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253.はいずるもの[3日目朝] ---- ぱり ぱりぱりっ 乾いた不吉な音が響き、白い曲面に刻まれた裂け目から色の薄い表皮が覗く。 なめし革のような質感の、柔らかそうな表皮が。 「ふふ、よい仔じゃ」 ミストレスの子は芋虫の姿をしていた。 少女の腕に抱けるほど小さく、動きも鈍く、硬い殻も毒針も持たないその姿は―― 「なんだ、ファブルか?」 緊張していた♂プリがかすかに気の抜けたような声を出す。 だが。 「No!イッツァ…」 「ゆけ」 ♂モンクの言葉とミストレスの命令が重なる。 蟲はたわめた体をびんっと反らし、気絶している一人と一羽へ飛びかかった。 「させるかよっ」 一瞬油断していたとは言えそこは殴り。直前で♂プリは体を割り込ませることに成功した。 幼虫は彼の胸に衝突する。 そして、その一抱えもない蟲に彼の方がよろめかされた。 「がっ!?」 石の塊を叩きつけられたような衝撃に♂プリのあばらが嫌な音を立てる。 ♂騎士はとっさに横から剣を突き出してその蟲を払い落とした。 この相手だけははっきりモンスターだと、敵だと分かる。戦える。 だが、その手には異様な感触だけが残った。 ファブルを切る柔らかいそれではなく、棒で砂袋を叩いたかのような重くて固い手応え。 「イッツァ、キャタピラー!」 ♂モンクが叫ぶ。 どさりと重い音を立てて落下した薄茶色の芋虫は、斬りつけられたダメージなど微塵も感じさせずに触角を振り回した。 ぼんぼり状の重りがついた先端が思いも掛けないほどの速さで♂騎士のすねを払う。 「っ!」 避けきれない。 重い一撃に足を取られたところへさらに触角が振り下ろされ、♂騎士は転がって逃げた。 そしてすぐには立ち上がらず足の様子を確かめる。 痛覚が無いというのは恐ろしい物だ。例え骨が折れても分からない。 ――大丈夫。動かすのには問題なさそうだ。 その間に胸を押さえた♂プリが彼を庇って前に出ながら毒づいた。 「くそっ、なんだこいつぁ」 キャタピラーはプロンテラ砦地下にのみ生息する珍しいモンスターである。♂プリが見たことないのも当然だった。 ただ、キャタピラーは本来それほど恐ろしい存在ではない。 動きは遅く、眷属も呼ばず、厄介な特殊能力も持たない。 砦の地下に住むモンスターの中では最もくみしやすい相手と言える。 しかし、スキルが制限され装備もないという条件がキャタピラーの頑丈な体と打撃力を脅威に変えていた。 「あぶねっ。速度増加っ。やってやるぜこん畜生っ」 ♂プリはフレイルのように振り回される触角をジャンプして避けながら速度増加を唱えた。 そしてマイトスタッフを構える。 「葬らん!」 キィッ 自分めがけて飛んできた重りを何かの球技のように打ち返す。 跳ね返ったそれは狙い過たずキャタピラーに命中したが、分厚い表皮に弾かれてダメージは判然としない。 「よっしゃばっちこーいっ」 うまくいったことに気をよくして次の「一球」も打ち返そうとする。 だがこのボールには柄がついていた。 打ち返される直前にキャタピラーは触手をひねって打点をずらす。 それでもマイトスタッフは柄に当たったが、しなやかな触手はそこから曲がり、角度を変えて♂プリの腕を打った。 「うあ痛っ」 「いけない・無理する・固いヤツ・俺っち・やるぜ・wait a moment」 ♂モンクは♂プリとキャタピラーを挟み撃ちにしようと回り込む♂騎士へ歌う。 彼の体を覆っていた気の鎧は霧散し、気脈が元に戻っていた。スキルが使える。 急いで気を練り直しながらキャタピラーの背後へ滑り込む。 腰を落とし、引きつけた両掌へ集めた気を溜め 「発け…」 「愚かじゃの」 バチバチバチバチバチッ 発勁を叩き込もうとした瞬間に♂モンクは紫電に弾き飛ばされた。 それを見た♀騎士が悲鳴を上げる。 「♂モンクさんっ!」 「おんしもじゃ」 ♂モンクの後を追うように♀騎士も地面に叩きつけられる。 ミストレスは自分を邪魔した者を許すつもりはなかった。 「我を無視するとは余裕じゃのう」 冷たく言い、とどめを刺すべく両手に紫電を集める。 ♂プリと♂騎士はキャタピラーが邪魔になってすぐには動けない。 しびれる体を無理矢理動かし、♂モンクが体を起こす。 次の瞬間、彼の体は大きく後方へ跳ね飛ばされた。 「…何のつもりかの?」 両手に紫電を蓄えたまま、ミストレスはゆっくり振り返った。 「…君の相手は僕だ。違うかい?」 そう言いつつ♂ハンターは♀騎士もチャージアローでミストレスの射程外へ逃がす。 仲間達がこうも一方的に傷ついたのは自分のせいだ。 ♂モンクも♀騎士もミストレスを無視したわけじゃない。 彼との約束があるからこそ「♀アーチャー」には手を出すことが出来なかっただけだ。 だから♂ハンターは言った。 「みんな、ありがとう。あとは僕にまかせて逃げてくれ」 <♂プリースト> 現在地:E-6 所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ 外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔 備考:殴りプリ ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と一時的に同行 ♀ハンターを治療中 状態:心身の疲労はやや回復、打撲傷複数 <♂ハンター> 現在地:E-6 所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢 外見:マジデフォ金髪 備考:極度の不幸体質 D-A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行 状態:背中に少し深い傷を負う。