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218.希望の灯火 ---- ♂シーフと♀商人は♂セージに、♂騎士の起こした惨劇を語る。  その間に淫徒プリが♂アルケミの遺体はそのままにしておくのは……と血を彼自身のマントで拭い、簡易的ではあったものの弔いをした。 「ふむ……そんなことが……」  話を全て聞き終わり、考えにふける♂セージ。 「……状況から判断するに……もしかすると、あのイグドラシルの実に何か仕掛けられていたのかもしれません」  ♂セージの言葉に、一同は顔を見合わせる。 「元々、このゲームは制裁として殺し合いをさせるためのもの。それなのに回復剤……しかも強力な回復剤であるイグドラシルの実が、箱に入っていること自体不思議だったわけです。恐らく、恐慌状態か識別不能になりやすい薬か何かが入っていたのでしょう」 「そんな……」 「悪趣味なゲームですから、それぐらいしていてもおかしくないです。全く……気が付かずにいた私の落ち度です」  ♂セージは深い溜息を付いた。 「♀WIZさんが目を覚ました時に同じ状況になる可能性があります。薬での恐慌状態か識別不能であるなら恐らくは解毒か、キュアーで治療できるのではないかと思いますが……効果が薄くなっている現状確実に治療できるかわかりませんがね」  淫徒プリと♂シーフを見て、♂セージは頼んだ。 「ん……」 「……あ! ♀WIZさんの目が覚めたみたい」  ♀商人が、♀WIZの側に座りこむ。  ♀WIZは起き上がると、ぼーっとした表情で♀商人を見て周囲を見回した。 「……ここは……?」 「良かった、目が覚めたんですね。ここは、地図上ではD-6の地点です」  ♂シーフが、地図を広げて見せる。  地図上の赤い点はD-6地点を示していた。 「♀WIZさん、私達がわかりますか?」  ♂セージがゆっくりと♀WIZに声をかけた。 「……?」  ♀WIZが面食らったような表情を浮かべた。  ♂セージが「やはり……」と言いかけたところで、♀WIZが口を開く。 「……何を言ってるんですか? ♂セージさんですよね? それから……♂シーフさんと♀商人さん。えと……そちらのプリーストの方は、見覚えが無いですけれど」 「ふむ……識別不能にはなっていないようですね……。とすると、私の仮定は間違っていましたか……」  思わず♂セージは呟いた。  だが、彼の仮定は間違ってはいない。実際にイグドラシルの実には仕掛けがあったのである。  その量は一個摂取すれば効果を及ぼす量だったのだ。  つまり、半分の量を摂取した場合は全く効果を及ぼさない。  イグドラシルの実を半分の量で使用するなど全くの想定外だったのである。  それが、♂騎士に如実に効果が現れたのは、GMたちが彼に仕掛けた薬の効果の相乗作用だったのだ。  だが、当然♂セージはそんなことも露知らず、仮定は間違っていたのだと判断したのである。 「そういえば、♂プリさんと♂騎士さん……それに♂ケミさんはどうしたんでしょうか……?」  見回したところで、人数が少ないことに気が付き、♀WIZはその形の良い眉をひそめた。 「♂プリさんは♂騎士さんを追いかけていきましたよ。♂ケミさんは……」  ♂シーフの視線が、やや離れた場所に手を組んで仰向けに寝かせられた♂ケミの亡骸に行く。 「……え……?」 + + + + + + 「それは……やりきれませんね」  淫徒プリのヒールを受け覇気がやや戻った後、話を一通り聞き♀WIZは思わず呟いた。 「思いあう仲間同士が殺しあうなんて……悲しすぎるよ……」  ♀商人が涙を目にいっぱい溜め、やっと搾り出すような口調でそれに続けた。  ――――思いあう同士が殺しあう  ふと、何故か♀WIZの脳裏に一組の男女の姿が浮かんだ。  それは夢の一場面。  腕の良い鍛冶師と彼に憧れる鍛冶師を目指す少女。  二人を裂いたのは他ならぬ自分。鍛冶師に施した精神操作と改造によって。 (ごめんなさい……)  それが平行世界の事実であれ、単なる夢であれ、胸が痛む。  友情と愛情の違いはあれど、思いは同じ物であるはずだ。  ♂ケミを殺してしまった♂騎士は、心を閉ざしながら狂気に走って行くのではないか。  それはまるで、精神操作が解けかけても殺人者として走り続けたあの鍛冶師のように。 「……止めないといけませんね……こんな不毛なこと」  目を伏せて溜息を♀WIZはついた。 (……セージとオーラWIZ、商人にシーフ……ですか)  話を聞きながら、淫徒プリは♂セージから渡された聖書を月の光にかざしながら読んでいた。  赤い口紅で書かれたそれは読みにくく、更に文字の上に書かれているため解読が困難だ。  何とか読み取れたそれは、驚くべき内容だった。 (ふむ……うまくいけば生きて帰れるわけですね。これは……)  聖書を読み終えると、淫徒プリは深く息を吐いた。  この振動リンクは以前暇つぶしで読んでいた、あの新聞に連載されていた工務大臣の話とも繋がる。  首輪に込められたエネルギーを吸収できれば、爆発で死ぬことはない。  問題があるとするなら。  それはこの場にはモンクが居ないということと、訓練砦と同じ装置が働いている間は少なくとも自分たちはGMに対して無力であると言うこと。  淫徒プリは、この計画をGMに知らせれば自分は恩赦してもらえるのではないかとも一瞬考えた。  しかし、すぐにその考えは打ち消した。  なぜなら、そんな計画を知っている自分を果たしてGMは生きて返すか? ということである。  答えは否。  口封じに処分してしまう方が、今後のためにもいい。  少なくとも、自分がGMの立場であれば間違いなくそうする。  結果として、自分もこの計画には協力せざるを得ない。少なくとも、現状のままよりも生き残れる可能性があるのだから。 「ところで……私があなた方を裏切らないと言う保障はありませんよ?」  パタンと聖書を閉じると、誰に言うわけでもなく淫徒プリは静かに呟いた。 「それは承知しています。ですが、少なくとも現状あなたは誰も殺していないでしょう? むしろ殺人者を避けようとしている。協力を仰ぐのは間違いではないはずです」  ♂セージは、そう呟きに答えて地面に落ちている小枝を手に取る。 「最期に裏切ったとしても? 所詮、人間は最期は一人ではありませんか?」 「……人は一人で死んで行くわけじゃありません。何かを残したり、後に続くもののために死んで行くものだそうですよ」  淫徒プリの言葉を♀WIZが否定した。  その言葉に、淫徒プリは驚愕した。  師の言葉そのままだったからだ。 「……大切な人が言っていた言葉で……受け売りでごめんなさい」  微笑を浮かべた彼女の顔を淫徒プリは固まったまま見つめていた。 <淫徒プリ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 外見:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人 備考:策略家。Int>Dexの支援型 状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂セージと同行 <♂セージ> 位 置:D-6(丘の木立) 所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑    ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行 <♂シーフ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:多めの食料 外 見:栗毛 備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人・♂セージ・淫徒プリと同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い <♀商人> 現在地:D-6(丘の木立) 所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー 容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ) 備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行     ♂セージに少し特別な感情が……? ♂セージと会えて少し不安解消 <♀WIZ> 現在地:D-6(丘の木立) 所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅 外 見:WIZデフォの銀色 備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行 状 態:容態は安定。ただし、全身の傷は傷跡として残る。 ---- | [[戻る>2-217]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-219]] |

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