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257.♀スパノビの遺した物[3日目朝] ---- 「夜間死者数は9名でいいですね?…なに、3名増えた?誰です?生死確認は?死亡状況報告急ぎなさい」 薄暗い地下室にGM橘の神経質な声が響く。 彼らGMも夜は交替で眠っており、その間の状況は報告で知るしかなかった。 橘は何枚もの手書きの報告書を読み合わせ、バラバラの情報から経過をまとめようとする。 そんな彼の手元へピエロ帽を乗せた頭が突き出された。 「ほほう。一気に半分近く減りましたか。どなたか頑張りましたかねえ」 ジョーカーは殺気立った室内の様子もどこ吹く風とのんきな顔で言う。 起きてさほど間がないはずなのに、その化粧には一分の隙もない。 まさかこの顔のまま寝たんじゃないでしょうね、とか思いつつ橘は上司の頭を押し戻した。 「いいですからあなたはダーツでもサイコロでも用意しててください。きちんとまとめてからお見せします」 「心配ご無用、準備は万端。本日は遙か遠国フィゲルより取り寄せたる、ビンゴ抽選マッスィーンの登場でえす。はい、拍手ー」 「…そこ、拍手してないで仕事に戻りなさい」 釣られて手をたたいた兵士を睨みつけ、橘は新たな3通の報告書を受け取った。 「死者は♀スーパーノービス、♂ハンターと…ミストレス?」 「おやおや。あの方死んじゃいましたか」 「力を過信したのでは?」 橘は適当に返事しながら報告書相互に矛盾や欠落がないかチェックする。 そして問題がないのを確認すると、報告書の束を時系列順に並べ直し要旨を添えてジョーカーに手渡した。 「今夜も何名か倒していますが、最後は5名以上相手に戦闘を挑んで果てたようです」 「ふむう」 要旨を斜め読みしてジョーカーは何か考え込む様子を見せた。 ふざけた顔つきが一瞬鋭くなる。 「何か不審な点でも?」 先に読んで特に問題を感じなかった橘は首を傾げた。 「ミストレスはその5名以上と同時に戦ったのですか?」 「どうなんです?」 橘は報告書をあげた兵士を振り向き、ジョーカーの質問をそのまま流す。 兵士は直立不動で答えた。 「は。彼らは必ずしも共闘しておりません。戦闘終結前に逃げた者もおりますし、彼らの内♂ハンターは同士討ちで死んでいます」 「ではミストレスおよび異なる意図を持つ複数集団が同時に遭遇したのですね?」 「は。そう考えます。ミストレスは双方を噛み合わせようとして失敗したようです」 「なるほどなるほど」 「…それで、何が問題なのですか?」 1人納得顔をする上司を橘はじれったそうにせっついた。 ジョーカーはいつもの人を食ったような笑顔で答える。 「いえいえ、もう解決しました。こちらの気付かない戦力や連絡手段があるのかと心配しただけですからね」 「……ああ、そういうことですか」 少し考え、ようやく橘も理解した。 この島では個人の戦闘力は制限され、その分だけ戦力差も小さくなっている。 ミストレスが5人以上もと真正面から戦えたとすればその制限を破った疑いが濃い。 また逆にこれまで別行動していた者達がいきなり協力してミストレスを襲ったとすれば、何らかの手段で連絡を取りあった疑いがある。 ジョーカーはその点を疑ったのだ。 「その戦闘で他に不審な行動はありませんでしたか?」 橘は念のため兵士に問いただす。 「♀スパノビが死の直前、こちらの位置に気付いたような言葉を発しました。ですが誰も聞いた様子はありません」 「ふむ…どう思います?ジョーカー」 「そうですねえ。そろそろここも禁止区域に設定しておきましょうか」 橘の問いには直接答えず、ジョーカーは抽選機のスイッチを入れた。 大きな透明カプセルの中に入れられた色とりどりのボールが勢い良くかき回され始める。 それをしばらく見つめていたジョーカーの鋭い目が、E-5と書かれたボールをロックオンした。 「とうっ」 カプセル横の投入口から素早く突き込まれた手がボールをつかむ。 「――おや?G-10でした」 「…海上じゃないですか。