バトルROワイアル@Wiki 169


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169.交換



♀セージは危機を脱すると急いでみんなの後を追った。

目的も達した事であるし、何より♀アサシンの存在がある。

複数で戦えばほぼ間違いなく損害無しで倒せるのだ。ならば単独で戦う理由は何処にも無い。

そして♀アサシンにも打撃を与えたとはいえ、隙を見せれば一瞬で♀セージの首が飛ぶ。

『手負いの獣程恐ろしい物はない……しかし、あの怪我ならばこちらの方が早い』

突然、♀セージがその場から真横に向かって飛ぶ。

そして♀セージが今まで居た場所、そこをグリムトゥースの衝撃波が通り過ぎる。

『追いついてきた!? バカな! いくらなんでも早すぎる!』

♀セージはすぐにまた走り出し、グリムトゥースの射程範囲外へと逃れる。

だが、♀アサシンも即座に追撃、グリムトゥースの射程に入るとハイド、そしてグリムトゥースを繰り返す。

『動きが速すぎる……一体何が……くっ!』

流石にその攻撃全てをかわしきる事は出来ず、数発を喰らう♀セージ。

だが、ここで足を止める事は出来ない。

そんな事をすれば♀アサシンの思うつぼだ。こういった執拗な攻撃を繰り返して反撃を誘発し、それをかわしつつ近接戦闘に持ち込む。

♀セージは♀アサシンの動きをそう読んでいた。

そして冷静に考える、このままやりあいながら先行した皆に追いつけるかどうかを。

『このペースならギリギリ……か』

すぐに♀セージは決断し、ゲフェン行きの最短ルートを思い出す。

『♀ウィズが居る。奴は無駄に遠回りをするような真似は絶対にしない。ならばこちらも最短ルートを通れば行き過ぎる事は無い』

いつまでも追いすがってくる♀アサシンと放たれるグリムトゥース。

その攻撃に規則性は無く、予測は極めて困難であった。

『さっき動きが鈍かったのは、私の攻撃に戸惑っていたからか……にしてもここまでやり方を徹底出来るとは、こいつ人間を追いつめる事に慣れているな』

ハイドから追撃に移る際、その姿、位置が♀セージにわかりにくいよう、グリムトゥースの放ち方を工夫してある。

既に♀セージには数発当っている事から、今すぐ姿を現して一気に距離を詰めても良いようなものだが、それをせずに♀セージがミスをするまで何時までも待つ。

『手強い……な。マーダーで生き残るだけはある』



その異常を見つけたのは♂アーチャーであった。

「待った! 静かに…………」

そう言って耳を澄まし、目を凝らす♂アーチャー。その卓越した五感が湖の向こう側の異常を察知する。

「やっぱり! 湖の向こうで誰かが戦闘してる! ……徐々にこっちに近づいてくる」

♀ウィズにその音は聞こえなかったが、そこから状況を類推する。

『♀セージ? 逃げている所か追いかけている所か……何故? 私達が先行してるから。では私達がすべき事は?』

瞬時に思考を巡らす♀ウィズ。

『あいつが逃げなきゃならないような相手……だとしたら相当手強い。追いかけてるとしたら、私達への不意打ちを警戒しての事。なら……』

「ここで待ち伏せるわよ! 配置は私が指示するから、みんなお願い!」

♀ウィズの配置の指示は的確で、♀クルセも♂アーチャーも感嘆の声をあげたものだ。



♀アサシンは、ただ作業の様にそれを繰り返していた。

いまだ♀セージは気付いていないだろうが、♀アサシンの後を♂プリが追いかけている。

♀セージが足を止めたら即座に二人がかりで仕留める腹であったのだが、敵もさるもの、なかなか足を止めてはくれない。

『慎重ね。もしくは……この先に増援の心当たりでも?』

マーダーに増援というのも考えにくい。だが、もしこの♀セージが誰かを騙していたら?

