ちきっており、空には雲が無くなって、代わりに星が見えている。 (もう夜ですか・・・。先ほどの雨を降らせていた雲も、もう随分遠くに行きましたね。  星が随分出てますね。星?・・・、星・・・・。) 「そうですか、星ですか・・・。これは盲点でした。なにもわざわざ襲撃する必要は、  無かったのですね。満足に動けない人が二人もいるのですから、その方が安全ですね。」 ♂WIZの突然の発言にデビルチは怪訝そうな顔をする。 「主人ヨ、何を思いツイた?」 デビルチの問いに対し、♂WIZはこう答えた。 「いえ、相手が出てこないのならば、出てこざるを得ないようにしてしまえば、  良いのですよ。しかも相手は二人も重傷者がいます。その者の移動の補佐でやはり  二人は戦力から外れますから、多くても三人、少なければ一人と戦うだけで済みます。」 「具体的にはドウするのだ?」 「まずは場所を移動します。付いてきてください。」 そう言って♂WIZはデビルチと供に闇の中へ静かに入って行った。 ♂セージは状況を確認している。 まずは、♀WIZと♂騎士の容態。♂騎士のほうは元々の体力のおかげか、 意識は戻っていないが、安定している。このままいけば、問題はないだろう。 一方♀WIZの方は、時々うなされたり、ひきつけを起こしたりする。 予断を許さない状態である。♂プリーストは彼女に付きっ切りで看病している。 次に♂アルケミストと♂プリースト。♂アルケミストは♂騎士の方を看ている。 ハーブやポーションは底をつき、イグドラシルの実やマステラの実なども、 使い切った今、できる事と言えば、汗などをふき取るくらいだが、健気にやっている。 に対し、♂プリーストは相当疲労している。元々殴りプリなのにヒールを連発しており、 今も♀WIZの容態が悪くなりそうになったら、すぐさまヒールを掛けるという、 かなりハードな看病を要求されており、彼の顔色は大分悪くなっている。 後が♂シーフと♀商人。♀商人は♂プリーストの手伝いをしており、 彼女が汗を拭いたり、ひきつけの時に体を押さえてヒールしやすくしている。 ♂シーフの方は部屋の中からではあるが、窓から周囲を覗いて警戒している。 (♂騎士さんはなんとかなるでしょう。だが、♀WIZさんは危険な状態ですね。  イグドラシルの実を半分にして二人の命を救ったのはいいのですが、  効能は半分以下ですか・・・。しばらくはここから動けないですね。  ♂クルセイダーが襲撃してくることはないでしょうが、そのほかのマダラーが  来ないとは限りません。特に♀WIZさんを瀕死にさせた、♂WIZがもっとも  危険ですね。) ♂WIZの追撃を考えて、場所を変えたいものの、変えられない現状が♂セージを、 焦らせる。♀WIZの止めを刺さなかった訳、もしかしたら救助に来た我々の場所を 特定するためにわざと生かしておいたのかもしれない。助け出した♂プリーストは、 おそらくそんなことは考えなかっただろう。だがそれも仕方ない。目の前で瀕死の 旅の仲間がいるのだ。助けることで精一杯だっただろう。 (今この場を襲撃されるのは非常にまずい・・・。何とか対策を練らねば・・・。) ♀WIZの首に巻かれていたマフラーを見る。今は看護のために外されている。 「♂プリさん、♀WIZさんのクローキングマフラーをお借りしたいのですが、  よろしいですか?」 また、少し♀WIZの容態が落ち着いたため、自分の汗を拭う♂プリーストに、 ♂セージが尋ねる。♂プリーストは怪訝そうに言った。 「なぜだ?これは♀WIZさんの物だぞ?どうするつもりだ?」 過度の疲労のためだろう、ひどく棘のある言い方をする。♂プリーストとしては、 ♂セージの申し出は納得がいかなかった。まるで、形見分けかのように聞こえたからだ。 ♂セージは一瞬考えたが、あえて現実を見据えながら♂プリーストに言う。 「彼女が持っていても意味が無いからです。それに今まともに戦えるのは、  私だけでしょう。そのため一人で戦う状況が出てこないとも限りません。  そのときの離脱用の手段は必要です。」 そう言われた♂プリーストはカッとなってしまった。が、すぐに現状を理解する。 ♂セージの言った事は残念ながら正しいのだろう。♂プリーストは度重なるヒールの 行使によって、極度の疲労状態になっているし、♂アルケミストも武器は持っているが、 そんなに戦闘が得意ではない。♂シーフも土壇場になればやってくれるとは思うが、 元々争いは好きではないし、♀商人にいたっては、本人は戦闘型とは言ってはいるが、 『戦い』というイメージすら無い。そうなると現状では♂セージしか満足に戦えない ということになる。 ♂プリーストは一度大きく深呼吸すると、いつもの口調で言った。 「わかった、確かにあんたしか、自由に戦えるのはいねえな。だが、後で必ず 返してくれよ。」 そう言って差し出されたマフラーをもちろんです、と答えて♂セージが受け取る。 と、その時外を警戒していた♂シーフが声を上げた。 「あっ!?あれは・・。♂セージさんっ!!外を見てください!! 何か魔法陣みたいなものが・・・。」 ♂セージが急いで窓から外を見ると、闇の中でも浮かび上がる白い魔法陣が描かれている。 規模は大きい。大魔法には間違いないだろう。♂WIZがストームガストを使えるのは 知っているが、状況から考えてそれの可能性は低い。となるとメテオストームか、 ロードオブヴァーミリオンだろう。 (く、放って置くと、動けない♂WIZさんと♂騎士さんは死んでしまう。  ここから動かざるを得ないようにし、実際に動ける戦力を削ぎに来ましたか。  たった一人に背後から襲撃するかと思えば、この大人数に堂々と挑んでくる。  かなり強かですね・・・。) ♂セージは手早くマフラーを身に着けると、次に起こすべき行動を考えていた。 ♂WIZは深呼吸した。久々に唱えるこの魔法。日々魔法の修練はしているが、 なかなかこの魔法は使う機会がない。それも仕方の無いことである。 元々一人であることが多かった彼は、この魔法を唱える機会が少なかったのだ。 視線を近くに潜むデビルチに送る。デビルチは♂WIZを見て一度うなずき、 トライデントを構え件の民家に目を向けた。♂WIZは視線を民家に戻すと、 思い出すように魔法を詠唱し始めた。白い魔法陣が民家の周辺に現れる。 「天空に在りし、無数の星よ、我が呼びかけに応じよ。」 本当に星が落ちてくるわけではない。自分の魔力で作り上げた炎の玉を落とす だけである。 「我は汝らの力を欲する者なり。」 だが、長い詠唱時間と、込める魔力がただの炎の玉では終わらせない。 本物の隕石に近いものを落とさせるのである。 「我と汝らの力をもって、愚かなる者どもを打ち倒さんことを。」 ♂WIZの右腕が天空へと向けられ、 「メテオストーム!!」 力ある言葉と一緒に振り下ろされた。 断続的な爆発音が屋根の方から聞こえてきた。すごい砂埃が天井から降ってくる。 なんとか持ちこたえた屋根ではあるが、どうやら火が点いてしまったらしい。 屋根から紅い光が地面に照らされてるのが、窓から見える。もう一度メテオストームを 落とされたら、炎と一緒に天井が崩れてくるだろう。速やかにここから退去しなければ ならない。そして、急かすように現れる魔法陣。もはや一刻の猶予も無い。 「♂プリさん、♀WIZさんを背負ってください。♂アルケミさん、あなたは♂騎士を。」 そういって♂セージは出口を探す。 (ドアから出るのは危険だ。狡猾な♂WIZが待ち構えているだろう。  するとやはり、壁に穴を開けてそこから出て行くのが一番安全ですね。) ♂セージは出口であるドアの反対側の壁に向かってファイアーボールを唱えた。 メテオストームで脆くなっていた壁は一撃で崩れた。なんとか人が通れる隙間ができる。 「♂シーフさん、先行してください。ただ、十分警戒してください。」 「はいっ、わかりました!!」 ♂セージに言われ、隙間から身を躍らせる♂シーフ。♂シーフが外に足を一歩踏み出した 瞬間、♂シーフの本能というべきか、『危険』に対する警笛が全身を襲った。 これ以上先に進むな。速やかに戻れ。お前が踏み出した場所から早く戻れ。 今ならまだ間に合う。バックステップしろ。早く早く早く早く早く・・・。 ♂シーフは本能に従い、即座にバックステップした。すると、すぐ目の前で大きな火柱が、 上がったのである。設置魔法のファイアーピラーが発動したのだ。 それを見た♂セージは自分の浅慮を呪った。 (まさか、読まれていたとは・・・。) しかし、すぐさま♂セージは冷静さを取り戻し、頭を切り替える。 (私が作った出口に待ち伏せていたということは、逆にドアの方は手付かずのはず。) 外の魔法陣も消えた。もう間もなく2回目のメテオストームが降り注ぐだろう。 新たに出口を用意する時間もない。♂セージは皆をドアから脱出させることを決め、 自分は別行動をする事に決めた。 崩れた壁の位置が読み通りだったのに、♂シーフが弾かれるようにファイアーピラーを 回避したため、♂WIZは内心面白くなかった。だが、ファイアーピラーを当てることが 目的ではない。家屋内部に彼らを押し留め、家屋ごと彼らを倒すことであった。 死なないにしても、深手を負わせられれば、今後が大分有利になる。 敵は彼らだけではないが、敵であることに変わりは無く、減らせるのなら、 できるだけ減らしておきたい。 2回目のメテオストームが民家に降り注いだ。燃え出していた屋根は、 かなり脆くなっており、隕石が3個ほど着弾すると、音をたてて民家の中に崩れていった。 が、その前に一人、壁の出口から飛び出てきた。姿からして♂セージのようだ。 (まあ、こういう可能性も想定していましたからね。5対2が1対2、上出来でしょう。) ♂セージは崩れそうな民家から飛び出した。♂WIZの姿はすぐにわかった。 魔法は一定の距離を離れすぎては使えない。大魔法とて例外ではない。 (あれが♂WIZですか、♀WIZさんを一度倒しただけあって厄介そうですね。) ♂セージはすばやく遮蔽物に隠れると、魔法を唱え出した。自身の戦闘力を強化する、 オートスペルである。だが、それを察知した♂WIZが即座に反応し、射線をずらして、 ソウルストライクを放ってきた。♂セージは間に合わないと判断し、オートスペルを キャンセルして、マジックロッドを発動させる。2体の英霊が♂セージに吸い込まれる ようにして消えた。 (く、オートスペルを使わせる暇も与えませんか・・・。) 喰らえば当然魔法は中断されるし、キャンセルしてマジックロッドを発動させたが、 吸収されても、さほど問題ないレベルに抑えられたソウルストライク。 つい先ほど大魔法で家屋を攻撃していたとは思えない、繊細な魔法選択。 一方の♂WIZも相手の反応に予想以上のものを感じていた。こちらの魔法に対し、 素早い対応と、当然のように吸い込まれたソウルストライク。1対2と楽観視していたが、 考えを改めねばならない。