意味のない番号は抜いておいてください」 ◇◇◇◇◇ 「♂プリさん、どこまで行ったでしょうか」 ♂モンクを介抱しながら♀騎士が不安そうに言った。 外傷が小さいので油断したが、電流が体内を貫流したのか♂モンクの容態はよくない。 考えてみれば暴走するミストレスの魔力を至近距離で受けたのだ。死ななかっただけでも幸運なのかも知れない。 「俺が探してこよう」 ♂プリを呼びに行こうと♂騎士が立ち上がった。 だが♀騎士は一瞬だけ考えて首を振る。 「…いえ。もう朝の放送が流れてもいい頃です。結果を聞けば♂プリさんも戻ってくると思います」 「え?あ、ああそうか」 ♂騎士は足を止めた。 放送では最初に死者を公表する。 ミストレスが倒れたと知れば♂プリも帰ってくるはずだ。 あてもなく探し回るより待った方が確実だろう。 だが、立ってしまったものをもう一度座るのも何だか妙な気がする。 だいいち彼が♂モンクの横についていたところでこれ以上何ができるわけでもない。 彼は他にすることはないかと辺りを見回した。 そして少し離れたところに横たわる♀スパノビの遺体に目を止めた。 そう言えば彼女にも謝らないといけない。 「あの子を弔ってくる」 「はい」 ちらりと視線を上げた♀騎士はかすかに気遣わしげな表情を見せた。 自分はまだどこか思い詰めた顔をしてるらしい、と♂騎士は思う。 そうかも知れない。 直接手を下したわけではないが、♀スパノビが死んだ責任の一端は彼にある。 簡単に吹っ切れるはずもない。 だがそれでいいのだろう。 人の死を軽々しく吹っ切ったりしてはいけないのだ。 罪は罪として背負って行かなければならない。♀プリのことも、♂アルケミのことも。 その上で死者に恥じない行動をしよう。 (すまない。俺が言えた義理じゃないが安らかに眠ってくれ) 遺体に歩み寄った♂騎士は手を合わせる。 (君の仲間はきっと何とかする。簡単には受け入れてくれないかも知れないけどな) 彼は相手の顔も知らないが、♂プリが一緒にいるし、確か女性のハンターだと聞いた。 ♀スパノビの遺体を整えたときだ。 その時の様子を思い返してふと思う。 (そう言えばこの子達、おかしな格好で倒れてたんだな) JTを受ける寸前、♀スパノビは仲間を庇って覆い被さった。 なのに駆けつけたとき2人は仲良く並んで倒れていた。 そのまま一体で弾き飛ばされたなら折り重なっていそうなものだし、引き剥がされるほどの衝撃を受けたならもっと離れているのではないか。 どちらかが動いたのだろうか。 不思議に思って遺体の周囲を確かめる。 と、♀スパノビの鞄から何かが覗いていることに気付いた。 「これは…カード帖?」 最後の力を振り絞ってこれを仲間に渡そうとしたのかも知れない。 だとしたら何としてでも届けるべきだろう。 一緒に渡すべき物がないか、もう一度♀スパノビの遺体を調べようと手を掛ける。 その時 『さあさあ皆さん朝ですよ』 ジョーカーの声が全参加者の耳に響いた。 「!?」 死体が突然言葉を発したように感じて♂騎士は思わず跳びのいた。 その拍子に♀スパノビの体を軽く突き飛ばしてしまう。 少女の頭が揺れ、その下に隠されていた平べったい箱から落ちた。 そして、仕掛けた♀スパノビも予想していなかったほど大きな声が箱から流れた。 『GMの拠点は地図のE-5…山頂付近』 ◇◇◇◇◇ 「何ごとです!?」 「まあまあ落ち着いて」 騒然となった地下室でジョーカー1人が落ち着き払っていた。 もちろん放送のスイッチは♀スパノビの声が入った直後に切り、それ以上余計な声が入らないようにしている。 「どう落ち着けと言うんですか!今のは…」 「参加者の声ですね。あの大きさでは放送にも入ってしまったでしょう」 「では何とかしないと…!」 「んー。今の声が誰か分かる人?」 ジョーカーは盗聴していた兵士達を見回す。 1人が挙手した。 「♀スパノビの声だと思われます」 「だ、そうですよ。彼女はもう死んでいます。今さら処罰も出来ません」 「ですが!」 「まあまあ。それより参加者の騒ぎが下火になったら教えて下さいね」 「ジョーカー!?」 「ぐー」 橘の抗議を無視してジョーカーはたぬき寝入りを決め込んだ。 