084.障害
「あら、大変よ。ここ禁止区域に入ってるわ。どうする? 悪魔プリ」
「移動するしかないですね。プロンテラに向かいましょう」
現在地は赤芋峠。ここから移動するとすれば首都であるプロンテラが一番近い。
手早く荷物をまとめると悪魔プリは立ち上がる。
「そういえば、悪魔プリって殴り?」
座ったまま、♂マジは悪魔プリを見上げた。
「ええ、そうですよ」
「なんだ、支援じゃないのね。じゃあ、サフラ持ってないのね。残念だわ」
落胆した表情の♂マジの言葉に悪魔プリはムッとした。
「……お言葉ですけど、私、これでも支援スキルは一揃い全部持ってます。もちろんサフラも」
「わぉ。異端な殴りプリさまね。もしかして、メイス修練持ってないとか?」
「ええ。メイス修練はないですね……スキル都合上切ってしまいましたから」
「じゃあ、これ使って。メイス修練もちだったら、意味無いと思ってて渡さなかったんだけど」
「はい?」
♂マジが石板のような物を悪魔プリに渡した。
「これ……タブレットじゃないですか?!」
「残りの青箱から出てきたのよ。どうせ使い道ないし、あんたにあげる」
♂マジは両手杖を頼りに立ち上がると、服の裾の汚れを払った。
「さて、それじゃ、プロンテラに行きましょうか」
「ええ」
「そういえば、♂剣士さんと相方同士だって言ってましたけどいつから組んでたんですか?」
「んー……正確には、相方じゃないのよね」
「ハア?!」
「あたしが、あの人のことが好きでいっつも追いかけてたの。ストーカー紛いだなんて、言われたこともあったわ」
「……それって、えーと……」
「ああ、勘違いしないでね? 向こうもそれを楽しんでたみたいだから、どっちもどっちなのよ」
「え? え??」
「外見も女なら良かったのになって♂剣士によく言われたのよ。あたし、外見こそ男だけど中身は女だから。精神と、外見の性別が一致しないのよね。
一種の病気みたい」
一種の病気みたい」
「あ……そうなんですか……」
悪いことを聞いてしまったと悪魔プリは思った。
「だから、相方同士……という認識はあたしが一方的にしているわけで、向こうはそうじゃないと思う」
「そうなんですか……」
「でも、PTは良く組んでたんだし、嫌われてはいなかったと思いたいけどね」
くすっと笑うと、♂マジは両手杖を引きずりながら歩き出した。
悪魔プリも慌てて、それを追う。
朝までに首都につけることを祈りつつ……。
<♂マジ 所持品:スタッフオブソウル>
<悪魔プリ 所持品:悪魔HB、タブレット、大青箱>
戻る | 目次 | 進む |
083 | 目次 | 085 |