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282.Who is Helper?[三日目午前] ----  どうしよう。どうすればいい。  はぁはぁと弾んだ息を抑えようとしつつ、木陰に隠れて♀アルケミストは現状の把握と整理に必死で頭を回転させていた。が、すぐにその思考には余計な感情が入り混じってくる。  ――今までの人生も巧く立ち回らなければここまで生きてこれなかったのは確かだろうが。こんなに疲れる頭の使い方をしたのは、この島が初めてだ。もう嫌だ。  駄目だ。考えろ。諦めるな。考えなければいけないのは、ここだ。今考えなければ、後悔しても遅い。死にたくなければ、考えるしかないのだ。そうやって今までも考え続けてきたじゃないか。  ♀アコライトと♀マジシャンには、完全に敵と見做されたに違いない。いずれ戻ってくる淫徒プリら仲間達も、最早♀アルケミストの安全を確保してくれる駒にはならないだろう。元から、淫徒プリや♂セージには自分の行動は怪しまれていたようだったし。  残っている参加者は何人だったか。その中で、自分が取り入れそうな奴は果たしてどれだけいるのだろうか。あの大所帯以外で生き残っている奴らなんて、もうこのゲームに乗った殺戮者しかいないんじゃないのか。  ――もう、自分の身は自分で守る以外に術は無いんじゃないか。  はっとする。  自分の味方は、もうこの島には居無い。  居無いんじゃ。そうだ、きっとそうだ。  ひとりの心細さはもう、この島に来てからだけでも何度も経験してきた。それでも、誰かが――使える誰かが、何処かにいるだろうと思っていた。利用できるものを探して、どうにかしようと、どうにかなると、どうにかできると、そう思っていた。  でも、もう、自分は、本当にひとり――  ながま、助ける。 「・・・・・・あいつ」  ♂スーパーノービス。そういえば、♂スーパーノービスはどうしたのだろうか。  私の仲間だと思われて、ほかの奴等にやられてしまったのか。  否、あいつ等は馬鹿だ。殺し合いのこの場に置いて、まだ甘さがある。あの♂スーパーノービスが悪い奴ではないということは、私にだって解る。それが解ったとして、私の仲間というだけで殺したりなんかするだろうか。  ・・・・・・あの集団を追い出されることはあっても、殺される可能性は低い筈だ。ならば、私はあの♂スーパーノービスを拾いに行かないと。  もしかすると、あの集団の仲間に入ってしまっているかもしれない。或は、本当に殺されてしまっている可能性だって無い訳じゃない。  それでも。それなら。  今の私には、否――私には、きっとあいつが必要なんだ。  鳥の鳴き声がまばらに聴こえた気がした。  そして、かさり、と。  何かの音に気づいて、♀アルケミストははっと息を呑んだ。  誰だ。♂スーパーノービスか? そうであって欲しい。否、そうでいて。  木陰からちらりと顔を出す。向こうから、何かが歩いてくるのが見えた。  ――何、あれ。  人には見えなかった。  人の形を成してはいるが、それは人ではない。  グール。そうだ、ゲフェンの地下洞窟に棲む屍人があんな風な姿をしていた。  どういうことだと、♀アルケミストはまたも頭を抱える。このゲームの敗者の誰かの亡骸が黄泉返って、真っ昼間から島を闊歩しているとでも言うのだろうか。・・・・・・ああ、もうそれでいい。何が起きても不思議じゃないんだ、この島は。  だが。  少なくとも、アレは味方ではない。味方である筈がない。  だが、よろよろとしたその屍人は♀アルケミストの方に近付いてくる。気づかれているのか、偶々か。よく見れば、屍人はぼろぼろの曲がった棒のようなものを片手に持っている。あれは・・・・・・弓、か?  どうすればいい。♂スーパーノービスはいない。今は♀アルケミストひとりしか、ここにはいない。  ――自分の身は自分で守るしか無いんじゃないか。  そうだ。グール程度、ひとりで倒せなくてどうする。私だって、アルケミストの端くれなんだ。  武器だってある。グラディウスも、クロスボウも。どちらも普段あまり使い慣れない得物だけど、戦える。誰かに、♂スーパーノービスに頼り切ってるばっかりじゃ駄目なんだ。  唾を飲み込むと、毒を含んだ矢を一本、クロスボウに番える。  屍人は、ゆっくりと歩いている。疲れ切ったように、ふらふらと。  こいつを倒して、♂スーパーノービスを探しに行こう。♂スーパーノービスと一緒に、守り、守られ、生き残ろう。その先なんて、考えるのはもう疲れた。  とすり、とグールの左脇腹に矢が突き刺さった。ぐらりと屍人の身体が傾ぐ。  よろよろとした動作のままで、漸くその存在に気づいたという風に屍人は視線を己が脇腹に落とすと、緩慢な動作でそれを引き抜き、自分の持っていたぼろぼろの弓を構えてそれに番えた。  ♀アルケミストは焦り、木陰から次の矢を装填しようとしながら屍人に目をやり、――視線が合った。  その瞬間、屍人の口がぱっくりと裂け、三日月の形を作った。ヘケ、と。  嗤った。  怖気立つ。そして、♀アルケミストは悟った。  ――こいつは、グールなんかじゃない。  ――もっとおぞましいモノだ。  次の瞬間、己が放ったばかりの毒矢が♀アルケミストの喉元に突き立った。 「・・・・・・っ、か」  手から力が抜け、クロスボウも番えようとしていた矢も地面に転がる。数秒の間を置いて、♀アルケミストの身体も。  熱い。痛い。悲鳴さえ出ない。起き上がれない。  何だ、これは。どうして屍人がこんな正確に矢を射ってくるんだ。どうして屍人が弓なんか持ってるんだ。アレは、何なんだ。  首に矢が突き刺さったというだけでも致命傷なのに、この矢には自分が仕込んだ毒が染み込んでいる。・・・・・・お笑い種だ。  不気味な液体を滴らせながら、ソレが近付いてくるのが倒れている♀アルケミストの滲む視界に映った。  ああ、私の意識よ、どうせもうすぐ掻き消えてなくなるんなら、早く遠のけ。あいつが来る。  早く、  この恐怖をどこかにやってくれ。  ――――――・・・・・・・・・・・・ 「この『寄り道』、正解だったのか」  ぴくりと、ソレは反応した。最早意識を失い、放っておいてもいずれその命尽きるであろう♀アルケミストよりも、新たな闖入者の方が危険と判断――するだけの思考能力がソレに残っていたのかは疑問だが、兎も角現れた二人――正確には四人――に視線を映し、ソレは弓を構えた。 