「2-243」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

2-243」(2006/10/12 (木) 22:16:42) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

---- ---- | [[戻る>2-242]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-244]] |
243.知恵の実 [3日目早朝] ---- いつまでたっても自分に危害を加えるような魔法が飛んでこないことに、そのアコライトの少女は首をかしげた。 彼女なりに理由を考えてはみたのだが、殴りアコライトであるためか頭を使うことが苦手な彼女に答えらしい答えは得られなかった。 アイスウォールに囲まれ、クァグマイアの泥に足を取られ、動くことも周囲を見まわすこともできず、彼女は口を曲げ、しきりにうなっていた。 自分はあのとんがり帽子のウィザードによって身動きを封じられ、さらに彼の大魔法でまさに殺されるところだったはず。 ところが、どういうわけか魔法の詠唱は途中で終わったのだ。 魔方陣が掻き消えたことからも、詠唱が中断されたことは疑いようがなかった。 どうして彼の魔法は発動する前に止まったのだろう? そういえば♂WIZがいたはずの方向から別の男の声と、にぶい音が聞こえた気がする。 はっきりとは聞きとれなかったけれど…… ♀アコはあまり高性能ではない自身の思考回路を必死に繋いだ。生きようとする執念かもしれなかった。 気休めにも、窮地を脱したなどとは思えなかったのだ。 いまはまだ、一難が去っただけにすぎない。 氷が消えるまでの時間なにもできないことには変わりないのだし、♂WIZがどうなったのかわからない以上、いつ再び詠唱による魔方陣があらわれるかと思うと気が気でなかった。 すくなくとも動けるようになった瞬間からは全力で行動を開始できるように。 そう思い、彼女は神さまに祝福の祈りをささげた。もちろん速度増加の奇蹟を願うことも忘れなかった。 呼吸を整え、できるかぎり心を落ち着けて、そのときを待っていた。 気絶した(させた)♀マジのことが心配ではあったが、無事であることを信じた。 やがて時間が経過し、彼女を邪魔していた氷が一瞬にして消えた。 魔法により生成した氷はゆるゆると溶けるのではなく、ドライアイスのように液化することなく気化する。それもまたたく間に。 頭の片隅で知識として有してはいたが、実際に、まのあたりにすると違うものだ。 あまりにとつぜんのことだったので、すばやく動くための準備をしていたはずの♀アコも、とっさには反応できなかった。 逆にそのことが幸いしたのかもしれない。 もしアイスウォールの壁がゆっくりとしか溶けず、周囲の様子を見ることはできても動くことができなかったとしたら、♀アコはおそらく耐え切れなかっただろう。 ♂WIZが血を流し地面に横たわり、そしてさらに気絶している♀マジになにかをしようとしているモンク風の男。 そんな光景を見せられたとしたら、♀アコは自分のこぶしが砕けることもいとわずに、素手によるアイスウォールの破壊を試みたはずだ。 しかしすべては終わったことだった。 ♀アコが目にしたのは、横並びに寝かせられた♂マジと♂WIZ、それからすこし離れたところで寝ている♀マジの姿であり、 ♀マジの体にはすでに治療がほどこされた様子で、彼女は気持ちよさそうな寝顔ですやすやと眠っていた。 「だいじょうぶだった?」 ふいに死角から声をかけられて、♀アコは振り向くと同時に地面を蹴った。 大きく距離をあけて声の主の姿を確認する。 視線の先にいたのは、♀アコと変わらないくらいの年齢とおぼしき一人の少女だった。 そこにはサングラスをかけ、バフォメット帽子を頭にかぶったアルケミスト風の少女が腕組みをしながら立っていた。 自分たちを救ってくれた人物が少女だったことに驚いたのか、♀アコは少女をまじまじと見つめた。 その視線に気持ちが悪かったのか、少女は身をよじらせた。 「な、なによ。そんなにじろじろ見て。  私たちは命の恩人なんだから、まずはお礼でも言ったらどうなの?」 彼女の言葉に♀アコは胸をなでおろした。 声に嫌らしさや邪気のようなものが感じられず、彼女がほんとうに自分たちを助けてくれたのだということがわかったからだ。 あらためてアルケミストのサングラスを見つめ、それからちょこんと頭をさげた。 「ありがとう。助かったわ。あやうく凍り漬けにされて永遠の若さのまま像にされちゃうところだったし。  ところで───私たちってことは、あなた以外にも仲間がいるってこと?」 「仲間じゃないけど、したぼくがいるわ」 聞いたことのない単語を耳にして、♀アコは眉をひそめた。錬金術師にしかわからない言葉なのだろうか。 「えっと、したぼくっていうのは───ホムンクルスの名前かなにか? あたし、そういうのさっぱりなのよ」 恥ずかしがる様子もなく、あっけらかんと自分の無知を認めた♀アコに、アルケミストの少女はくちびるの端を持ちあげて笑みを作った。 