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258.定時放送④[3日目朝] ---- 孤島に静寂の時が流れる。 青く冴え渡る空に響くのは小鳥のさえずりのみ。 放送の声は一呼吸置かれていたが、警告が効いたのか大声を上げる者は誰も居ない。 「はい皆さん私のお願いをよくご理解いただけたようで大変結構。では改めて定時連絡を続けましょう。 まさかまだ寝てる方なんて居ないと思いますけれど、そんな方が近くにいましたら可哀想ですからそのまま永眠させて差し上げて下さいね」 悪意に満ちたジョーク。 のどを震わせる笑い声が続いたが、本当に面白がっているのか、それとも参加者の神経を逆なでするためにわざとやっているのか判然としない。 「まずは夜間に亡くなった方のお名前を読み上げます。 何だか皆さん急にやる気を出していただいたようで、なんと12人!いやいやいい調子ですねえ。今日中に決着がついちゃうかも知れません」 読み上げられた名は順に♂アコライト、♀ノービス、♂マジシャン、♂アルケミスト、♂クルセイダー、グラリス、♀ブラックスミス、♂ウィザード、♂ローグ、♀スーパーノービス、♂ハンター、そしてミストレス。 長いリストを聞き終え、参加者達はそれぞれの反応を示した。 ♂セージ達、特に♂シーフは安堵を隠せなかった。 淫徒プリと教えあった殺人者が軒並み消えた一方で♂プリの名は告げられていない。 その♂プリは治療していた♀ハンターを背負い直した。 ミストレスが倒れ、仲間達が生き残ったなら急いで戻らないといけない。 逆に元の仲間達がほぼ全滅したと知って♀ケミは心中ニヤリとする。 これで面倒が1つ減った。 ただ、探すべき仲間を失った♂スパノビの様子だけが気になった。 もう1人のアルケミスト、悪ケミは爪を噛んでいた。 仲間になる可能性はゼロに等しかったとは言え、スティールを使える参加者がまた減った。 もう♂シーフを確保するしかない。でもどこにいるのだろう。 そして生まれたてのパピヨンはひらひら飛んでいた。 首輪のない彼女はGM達に何も聞かれない代わりに放送も聞こえない。 もっとも聞こえたとしても気にしたかどうか。 「それではお待ちかね禁止区域の発表です」 参加者達の悲喜こもごもをあざ笑うようにジョーカーの声は続く。 「本日は私の腕に関係なくランダムな目が出るよう、ビンゴ抽選機を用意してみました。とんでもないところが禁止されても私のせいじゃありません。機械作った人怒って下さいね?」 誠意のかけらもない言葉の背景にウィンウィンゴロゴロと何かの機械音が混じり始めた。 「ハズレも半分ぐらいありますのでちょっと多めに十回抽選しましょう。まず最初は何が出るか…おっとC-6、危険な位置ですねえ」 いきなり最初の選択で禁止区域に囲まれた逃げ場のないブロックが2つ出来てしまった。 参加者達の間に緊張が走る。 息を詰めて待つ内に全ての番号が出揃い、地図上へ黒い表示が現れた。 C-6 H-10 D-1 B-3 C-1 G-9 G-5 F-2 B-4 A-8 「残念、海や既に禁止されてる場所が多かったですね。 まあいいでしょう、禁止区域で爆死なんかして頂くのは本意ではありませんから。 あ、でもE-5は追加で禁止させていただきます」 島の中央に黒いマスが追加され、南北をつなぐ回廊がさらに細長くなった。 それだけでなく島の北半分は1ブロックの隘路だらけになり、危険性が飛躍的に上昇している。 偶然にせよ意図的にせよ、移動範囲は一気に狭められたと見ていい。 「それではいよいよ後半戦、残るはわずか16名。もはや覚悟の定まった方しか生き残ってないことと思います。 その覚悟を、そして神々の目にも留まるような素晴らしい戦いを見せて下さい。 私はそれを見届けましょう。いかなるサーガにも謳われることのないその戦いを」 あたかも神の言葉を伝える神官のように朗々と宣言して放送は終えられた。 その言葉通りに、だがその意図とは異なるそれぞれの覚悟を抱え、島での3日目が始まる。 <ジョーカー> 現在地:E-5?(管理本部) 所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?) 容 姿:ピエロ 備 考:女王イゾルデの意向を最優先 ---- | [[戻る>2-258]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-260]] |