「何かの体液と足跡・・・・・・危険なものがいるのであれば確認しておく必要があると思ったのですが。本当に危険だったようですね」  ♂セージの口調はどんな状況であろうと変わらない。つくづく冷静な男だ、とグラサンモンクは感心するが、実際のところグラサンモンク自身も似たようなものだ。  ソレは矢を放つ。いつ折れてもおかしくない、いつ弦が切れてもおかしくないぼろぼろの弓で、次々と矢を放つ。 「どうする。この二人を守りながら戦うのは不利だ」  矢の攻撃を避け、少しずつ退きながらグラサンモンクは問うた。戦うとすれば数の上では二対一だとしても、それぞれ大の大人をひとりずつ担いだままでの戦闘などは無茶だろう。それでなくても、今は万全ではない。 「一旦退くのがベストなのでしょうが。しかし」 「あれはどうする」  グラサンモンクはちらりと♀アルケミストに視線をやるが、サングラスの下の視線の移動などが伝わる筈はない。しかし、もとより「しかし」と続けた本人である♂セージにも当然彼の言わんとする事は呑み込めたもので、矢の射程から逃れるためにグラサンモンクよりも更に半歩以上身を退きつつ、さて如何するべきでしょうかと思案する。 「このまま矢の雨を避けつつ誘って誘って、♀アコライトさん達と合流すれば――安全に戦えますが」 「彼女は放置しても問題はないのか」 「首に矢が刺さってるように見えますね」 「・・・・・・全く。どれだけ怪我人を拾えば気が済むんだ」 「助けられる可能性は低いと思いますが。この♀騎士さんも急いで治療する必要がありますし」 「解っている。ヤバそうなら撤退だ」  グラサンモンクは、担いでいた重い荷物を地面にどさりと置くと、今にも形を失って崩れ落ちてしまいそうな弓を構えたままじりじりと迫ってくる、ソレの眼をサングラス越しに見据えた。  狂気。絶望。悲哀。何が宿っているのかを読み取ろうとしたが、それは不可能だった。焦点のぼやけたその虚ろな瞳には、何も宿ってはいなかった。 「・・・・・・こいつは何だ」 「変わり果てた姿ですが――人間ですね。恐らくは、件の♀ハンターさんであると思われます」  じり、と♀ハンターであったモノはにじり寄ってくる。その弓の射程圏内に気を失っている二人を入れぬようにと、グラサンモンクは自ら歩を進めた。ケヒ、という嗤い声が耳に入った。 「救うべきモノなのか、潰すべきモノなのか――と訊いている」  やれやれという呟きと共に、どさりと背負った♀騎士を地面に寝かせる音がして、この場合それは同義ですよ――と、グラサンモンクの隣に並びつつ♂セージは答えた。 <♀アルケミスト> 現在地:E-6 所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食 外 見:絶世の美女 性 格:策略家 備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い) 状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 気絶 瀕死 <♀ハンター> 現在地:E-6 所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]     (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます) 外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿 スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング 備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり 状 態:発狂 自我崩壊 <♀騎士> 現在地:E-6 所持品:S1シールド、ツルギ 外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳 備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように 状態:気絶 負傷多数 重篤? <♂モンク> 現在地:E-6 所持品:なし 外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更) スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁 備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状 <♂セージ> 現在地:E-6 所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅 容 姿:マジデフォ黒髪 スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー 備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♀ハンターと対峙 <グラサンモンク> 現在地:E-6 所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭 容 姿:csm:4r0l6010i2 スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳 備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 ♀ハンターと対峙 状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇 参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】 作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記) ---- | [[戻る>2-281]] | [[目次>第二回目次3]] | [[進む>2-283]] |

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