093.其を思ふ曲~閉幕、明ける夜
白む空を眺めながら、ローグは一度大欠伸をかく。
眠気にぼやける頭を摩りながら、唾を吐き棄てた。
「…眠ぃ」
文句を言ったところでどうにもならないと判ってはいるが、それでも言わずにはいられない。
ふぁぁぁ、ともう一度欠伸。首を回す。ゴキゴキと言う音。
「…ん? 起きたか、弓手」
音のした方を見ると、不機嫌そうな顔で、♀アーチャーがこっちを見ている。
「どうして起こさなかったのよ? アタシ、見張りの途中で寝ちゃってたでしょ?」
「さぁな」
その問いに男は肩を竦め、言った。
「つーか、そんだけ元気あるんだったら、今から見張り代わってくれっての」
いい加減眠くて仕方がねぇ。
「…いいわよ。やってやろうじゃないの」
「おいおい、どういう風の吹き回しだ?」
茶化す様に言う。
「うっさいわね…放っときなさいよ」
弓手は、睨む目付きでその言葉に応えた。
「へっ…ま、頑張れや」
言って、ローグは昨晩と同じように枯葉の上に寝転がる。
「言っとくけどね。アタシが自分の責任取る為にやるんだからね!!その辺、勘違いしないでよ!!」
「へいへい」
ローグは、寝返りを打って少女に背を向ける。
静かに、夜が明けていく。
何処か遠くから、小鳥のさえずりが聞こえていた。
…
これにて、この演目は終了で御座います。
さあさあ、これからも彼等彼女等の道中と喜悲劇を、どうぞごゆるりとお楽しみに。
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