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---- 270.決意[3日目午前] 突然の叫び声。 幾度となる魔法の行使と思われる音。 どう考えても、大規模な戦闘が行われている。 二人の騎士は、不安を消せないでいた。 本当なら、今すぐにでも飛び出して助けに行きかったであろう。 だが、♂モンクと♀騎士を放っていくわけにはいかない。 「どうしたものだろうな……」 今更だが、そう漏らさずにはいられなかった。 ♂モンクは一向に目覚める気配がないし、♂騎士自分、いつ狂うか分からないのだ。 「♂プリーストさんと♀ハンターさんは大丈夫でしょうか……?」 不安になったのか、♀騎士が聞いてきた。 確かに定時放送を聞いていれば、ミストレスが死んだということが分かるはず。 ならば、安全になったここに戻ってくるはずである。 ……だが、一向に戻ってくる気配がなかった。 「まさか、さっきの叫び声は……」 ♀騎士は、はっとして顔を上げる。 その顔は、不安の色で覆いつくされていた。 「……何かあったんでしょうか……助けに……」 「だめだ」 助けに行かないと、と言おうとしたのだろう。 ♂騎士が、それを遮った。 「♂モンクはどうするんだ? 放っていくわけには行かないだろ?」 「でもっ……!」 ♂騎士の指摘に、♀騎士は反論できない。 ♂騎士は更に続けて、 「……それに、もし誰かに襲われたらどうするんだ? 最悪、殺さないといけないかもしれない」 その言葉に、♀騎士は何も言えなくなった。 確かに、自分には人を殺す自信が無い(尤も、それは♂騎士も同じなのだが) ♀アーチャーの件も、♂騎士が一緒だったから出来たのだ。 一人であれば、出来なかっただろう。 更に、精神的な問題もあるが、武器の問題もあった。 ♀騎士は、シールドと錐しか持ってないのだ。 盾のスキルが豊富なクルセイダーならともかく、騎士である。 錐だけでは、どう前向きに考えても威力不足は否めない。 ♀騎士には、反論する材料は無かった。 「……ごめんなさい……」 何も言えず、♀騎士は謝るしか出来なかった。 「……ごめん、俺も言いす……っ!!?」 ♂騎士もバツが悪かったのか、謝ろうとしたときだった。 「ぁ……うああああっ!!?」 突然の叫び声に、♀騎士は顔を上げる。 そこには、突然苦しみだした♂騎士の姿があった。 「♂騎士さん!? どうしました!?」 身体が、熱い。 焼けるように、このまま消し炭になってしまうのではないか。 先ほどまで無かった痛覚が全身を駆け巡る。 (ちくしょう!またか……!) 最初や二回目より、酷い。 あまりの痛みにのた打ち回り、その度に更なる痛みが襲ってくる。 まるで、全身の痛覚が異常に鋭敏化しているような……。 ――そろそろ疲れてきたのではないか? まただ。 頭の中に直接響いてくる、不愉快すぎる声。 ――いくら足掻いても逃げられんぞ? この現実からはな。   それともどうした? 我に屈する気になったか? 屈する? 俺が? 「……っ黙れよ!! 誰がお前なんかに……ぅあっ!?」 ――ほう、あくまでも抵抗するか。   抵抗したいのならばすればいい。だが、いつまでもつかな?   あの時もそうだった。あれだけ強く誓ったのにも関わらず、結局は自分で殺してしまったではないか、♂アルケミストを。 「あれは……っ!」 自分が、またしても恐怖に負けただけだ。 もう負けるつもりはない! 『「信じて……くれないか、俺のこと」』 裏切られても尚、無理して笑顔を見せた親友の顔が脳裏に浮かぶ。 そう、俺はもう負けない、負けるわけにはいかない!! ――♀アーチャーの時はどうなのだ? あれこそ、自身の渇きを潤したかっただけではないのか?   奇麗事を言ってはいたが、それは渇きを潤すための口実であろう? 私には分かるぞ。   さあ、言うのだ。「もっと殺したい」とな。 「違う! 好き勝手なことをベラベラと喋るな!!」 俺は、あの子が望んだことをしただけだ! 自分から望んだわけじゃない! 『「……ありがとう」』 ……ありがとう? 何でありがとうなんだ? だが、少なくともあの子は、『王子様』といることを望んでいた。 俺は……。 ……あれ? なんだ? 気持ちよくなってきた……な。 ――やはり人間は単純で良いな。いとも簡単に手中に落ちてくれる。