数分後、参加者の混乱が一段落したと知らされてジョーカーは放送のスイッチを入れた。 「さあて皆さんお騒がせしました。もう分かっちゃったと思いますが、放送中に大っきな声で叫ぶとその声も流れちゃいます。――で・も」 あえてシステムの問題を認めたジョーカーは声の温度を一気に下げて続けた。 「システムバグの悪用はチートと言って処罰対象なんですよね。今後放送中に大声出したら運営妨害でBANしちゃいますから気を付けて下さい?もちろんさっきの声の人ももう死んでます。それじゃ静かに聞いて下さいねー」 <♀騎士> 現在地:E-6 所持品:S1シールド、錐 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように 状態:JT2発被弾 背に切傷 <♂モンク> 現在地:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個、カード帖(♀スパノビ遺品) 外見:深い赤の瞳 備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚    できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきているが、アンバランスな部分を残す    個体認識異常を脱するが、体に変調?    快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る <GMジョーカー> 位置:E-5(管理本部) 所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?) 外見:ピエロ 備考:女王イゾルデの意向を最優先 <GM橘> 位置:E-5 (管理本部) 所持品:不明 (バルムン?) 外見:銀縁眼鏡、インテリ顔 ---- | [[戻る>2-257]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-259]] |
258.♀スパノビの遺した物[3日目朝] ---- 「夜間死者数は9名でいいですね?…なに、3名増えた?誰です?生死確認は?死亡状況報告急ぎなさい」 薄暗い地下室にGM橘の神経質な声が響く。 彼らGMも夜は交替で眠っており、その間の状況は報告で知るしかなかった。 橘は何枚もの手書きの報告書を読み合わせ、バラバラの情報から経過をまとめようとする。 そんな彼の手元へピエロ帽を乗せた頭が突き出された。 「ほほう。一気に半分近く減りましたか。どなたか頑張りましたかねえ」 ジョーカーは殺気立った室内の様子もどこ吹く風とのんきな顔で言う。 起きてさほど間がないはずなのに、その化粧には一分の隙もない。 まさかこの顔のまま寝たんじゃないでしょうね、とか思いつつ橘は上司の頭を押し戻した。 「いいですからあなたはダーツでもサイコロでも用意しててください。きちんとまとめてからお見せします」 「心配ご無用、準備は万端。本日は遙か遠国フィゲルより取り寄せたる、ビンゴ抽選マッスィーンの登場でえす。はい、拍手ー」 「…そこ、拍手してないで仕事に戻りなさい」 釣られて手をたたいた兵士を睨みつけ、橘は新たな3通の報告書を受け取った。 「死者は♀スーパーノービス、♂ハンターと…ミストレス?」 「おやおや。あの方死んじゃいましたか」 「力を過信したのでは?」 橘は適当に返事しながら報告書相互に矛盾や欠落がないかチェックする。 そして問題がないのを確認すると、報告書の束を時系列順に並べ直し要旨を添えてジョーカーに手渡した。 「今夜も何名か倒していますが、最後は5名以上相手に戦闘を挑んで果てたようです」 「ふむう」 要旨を斜め読みしてジョーカーは何か考え込む様子を見せた。 ふざけた顔つきが一瞬鋭くなる。 「何か不審な点でも?」 先に読んで特に問題を感じなかった橘は首を傾げた。 「ミストレスはその5名以上と同時に戦ったのですか?」 「どうなんです?」 橘は報告書をあげた兵士を振り向き、ジョーカーの質問をそのまま流す。 兵士は直立不動で答えた。 「は。