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210.打算と信頼と ----  淫徒プリは、困惑していた。  なんだ、この♂セージは……。  思わず上ずった声で声を上げてしまったが、変装を見破られていたりはしないだろうか?  考えをまとめるために呟いていた独り言も聞かれたのではないだろうか?  しかし、その一方ですぐに頭を切り替え状況を判断する。  突然隣りに現れたは、ハイディングかクローキングの効果があるカード挿しの装備のおかげだろう。  消えていたにもかかわらず、自分を襲ってこなかったので十中八九は殺人者側ではない。  だが、それがこの♂セージが絶対にマーダーではないという保障にはつながらない。  用心して、いつでも逃げられるようにしておかなくては。  そんなことを思いつつ、淫徒プリは♂セージに対峙する。 「ああ、御安心下さい。私は殺人者側ではありません。もし仮にそうであるなら、消えている間にあなたのその美しい細い首筋をこの剣で一突きにすればよかったわけですから」  ♂セージは不審がる淫徒プリに、♀商人が聞いていたら足を蹴られそうなことを言いながら腰に身につけたソードブレイカーを指差した。 「あなたの分析力には感嘆致しました。ついては、ぜひ意見の交換をしたいのですが」  あえて♂セージは地面のメモには触れない。 「……私が殺人者側ではないという根拠はあるのですか?」 「一応、そう思っています。推測ではありますが」  そう言いながら、♂セージは小枝を拾い上げて地面に書き込む。  淫徒プリは、この隙に走り去ろうかとも考えたが、どうせこの瞬間逃げても相手はまがりなりにも魔法職である。  少しの距離では意味がない。それならば、話に付き合ったほうが賢い。 『口頭の会話はGMに盗聴されています。筆談ならわかりません』  書き込まれた言葉に淫徒プリは目を丸くする。にわかには信じられない話だ。  だが、悪趣味な制裁ゲームなのだから、それくらいはやっていてもおかしくない。  プレイヤー側がGMに逆らった場合も首輪は爆発する。  それをどこで判断するのか?  そのために盗聴しているのだろう。 『この件の詳しい話はまた後程。とりあえず、口頭での会話を続けさせて頂きます』 「殺人者側として私が認識しているのは、♂WIZ・♂クルセ・グラリスです」 「グラリス……カプラサービスの彼女もこの制裁ゲームに参加しているのですか……」  淫徒プリがそう呟いた時だった。 「……よけて!」  遠くで叫び声が聞こえた。淫徒プリは思わず周囲を見回す。  ♂セージにはその声に聞き覚えがある。♂シーフの声だ。 「失礼、どうやらこの辺りに私がはぐれたPTがいるようですね」  ♂セージも、周囲を見回した。 「私は彼らを探そうと思いますが……あなたはいかがしますか?」  ♂セージの言葉に、淫徒プリはまた考えをめぐらせる。  彼はPTを組んでいる。そして、自分は一人である。  このまま一人でいる場合、殺人者に会わないという保障はない。  しかし、彼のPTに入り込んだとして利になるとも考えにくいが……。 「あなたについていってもよろしいでしょうか。一人でいるのも心細いですから……」  淫徒プリはついて行くことを選択した。  死の危険のある安全性よりも、生存できる打算を選んだのだった。 + + + + + 「……静かだね」 「静かだね……」  座り込む♀商人の言葉に♂シーフが答える。 「♂プリさん、♂騎士さんに追いついたかな……?」 「どうかな……そういえば、♂セージさんも……大丈夫かなあ」  不安そうに夜空を見上げてから、周囲を警戒する。  ♀WIZの容態は落ち着いているとはいえ、いまだに意識は戻っていない。  こんな時に、誰かに襲われたら……。  そう考えて、思わず身震いする。  ガサ……  藪をかきわけて歩く音が近づいてくる。  途端に、♂シーフの顔はこわばった。  誰かこちらに来る! 「誰か近づいてくる……」 「え……」  ♀商人の顔もこわばった。  しかし、♀WIZを守ることができるのは自分たちしかいない。  近づいてくるのが敵ではない可能性もあるが、そうでない可能性もあるのだ。  その場合、自分たちで彼女と自分たちの命を守らなくては。 「……大丈夫。お金がこれだけあれば、メマーだって使えるし……カートレボリューションだってあるんだから……」  自分に言い聞かせるように♀商人は呟く。 「がんばらなくちゃ……」  ♂シーフも自分を奮い立たせるように呟いて周囲を見回す。  やがて、藪から現れたのは見知った顔と……一人の女プリースト。 「♂セージさん、無事だったんですね!」  ♂シーフが喜びの声を上げて、♀商人が泣きそうな顔で彼に抱きつく。 「やあ……なかなか見つからなくて、迷子になっていましたよ」  ♂セージは二人に対して柔らかな微笑を浮かべた。 <淫徒プリ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 外見:女性プリーストの姿 美人 備考:策略家。Int>Dexの支援型 状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行 <♂セージ> 位 置:D-6(丘の木立) 所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑    ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行 <♂シーフ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:多めの食料 外 見:栗毛 備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人と同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い <♀商人> 現在地:D-6(丘の木立) 所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー 容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ) 備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフと同行     ♂セージに少し特別な感情が……? ♂セージと会えて少し不安解消 ---- | [[戻る>2-209]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-211]] |