♀アーチャーを救いたい <♂モンク> 位置:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTにより麻痺中 <♀騎士> 位置:E-6 所持品:S1シールド、錐 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように 状態:JTにより麻痺中 <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3] スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方 状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い    ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中 <ふぁる> 現在地:E-6 所持品:リボンのヘアバンド スキル:ブリッツビート スチールクロウ 備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 状態:JTによる負傷で気絶中 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個 外 見:深い赤の瞳 状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど 正気を保ってはいるが、未だ不安定     個体認識異常(死亡した人間、人間でないものは判断可能。中身だけが魔物のミストレスは近くに寄ればわかる程度)     ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。 備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する     ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 ♂ハンターたちに協力したい <ミストレス> 現在地:E-6 外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー 所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー、(キャタピラー) 備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。     ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵は孵化。 ---- | [[戻る>2-252]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-254]] |
253.はいずるもの[3日目朝] ---- ぱり ぱりぱりっ 乾いた不吉な音が響き、白い曲面に刻まれた裂け目から色の薄い表皮が覗く。 なめし革のような質感の、柔らかそうな表皮が。 「ふふ、よい仔じゃ」 ミストレスの子は芋虫の姿をしていた。 少女の腕に抱けるほど小さく、動きも鈍く、硬い殻も毒針も持たないその姿は―― 「なんだ、ファブルか?」 緊張していた♂プリがかすかに気の抜けたような声を出す。 だが。 「No!イッツァ…」 「ゆけ」 ♂モンクの言葉とミストレスの命令が重なる。 蟲はたわめた体をびんっと反らし、気絶している一人と一羽へ飛びかかった。 「させるかよっ」 一瞬油断していたとは言えそこは殴り。直前で♂プリは体を割り込ませることに成功した。 幼虫は彼の胸に衝突する。 そして、その一抱えもない蟲に彼の方がよろめかされた。 「がっ!?」 石の塊を叩きつけられたような衝撃に♂プリのあばらが嫌な音を立てる。 ♂騎士はとっさに横から剣を突き出してその蟲を払い落とした。 この相手だけははっきりモンスターだと、敵だと分かる。戦える。 だが、その手には異様な感触だけが残った。 ファブルを切る柔らかいそれではなく、棒で砂袋を叩いたかのような重くて固い手応え。 「イッツァ、キャタピラー!」 ♂モンクが叫ぶ。 どさりと重い音を立てて落下した薄茶色の芋虫は、斬りつけられたダメージなど微塵も感じさせずに触角を振り回した。 ぼんぼり状の重りがついた先端が思いも掛けないほどの速さで♂騎士のすねを払う。 「っ!」 避けきれない。 重い一撃に足を取られたところへさらに触角が振り下ろされ、♂騎士は転がって逃げた。 そしてすぐには立ち上がらず足の様子を確かめる。 痛覚が無いというのは恐ろしい物だ。例え骨が折れても分からない。 ――大丈夫。動かすのには問題なさそうだ。 その間に胸を押さえた♂プリが彼を庇って前に出ながら毒づいた。 「くそっ、なんだこいつぁ」 キャタピラーはプロンテラ砦地下にのみ生息する珍しいモンスターである。♂プリが見たことないのも当然だった。 ただ、キャタピラーは本来それほど恐ろしい存在ではない。 動きは遅く、眷属も呼ばず、厄介な特殊能力も持たない。 砦の地下に住むモンスターの中では最もくみしやすい相手と言える。 しかし、スキルが制限され装備もないという条件がキャタピラーの頑丈な体と打撃力を脅威に変えていた。 「あぶねっ。速度増加っ。やってやるぜこん畜生っ」 ♂プリはフレイルのように振り回される触角をジャンプして避けながら速度増加を唱えた。 そしてマイトスタッフを構える。 「葬らん!」 キィッ 自分めがけて飛んできた重りを何かの球技のように打ち返す。 跳ね返ったそれは狙い過たずキャタピラーに命中したが、分厚い表皮に弾かれてダメージは判然としない。 「よっしゃばっちこーいっ」 うまくいったことに気をよくして次の「一球」も打ち返そうとする。 