彼らは必ずしも共闘しておりません。戦闘終結前に逃げた者もおりますし、彼らの内♂ハンターは同士討ちで死んでいます」 「ではミストレスおよび異なる意図を持つ複数集団が同時に遭遇したのですね?」 「は。そう考えます。ミストレスは双方を噛み合わせようとして失敗したようです」 「なるほどなるほど」 「…それで、何が問題なのですか?」 1人納得顔をする上司を橘はじれったそうにせっついた。 ジョーカーはいつもの人を食ったような笑顔で答える。 「いえいえ、もう解決しました。こちらの気付かない戦力や連絡手段があるのかと心配しただけですからね」 「……ああ、そういうことですか」 少し考え、ようやく橘も理解した。 この島では個人の戦闘力は制限され、その分だけ戦力差も小さくなっている。 ミストレスが5人以上もと真正面から戦えたとすればその制限を破った疑いが濃い。 また逆にこれまで別行動していた者達がいきなり協力してミストレスを襲ったとすれば、何らかの手段で連絡を取りあった疑いがある。 ジョーカーはその点を疑ったのだ。 「その戦闘で他に不審な行動はありませんでしたか?」 橘は念のため兵士に問いただす。 「♀スパノビが死の直前、こちらの位置に気付いたような言葉を発しました。ですが誰も聞いた様子はありません」 「ふむ…どう思います?ジョーカー」 「そうですねえ。そろそろここも禁止区域に設定しておきましょうか」 橘の問いには直接答えず、ジョーカーは抽選機のスイッチを入れた。 大きな透明カプセルの中に入れられた色とりどりのボールが勢い良くかき回され始める。 それをしばらく見つめていたジョーカーの鋭い目が、E-5と書かれたボールをロックオンした。 「とうっ」 カプセル横の投入口から素早く突き込まれた手がボールをつかむ。 「――おや?G-10でした」 「…海上じゃないですか。意味のない番号は抜いておいてください」 ◇◇◇◇◇ 「♂プリさん、どこまで行ったでしょうか」 ♂モンクを介抱しながら♀騎士が不安そうに言った。 外傷が小さいので油断したが、電流が体内を貫流したのか♂モンクの容態はよくない。 考えてみれば暴走するミストレスの魔力を至近距離で受けたのだ。死ななかっただけでも幸運なのかも知れない。 「俺が探してこよう」 ♂プリを呼びに行こうと♂騎士が立ち上がった。 だが♀騎士は一瞬だけ考えて首を振る。 「…いえ。もう朝の放送が流れてもいい頃です。結果を聞けば♂プリさんも戻ってくると思います」 「え?あ、ああそうか」 ♂騎士は足を止めた。 放送では最初に死者を公表する。 ミストレスが倒れたと知れば♂プリも帰ってくるはずだ。 あてもなく探し回るより待った方が確実だろう。 だが、立ってしまったものをもう一度座るのも何だか妙な気がする。 だいいち彼が♂モンクの横についていたところでこれ以上何ができるわけでもない。 彼は他にすることはないかと辺りを見回した。 そして少し離れたところに横たわる♀スパノビの遺体に目を止めた。 そう言えば彼女にも謝らないといけない。 「あの子を弔ってくる」 「はい」 ちらりと視線を上げた♀騎士はかすかに気遣わしげな表情を見せた。 自分はまだどこか思い詰めた顔をしてるらしい、と♂騎士は思う。 そうかも知れない。 直接手を下したわけではないが、♀スパノビが死んだ責任の一端は彼にある。 簡単に吹っ切れるはずもない。 だがそれでいいのだろう。 人の死を軽々しく吹っ切ったりしてはいけないのだ。 罪は罪として背負って行かなければならない。♀プリのことも、♂アルケミのことも。 その上で死者に恥じない行動をしよう。 (すまない。俺が言えた義理じゃないが安らかに眠ってくれ) 遺体に歩み寄った♂騎士は手を合わせる。 (君の仲間はきっと何とかする。簡単には受け入れてくれないかも知れないけどな) 彼は相手の顔も知らないが、♂プリが一緒にいるし、確か女性のハンターだと聞いた。 ♀スパノビの遺体を整えたときだ。 その時の様子を思い返してふと思う。 (そう言えばこの子達、おかしな格好で倒れてたんだな) JTを受ける寸前、♀スパノビは仲間を庇って覆い被さった。 