バトルROワイアル@Wiki 080


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080.再開は紅葉と共に



俺だ。ローグだ。ちっと時間を巻き戻した話をするぜ。

 俺達は、あれから運良く誰にも出会わないまま、あの場所に到着した。

 途中、文句ばかり吐きやがる子バフォと二、三度ドツき合った以外は、特
に問題もねぇ。

 柄にも無く助けちまった弓手も、なけなしの薬での解毒が効いたのか、死
にかけてたのが嘘みてぇな調子だ。

 ああ、説明を挟んどくとな。シーフの類ってのは、毒を扱う事も多いか
ら、普段から解毒用の薬物を持ち歩いてる。

 最も、俺は弓手の治療で、最後の分使い切っちまったがな。

 それから、残りの煙草は塩水に浸かって全滅、自慢の逆毛はヘタレちまっ
たまま。

 後、さっき子バフォに蹴られたどてっ腹が痛ぇ。まぁ、最後の辺はどうで
もいい事だな。




 さぁて、話はここまでだ。目的を果たすとしよう。

 俺は、見覚えのある茂みに屈み込むと、偽装をがさがさと取っ払い、中に
目掛けてこう言ってやる。

「よぅ。遅くなって悪かったな」

「…!!」

 ガキが、何事か喋った気がしたが、聞き取れなかった。

 ともかく次の瞬間、軽い衝撃が腹部に走っていた。頭突きの格好だった。

「ひっく…ひっく…」

 視線を下げると、俺の鳩尾辺りに顔面を押し付けてやがるガキの後ろ頭が
見える。

 …っていうか、ガキ。何時までも顔押し付けてんなっ。鼻水付くだろが。
ええくそ、離れろっての。

「ええと、その子?」

「うむ。アラーム殿だ」

 ガキを引き離そうと四苦八苦する俺を指差した弓手に、子バフォが答え
る。

「…っていうか、ローグさん。少し気遣ってあげたらどうです?その子、泣い
てるじゃないですか」

「るせーよ。放っとけっ!」

 煩ぇ女だ。




 しかし、何を思ったかそいつは、俺が文句を投げた途端、

一瞬動きを止めたかと思うと、つかつかとこっちに近寄ってくる。

「ごめんね。ちょっと離れてね」

「え…あ…う、うん」

 そして、そう言って笑いかけ、俺がどんなに剥そうとしてもビクともしな
かったガキをあっさり離れさせた。

 更に微笑みながら、頭を撫でてやってる。泣き止んだガキの方は、一度目
元を擦ると素直に弓手に従って数歩、俺から離れた。

「あんがとよ。助かったぜ」

 そして、その背中に俺が言葉を投げた時だ。

 正直に言う。俺は、弓手が振り返って、こっちを見た時の表情を生涯忘れ
るこたぁねぇだろう。

 ともかく、そいつはそんな顔をして、俺の事を睨んでやがった。

「お、お姉ちゃん…?」

 後ろからでも、立ち上るオーラって奴が見えたんだろう。不安そうにガキ
が言う。

 しかしガキよ、俺はそいつを前面から見ている訳だ。思わずじり、と一歩
後ずさる。

「な…何だよ」

 抗議は、空しい物だった。

 足が竦んで、バックステップで逃げれなくなってる俺に、無言で弓手は近
づく。

「この大馬鹿たれぇっ!!」

 そして、一瞬で被ってた猫皮を脱ぎ捨てたかと思うと、腰の効いた平手を
唸らせていたのだった。

 嫌になるくらい真っ赤な紅葉が、俺の頬には咲いた事だろう。

 ズバァン。最も、俺はそんな鞭で思いっきり叩いた様な音を聞いたっきり
なんだが。



「な…にしやがるこのクソアマ…っ」

 蹲り、胸を押さえながら、そう言うのが精一杯だった。

 俺の前では、気の強そうな目で、クソアマがこっちを見ていた。

 畜生が。猫被ってやがった。おまけに、キレてやがる。

「あのねぇ…この子は待ってたのよ、一人で!!アンタの帰りを!!
それをあんな風に扱うなんてどういう了見よ!!マトモな脳みそって物が無い
の!?」

「んなもん…俺の勝手だろうがよ」

「なっ…この馬鹿ぁっ!!」

 ズパァン。なんとか立ち上がってた俺に、容赦の無い二度目だ。

「~~~!!!」

 もう言葉もでねぇ。つーか、弓手の癖にその怪力は何だっつーの。

 手前ぇなんざもうアチャ子じゃねぇ。アジャ子だ!!

 …まぁ、んな悪態吐けない状態だったりするけどな。マジで痛ぇ。

「あー…お主等。この様な状況でも正気を保っているのは大変結構なのだ
が。…本来の目的から脱線してはおらぬか?」

 ナイスフォローだ、山羊。ガキも、頷いてる。

 俺は、それを見届けてから、よろよろと立ち上がった

「てな訳だ…荷物持って直ぐここをズラかるぞ、判ったかクソアマ」

「…判ったわよ。それとクソアマって呼ぶな」

「んじゃあ、アチャ子」

「嫌。変な風にもじられそう」

 畜生、読まれてやがった。

「…弓手」

「よろしい」

 …クソッタレ。何となく、凄ぇ負けた気がする。




「弓手殿、ローグ殿」

 早速提案した呼び名を使う子バフォに急かされて、俺は隠れ家の中に放り
込んであった鞄を取る。

 …と、いい考えが頭に浮かんだ。俺は自分の分の鞄を背負うと、ガキの方
をアジャ子に投げた。

「っと。何よ?」

「手前ぇに受けた傷がズキズキ痛んでガキの分持ってられねぇ。持て」

 ニヤニヤしながら言ってやる。大方予想どうり奴は実に嫌そうな顔してい
やがる。ザマァミロ。

「あ、あのっ…私、自分のぐらい自分で持つっ。大丈夫です…」

「駄目だ。この中で一番消耗してるのはお前ぇだからな。
倒れられたら、そっちのが困る。俺がおぶってやらにゃならなくなるし。な
ぁ、弓手?」

 ガキの言葉にそう返して、王手詰みだ。覚悟しやがれ。

「…判ったわよ。持つから。行きましょ?」

 言って、自分の分とガキの分、二つの鞄をアジャ子はタスキ掛けに肩に吊
るした。

 奴の馬鹿力じゃ大した苦でもあるまい。

「応よ」

 内心で馬鹿笑いしながら、しかし外面は平静を装って答える。

 そうして、俺達はそのまま脱出できる…と思ったんだがな。

 どうやら、そううまくはいかないらしかった。




 そいつらの、争う音が聞こえたからだ。




<アラームたん=>♂ローグ達と合流>

<♂ローグ=>頬に負傷。但し、外傷は無い。荷物獲得 子バフォは変化なし>

<♀アーチャー=>化けの皮が剥がれる>

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