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061

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061.君と会えた奇跡


「ハァ……ハァ…」

体中に毒がまわっていくのがわかる、体が冷たくなっていく。
誰かを殺さないと……でも、もし殺したところで♀商人が約束を守る
と思えないことはわかっていた、でもわかっていても誰かを殺すしか方法はない。



私は走った、生き延びるために。このとき既に正気を失っていた
すると話し声が聞こえた、二人…?二人だろうと関係ない。
やらなきゃ私が死ぬ、やらなきゃ……
私は千鳥足で声の来るほうに行った。 

ガサガサ… 

話し声の正体は♂ローグと子バフォだった、向こうはすでに♀アーチャーの存在に
気づいていたらしく身構えていた

「……アーチャー?」
「待て、何か様子が変だぞ?」

私は最後の力を振り絞り弓を引いて放った、しかし空しく矢は外れた。
もうすでに狙いを定める余裕もなかった

「うわっ、あぶねえっ。」

もう弓を引く力も残っていなかった
立つ事もできなくなった♀アーチャーはその場にへたりこんでしまった 



「なんだ…手負いか、様子からすると毒にかかっているようだが…」
「私…殺し合いなんてしたくない…でも仲間に裏切られて…毒を盛られて…
 誰かを殺してくれば助けてやるって…それで私…私…」

なるほどな…仲間を信用しすぎて裏切られたのか。
まあ当然だろう、このゲームはもともと殺し合いなのだ。誰かと組んだところで最終的に
生き残れるのは一人なのだ。信用などしてはいけないんだろうな、本当なら

「死にたくない……死にたくないよぉ…か…母さん…」 

♀アーチャーの顔がどんどん青くなっていく。このままだと死んでしまうだろう

「おいっ、このままだと死んでしまうぞ!?」

子バフォが叫んだ、わかってるよそんなことは…だが助ける手段は…
あった、俺は解毒を覚えていた、助ける事は可能だった。だが助けてどうする?
助けた所でこのゲームは終わらない、本当なら見殺しにするのが正しいのだろう、
というか今までの俺なら間違いなく何人も殺していただろう。
というか自分でも何考えてるのかわからなかった。見殺しにすればいいんだ見殺しにっ。
大体こいつは俺達を殺そうとしたんだぞっ、助けてやる義理などない… 

「はぁ……はぁ…か…はっ…ゴフッ」

♀アーチャーは吐血した。もはや死寸前であった

「ローグ殿!たしかにこの娘は我々を襲ってきたが利用されていただけだっ。
 助けてやっても…」

まったくこいつは仮にも悪魔の息子だってのにとんでもねえお人よしだな、いやおヤギよしか。
…・んなことどうでもいいか

「ああああああああああああああああああああああああ、もうしょうがねえ、しょうがねえ
 なああああ!解毒!」

♂ローグは♀アーチャーを解毒した。

「はぁ…はぁ…」

♀アーチャーの顔色がよくなっていった

「おぬしも中々いいところあるではないか、ん?」

♂ローグは頭を抱え込んでいた

「ああ…もう俺どうしちまったんだ?殺せる奴見逃して子守り受けた挙句今度は
 人助けだあ…?ありえねえ…ああ…やはりあの♀プリ(以下略」

以前の俺には絶対ありえない行動であった、この殺人ゲームに参加させられたことで
♂ローグに少しずつやさしさが芽生えていた

「そんなことどうでもいいではないか、少しおぬしのこと見直したぞ」
「けっ」

♀アーチャーが起き上がった

「あの…さっきはすみませんでした…、襲ったのは私なのに…助けてもらって…
 もうなんて言ったらいいか…私…私…うぅ……うっ」

安心感と仕方なかったにせよ他人を殺そうとした自分が許せなかった

「あーもういいよ!大体な、あんたを助けたのも気まぐれなんだよっ。つか助けるつもりなんて
 毛頭なかったんだっ、気がついたらなんか解毒しちまってたんだよっ」

♂ローグは♀アーチャーにそう投げ捨てた、自分でも何言ってるのかよくわかってなかった

「…やさしいんですね」

「はぁ!?(どっかで聞いたセリフだ…)」

妙に気恥ずかしかった、人からやさしいなんて言われたことは今までなかったのにな…

「あの…あなたについていってもよろしいでしょうか?」
「勝手にしろっ!でも守ってやる義理なんてこれっぽっちもないからなっ」
「いえ…守ってもらおうなんて…ただ恩返しがしたいのです」

こうして私は♂ローグさんについていくことにした。ぶっきらぼうで口の悪そうな人だけど。
この人は信用しても大丈夫だと思ったから…

「でもあんた毒は消えたがその傷決して浅い傷じゃねえぞ、どっか安全なとこで休んで治療
 しないとな」
「え…でも」
「あーいーよいーよ、子守りのついでだ。ガキ連れ出したら安全な場所探すぞ」



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