メテオストームで炙り出されたはずなのに、この冷静さ。 (さすがに一人で出てくるだけの事はありますね・・・。) ♂セージが移動しながらソウルストライクを放ってきた。♂WIZも負けじと、 ソウルストライクを放つ。中空で衝突しお互いのソウルストライクが消滅していく。 今度は♂WIZがフロストダイバーを放つ。♂セージはぎりぎりまで近づいてから、 マジックロッドで吸収する。じわじわと詰められる間合い。♂セージの手には、 ソードブレイカーが握られている。近接戦で仕留める気のようだ。 ユピテルサンダーで間合いを広げようとするが、スペルブレイカーで完成前に妨害される。 (ぐっ、なんて冷静に攻めてくるんだ・・。これでは♂セージを倒すどころか、  デビルチに協力させることもできない。) ♂セージはフリーキャストという技術を用いて、死角に回り込みながら、 魔法を唱えてくる。♂WIZも相殺したりしているが、立ち止まらないと魔法が使えない ために徐々に間合いを詰められる。そして、♂セージの近接間合いに入った。 魔法の撃ち合いから一変し、コンバットナイフとソードブレイカーとが火花を散らす、 近接戦となった。緩急つけて攻撃してくる♂セージに、相手の攻撃を予測して何とか 凌いでいる♂WIZ。なんとかしてクァグマイアを放ちたいが、それすら許さぬ斬撃。 ふと♂セージの口元が動いているのに目が止まる。斬撃を凌いでいた♂WIZが、 ♂セージの詠唱に気が付いたときには、もう魔法は完成していた。 「ファイアーボルト!!」 4本の火の矢が♂WIZを打ち抜く。威力が落ちていて、♂WIZ自身が魔法に耐性が あるとはいえ、動きを止めるには十分だった。♂セージのソードブレイカーが、 ♂WIZの心臓を狙う。遅れてコンバットナイフで受け止めるが、もはや♂セージの 思惑通りになってしまった。受け止めたコンバットナイフごとソードブレイカーで、 押し込まれてソードブレイカーの先端が左腕に突き刺さる。そしてそのまま コンバットナイフを絡め捕り、♂WIZの手から奪い取ってしまったのだ。 すっぽ抜けたコンバットナイフ。破壊されなかったのは、♂WIZの力の無さゆえか。 ソードブレイカーを振るい、遠心力でコンバットナイフを脇に飛ばす♂セージ。 返す刃で♂WIZの首元を狙う。♂WIZはなんとか仰け反ることで回避するが、 バランスを崩して後ろに倒れこんでしまう。♂セージはすばやくソードブレイカーを、 逆手に持ち替え止めを刺そうとした、その時である。耳障りなキーキー音が 聞こえてきたのは・・・。 それがデビルチの使う闇の魔法だと気が付いたときには、♂セージは弾き飛ばされていた。 ダメージこそ大してないが、2~3mほど弾かれる。すぐに身を起こすと、 物陰から出てきたデビルチがトライデントを構えてこっちを見ている。 ♂WIZも倒れた場所から転がりながらデビルチの方に移動して起き上がろうとしている。 (まさか、デビルチが潜んでいたとは・・・。♂WIZも倒し損ねましたが、  手傷は負わせました。すぐには追跡してこないでしょうし、時間も十分稼ぎました。  間合いも開いたことですから、ここは一旦引きますか。) 「♂WIZさん、もしまた付け狙うのでしたら覚悟しておきなさい。」 そう言って♂セージはその場から立ち去った。左腕を押さえながら、♂WIZが立ち上がる。 デビルチが拾ってきたコンバットナイフを受け取ると、黙って鞘にしまう。 (ここから移動しなければ・・・。私が引き起こしたこととはいえ、 この場は目立ちすぎる。どこか休める場所に隠れなくては・・・。) ♂WIZの体はファイアーボルトに打ち抜かれた火傷と、ソードブレイカーで刺された左腕、 そして、なすすべなく追い込まれたという敗北感に打ちのめされる。 「主人ヨ、たしかにセージとは相性がワルかったな。」 デビルチの皮肉に、♂WIZは何も言えなかった。 <♂Wiz> 位 置:D-5 装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子     レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード 外 見:黒髪 土気色肌 スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア  ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報  ストームガスト メテオストーム ソウルストライク  ファイアーボール 備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド     ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害     デビルチと主従契約 軽度の火傷 左腕に刺し傷 ♂セージに対する敗北感     安全なところに移動したい <デビルチ> 位 置:D-5 所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用) 備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約 <♀WIZ> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅 外 見:WIZデフォの銀色 備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂プリ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行 ♂プリに背負われている 状 態:身体のあちこちにまだ傷は残る。