勝手に暴れて体力を消耗してくれるとは、やはり単純すぎるな。   あの白装束達にも感謝しなければな。お前も感謝するのだぞ? あの白装束達にな。 白装束? ああ……そういえばそんなのもいたな。 なんか、どう……でも良くなってきた……。 さっきまでは不愉快だったこの声も、なんか心地よく響く……。 ――さて、周りに獲物はたくさんいることだ。まずはその物達から殺してしまえ。   なに、なんの事はない。そのツルギを、一振りするだけでいいのだ。一撃でカタがつくぞ。   少なくとも、今のお前にはそれだけの力がある。さあ、やるのだ。 ツルギ……ねえ。どちらかと言えばクレイモアの方がいいんだがな。 ――青箱をまだ開けてなかろう? 後で開けてみれば良い。   そこに♀騎士がいるだろう? さっさと殺してしまえ。 ♀騎士、か。 そうだな……。 ん? なんだ? 『「ごめんなさい。あたし、最後まで迷惑を……」』 誰だ? 『「あなただけを苦しませることなんてできません」』 ダレダ? 『「私の手も、汚れていますから」』 アあ、コれは……。 「……っ調子にのるな!! お前が俺に従いやがれ!!」 先ほどまでの気持ちよさは微塵と消え、再び痛みが全身を駆け巡る。 だが、先ほどまで痛みはなかった。 「さっきからごちゃごちゃとくだらない事をやかましいんだよ!!」 同時に、ものの見事に奴の術中に嵌ってしまった自分を悔いた。 こんな思いは二度とごめんだ。 ――貴様、何を言っているのか分かっているのか? 貴様の汚れた手では…… 「黙れっ!! 俺はもう逃げない!!」 そうだ。 俺はもう迷わない。 大切なもの、守りたいもの、そこにたくさんあるじゃないか! 迷う必要なんて、ないんだ! だからこそ、俺は自らを鼓舞するように叫んだ。 「白装束だかなんだか知らんがな、俺は守りたいものを守る! 奪おうとする奴は叩き斬ってやる!!」 だから、もう死ぬわけにはいかない。 守れるだけ、精一杯守る。その為に精一杯生きる。 ……あいつも、その方が喜ぶだろうしな。 「あの……大丈夫ですか?」 ♀騎士が、心配した様子で声をかける。 「ああ、悪い。もう大丈夫だ。吹っ切れたよ」 今までの悲観的な顔はもう、無かった。 もう、吹っ切れたらしい。 が、 ♀騎士の心配所はそこではなかったらしい。 「いえ、そうではなくて……なんか一人で叫びまくってましたけど……」 「………」 ♂騎士は返す言葉も無く、先ほどの声を精一杯恨んだ。 「……そういや、青箱まだ開けてなかったな……」 ♂騎士は、袋から青箱を取り出した。 ♀プリーストの、遺品であろう。 「それは?」 ♀騎士が聞いてくる。 「大切な人の……形見だ。守ってやれなかったからな……」 少し悲しげな表情を浮かべながら、そう言った。 「あ……ごめんなさい」 その様子を見ながら、♀騎士はすぐさま謝った。 知らなかったとは言え、余計なことを聞いてしまったと。 だが、 ♂騎士の、その表情とは裏腹に、強い決意の色があった。 (でも、守りたいものが全部無くなったわけじゃない) 「いいんだ。俺は、仲間を守りたい。だから、精一杯生きたい。あいつも、それを望んでるだろうから」 その♂騎士の姿は、どうみても不安定だった今までとは別人とも言えた。 「まあ、開けるか。役に立ちそうなものがあるかもしれない」 辛気臭い話は無しにして、と。 それに、♀騎士はそうですね、と同意した。 そして、その青箱を開けてみる。 出てきたのは、幅広の巨大な剣であった。 ―カッツバルゲル それは、攻撃と防御を兼ね備えた、まさに♂騎士が望んだ武器と言える。 「これは……」 「俺は元々両手剣の方が得意だしな」 ♂騎士は、手に入れたばかりのカッツバルゲルを一振りしながら言った。 「ツルギは君が使うといい。短剣だとリーチが短すぎるだろ?」 ♀騎士は一瞬、返答に困った。 だが、♂騎士の好意を無駄にするわけにはいかないし、♂騎士が言うことも尤もだ。 何より、自分だけ楽するわけにもいかなかった。 「……ありがとうございます」 だから、♂騎士から差し出されたツルギを受け取らないわけにはいかなかった。 刀剣類を持つことには抵抗がある。あるけど、それを理由に逃げるわけにはいかなかった。 目の前の騎士も、もう逃げない、と強く決意を表していたから。 「ああ、そういえばカード帳もあったな。♀スパノビのだが……」 ♂騎士が言った、その時だった。 がさっ 草むらからである。 