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001.狂気の夜明け ----  そこは、外界と隔離された空間だった。  とはいっても、別に地中の洞穴であったり、絶海の孤島である訳ではない。  有り体に言って、そこには外界への空間的繋がりの無い何処かであった。  無論、そんなものが自然に存在する訳は無い。  GM。神の御使い。様々に呼び習わされる何者かが、始まろうとしている狂った茶番の為に作り上げた箱庭だった。 「こんにちわっ、GM秋菜です♪今回、栄えあるイベント参加者に選ばれたみなさんには、突然ですが殺し合いをしてもらいます」  白い服を着た女が、言う。  その一言に、狭く、暗いホールの中に鮨詰めに座らされている、雑多な一団が大きくざわめいた。  幼い姿の者。奇妙に痩せた男。気高い聖職者。力強い騎士。その他諸々。何一つ統一性はない。  しかし、その顔という顔には一様に激しい困惑が浮かんでいた。 「えー、静かにしてくださいねーお願いしますー 説明中ですよっ」  その言葉に、終に耐え切れられ無くなったのか、一人が立ち上がった。  幼さを色濃く容姿に残した女性。まだぴかぴかの胸当てを付けた、ノービスであった。  自分の前に居る面々を掻き分け掻き分け、秋菜と名乗った女の下へ進む。  そして、詰め寄ると、困惑と、憤りが入り混じった表情を、涼しげな秋菜へと向けた。 「ふざけないでよっ!! いきなり…殺し合いなんて…」  その言葉が、遺言となった。言葉を放った姿のまま、彼女は彫像のように動かなくなる。  つう、と顎から、真っ赤な血が滴った。ずる、とその頭が、縦にずれた。 「静かにしないと、こんな風に、BANしちゃいますよー」  言って、いつの間にかバルムンを抜いていた彼女は、奇妙な彫像をつん、と指先で押す。  ずる。指で押された人型は。  ずる。正中線に、体を左右に分ける綺麗な亀裂が入り。  ずる。それは、徐々にずれていって。  …びちゃ。音を立てて、前後対象に倒れた。  会場のあちこちで、掠れた様な女性の悲鳴が、聞こえた。  斑に染まったGMは、未だびくびくと痙攣する足元のものをためらい無く踏みながら、数歩、一団の方へと歩み寄る。 「またー、皆さんには、ゲームを始めるに当たって、食料、赤ぽ、地図、それから特製容器入りの物品二点入りの袋が与えられまーす。  箱の中身は、武器だったり、便利な品物だったり色々でーす。役に立たないものも入ってるかもしれませーん。  でも、そんな人は運が悪かったと思ってくださいねー。頑張って、人殺しに役立ててくださーい。  それから、いきなり沢山死んだら面白くないので、皆さんには幾つかの組に分かれてもらって、  組ごとに、別々の場所の、互いに少し離れた位置からゲームスタートとさせていただきまーす」  ふと、思い出したかのように、秋菜が、ああ、と声を漏らす。ぽん、と手を叩き、たおやかに微笑む。 「それからー、逃げようとか、私達に逆らおう、なんて間違っても考えちゃいけませんよー? 今、貴方達のはめてある首輪には仕掛けがあって、そんな真似したら、即BANできるようになってますからっ」  真っ赤なGMは、一度言葉を切り、丸眼鏡をくいと押し上げる。 「それじゃあ、ゲームスタートです。頑張って、殺し合いましょうー」  参加者達を、闇ポータルの光が包み込む。  狂気の始まりは、告げられた。   <♀ノービス死亡> <残り48名> ---- | 目次 | 進む | | [[目次]] | [[002]] |
001.狂気の夜明け ----  そこは、外界と隔離された空間だった。  とはいっても、別に地中の洞穴であったり、絶海の孤島である訳ではない。  有り体に言って、そこには外界への空間的繋がりの無い何処かであった。  無論、そんなものが自然に存在する訳は無い。  GM。神の御使い。様々に呼び習わされる何者かが、始まろうとしている狂った茶番の為に作り上げた箱庭だった。 「こんにちわっ、GM秋菜です♪今回、栄えあるイベント参加者に選ばれたみなさんには、突然ですが殺し合いをしてもらいます」  白い服を着た女が、言う。  その一言に、狭く、暗いホールの中に鮨詰めに座らされている、雑多な一団が大きくざわめいた。  幼い姿の者。奇妙に痩せた男。気高い聖職者。力強い騎士。その他諸々。何一つ統一性はない。  しかし、その顔という顔には一様に激しい困惑が浮かんでいた。 「えー、静かにしてくださいねーお願いしますー 説明中ですよっ」  その言葉に、終に耐え切れられ無くなったのか、一人が立ち上がった。  幼さを色濃く容姿に残した女性。まだぴかぴかの胸当てを付けた、ノービスであった。  自分の前に居る面々を掻き分け掻き分け、秋菜と名乗った女の下へ進む。  そして、詰め寄ると、困惑と、憤りが入り混じった表情を、涼しげな秋菜へと向けた。 「ふざけないでよっ!! いきなり…殺し合いなんて…」  その言葉が、遺言となった。言葉を放った姿のまま、彼女は彫像のように動かなくなる。  つう、と顎から、真っ赤な血が滴った。ずる、とその頭が、縦にずれた。 「静かにしないと、こんな風に、BANしちゃいますよー」  言って、いつの間にかバルムンを抜いていた彼女は、奇妙な彫像をつん、と指先で押す。  ずる。指で押された人型は。  ずる。正中線に、体を左右に分ける綺麗な亀裂が入り。  ずる。それは、徐々にずれていって。  …びちゃ。音を立てて、前後対象に倒れた。  会場のあちこちで、掠れた様な女性の悲鳴が、聞こえた。  斑に染まったGMは、未だびくびくと痙攣する足元のものをためらい無く踏みながら、数歩、一団の方へと歩み寄る。 「またー、皆さんには、ゲームを始めるに当たって、食料、赤ぽ、地図、それから特製容器入りの物品二点入りの袋が与えられまーす。  箱の中身は、武器だったり、便利な品物だったり色々でーす。役に立たないものも入ってるかもしれませーん。  でも、そんな人は運が悪かったと思ってくださいねー。頑張って、人殺しに役立ててくださーい。  それから、いきなり沢山死んだら面白くないので、皆さんには幾つかの組に分かれてもらって、  組ごとに、別々の場所の、互いに少し離れた位置からゲームスタートとさせていただきまーす」  ふと、思い出したかのように、秋菜が、ああ、と声を漏らす。ぽん、と手を叩き、たおやかに微笑む。 「それからー、逃げようとか、私達に逆らおう、なんて間違っても考えちゃいけませんよー? 今、貴方達のはめてある首輪には仕掛けがあって、そんな真似したら、即BANできるようになってますからっ」  真っ赤なGMは、一度言葉を切り、丸眼鏡をくいと押し上げる。 「それじゃあ、ゲームスタートです。頑張って、殺し合いましょうー」  参加者達を、闇ポータルの光が包み込む。  狂気の始まりは、告げられた。   <♀ノービス死亡> <残り50名> ---- | 目次 | 進む | | [[目次]] | [[002]] |

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