瀕死からは脱出 ただし、予断は許さない状態 <♂プリースト> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔 備 考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行 ♀WIZを背負っている 状 態:心身ともに極度の疲労 <♂シーフ> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:多めの食料 外 見:栗毛 備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂プリ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行     盗作ローグ志望でちょっと頭が良い <♂セージ> 位 置:D-5 所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑     ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行していたが、現在は単独行動中     他のメンバーと合流しようとしている。 <♀商人> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー 容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ) 備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♂アルケミと同行     ♂セージに少し特別な感情が……? <♂騎士> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個 備 考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する ♂アルケミに背負われている ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂アルケミ・♀商人と同行 状 態:痛覚を完全に失う 瀕死からは回復 意識はないが容態は安定している <♂アルケミスト> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本 状 態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている ♂騎士を背負っている 備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 メマーナイトなし? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♀商人と同行 ---- | [[戻る>2-192]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-194]] |
193.夜空に輝くもの [二日目 夜~定時放送前] ---- 「おや・・。あのお嬢さんと♂騎士は生き残りましたか・・・。」 すっと左手でとんがり帽子のつばを持ち、帽子を被り直す。 「キキキー、主人ヨ、当てが外れたナ。」 いい加減重いので下ろしたデビルチが、♂WIZの反応が楽しみだとでも言うように、 見上げながら言ってきた。♂WIZはふぅ、とため息を漏らし、彼女たちがいる民家を見る。 「まさか、イグドラシルの実とは・・・。しかも半分にして使うとは・・・。  全く予想していませんでしたよ。あの状態で生き残れるとは・・・。  詰めが甘かったですね。やはり止めは刺すべきでしたか。完全に私のミスです。」 ♂WIZはめずらしくも自らの非を認める。デビルチは何度かうなずくと、 持っているトライデントで、件の民家を指した。 「反省もヨイガ、主人ヨ、これからドウするのだ?生き残ってはいるが、 見てきた限りデハ満足に動けなさそうだったぞ。」 ♂WIZはデビルチを見る。確かに好機ではある。戦力として数えられるのは、 ♂セージと♂プリースト、♂アルケミスト位だろう。♀WIZと♂騎士は行動不能、 ♂シーフと♀商人は戦力外として、問題はなさそうだ。 だが、♂セージが問題である。デビルチの見聞きしてきたことを整理すると、 ♂セージがかなり厄介である可能性が高い。技能、知識もそうだが、指揮能力が良い。 ♂シーフと♀商人を戦力外としたが、♂セージの指揮能力如何によっては、 立派な戦力となりうる。そうすると、3対2ではなく、5対2となり、 ♀WIZと♂騎士を殺せないばかりか、逆に追い込まれる可能性がある。 「あの♂セージをどうにかしなければ、誰も手に掛けられないでしょう。」 「それほどの者ナノカ?あの男ハ?」 「元々セージとは相性がよくありません。私は魔力をもって魔法を引き起こしますが、  彼らは魔力でもって魔法を打ち消したりできるのです。解りますか?