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164

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164.つかの間の休息


憎き仇を討つために、魔族であるDOPの血を受け入れ人であることを捨て、魔族へと変貌した♀騎士。
幾度目かの痙攣の後、身体の急激な変化の為に極度に疲労してすぐには動けなかった。
それに、魔族となったからといって負傷がいきなり回復するわけではない。
人間のままでは、遠からず死んでしまう深い傷にも十分耐えうる体、となっただけである。

「う・・・・・くっ・・・・・」

「感じはどうだ?無事に耐えたようだな。」

「う・・・・・。」

「さすがにまだ早いか。すこし・・・そうだな、あそこで休むがいい。」

DOPはそう言って♀騎士を、木の根元の日陰に運んで横たえてやった。
そして、♀騎士が魔族となった今なら有効であるヒールをかけてやる。

「う・・・・・。はぁ・・・・・。」

「どうだ、我が娘よ。今は♀GMの秋菜とかいう輩に力を抑圧されているが故、微小な効果しか得られんが。」

「う・・・・・。たすか・・・る・・・・・。かなり、マシに・・・なった・・・・・。」

一般に魔族は子を成さない。その血より生じた眷属全てを子と称する。
それは今や、魔族となった♀騎士にも本能的に理解し、受け入れられていた。

「ふふっ・・・。まさかDOP・・・あんたの、娘になる・・・・・とはね・・・・・。くっ・・・・・。」

上体を起そうとして、激痛が体中を走る。

「まだ早い。無理に体を起して話さなくともよい。」

「あいつは・・・・・♀ハンタは・・・・・もう、死んだようだね・・・・・。」

「やはり聞こえてはいたか。そうだ。求める仇はもういないな。」

「いや・・・。まだ、だ・・・・・。」(まだ♀GM秋菜がいる。あいつを殺さねば本当の意味で仇を取っていない。)

後半は、魔族の、しかも同種族でしか通じない心話というテレパシーのような物で答えた。

(DOP、あんたの目的はそのままわたしの目的だ。♀GM秋菜を討ち果たす・・・!)

(よし・・・。とりあえず今はその傷を癒すが先決だ。敵対してしまったような形にはなってしまったが。
 ♀ハンタの事、こちらが正しかったのも分かっただろう。深遠の騎士子の所に戻ってみる、か・・・。)

(・・・・・。・・・・・・・?)

(どうした?)

(なんで、こんな会話の仕方を・・・知ってるんだろう・・・?なんか自然に・・・。)

(先ほど、娘になったということも理解していただろう?魔族となる、というのはそういうことさ。血が、教える。)

(そっか・・・・・。でも、これ少ししんどい・・・な・・・・。)

(魔族としての力を行使して話しているんだからな。普通に話すほうが、そりゃあ楽なのは分かるだろう。)

なるほど、と♀騎士も納得し心話を一旦やめる。

「もう少し、ヒール・・・もらえるか・・・・・?」

「よかろう。」

さらに二度ほどヒールをかけてやる。

「たすかる・・・・・。ありがとう・・・・・。少し、眠っていいか・・・?さすがに仇が、GMとなると・・・。
 急いでもどうにも・・・ならないから・・・・。休んでおきたい・・・・・・。」

「我が運んでやろう。今は眠って、休んでいるがいい。」

「え・・・・・。それは・・・恥ずかしいぞ・・・・。」

「かまうな。お前は、我が娘なのだぞ?まあ、気にせず眠るがいい。」

そう言ってDOPは、娘に軽く微笑んでみせる。
♀騎士は、なおも何か言おうとしたが強烈な眠気に負けて、仕方なく軽くうなづき、そのまま眠りに落ちた。

(・・・・・誰かはしらんが、近くに♀ハンタを殺した者がいる可能性がある。早くこの場を離れた方が得策だろう。)

DOPは、娘となった♀騎士を抱え上げ林の中へと戻っていった。


<DOP 所持品/ツヴァイハンター・小青箱
現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中まで移動
備 考/♀騎士と魔族での血縁関係となる。打倒♀GM秋菜
♀騎士を連れて深遠の騎士子の所へ向かっている>
<♀騎士 所持品/無形剣・コットンシャツ・ブリーフ
現在地/「大きな橋 moc_fild 02」の、右側の林の中まで移動
備 考/DOPと魔族での血縁関係となる。♂騎士の仇、♀GM秋菜を討つ目的を持つ

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