だがこのボールには柄がついていた。 打ち返される直前にキャタピラーは触手をひねって打点をずらす。 それでもマイトスタッフは柄に当たったが、しなやかな触手はそこから曲がり、角度を変えて♂プリの腕を打った。 「うあ痛っ」 「いけない・無理する・固いヤツ・俺っち・やるぜ・wait a moment」 ♂モンクは♂プリとキャタピラーを挟み撃ちにしようと回り込む♂騎士へ歌う。 彼の体を覆っていた気の鎧は霧散し、気脈が元に戻っていた。スキルが使える。 急いで気を練り直しながらキャタピラーの背後へ滑り込む。 腰を落とし、引きつけた両掌へ集めた気を溜め 「発け…」 「愚かじゃの」 バチバチバチバチバチッ 発勁を叩き込もうとした瞬間に♂モンクは紫電に弾き飛ばされた。 それを見た♀騎士が悲鳴を上げる。 「♂モンクさんっ!」 「おんしもじゃ」 ♂モンクの後を追うように♀騎士も地面に叩きつけられる。 ミストレスは自分を邪魔した者を許すつもりはなかった。 「我を無視するとは余裕じゃのう」 冷たく言い、とどめを刺すべく両手に紫電を集める。 ♂プリと♂騎士はキャタピラーが邪魔になってすぐには動けない。 しびれる体を無理矢理動かし、♂モンクが体を起こす。 次の瞬間、彼の体は大きく後方へ跳ね飛ばされた。 「…何のつもりかの?」 両手に紫電を蓄えたまま、ミストレスはゆっくり振り返った。 「…君の相手は俺だ。違うかい?」 そう言いつつ♂ハンターは♀騎士もチャージアローでミストレスの射程外へ逃がす。 仲間達がこうも一方的に傷ついたのは自分のせいだ。 ♂モンクも♀騎士もミストレスを無視したわけじゃない。 彼との約束があるからこそ「♀アーチャー」には手を出すことが出来なかっただけだ。 だから♂ハンターは言った。 「みんな、ありがとう。あとは俺にまかせて逃げてくれ」 <♂プリースト> 現在地:E-6 所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ 外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔 備考:殴りプリ ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と一時的に同行 ♀ハンターを治療中 状態:心身の疲労はやや回復、打撲傷複数 <♂ハンター> 現在地:E-6 所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢 外見:マジデフォ金髪 備考:極度の不幸体質 D-A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行 状態:背中に少し深い傷を負う。♀アーチャーを救いたい <♂モンク> 位置:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTにより麻痺中 <♀騎士> 位置:E-6 所持品:S1シールド、錐 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように 状態:JTにより麻痺中 <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3] スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方 状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い    ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中 <ふぁる> 現在地:E-6 所持品:リボンのヘアバンド スキル:ブリッツビート スチールクロウ 備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 状態:JTによる負傷で気絶中 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個 外 見:深い赤の瞳 状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど 正気を保ってはいるが、未だ不安定     個体認識異常(死亡した人間、人間でないものは判断可能。中身だけが魔物のミストレスは近くに寄ればわかる程度)     ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。 備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する     ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 ♂ハンターたちに協力したい <ミストレス> 現在地:E-6 外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー 所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー、(キャタピラー) 備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。     ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵は孵化。 ---- | [[戻る>2-252]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-254]] |

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