相手は  私が魔法を用意している間に、魔法を打ち消せるのです。打ち出した魔法を  吸収したり、魔法を発動させるために貯めた魔力を奪われたり、魔法の影響を  受け付けない空間を作れたりするのですよ。」 ♂WIZが説明すると、デビルチは民家に向けていたトライデントを、普通に持ち直した。 「確かにソレデは、相性が悪いナ。」 ♂WIZはデビルチの言葉にうなずいて、民家を見ながら言った。 「それに相性とは別に、♂セージは厄介なのですよ。」 その言葉にデビルチは♂WIZを見上げる。 「ほう・・・、まだ何かアルのか。」 「ええ、そうです。あの♂セージ冷静に合理的な判断を下しています。  あなたが聞いてきたように、仲間から反発されることも、  必要ならばあえて言っているようですし、それで誰も反論できないでいるのですから、  ♂セージの発言力と説得力の高さがうかがい知れます。よって、私は厄介な相手と  判断しているのですよ。」 ♂WIZは思案している。どうやって戦うか・・・。改めて件の民家を観察する。 屋根は板張りで、風で飛ばないようにレンガが置かれている。 壁はレンガで作られているが、経年劣化なのかそれほど頑丈ではなさそうだ。 平屋で部屋の数も2つもないだろう。似たような家がいくつかはあるが、 どこも質素な作りをしている。元々ここで暮らすための家ではないのかもしれない。 (さて、どうしますか・・・。♂セージをどうにかしたいですが、まず無理でしょうね。  かといって、そのまま襲撃しても、♀WIZと♂騎士は倒せないでしょうし、  ♂セージと♂アルケミスト、♂プリーストを相手に勝負も無謀ですね。) ♂WIZは片眼鏡をはずして、両目をきつく瞑る。そして上を向いてつけなおす。 もう日が落ちきっており、空には雲が無くなって、代わりに星が見えている。 (もう夜ですか・・・。先ほどの雨を降らせていた雲も、もう随分遠くに行きましたね。  星が随分出てますね。星?・・・、星・・・・。) 「そうですか、星ですか・・・。これは盲点でした。なにもわざわざ襲撃する必要は、  無かったのですね。満足に動けない人が二人もいるのですから、その方が安全ですね。」 ♂WIZの突然の発言にデビルチは怪訝そうな顔をする。 「主人ヨ、何を思いツイた?」 デビルチの問いに対し、♂WIZはこう答えた。 「いえ、相手が出てこないのならば、出てこざるを得ないようにしてしまえば、  良いのですよ。しかも相手は二人も重傷者がいます。その者の移動の補佐でやはり  二人は戦力から外れますから、多くても三人、少なければ一人と戦うだけで済みます。」 「具体的にはドウするのだ?」 「まずは場所を移動します。付いてきてください。」 そう言って♂WIZはデビルチと供に闇の中へ静かに入って行った。 ♂セージは状況を確認している。 まずは、♀WIZと♂騎士の容態。♂騎士のほうは元々の体力のおかげか、 意識は戻っていないが、安定している。このままいけば、問題はないだろう。 一方♀WIZの方は、時々うなされたり、ひきつけを起こしたりする。 予断を許さない状態である。♂プリーストは彼女に付きっ切りで看病している。 次に♂アルケミストと♂プリースト。♂アルケミストは♂騎士の方を看ている。 ハーブやポーションは底をつき、イグドラシルの実やマステラの実なども、 使い切った今、できる事と言えば、汗などをふき取るくらいだが、健気にやっている。 に対し、♂プリーストは相当疲労している。元々殴りプリなのにヒールを連発しており、 今も♀WIZの容態が悪くなりそうになったら、すぐさまヒールを掛けるという、 かなりハードな看病を要求されており、彼の顔色は大分悪くなっている。 後が♂シーフと♀商人。♀商人は♂プリーストの手伝いをしており、 彼女が汗を拭いたり、ひきつけの時に体を押さえてヒールしやすくしている。 ♂シーフの方は部屋の中からではあるが、窓から周囲を覗いて警戒している。 (♂騎士さんはなんとかなるでしょう。だが、♀WIZさんは危険な状態ですね。  イグドラシルの実を半分にして二人の命を救ったのはいいのですが、  効能は半分以下ですか・・・。しばらくはここから動けないですね。  ♂クルセイダーが襲撃してくることはないでしょうが、そのほかのマダラーが  来ないとは限りません。特に♀WIZさんを瀕死にさせた、♂WIZがもっとも  危険ですね。) ♂WIZの追撃を考えて、場所を変えたいものの、変えられない現状が♂セージを、 焦らせる。♀WIZの止めを刺さなかった訳、もしかしたら救助に来た我々の場所を 特定するためにわざと生かしておいたのかもしれない。助け出した♂プリーストは、 おそらくそんなことは考えなかっただろう。だがそれも仕方ない。目の前で瀕死の 旅の仲間がいるのだ。助けることで精一杯だっただろう。 (今この場を襲撃されるのは非常にまずい・・・。何とか対策を練らねば・・・。) ♀WIZの首に巻かれていたマフラーを見る。今は看護のために外されている。 「♂プリさん、♀WIZさんのクローキングマフラーをお借りしたいのですが、  よろしいですか?」 また、少し♀WIZの容態が落ち着いたため、自分の汗を拭う♂プリーストに、 ♂セージが尋ねる。♂プリーストは怪訝そうに言った。 「なぜだ?これは♀WIZさんの物だぞ?どうするつもりだ?」 過度の疲労のためだろう、ひどく棘のある言い方をする。♂プリーストとしては、 ♂セージの申し出は納得がいかなかった。