259.定時放送④[3日目朝] ---- 孤島に静寂の時が流れる。 青く冴え渡る空に響くのは小鳥のさえずりのみ。 放送の声は一呼吸置かれていたが、警告が効いたのか大声を上げる者は誰も居ない。 「はい皆さん私のお願いをよくご理解いただけたようで大変結構。では改めて定時連絡を続けましょう。 まさかまだ寝てる方なんて居ないと思いますけれど、そんな方が近くにいましたら可哀想ですからそのまま永眠させて差し上げて下さいね」 悪意に満ちたジョーク。 のどを震わせる笑い声が続いたが、本当に面白がっているのか、それとも参加者の神経を逆なでするためにわざとやっているのか判然としない。 「まずは夜間に亡くなった方のお名前を読み上げます。 何だか皆さん急にやる気を出していただいたようで、なんと12人!いやいやいい調子ですねえ。今日中に決着がついちゃうかも知れません」 読み上げられた名は順に♂アコライト、♀ノービス、♂マジシャン、♂アルケミスト、♂クルセイダー、グラリス、♀ブラックスミス、♂ウィザード、♂ローグ、♀スーパーノービス、♂ハンター、そしてミストレス。 長いリストを聞き終え、参加者達はそれぞれの反応を示した。 ♂セージ達、特に♂シーフは安堵を隠せなかった。 淫徒プリと教えあった殺人者が軒並み消えた一方で♂プリの名は告げられていない。 その♂プリは治療していた♀ハンターを背負い直した。 ミストレスが倒れ、仲間達が生き残ったなら急いで戻らないといけない。 逆に元の仲間達がほぼ全滅したと知って♀ケミは心中ニヤリとする。 これで面倒が1つ減った。 ただ、探すべき仲間を失った♂スパノビの様子だけが気になった。 もう1人のアルケミスト、悪ケミは爪を噛んでいた。 仲間になる可能性はゼロに等しかったとは言え、スティールを使える参加者がまた減った。 もう♂シーフを確保するしかない。でもどこにいるのだろう。 そして生まれたてのパピヨンはひらひら飛んでいた。 首輪のない彼女はGM達に何も聞かれない代わりに放送も聞こえない。 もっとも聞こえたとしても気にしたかどうか。 「それではお待ちかね禁止区域の発表です」 参加者達の悲喜こもごもをあざ笑うようにジョーカーの声は続く。 「本日は私の腕に関係なくランダムな目が出るよう、ビンゴ抽選機を用意してみました。とんでもないところが禁止されても私のせいじゃありません。機械作った人怒って下さいね?」 誠意のかけらもない言葉の背景にウィンウィンゴロゴロと何かの機械音が混じり始めた。 「ハズレも半分ぐらいありますのでちょっと多めに十回抽選しましょう。まず最初は何が出るか…おっとC-6、危険な位置ですねえ」 いきなり最初の選択で禁止区域に囲まれた逃げ場のないブロックが2つ出来てしまった。 参加者達の間に緊張が走る。 息を詰めて待つ内に全ての番号が出揃い、地図上へ黒い表示が現れた。 C-6 H-10 D-1 B-3 C-1 G-9 G-5 F-2 B-4 A-8 「残念、海や既に禁止されてる場所が多かったですね。 まあいいでしょう、禁止区域で爆死なんかして頂くのは本意ではありませんから。 あ、でもE-5は追加で禁止させていただきます」 島の中央に黒いマスが追加され、南北をつなぐ回廊がさらに細長くなった。 それだけでなく島の北半分は1ブロックの隘路だらけになり、危険性が飛躍的に上昇している。 偶然にせよ意図的にせよ、移動範囲は一気に狭められたと見ていい。 「それではいよいよ後半戦、残るはわずか16名。もはや覚悟の定まった方しか生き残ってないことと思います。 その覚悟を、そして神々の目にも留まるような素晴らしい戦いを見せて下さい。 私はそれを見届けましょう。いかなるサーガにも謳われることのないその戦いを」 あたかも神の言葉を伝える神官のように朗々と宣言して放送は終えられた。 その言葉通りに、だがその意図とは異なるそれぞれの覚悟を抱え、島での3日目が始まる。 <ジョーカー> 現在地:E-5?(管理本部) 所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?) 容 姿:ピエロ 備 考:女王イゾルデの意向を最優先 ---- | [[戻る>2-258]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-260]] |

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