099.一人、タツ
お父さん、お母さん、兄上に妹。お元気ですか?
今度は少し悲しいお話をしなければいけないみたいです。
それは一人の女の子が、その場所から…、その人から…、
そしてとても、とても悲しい誓いを……。
……
「俺様wwwwwやさCwwwwwww」
「…、……」
「やばいwww♀騎士さん反応ないwww俺様修正されそうwww」
「ああ、もう…。♀騎士さん?あの、こういうの言うのもなんだけど
さすがにそろそろ出発しましょう?そうだ!僕達と一緒に行きませんか?」
「あぁ…、そうだな…。いや、ダメだ。一緒には、行けない」 アノ女ヲ、生カシテオケナイ
…、何かよくない言葉が聞こえました
僕以外には聞こえなかったみたいで、後ろにいた2人は特に何も反応が
無かったみたいだけど
無かったみたいだけど
騎士さんは絶対にそう言いました
その決意とも誓いとも取れる言葉は、声は小さくとも重く、暗く、悲壮で…
このゲームの闇の一端を僕は垣間見てしまったようです
「ふん。逆毛♂ケミ、行くぞ!一緒に居れない者といつまでもこうしている余裕は無い!」
「うはwww厳しいwww」
「でも彼女の事考えたらもう少し時間を!」
「♂ケミ、私達はもう十分の事をしたよ。これからどう立ち上がり、何を選択するのか。
それは彼女が選ぶ事だ。不幸なことに、今ここに居る物で時間を持っている者など
誰もいない。誰もだ。それは私達も例外ではないのだよ。残念だがね」
だけどそれじゃああんまりだ!
声にならない叫びを上げる
きっと声にならなかったのは、本能ではそんな事わかりきってるからなんだろう
それでも何か言おうとした
「埋葬、しなくちゃ…」
僕じゃない声
見た事も無い不思議な剣を杖代わりに、僕達が居る事なんて知らないみたいに
作業をする彼女が凄く切なくて、僕はもう声を出せなくなってしまった
「行くぞ。私達はもうここに居てはいけない。彼女のためにも、私達のためにもだ…」
もうすぐ夕焼けになる
夕焼けになればきっと彼女が抱きかかえていた人の名前が呼ばれるのだろう
非力な僕だって、いつ名前が呼ばれる事になるのかわからない
前を歩いてる深淵の騎士子さん、後ろを歩いている逆毛♂アコ君
出会って間もないとはいえ、仲良くなってしまった
2人が死んでしまったとき、僕はどうするんだろうか
そして僕が死んでしまった時、2人は何を思ってくれるんだろうか…
…、もうじき、日が暮れる
<♂アコ、♂ケミ、深淵の騎士子 現状維持 移動中>
<♀騎士 現在地かわらず>
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