その音に、二人はすばやく反応した。 「誰だ!?」 ♂騎士は、♀騎士と♂モンクを庇うように、カッツバルゲルを構える。 「ひっ!?」 その視線の先にいたのは、♂プリーストに抱えられて離脱したはずの、♀ハンターだった。 <♀騎士> 現在地:E-6 所持品:S1シールド、錐 、ツルギ(♂騎士から受け取る) 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように 状態:JT2発被弾 背に切傷 <♂モンク> 現在地:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品) 外見:深い赤の瞳 備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚    できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走    両手剣タイプ 状態:痛覚喪失?、体力は半分ほど 精神は安定? 個体認識異常を脱する。    必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3] スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり 状 態:気絶から回復、でもHP赤い ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖 <ふぁる> 現在地:E-6 所持品:リボンのヘアバンド スキル:ブリッツビート スチールクロウ 備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 状 態:JTによる負傷で気絶中 ---- | [[戻る>2-269]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-271]] |
270.決意[3日目午前] ---- 突然の叫び声。 幾度となる魔法の行使と思われる音。 どう考えても、大規模な戦闘が行われている。 二人の騎士は、不安を消せないでいた。 本当なら、今すぐにでも飛び出して助けに行きかったであろう。 だが、♂モンクと♀騎士を放っていくわけにはいかない。 「どうしたものだろうな……」 今更だが、そう漏らさずにはいられなかった。 ♂モンクは一向に目覚める気配がないし、♂騎士自分、いつ狂うか分からないのだ。 「♂プリーストさんと♀ハンターさんは大丈夫でしょうか……?」 不安になったのか、♀騎士が聞いてきた。 確かに定時放送を聞いていれば、ミストレスが死んだということが分かるはず。 ならば、安全になったここに戻ってくるはずである。 ……だが、一向に戻ってくる気配がなかった。 「まさか、さっきの叫び声は……」 ♀騎士は、はっとして顔を上げる。 その顔は、不安の色で覆いつくされていた。 「……何かあったんでしょうか……助けに……」 「だめだ」 助けに行かないと、と言おうとしたのだろう。 ♂騎士が、それを遮った。 「♂モンクはどうするんだ? 放っていくわけには行かないだろ?」 「でもっ……!」 ♂騎士の指摘に、♀騎士は反論できない。 ♂騎士は更に続けて、 「……それに、もし誰かに襲われたらどうするんだ? 最悪、殺さないといけないかもしれない」 その言葉に、♀騎士は何も言えなくなった。 確かに、自分には人を殺す自信が無い(尤も、それは♂騎士も同じなのだが) ♀アーチャーの件も、♂騎士が一緒だったから出来たのだ。 一人であれば、出来なかっただろう。 更に、精神的な問題もあるが、武器の問題もあった。 ♀騎士は、シールドと錐しか持ってないのだ。 盾のスキルが豊富なクルセイダーならともかく、騎士である。 錐だけでは、どう前向きに考えても威力不足は否めない。 ♀騎士には、反論する材料は無かった。 「……ごめんなさい……」 何も言えず、♀騎士は謝るしか出来なかった。 「……ごめん、俺も言いす……っ!!?」 ♂騎士もバツが悪かったのか、謝ろうとしたときだった。 「ぁ……うああああっ!!?」 突然の叫び声に、♀騎士は顔を上げる。 そこには、突然苦しみだした♂騎士の姿があった。 「♂騎士さん!? どうしました!?」 身体が、熱い。 