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死亡遊戯 ---- 「…死して尚、貴方と顔を合わせる事になるとは。…なんとも皮肉な運命ですわね」 最初に口を開いたのはグラリスだった。 野暮ったい眼鏡に隠された視線の先には、鋼の様な筋肉の鎧に身を固めた無骨な神の信徒の姿がある。 「…そうだな。俺も、お前も、神に相当嫌われているらしい」 ♂クルセイダーは思いの外穏やかな口調で返す。 軽く笑みを浮かべ応えるグラリスの外観からは百戦錬磨の凄みなど微塵も感じられない。 「…貴方との決着もうやむやになってしまいましたわね。まぁ腕を切り飛ばされた時点で、私の負けでしょうけどね」 「どうかな…。言い訳するつもりも慰めるつもりでも無いが、お互い手負いだった。万全の体勢ならどう転ぶか判らなかったろうさ」 軽く肩をすくめる♂クルセイダー。グラリスは「そうならいいのですけどね…」と苦笑混じりに呟く。 ゆっくりと、視線を合わせる。 傷も疲労も今はない。 万全の体勢…正に今がその時である。 絡み合う視線に、静かに、静かに…闘志が籠もる。 「…やるか?」 「…別に貴方に対して怨みも怒りもありません。ですが、私個人の要望として貴方とは戦ってみたいですわね」 「同感だ。禍根もしがらみも無く、只、己の死力を尽くしてお前とやってみたい」 ♂クルセイダーは腰に下げたシミターの柄に手をかけ、そしてゆっくりと抜き放つ。 湾曲した薄い鋼。切り裂く事に重点を置いた刃が濡れたような光をたたえている。 対するグラリスは、その手にしたバスタードソードの重さを確かめるように一振り、二振りと剣閃を走らせる。 切る事よりも叩き割る事に比重を持たせた肉厚の刃が、鈍い風切り音を奏でる。 「元軍属、現カプラ職員、グラリス。参ります!」 まるで騎士の様に眼前に剣を掲げ、覇気の籠もった声を上げるグラリス。 「俺は……いや、名乗りを上げるほどの者じゃない。只の…殺人者だ」 「知っていますよ。BR優勝経験者…お手並み拝見ですわっ!」 叫ぶと同時に、一挙動で間合いを詰めるグラリス。 速い。 瞬き一つの間に距離を詰め、勢いのまま剣を振り下ろす。 十二分に体重の乗った一撃はシミターの刀身では受けられない。 が、♂クルセイダーは湾曲したその形状をフルに利用し、刃の上を滑らせるようにグラリスの一撃を受け流す。 渾身の一撃が逸らされ体の流れたグラリスの喉元に、吸い込まれるように白刃が跳ね上がる。 「くっ!」 無理矢理に首を曲げて、その斬撃から逃れる。 頬を浅く掠めたシミターが一条の紅い線を刻む。 そして二撃目の斬撃。 ♂クルセイダーはその技量に物をいわせ、跳ね上げた軌跡をなぞるように刃を振り下ろす。 体勢を崩したままのグラリスだが、その瞳はしっかりと斬撃のコースを捉えている。 足首を返して、体を数センチ、外に逃がす。 頚椎を狙って振り下ろされたシミターの切先は、亜麻色の髪を一房持っていくに留まった。 トンッと軽く地面を蹴り、間合いから離脱するグラリス。 ♂クルセイダーも無理な追撃はしない。 「流石…と言わせて頂きましょう。初撃を受け流した技量。流れるような反撃。…そして何より躊躇無く急所を狙う合理的な戦法。どれを取っても超一流ですわ」 「殺ったと思ったんだがな。あのタイミングで二回とも避けるか。とんでもない身体能力だな…やれやれ、手負いでなければ判らなかった…か」 どちらともなく笑みを浮かべる。 目の前の相手は、強い。 自らの全てを賭してもまだ足りないほどに。 「…そうだ」 ♂クルセイダーが思い出したように声をあげる。 「お前の護りたい者の名をまだ聞いていなかったな…。今更、俺の祈りに意味があるか判らないが…良かったら教えてくれないか?」 グラリスは顔に掛かった髪を肩越しに背後へ払いながらニコッと笑う。 「W…ですわ。まだまだ目の離せないお子様ですけど…私には大事な大事な家族ですわ」 「ならば、祈ろう。神よ…Wの行く先に光多からん事を…」 「ええ…光多からん事を…」 目を閉じ、短い祝詞をあげる♂クルセイダー。 それに倣い、祝詞を復唱するグラリス。 小さな小さな祈りだった。 そして世界で一番尊い祈りでもある。 「…神は最後に少しだけ慈悲を与えてくれたらしい。最後にお前の大切な家族の為に祈る事が出来た」 「では貴方に祈ってもらえたのも神の御慈悲になるのかしら…ずいぶんと出し惜しみする神様ですわね」 「違いない」 ふふ…と声に出して笑う二人。 笑みを浮かべたまま…己が手にした武器を構え腰を沈める。 引き絞られた弓の弦のように、全身のバネを瞬発力へと変換していく…。 「では…行くぞ!」 「…ええ!」 『はあああぁぁぁっっっ!!!』 戦いはまだ、続いていく。 ◇◇◇ おまけ 「は~~ぁ…グラリス先輩も相変わらずとゆーか何とゆーか」 「こっち来て、すぐに死闘を繰り広げちゃってるからねぇ。どうする?テーリングちゃん」 「どうするって言ってもねぇ…あの世だよ全員集合インタビューなんてできる雰囲気じゃないしなぁ…」 「近付こうものなら頭カチ割られちゃいそうだしねぇ…」 「と言っても話が進まないわ…ソリン頑張ってね」 「それは断固NOですわ」 「こーいう時頑張らないと目立てないよ?ただでさえ地味キャラなんだから」 「こういうのは脳筋バカのテーリングちゃんの仕事でしょ」 ………プチ 「別に貴方に対して怨みも怒りもありまくりだからココで死ねソリンーーーーーーーーーー!!!」 「同感だーーーーーーーー!!!」 ---- [[戻る>第二回番外編]]
死亡遊戯 ---- 「…死して尚、貴方と顔を合わせる事になるとは。…なんとも皮肉な運命ですわね」 最初に口を開いたのはグラリスだった。 野暮ったい眼鏡に隠された視線の先には、鋼の様な筋肉の鎧に身を固めた無骨な神の信徒の姿がある。 「…そうだな。俺も、お前も、神に相当嫌われているらしい」 ♂クルセイダーは思いの外穏やかな口調で返す。 軽く笑みを浮かべ応えるグラリスの外観からは百戦錬磨の凄みなど微塵も感じられない。 「…貴方との決着もうやむやになってしまいましたわね。まぁ腕を切り飛ばされた時点で、私の負けでしょうけどね」 「どうかな…。言い訳するつもりも慰めるつもりでも無いが、お互い手負いだった。万全の体勢ならどう転ぶか判らなかったろうさ」 軽く肩をすくめる♂クルセイダー。グラリスは「そうならいいのですけどね…」と苦笑混じりに呟く。 ゆっくりと、視線を合わせる。 傷も疲労も今はない。 万全の体勢…正に今がその時である。 絡み合う視線に、静かに、静かに…闘志が籠もる。 「…やるか?」 「…別に貴方に対して怨みも怒りもありません。ですが、私個人の要望として貴方とは戦ってみたいですわね」 「同感だ。禍根もしがらみも無く、只、己の死力を尽くしてお前とやってみたい」 ♂クルセイダーは腰に下げたシミターの柄に手をかけ、そしてゆっくりと抜き放つ。 湾曲した薄い鋼。切り裂く事に重点を置いた刃が濡れたような光をたたえている。 対するグラリスは、その手にしたバスタードソードの重さを確かめるように一振り、二振りと剣閃を走らせる。 切る事よりも叩き割る事に比重を持たせた肉厚の刃が、鈍い風切り音を奏でる。 「元軍属、現カプラ職員、グラリス。参ります!」 まるで騎士の様に眼前に剣を掲げ、覇気の籠もった声を上げるグラリス。 「俺は……いや、名乗りを上げるほどの者じゃない。