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250.エウレカ [3日目朝] ---- 腹が燃えていた。 じくじくと冷たい炎を上げて。 (これはダメのようですね) 多臓器不全という言葉が♀スパノビの脳裏に浮かんだ。 心臓は時々思い出したように脈打つだけ。肺は半分もふくらまない。 肋骨より下は完全に駄目だ。 絶え間ない苦痛のかたまりだけがそこにある。 四肢も動くのは左手一本だけ。 もはや数分以内に確実にやってくる死を待つだけの体だった。 とどめを刺して楽にしてもらいたいところだけど。 体の下に♀ハンターの鼓動を感じた。 彼女のためにもこのまま死ぬことはできない。 (大丈夫。♀ハンターさんはお姉ちゃんがきっと守ります) 身じろぎするごとに焼けこげた内蔵が悲鳴を上げる。 それでも左手で♀ハンターの体を探ることを諦めない。 (お姉ちゃんは妹のする事なんて全てお見通しなのです) ふふ、と無理矢理笑う。 でもそうすると焦げた腹筋が引きつって痛かった。 ちょっと失敗だったかもしれない。 (ふぁるは昨日寝た山の上にGM達が居るって言ってたのでしょう?) 彼女の言葉とふぁるの仕草から近くに何か居るのだという想像はついた。 そしてそれを♀スパノビに伝えなかったということは他の参加者ではない。 となれば残るはGMしかない。 ならばそれを広めよう。 それはGMへのささやかな反撃に、そして♀ハンターの生還率を上げる材料になるはずだ。 ◇◇◇ ♀スパノビはこのゲームに投げ込まれて以来、ずっとバグを探していた。 そしてバグとまでは言えない1つの問題に気付いていた。 『朝夕の放送はどこから聞こえてくるのか』 単純に声を拡大しているだけであれば、音の聞こえてくる方向へ行けばGM達の拠点を見つけられるはず。 なのに彼女はその方向をまったく特定できなかった。 島全体に声を届かせるため何カ所か中継点があるにしても、その場所さえ分からないと言うのは不自然だ。 考えに考え抜いた末の結論は 『放送は参加者の首輪を使って各自に直接している』 この方法なら大きな音を出す必要も中継設備を作る必要もなく、拠点を見つけられにくい。 しかも参加者の居場所によって放送が聞こえにくくなったりする問題も起きない。 さらにはそのような『声を伝えるシステム』を応用すれば参加者の発言を監視できる。 考えてみればジョーカーは逆らったら首輪を爆破すると言ったのだ。 監視しているのはほぼ間違いない。 そこで彼女はさらにこう考えた。 『それならシステムを逆用してこちらの声を放送できるかも』 盗聴と放送が同じシステムを使っているなら双方は一緒の場所にあるはずだ。 大きな声をわざと盗聴させれば放送の方に入るかも知れない。 もちろん普段は放送機能は切られているだろう。 そうでなければ昨夜♀ハンターが叫んだとき、その声が放送されているはずだ。 おそらくオンになるのは朝晩の放送時のみ。 誰もが静かに聞き耳を立てているはずの時間だ。 ただ、この推測が合っている保証はない。 あるいはそういった反撃も無効にする精巧な仕掛けかも知れない。 しかも全てうまくいったとしても、実行した自分はまず間違いなく処分される。 だから今まではどうしても試せなかった。 だが。 自分に残されたわずかな命の灯すべてを かわいい妹のために使えるなら。 ◇◇◇ ♀スパノビは♀ハンターの懐から抜き取った物――トーキーボックスへ精一杯口を寄せた。 罠からそれを作れるのはハンターのみ。 あくまでも作れるのは、だ。 ハンターのスキルだという先入観を捨てれば彼女にもそのオルゴールに似た黒い箱の使い方を推測できた。 「GMの拠点は地図のE-5…山頂付近」 裏面に突き出たゼンマイのツマミを巻きながら表面へ語りかける。 音を大きくする調整がしたのだがそこまでは分からない。 「あとは……放送の時間に……動くように……」 オルゴールと同じなら蓋を開ければ鳴るはずだ。 だが時限装置など思いつかない。 目がかすんで詳しく調べることもできない。 「……あは……だめな…おねえちゃん…です……ね……」 ♀スパノビはトーキーボックスが鳴らないよう留め金を押さえたまま蓋を開け、代わりに自分の頭を乗せた。 そして体中の息を吐き出し、 「…バイバイ」 自らの時を永遠に止めた。 <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3] スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方 状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い    ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中 <ふぁる> 現在地:E-6 所持品:リボンのヘアバンド スキル:ブリッツビート スチールクロウ 備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 状態:JTによる負傷で気絶中 <♀スパノビ> 現在地:E-6 外見:csf:4j0610m2 所持品:S2ダマスカス、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない) スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加、ヒール 備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型) ♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る 状態:死亡 ---- | [[戻る>2-249]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-251]] |

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