まるで、形見分けかのように聞こえたからだ。 ♂セージは一瞬考えたが、あえて現実を見据えながら♂プリーストに言う。 「彼女が持っていても意味が無いからです。それに今まともに戦えるのは、  私だけでしょう。そのため一人で戦う状況が出てこないとも限りません。  そのときの離脱用の手段は必要です。」 そう言われた♂プリーストはカッとなってしまった。が、すぐに現状を理解する。 ♂セージの言った事は残念ながら正しいのだろう。♂プリーストは度重なるヒールの 行使によって、極度の疲労状態になっているし、♂アルケミストも武器は持っているが、 そんなに戦闘が得意ではない。♂シーフも土壇場になればやってくれるとは思うが、 元々争いは好きではないし、♀商人にいたっては、本人は戦闘型とは言ってはいるが、 『戦い』というイメージすら無い。そうなると現状では♂セージしか満足に戦えない ということになる。 ♂プリーストは一度大きく深呼吸すると、いつもの口調で言った。 「わかった、確かにあんたしか、自由に戦えるのはいねえな。だが、後で必ず 返してくれよ。」 そう言って差し出されたマフラーをもちろんです、と答えて♂セージが受け取る。 と、その時外を警戒していた♂シーフが声を上げた。 「あっ!?あれは・・。♂セージさんっ!!外を見てください!! 何か魔法陣みたいなものが・・・。」 ♂セージが急いで窓から外を見ると、闇の中でも浮かび上がる白い魔法陣が描かれている。 規模は大きい。大魔法には間違いないだろう。♂WIZがストームガストを使えるのは 知っているが、状況から考えてそれの可能性は低い。となるとメテオストームか、 ロードオブヴァーミリオンだろう。 (く、放って置くと、動けない♀WIZさんと♂騎士さんは死んでしまう。  ここから動かざるを得ないようにし、実際に動ける戦力を削ぎに来ましたか。  たった一人に背後から襲撃するかと思えば、この大人数に堂々と挑んでくる。  かなり強かですね・・・。) ♂セージは手早くマフラーを身に着けると、次に起こすべき行動を考えていた。 ♂WIZは深呼吸した。久々に唱えるこの魔法。日々魔法の修練はしているが、 なかなかこの魔法は使う機会がない。それも仕方の無いことである。 元々一人であることが多かった彼は、この魔法を唱える機会が少なかったのだ。 視線を近くに潜むデビルチに送る。デビルチは♂WIZを見て一度うなずき、 トライデントを構え件の民家に目を向けた。♂WIZは視線を民家に戻すと、 思い出すように魔法を詠唱し始めた。白い魔法陣が民家の周辺に現れる。 「天空に在りし、無数の星よ、我が呼びかけに応じよ。」 本当に星が落ちてくるわけではない。自分の魔力で作り上げた炎の玉を落とす だけである。 「我は汝らの力を欲する者なり。」 だが、長い詠唱時間と、込める魔力がただの炎の玉では終わらせない。 本物の隕石に近いものを落とさせるのである。 「我と汝らの力をもって、愚かなる者どもを打ち倒さんことを。」 ♂WIZの右腕が天空へと向けられ、 「メテオストーム!!」 力ある言葉と一緒に振り下ろされた。 断続的な爆発音が屋根の方から聞こえてきた。すごい砂埃が天井から降ってくる。 なんとか持ちこたえた屋根ではあるが、どうやら火が点いてしまったらしい。 屋根から紅い光が地面に照らされてるのが、窓から見える。もう一度メテオストームを 落とされたら、炎と一緒に天井が崩れてくるだろう。速やかにここから退去しなければ ならない。そして、急かすように現れる魔法陣。もはや一刻の猶予も無い。 「♂プリさん、♀WIZさんを背負ってください。♂アルケミさん、あなたは♂騎士を。」 そういって♂セージは出口を探す。 (ドアから出るのは危険だ。狡猾な♂WIZが待ち構えているだろう。  するとやはり、壁に穴を開けてそこから出て行くのが一番安全ですね。) ♂セージは出口であるドアの反対側の壁に向かってファイアーボールを唱えた。 メテオストームで脆くなっていた壁は一撃で崩れた。なんとか人が通れる隙間ができる。 「♂シーフさん、先行してください。ただ、十分警戒してください。」 「はいっ、わかりました!!」 ♂セージに言われ、隙間から身を躍らせる♂シーフ。♂シーフが外に足を一歩踏み出した 瞬間、♂シーフの本能というべきか、『危険』に対する警笛が全身を襲った。 これ以上先に進むな。速やかに戻れ。お前が踏み出した場所から早く戻れ。 今ならまだ間に合う。バックステップしろ。早く早く早く早く早く・・・。 ♂シーフは本能に従い、即座にバックステップした。すると、すぐ目の前で大きな火柱が、 上がったのである。設置魔法のファイアーピラーが発動したのだ。 それを見た♂セージは自分の浅慮を呪った。 (まさか、読まれていたとは・・・。) しかし、すぐさま♂セージは冷静さを取り戻し、頭を切り替える。 (私が作った出口に待ち伏せていたということは、逆にドアの方は手付かずのはず。) 外の魔法陣も消えた。もう間もなく2回目のメテオストームが降り注ぐだろう。 新たに出口を用意する時間もない。♂セージは皆をドアから脱出させることを決め、 自分は別行動をする事に決めた。 崩れた壁の位置が読み通りだったのに、♂シーフが弾かれるようにファイアーピラーを 回避したため、♂WIZは内心面白くなかった。だが、ファイアーピラーを当てることが 目的ではない。家屋内部に彼らを押し留め、家屋ごと彼らを倒すことであった。 死なないにしても、深手を負わせられれば、今後が大分有利になる。 敵は彼らだけではないが、敵であることに変わりは無く、減らせるのなら、 できるだけ減らしておきたい。 2回目のメテオストームが民家に降り注いだ。燃え出していた屋根は、 かなり脆くなっており、隕石が3個ほど着弾すると、音をたてて民家の中に崩れていった。 が、その前に一人、壁の出口から飛び出てきた。姿からして♂セージのようだ。 (まあ、こういう可能性も想定していましたからね。5対2が1対2、上出来でしょう。) ♂セージは崩れそうな民家から飛び出した。♂WIZの姿はすぐにわかった。 魔法は一定の距離を離れすぎては使えない。大魔法とて例外ではない。 (あれが♂WIZですか、♀WIZさんを一度倒しただけあって厄介そうですね。) ♂セージはすばやく遮蔽物に隠れると、魔法を唱え出した。自身の戦闘力を強化する、 オートスペルである。だが、それを察知した♂WIZが即座に反応し、射線をずらして、 ソウルストライクを放ってきた。♂セージは間に合わないと判断し、オートスペルを キャンセルして、マジックロッドを発動させる。2体の英霊が♂セージに吸い込まれる ようにして消えた。 (く、オートスペルを使わせる暇も与えませんか・・・。) 喰らえば当然魔法は中断されるし、キャンセルしてマジックロッドを発動させたが、 吸収されても、さほど問題ないレベルに抑えられたソウルストライク。 つい先ほど大魔法で家屋を攻撃していたとは思えない、繊細な魔法選択。 一方の♂WIZも相手の反応に予想以上のものを感じていた。こちらの魔法に対し、 素早い対応と、当然のように吸い込まれたソウルストライク。1対2と楽観視していたが、 考えを改めねばならない。メテオストームで炙り出されたはずなのに、この冷静さ。 (さすがに一人で出てくるだけの事はありますね・・・。) ♂セージが移動しながらソウルストライクを放ってきた。♂WIZも負けじと、 ソウルストライクを放つ。中空で衝突しお互いのソウルストライクが消滅していく。 今度は♂WIZがフロストダイバーを放つ。♂セージはぎりぎりまで近づいてから、 マジックロッドで吸収する。じわじわと詰められる間合い。♂セージの手には、 ソードブレイカーが握られている。近接戦で仕留める気のようだ。 ユピテルサンダーで間合いを広げようとするが、スペルブレイカーで完成前に妨害される。 (ぐっ、なんて冷静に攻めてくるんだ・・。これでは♂セージを倒すどころか、  デビルチに協力させることもできない。) ♂セージはフリーキャストという技術を用いて、死角に回り込みながら、 魔法を唱えてくる。♂WIZも相殺したりしているが、立ち止まらないと魔法が使えない ために徐々に間合いを詰められる。そして、♂セージの近接間合いに入った。 魔法の撃ち合いから一変し、コンバットナイフとソードブレイカーとが火花を散らす、 近接戦となった。緩急つけて攻撃してくる♂セージに、相手の攻撃を予測して何とか 凌いでいる♂WIZ。なんとかしてクァグマイアを放ちたいが、それすら許さぬ斬撃。 ふと♂セージの口元が動いているのに目が止まる。斬撃を凌いでいた♂WIZが、 ♂セージの詠唱に気が付いたときには、もう魔法は完成していた。 「ファイアーボルト!!」 4本の火の矢が♂WIZを打ち抜く。威力が落ちていて、♂WIZ自身が魔法に耐性が あるとはいえ、動きを止めるには十分だった。♂セージのソードブレイカーが、 ♂WIZの心臓を狙う。遅れてコンバットナイフで受け止めるが、もはや♂セージの 思惑通りになってしまった。受け止めたコンバットナイフごとソードブレイカーで、 押し込まれてソードブレイカーの先端が左腕に突き刺さる。そしてそのまま コンバットナイフを絡め捕り、♂WIZの手から奪い取ってしまったのだ。 すっぽ抜けたコンバットナイフ。破壊されなかったのは、♂WIZの力の無さゆえか。 ソードブレイカーを振るい、遠心力でコンバットナイフを脇に飛ばす♂セージ。 返す刃で♂WIZの首元を狙う。♂WIZはなんとか仰け反ることで回避するが、 バランスを崩して後ろに倒れこんでしまう。♂セージはすばやくソードブレイカーを、 逆手に持ち替え止めを刺そうとした、その時である。耳障りなキーキー音が 聞こえてきたのは・・・。 それがデビルチの使う闇の魔法だと気が付いたときには、♂セージは弾き飛ばされていた。 ダメージこそ大してないが、2~3mほど弾かれる。すぐに身を起こすと、 物陰から出てきたデビルチがトライデントを構えてこっちを見ている。 ♂WIZも倒れた場所から転がりながらデビルチの方に移動して起き上がろうとしている。 (まさか、デビルチが潜んでいたとは・・・。♂WIZも倒し損ねましたが、  手傷は負わせました。すぐには追跡してこないでしょうし、時間も十分稼ぎました。  間合いも開いたことですから、ここは一旦引きますか。) 「♂WIZさん、もしまた付け狙うのでしたら覚悟しておきなさい。」 そう言って♂セージはその場から立ち去った。左腕を押さえながら、♂WIZが立ち上がる。 デビルチが拾ってきたコンバットナイフを受け取ると、黙って鞘にしまう。 (ここから移動しなければ・・・。私が引き起こしたこととはいえ、 この場は目立ちすぎる。どこか休める場所に隠れなくては・・・。) ♂WIZの体はファイアーボルトに打ち抜かれた火傷と、ソードブレイカーで刺された左腕、 そして、なすすべなく追い込まれたという敗北感に打ちのめされる。 「主人ヨ、たしかにセージとは相性がワルかったな。」 デビルチの皮肉に、♂WIZは何も言えなかった。 <♂Wiz> 位 置:D-5 装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子     レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード 外 見:黒髪 土気色肌 スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア  ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報  ストームガスト メテオストーム ソウルストライク  ファイアーボール 備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド     ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害     デビルチと主従契約 軽度の火傷 左腕に刺し傷 ♂セージに対する敗北感     安全なところに移動したい <デビルチ> 位 置:D-5 所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用) 備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約 <♀WIZ> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅 外 見:WIZデフォの銀色 備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂プリ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行 ♂プリに背負われている 状 態:身体のあちこちにまだ傷は残る。瀕死からは脱出 ただし、予断は許さない状態 <♂プリースト> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔 備 考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行 ♀WIZを背負っている 状 態:心身ともに極度の疲労 <♂シーフ> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:多めの食料 外 見:栗毛 備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂プリ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行     盗作ローグ志望でちょっと頭が良い <♂セージ> 位 置:D-5 所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑     ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行していたが、現在は単独行動中     他のメンバーと合流しようとしている。 <♀商人> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー 容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ) 備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♂アルケミと同行     ♂セージに少し特別な感情が……? <♂騎士> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個 備 考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する ♂アルケミに背負われている ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂アルケミ・♀商人と同行 状 態:痛覚を完全に失う 瀕死からは回復 意識はないが容態は安定している <♂アルケミスト> 位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中 所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本 状 態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている ♂騎士を背負っている 備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 メマーナイトなし? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♀商人と同行 ---- | [[戻る>2-192]] | [[目次>第二回目次2]] | [[進む>2-194]] |

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