焼けるように、このまま消し炭になってしまうのではないか。 先ほどまで無かった痛覚が全身を駆け巡る。 (ちくしょう!またか……!) 最初や二回目より、酷い。 あまりの痛みにのた打ち回り、その度に更なる痛みが襲ってくる。 まるで、全身の痛覚が異常に鋭敏化しているような……。 ――そろそろ疲れてきたのではないか? まただ。 頭の中に直接響いてくる、不愉快すぎる声。 ――いくら足掻いても逃げられんぞ? この現実からはな。   それともどうした? 我に屈する気になったか? 屈する? 俺が? 「……っ黙れよ!! 誰がお前なんかに……ぅあっ!?」 ――ほう、あくまでも抵抗するか。   抵抗したいのならばすればいい。だが、いつまでもつかな?   あの時もそうだった。あれだけ強く誓ったのにも関わらず、結局は自分で殺してしまったではないか、♂アルケミストを。 「あれは……っ!」 自分が、またしても恐怖に負けただけだ。 もう負けるつもりはない! 『「信じて……くれないか、俺のこと」』 裏切られても尚、無理して笑顔を見せた親友の顔が脳裏に浮かぶ。 そう、俺はもう負けない、負けるわけにはいかない!! ――♀アーチャーの時はどうなのだ? あれこそ、自身の渇きを潤したかっただけではないのか?   奇麗事を言ってはいたが、それは渇きを潤すための口実であろう? 私には分かるぞ。   さあ、言うのだ。「もっと殺したい」とな。 「違う! 好き勝手なことをベラベラと喋るな!!」 俺は、あの子が望んだことをしただけだ! 自分から望んだわけじゃない! 『「……ありがとう」』 ……ありがとう? 何でありがとうなんだ? だが、少なくともあの子は、『王子様』といることを望んでいた。 俺は……。 ……あれ? なんだ? 気持ちよくなってきた……な。 ――やはり人間は単純で良いな。いとも簡単に手中に落ちてくれる。勝手に暴れて体力を消耗してくれるとは、やはり単純すぎるな。   あの白装束達にも感謝しなければな。お前も感謝するのだぞ? あの白装束達にな。 白装束? ああ……そういえばそんなのもいたな。 なんか、どう……でも良くなってきた……。 さっきまでは不愉快だったこの声も、なんか心地よく響く……。 ――さて、周りに獲物はたくさんいることだ。まずはその物達から殺してしまえ。   なに、なんの事はない。そのツルギを、一振りするだけでいいのだ。一撃でカタがつくぞ。   少なくとも、今のお前にはそれだけの力がある。さあ、やるのだ。 ツルギ……ねえ。どちらかと言えばクレイモアの方がいいんだがな。 ――青箱をまだ開けてなかろう? 後で開けてみれば良い。   そこに♀騎士がいるだろう? さっさと殺してしまえ。 ♀騎士、か。 そうだな……。 ん? なんだ? 『「ごめんなさい。あたし、最後まで迷惑を……」』 誰だ? 『「あなただけを苦しませることなんてできません」』 ダレダ? 『「私の手も、汚れていますから」』 アあ、コれは……。 「……っ調子にのるな!! お前が俺に従いやがれ!!」 先ほどまでの気持ちよさは微塵と消え、再び痛みが全身を駆け巡る。 だが、先ほどまで痛みはなかった。 「さっきからごちゃごちゃとくだらない事をやかましいんだよ!!」 同時に、ものの見事に奴の術中に嵌ってしまった自分を悔いた。 こんな思いは二度とごめんだ。 ――貴様、何を言っているのか分かっているのか? 貴様の汚れた手では…… 「黙れっ!! 俺はもう逃げない!!」 そうだ。 俺はもう迷わない。 大切なもの、守りたいもの、そこにたくさんあるじゃないか! 迷う必要なんて、ないんだ! だからこそ、俺は自らを鼓舞するように叫んだ。 「白装束だかなんだか知らんがな、俺は守りたいものを守る! 奪おうとする奴は叩き斬ってやる!!」 だから、もう死ぬわけにはいかない。 守れるだけ、精一杯守る。その為に精一杯生きる。 ……あいつも、その方が喜ぶだろうしな。 「あの……大丈夫ですか?」 ♀騎士が、心配した様子で声をかける。 「ああ、悪い。もう大丈夫だ。吹っ切れたよ」 今までの悲観的な顔はもう、無かった。 もう、吹っ切れたらしい。 が、 ♀騎士の心配所はそこではなかったらしい。 「いえ、そうではなくて……なんか一人で叫びまくってましたけど……」 「………」 ♂騎士は返す言葉も無く、先ほどの声を精一杯恨んだ。 「……そういや、青箱まだ開けてなかったな……」 ♂騎士は、袋から青箱を取り出した。 ♀プリーストの、遺品であろう。 「それは?」 ♀騎士が聞いてくる。 「大切な人の……形見だ。守ってやれなかったからな……」 少し悲しげな表情を浮かべながら、そう言った。 「あ……ごめんなさい」 その様子を見ながら、♀騎士はすぐさま謝った。 知らなかったとは言え、余計なことを聞いてしまったと。 だが、 ♂騎士の、その表情とは裏腹に、強い決意の色があった。 (でも、守りたいものが全部無くなったわけじゃない) 「いいんだ。俺は、仲間を守りたい。だから、精一杯生きたい。あいつも、それを望んでるだろうから」 その♂騎士の姿は、どうみても不安定だった今までとは別人とも言えた。 「まあ、開けるか。役に立ちそうなものがあるかもしれない」 辛気臭い話は無しにして、と。 それに、♀騎士はそうですね、と同意した。 そして、その青箱を開けてみる。 出てきたのは、幅広の巨大な剣であった。 ―カッツバルゲル それは、攻撃と防御を兼ね備えた、まさに♂騎士が望んだ武器と言える。 「これは……」 「俺は元々両手剣の方が得意だしな」 ♂騎士は、手に入れたばかりのカッツバルゲルを一振りしながら言った。 「ツルギは君が使うといい。短剣だとリーチが短すぎるだろ?」 ♀騎士は一瞬、返答に困った。 だが、♂騎士の好意を無駄にするわけにはいかないし、♂騎士が言うことも尤もだ。 何より、自分だけ楽するわけにもいかなかった。 「……ありがとうございます」 だから、♂騎士から差し出されたツルギを受け取らないわけにはいかなかった。 刀剣類を持つことには抵抗がある。あるけど、それを理由に逃げるわけにはいかなかった。 目の前の騎士も、もう逃げない、と強く決意を表していたから。 「ああ、そういえばカード帳もあったな。♀スパノビのだが……」 ♂騎士が言った、その時だった。 がさっ 草むらからである。 その音に、二人はすばやく反応した。 「誰だ!?」 ♂騎士は、♀騎士と♂モンクを庇うように、カッツバルゲルを構える。 「ひっ!?」 その視線の先にいたのは、♂プリーストに抱えられて離脱したはずの、♀ハンターだった。 <♀騎士> 現在地:E-6 所持品:S1シールド、錐 、ツルギ(♂騎士から受け取る) 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように 状態:JT2発被弾 背に切傷 <♂モンク> 現在地:E-6 所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失) 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状 <♂騎士> 現在地:E-6 所持品:ツルギ、S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品) 外見:深い赤の瞳 備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚    できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走    両手剣タイプ 状態:痛覚喪失?、体力は半分ほど 精神は安定? 個体認識異常を脱する。    必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3] スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり 状 態:気絶から回復、でもHP赤い ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖 <ふぁる> 現在地:E-6 所持品:リボンのヘアバンド スキル:ブリッツビート スチールクロウ 備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 状 態:JTによる負傷で気絶中 ---- | [[戻る>2-269]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-271]] |

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