「たしかに、あんまり頭が良さそうな顔じゃないわね。したぼくはしたぼく。私の手足となって働く優秀な部下のことよ」 少女の高慢な態度と不敵な笑みを前にして、♀アコの頭の中を『姫プリ』という文字がよぎったが、さすがに口には出さなかった。 命の恩人である少女に遠慮したのだ。 これが♀マジ相手であれば、毛ほどの容赦もしなかっただろう。しかしここは抑えるところだった。 「それで、そのしたぼくさんは、どこに行っちゃったの?」 近辺にそれらしい気配はない。 アルケミストの少女は腕を組んだまま、顔の向きだけを変えた。 「♂WIZの使い魔かもしれないデビルチがいたのよ。そいつが遠くから魔法を使ってきたから、そっちのほうに倒しに行ったわ。  すぐにもどってくると思うから、ここで待ってるの」 さっきまで自分が戦っていたデビルチのことを思い出して、♀アコは気まずい思いを味わった。 自分がしっかりととどめを刺していなかったことが、裏目に出たのだ。 「ところで───この島にきてからシーフと会った?」 とうとつなアルケミストの質問に♀アコは首を横に振った。 ♀アコがこの島で会ったのはクルセイダーの男をのぞけば、ここに全員が揃っていた。 そのことを告げると、アルケミストは肩を落とした。どうやらシーフを探しているらしい。 放送によれば♀シーフはもう死んでいることから、探しているのは♂シーフとなる。 「シーフを見つけるといいことがあるわけ?」 ♀アコの問いかけにサングラスの少女は表情をけわしくした。 ようやく腕組みをやめて、指先を下に向けた。 地面になにかがあるのだろうか。そう思った♀アコは、その場にしゃがみこんで地面を凝視した。 しかし、気になるところはどこにも見当たらない。 不思議に思って少女を見あげようとしたところ、少女もまた腰をおろした。 そして、少女はどこからかマジックペンを取り出すと、キャップをはずすことなく、その硬いキャップを利用して地面に文字を掘りはじめたのだった。 こうして首輪の盗聴の可能性、モンクの気奪による首輪の無効化、島全体に働く制御装置、 おそらくGMが所持する制御装置を無効にするアイテム、シーフによるそのアイテム奪取が脱出への鍵であること、 などの情報が♀アコに伝えられ、さらに♀アコから少女に地図による位置特定の情報が伝えられた。 <悪ケミ> <現在位置:E-7> <所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1> <外見:ケミデフォ、目の色は赤> <思考:脱出する。> <備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る> <したぼく:グラサンモンク> <参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目> <♀アコライト&子犬> 現在位置:E-7 容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング 備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ  首輪と地図と禁止区域の関係を知る 状態:デビルチとの戦闘で多少の傷 <♀マジ> 現在位置:E-7 所持品:真理の目隠し 備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。  褐色の髪(ボブっぽいショート)  首輪と地図と禁止区域の関係を知る 状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し ♀アコに蹴られて気絶 気絶中にグラサンモンクの治療を受けた <グラサンモンク> <現在地:E-7→不明> <所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭> <外見:csm:4r0l6010i2> <スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳> <備考:特別枠 右心臓> <状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチを追う> <参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】> <作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)> ---- | [[戻る>2-242]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-244]] |

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー