バトルROワイアル@Wiki 149


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149.夕餉


 よぉ、ローグだ。久しぶりだな。
 今、俺達は焚き火を囲んで、焼いた魚をパクついてる。
 ここに来れる道は迷宮の森しかねぇし、あれから糞スミの気配もとんとしねぇって理由だ。
 本当なら、他の連中に気づかれるかもしれねぇ真似は今も極力避けた方がいいんだろうが…
 あの糞女が遣しやがった保存食を食うよりはマシだ。

 ああ、それから付け加えとかなきゃいけねぇことが一つある。
 俺が、今とある糞山羊のお陰で程よく焦げちまった後って事。

 …まぁ、どっかで読んだ漫画宜しく、本当は全身すす塗れで真っ黒なだけなんだけどな。

「おい、糞山羊。てめーばっかりバクバク食ってるな!!」
 それでも腹の立つ事には変わりねぇから、俺は山羊を怒鳴りつける。

「むしゃむしゃ…やかまふぃぞ? 折角の夕餉が台無しであろうに」
 しかし、手にした川魚を手放しもしねぇ。っていうか、段々態度が横柄になってきてやがる。

「…ドツいていいか? つーか、むしろドツいて欲しいのか手前ぇ!?」
 腹を立てて、子バフォの頭を小突いてやろうと近づいた時だ。

「喧嘩しちゃ、だめっ」
 …俺と子バフォは、互いにファイティングポーズを取った状態で、横槍からのその声に動きを止める。
 言うまでもねぇ。その声の主は、アラームのガキ。

「ローグさんも、一杯食べてっ。そしたら喧嘩なんてしたくなくなるよっ」
 むぅ、等とうなっている子バフォの横をすり抜けて来たガキが、手にした焼き魚を俺に勧める。
 因みに、二つ握っているが、渡されたのは当然食いかけで無い方の串だ。

「……わーったよ」
 ばっ、と奪い取るようにして焼き魚を引っつかみ、がしゅがしゅとそれをがっつく。
 にぱーっ、とガキは嬉しそうに笑っていやがる。…チッ。

「もてもてね、ローグ?」
「うるせぇよ」
 にやにやしながらこっちを見ているアジャ子にそう切り返す。
 大体、俺に首輪を嵌めた幼女に欲情するような特殊な趣味は無ぇ。

「ローグ、魚はまだまだあるのだ。もう少しゆっくり食べたらどうだ?」
 と、真面目腐った顔で、他と同じく魚をパクついてるクルセが言った。
 因みに、沢山あるってのは事実だ。
 子バフォが後先考えずブチかましたお陰で、食いきれないぐらいの魚がその辺の草を敷いた上に転がっている。

「っていうか、説教かよ…」
「む…すまないな」
 げんなりした様に俺が切り返すと、少しすまなさそうにクルセが言う。
 そして、少し後、表情を少し変えると、口を開いた。

「…しかし、川魚というのは意外と淡白な物だな。お前が前もって塩を用意してくれていてよかったよ」
「そりゃそうだ。塩気の無い川魚くらい味気ねぇモンはねぇしな。…っていうか、姐さん川魚とか食わないんで?」
「私はイズルード生まれだからな…魚を食べる事は多かったが、海の物ばかりだったよ」
「へぇ…なるほどねぇ」

 あの剣士の町で生まれ育って、聖騎士になった、か。
 生粋の騎士って奴なのかねぇ。俺は半分食いかけの焼き魚の串を片手にそんな事を考えていた。

「……すまない。少し、いいか?」
「あ、なんですかぃ。姐さん」

 俺がそう答えると、クルセは少し不満そうな顔をする。

「それだ。その、姐さんというのは止めてくれないか? 何と言うか、堅苦しいのだ」
「姐さん…じゃねぇや、クルセは堅苦しく無いほうがいいんか?」
「…ああ」

 言葉に、そうとだけ答えてクルセは何故か俺から顔を背ける。
 俺の顔に、何か汚れでもくっついてんのか?
 …よく判んねぇ。思考を切り替えて食いかけの魚を再度攻略に掛かった。

「ったく。よくわかんねぇな、本当」
 呟き、食い終わった串を地面に投げ捨て、二本目に取り掛かる。
 後ちょっとしたら、辺りの探査もせにゃならんしな。腹ごしらえはとっとと済ませちまおう。
 何となく、誰かさんの視線がいたいけどな。

 俺は、何やら弓手からの射る様な視線を努めて無視しながら、俺は再び魚を食い始める。
 …雲が出てきてやがるな。雨が、ふりそうだ。

 ま、俺の仕事にとっちゃ好都合だったりするんだけどな。


 …


「…抜けた、か」
 ♀セージは、漸く抜けた迷いの森を背に、呟いた。
 彼女達は、♀セージを先頭に♀wiz、♂アーチャーと続く。

 いつの間にか降り始めた雨は、一行の歩みを酷く鈍いものにしていた。

「鬱陶しいわね…」
「本当にな」

 或いは、降り注ぐその雫は、涙かもしれない。
 そう考え、首を振った。少し、感情的に過ぎる。
 冷静を旨とする彼女には、似つかわしくもない。

泣きたいときに泣けなというのは、辛い。

 そんな事をぼんやりと考えながら彼女が振り向くと、後ろには生気の無い顔の♂アーチャーが居た。
 全員が、余りに疲れ切っていた。

「迷宮の森も抜けた。…今日は、ここで休むとしよう」
 彼女が、そう言った時だ。
 何時の間にそこに居たのだろうか。
 兎も角、がさり、と茂みがざわめいたかと思うと、『茂みそのもの』がいきなり♀セージに襲い掛かった。

「っ!!?」

 あっと言う間もない。
 一瞬にして服の襟首を押さえられて、彼女は地面に引きずり倒される。
 首元に、ちくりとした痛みが走る。見れば、その首元には刃の切っ先が。

「…っとぉ。判ってるだろうが、後ろの奴等、動くなよ?」

 セージはぬかるんだ地面に仰向けに転がされながら、その声を聞いていた。
 視界の端には、真っ黒い曇天。そして、直ぐ目線の先には、一人の男。
 茂みを纏い雨と薄雲とを背負った♂ローグだった。

「…何のつもりだ…っ」
 目標を目の前にして、こんな醜態を晒す事になるとは。
 歯噛みしつつも、セージは悪漢を睨みつける。

「自分の立場って奴を弁えな。質問出来るのは俺だけだぜ?」
「この野朗…っ!!」
 ♂アーチャーが激高する声。

「やれやれ…今から弓取り出して俺に射掛けるのと、姐さんの首が飛ぶののどっちが早いか試したいってか?」
 わざとらしく言い放つと、♂ローグは再び目線をセージに向けた。

「それじゃあ、本題だ。質問に答えてもらおうか」
「…判った。だが、その前に一つ聞かせろ」
「なんだ?」
「どうして、すぐ殺さない?」

 男は、その言葉に急に不機嫌な顔になる。

「本当なら、そうしてんだろうがな…」
 と、ローグがそこまで言いかけた時だ。

「ちょっとアンタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 何やってるのよ!!」
 助け舟は、意外なところからやってきた。
 余りに場違いなその絶叫に、ローグを除外した全員の動きが一瞬停止する。
 ふと、ぱらぱらと振っていた雨が止む。雲間から、空が覗いていた。

「何って…見りゃ判るだろーが。尋問だよ、尋問。こいつ等が危ねー奴だったら困るだろうが…と」

 辟易した顔で弓手に言葉を投げてから、呆然とした顔のセージに再び向き直る。

「ともかく、質問にゃ答えてもらえるな?」
「あ、ああ…」

 なんだか良く判らないけれど、流石の♀セージも異質の中で尚異質な情景を目の前に、ただそう答えるのが精一杯だった。


<♀セージグループ、♂ログ達と合流>
<子バフォが後先考えずとった川魚=>まだまだ沢山>

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