なのに駆けつけたとき2人は仲良く並んで倒れていた。 そのまま一体で弾き飛ばされたなら折り重なっていそうなものだし、引き剥がされるほどの衝撃を受けたならもっと離れているのではないか。 どちらかが動いたのだろうか。 不思議に思って遺体の周囲を確かめる。 と、♀スパノビの鞄から何かが覗いていることに気付いた。 「これは…カード帖?」 最後の力を振り絞ってこれを仲間に渡そうとしたのかも知れない。 だとしたら何としてでも届けるべきだろう。 一緒に渡すべき物がないか、もう一度♀スパノビの遺体を調べようと手を掛ける。 その時 『さあさあ皆さん朝ですよ』 ジョーカーの声が全参加者の耳に響いた。 「!?」 死体が突然言葉を発したように感じて♂騎士は思わず跳びのいた。 その拍子に♀スパノビの体を軽く突き飛ばしてしまう。 少女の頭が揺れ、その下に隠されていた平べったい箱から落ちた。 そして、仕掛けた♀スパノビも予想していなかったほど大きな声が箱から流れた。 『GMの拠点は地図のE-5…山頂付近』 ◇◇◇◇◇ 「何ごとです!?」 「まあまあ落ち着いて」 騒然となった地下室でジョーカー1人が落ち着き払っていた。 もちろん放送のスイッチは♀スパノビの声が入った直後に切り、それ以上余計な声が入らないようにしている。 「どう落ち着けと言うんですか!今のは…」 「参加者の声ですね。あの大きさでは放送にも入ってしまったでしょう」 「では何とかしないと…!」 「んー。今の声が誰か分かる人?」 ジョーカーは盗聴していた兵士達を見回す。 1人が挙手した。 「♀スパノビの声だと思われます」 「だ、そうですよ。彼女はもう死んでいます。今さら処罰も出来ません」 「ですが!」 「まあまあ。それより参加者の騒ぎが下火になったら教えて下さいね」 「ジョーカー!?」 「ぐー」 橘の抗議を無視してジョーカーはたぬき寝入りを決め込んだ。 数分後、参加者の混乱が一段落したと知らされてジョーカーは放送のスイッチを入れた。 「さあて皆さんお騒がせしました。もう分かっちゃったと思いますが、放送中に大っきな声で叫ぶとその声も流れちゃいます。――で・も」 あえてシステムの問題を認めたジョーカーは声の温度を一気に下げて続けた。 「システムバグの悪用はチートと言って処罰対象なんですよね。今後放送中に大声出したら運営妨害でBANしちゃいますから気を付けて下さい?もちろんさっきの声の人ももう死んでます。それじゃ静かに聞いて下さいねー」 <♀騎士> 現在地:E-6 所持品:S1シールド、錐 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように 状態:JT2発被弾 背に切傷 <♂モンク> 現在地:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個、カード帖(♀スパノビ遺品) 外見:深い赤の瞳 備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚    できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきているが、アンバランスな部分を残す    個体認識異常を脱するが、体に変調?    快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る <GMジョーカー> 位置:E-5(管理本部) 所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?) 外見:ピエロ 備考:女王イゾルデの意向を最優先 <GM橘> 位置:E-5 (管理本部) 所持品:不明 (バルムン?) 外見:銀縁眼鏡、インテリ顔 ---- | [[戻る>2-257]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-259]] |

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