只の…殺人者だ」 「知っていますよ。BR優勝経験者…お手並み拝見ですわっ!」 叫ぶと同時に、一挙動で間合いを詰めるグラリス。 速い。 瞬き一つの間に距離を詰め、勢いのまま剣を振り下ろす。 十二分に体重の乗った一撃はシミターの刀身では受けられない。 が、♂クルセイダーは湾曲したその形状をフルに利用し、刃の上を滑らせるようにグラリスの一撃を受け流す。 渾身の一撃が逸らされ体の流れたグラリスの喉元に、吸い込まれるように白刃が跳ね上がる。 「くっ!」 無理矢理に首を曲げて、その斬撃から逃れる。 頬を浅く掠めたシミターが一条の紅い線を刻む。 そして二撃目の斬撃。 ♂クルセイダーはその技量に物をいわせ、跳ね上げた軌跡をなぞるように刃を振り下ろす。 体勢を崩したままのグラリスだが、その瞳はしっかりと斬撃のコースを捉えている。 足首を返して、体を数センチ、外に逃がす。 頚椎を狙って振り下ろされたシミターの切先は、亜麻色の髪を一房持っていくに留まった。 トンッと軽く地面を蹴り、間合いから離脱するグラリス。 ♂クルセイダーも無理な追撃はしない。 「流石…と言わせて頂きましょう。初撃を受け流した技量。流れるような反撃。…そして何より躊躇無く急所を狙う合理的な戦法。どれを取っても超一流ですわ」 「殺ったと思ったんだがな。あのタイミングで二回とも避けるか。とんでもない身体能力だな…やれやれ、手負いでなければ判らなかった…か」 どちらともなく笑みを浮かべる。 目の前の相手は、強い。 自らの全てを賭してもまだ足りないほどに。 「…そうだ」 ♂クルセイダーが思い出したように声をあげる。 「お前の護りたい者の名をまだ聞いていなかったな…。今更、俺の祈りに意味があるか判らないが…良かったら教えてくれないか?」 グラリスは顔に掛かった髪を肩越しに背後へ払いながらニコッと笑う。 「W…ですわ。まだまだ目の離せないお子様ですけど…私には大事な大事な家族ですわ」 「ならば、祈ろう。神よ…Wの行く先に光多からん事を…」 「ええ…光多からん事を…」 目を閉じ、短い祝詞をあげる♂クルセイダー。 それに倣い、祝詞を復唱するグラリス。 小さな小さな祈りだった。 そして世界で一番尊い祈りでもある。 「…神は少しだけ慈悲を与えてくれたらしい。最後にお前の大切な家族の為に祈る事が出来た」 「では貴方に祈ってもらえたのも神の御慈悲になるのかしら…ずいぶんと出し惜しみする神様ですわね」 「違いない」 ふふ…と声に出して笑う二人。 笑みを浮かべたまま…己が手にした武器を構え腰を沈める。 引き絞られた弓の弦のように、全身のバネを瞬発力へと変換していく…。 「では…行くぞ!」 「…ええ!」 『はあああぁぁぁっっっ!!!』 戦いはまだ、続いていく。 ◇◇◇ おまけ 「は~~ぁ…グラリス先輩も相変わらずとゆーか何とゆーか」 「こっち来て、すぐに死闘を繰り広げちゃってるからねぇ。どうする?テーリングちゃん」 「どうするって言ってもねぇ…あの世だよ全員集合インタビューなんてできる雰囲気じゃないしなぁ…」 「近付こうものなら頭カチ割られちゃいそうだしねぇ…」 「と言っても話が進まないわ…ソリン頑張ってね」 「それは断固NOですわ」 「こーいう時頑張らないと目立てないよ?ただでさえ地味キャラなんだから」 「こういうのは脳筋バカのテーリングちゃんの仕事でしょ」 ………プチ 「別に貴方に対して怨みも怒りもありまくりだからココで死ねソリンーーーーーーーーーー!!!」 「同感だーーーーーーーー!!!」 ---- [[戻る>第二回番外編]]

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