210.打算と信頼と ----  淫徒プリは、困惑していた。  なんだ、この♂セージは……。  思わず上ずった声で声を上げてしまったが、変装を見破られていたりはしないだろうか?  考えをまとめるために呟いていた独り言も聞かれたのではないだろうか?  しかし、その一方ですぐに頭を切り替え状況を判断する。  突然隣りに現れたは、ハイディングかクローキングの効果があるカード挿しの装備のおかげだろう。  消えていたにもかかわらず、自分を襲ってこなかったので十中八九は殺人者側ではない。  だが、それがこの♂セージが絶対にマーダーではないという保障にはつながらない。  用心して、いつでも逃げられるようにしておかなくては。  そんなことを思いつつ、淫徒プリは♂セージに対峙する。 「ああ、御安心下さい。私は殺人者側ではありません。もし仮にそうであるなら、消えている間にあなたのその美しい細い首筋をこの剣で一突きにすればよかったわけですから」  ♂セージは不審がる淫徒プリに、♀商人が聞いていたら足を蹴られそうなことを言いながら腰に身につけたソードブレイカーを指差した。 「あなたの分析力には感嘆致しました。ついては、ぜひ意見の交換をしたいのですが」  あえて♂セージは地面のメモには触れない。 「……私が殺人者側ではないという根拠はあるのですか?」 「一応、そう思っています。推測ではありますが」  そう言いながら、♂セージは小枝を拾い上げて地面に書き込む。  淫徒プリは、この隙に走り去ろうかとも考えたが、どうせこの瞬間逃げても相手はまがりなりにも魔法職である。  少しの距離では意味がない。それならば、話に付き合ったほうが賢い。 『口頭の会話はGMに盗聴されています。筆談ならわかりません』  書き込まれた言葉に淫徒プリは目を丸くする。にわかには信じられない話だ。  だが、悪趣味な制裁ゲームなのだから、それくらいはやっていてもおかしくない。  プレイヤー側がGMに逆らった場合も首輪は爆発する。  それをどこで判断するのか?  そのために盗聴しているのだろう。 『この件の詳しい話はまた後程。とりあえず、口頭での会話を続けさせて頂きます』 「殺人者側として私が認識しているのは、♂WIZ・♂クルセ・グラリスです」 「グラリス……カプラサービスの彼女もこの制裁ゲームに参加しているのですか……」  淫徒プリがそう呟いた時だった。 「……よけて!」  遠くで叫び声が聞こえた。淫徒プリは思わず周囲を見回す。  ♂セージにはその声に聞き覚えがある。♂シーフの声だ。 「失礼、どうやらこの辺りに私がはぐれたPTがいるようですね」  ♂セージも、周囲を見回した。 「私は彼らを探そうと思いますが……あなたはいかがしますか?」  ♂セージの言葉に、淫徒プリはまた考えをめぐらせる。  彼はPTを組んでいる。そして、自分は一人である。  このまま一人でいる場合、殺人者に会わないという保障はない。  しかし、彼のPTに入り込んだとして利になるとも考えにくいが……。 「あなたについていってもよろしいでしょうか。一人でいるのも心細いですから……」  淫徒プリはついて行くことを選択した。  死の危険のある安全性よりも、生存できる打算を選んだのだった。 + + + + + 「……静かだね」 「静かだね……」  座り込む♀商人の言葉に♂シーフが答える。 「♂プリさん、♂騎士さんに追いついたかな……?」 「どうかな……そういえば、♂セージさんも……大丈夫かなあ」  不安そうに夜空を見上げてから、周囲を警戒する。  ♀WIZの容態は落ち着いているとはいえ、いまだに意識は戻っていない。  こんな時に、誰かに襲われたら……。  そう考えて、思わず身震いする。  ガサ……  藪をかきわけて歩く音が近づいてくる。  途端に、♂シーフの顔はこわばった。  誰かこちらに来る! 「誰か近づいてくる……」 「え……」  ♀商人の顔もこわばった。  しかし、♀WIZを守ることができるのは自分たちしかいない。  近づいてくるのが敵ではない可能性もあるが、そうでない可能性もあるのだ。  その場合、自分たちで彼女と自分たちの命を守らなくては。 「……大丈夫。お金がこれだけあれば、メマーだって使えるし……カートレボリューションだってあるんだから……」  自分に言い聞かせるように♀商人は呟く。 「がんばらなくちゃ……」  ♂シーフも自分を奮い立たせるように呟いて周囲を見回す。  やがて、藪から現れたのは見知った顔と……一人の女プリースト。 「♂セージさん、無事だったんですね!」  ♂シーフが喜びの声を上げて、♀商人が泣きそうな顔で彼に抱きつく。 「やあ……なかなか見つからなくて、迷子になっていましたよ」  ♂セージは二人に対して柔らかな微笑を浮かべた。 <淫徒プリ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 外見:女性プリーストの姿 美人 備考:策略家。Int>Dexの支援型 状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行 <♂セージ> 位 置:D-6(丘の木立) 所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑    ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行 <♂シーフ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:多めの食料 外 見:栗毛 備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人・淫徒プリ・♂セージと同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い <♀商人> 現在地:D-6(丘の木立) 所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー 容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ) 備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・淫徒プリ・♂セージと同行     ♂セージに少し特別な感情が……? ♂セージと会えて少し不安解消 <♀WIZ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅 外 見:WIZデフォの銀色 備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行 状 態:瀕死から脱しやや容態安定、意識不明、個体認識異常? ---- | [[戻る>2-209]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-211]] |

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