『根比べね。悪いけど、私そういうの得意なの』

最後の橋を渡りきり、後少しでゲフェン北門鉄橋が見えてくるという所で、♀セージがグリムトゥースを喰らいバランスを崩す。

そして運の悪い事に、その場に生えていた草に足を取られ、片手を地面について体勢を立て直すハメになる。

起きあがって走りだそうとした♀セージ、だがその時には♀セージの真後ろまで♀アサシンは踏み込んでいた。

『もらった!』

TJC一閃、♀セージの背中を真横に切り裂く。

♀セージはその激痛に顔をしかめながら後ろの♀アサシンに相対する。

『これだけの隙でここまで踏み込めるかっ!? こいつっ!』

♀セージは詠唱を開始しながら両手を構える。だが、相手は武器持ち、しかも今度はこちらが不利な体勢だ。

急所に吸い込まれるように放たれる♀アサシンの攻撃、♀セージはそれを半分も受けきれない。

腕、足、胴、それぞれを大きく抉られ激痛が走るが、♀セージはそれ以外の何かに気付いていた。

『くっ! さっきと動きの重さも速さも段違いだ!』

唱えていた術を切り替え、その攻撃に割り込むように♀セージと♀アサシンの間にFWを立てる♀セージ。自身も熱いが構っていられない。

だが、♀アサシンは術の切り替えを見るなり、♀セージの背後に回り込む。

♀セージのFWはその意図と裏腹に♀セージの片足を軽く焼いただけで、♀アサシンを遠ざける事は出来なかった。

そして、♀セージは既に♀アサシンの攻撃に耐えうるだけの体力は残っていなかったのだ。

『……これまでか』

死を覚悟した♀セージ。だが、♀アサシンは♀セージではなく、更にその奥から走り来る気配に気付いていた。

「そこまでだ!」

駆け寄ってきていたのは♀クルセだ。

接敵するなり、十文字に♀アサシンを切り裂く。

「何っ!?」

しかし、♀アサシンはそれをTCJを器用にクロスして、捌ききった。

そこで♀アサシンは考える。

『やっぱり増援! 後ろにも居るっ! ってこいつがこれだけの人数を騙す? もしかしてこれ……』

それは一瞬の思いつきであった。だが、その是非を考えている暇は無い。♀アサシンは大声で叫んだ。

「待ってプリースト!」

その叫びと同時に♂アーチャーが♀アサシンめがけてダブルストレーピングを放つ。

その二本の矢の狙いは♀アサシンの両足。

両手のカタールでそれぞれの矢を払い落そうとする♀アサシン、しかし片方は動いたが、もう片方は♀クルセが剣でカタールを払ってそれを阻害する。

『しまっ……ぐっ!』

そうして片足を矢に貫かれる♀アサシン。

その時、FW越しに♀セージは微かに♂プリーストの姿を見た。

『そうか! 速度増加にブレス! という事はこいつはプリーストとPTを組んでいる?』

マーダーがPTを組むというのは考えずらい。ましてや相手がプリーストとあっては特にだ。そしてアリスの遺体現場での誤解の可能性。

それらを考えた♀セージも♀アサシンと同じく大声を上げた。

「待て! 殺すな!」

完璧に待ちかまえていた♀ウィズ達であったが、♀セージの異常に♀クルセが飛び出した事から、待ち伏せの形は大きく崩れた。

しかし段取りは変わらない。♀クルセが守り、♂アーチャーが足止めし、♀ウィズがとどめを刺す。

そして、セージと違ってウィザードは術の行使を途中で止められないのだ。

『プリースト!? 殺すなっ!? ってもしかしてこいつマーダーじゃないっ!?』

♀セージの声が♀ウィズに届いた時、既に術は完成していた。

ユピテルサンダーが♀アサシンに直撃した時、ふと♀アサシンの周囲を流れる時間が止まった。

『あ、私これマズイ』

ゆっくり、ゆっくりと胴体が焼けこげていく。そして内臓にそれが至る様が見えている訳ではないがわかった。

『うっわ。これ死んだわ私……で? 死ぬとどうなるんだっけ?』

それは知らない。誰も教えてはくれなかったし、聞いたとしても信じはしなかっただろう。

『ん~。知らない状態になるって……案外恐いわね。そっか、それでみんな死ぬのを怖がってたんだ』

♀セージに喰らったFBの傷も残っている。プリーストの回復を待って再度ヒールする暇を惜しんだのは他ならぬ♀アサシンだ。

『死ぬのって……イヤだね。私ずーっと他人にこんな事してたんだ……』

♀アサシンの体が大地に墜ちた。


倒れ伏した♀アサシン、♀セージは♀クルセの手を引くと、♂プリーストから距離を取り、♀ウィズ達の居る場所まですぐに移動する。

♂プリーストは、倒れた♀アサシンに駆け寄ってきてヒールを唱えるが、♀アサシンが動く事は無かった。

「バカヤロウ! 待てなんて言うからヒールのタイミングずれたじゃねえか! ちくしょう! 動けよアサシン!」

♀セージは一縷の望みに賭けて、♀クルセから青ジェムをひったくると♂プリーストの所に駆け寄る。

「使え! まだ間に合うかもしれない!」

敵の思わぬ行動であるが、そんな事を考えている余裕は無い。

即座にリザレクションを唱える♂プリースト。



だが、♀アサシンが目を開く事は無かった。



項垂れて全身を震わす♂プリースト。

そして声を絞り出すようにして言った。

「おいセージ。お前……マーダーじゃないのか?」

♀セージは即答する。

「ああ、誤解だ」

そして、出血で気が遠くなりそうになる自分を叱咤しながら地面に文字を記す。

『すまない、こうして地面に書いているのは、ふざけている訳ではなく理由あっての事だ』

♂プリーストの理性は、地面に書くという行為まで考えているという事実は、この連中がマーダーではなく脱出を考える同士の可能性が高いと言っている。

「ふざけんな! じゃあなんでアリスを殺したんだよ! しかもその後心臓抜き取るってなどういう事だ!」

だが感情が納得してくれない。♀アサシンが最後に「待て」と言ってくれてたにも関わらずだ。

そして♂プリーストの言葉は、♀クルセ、♂アーチャーにも驚きであった。

♀セージは言葉を書き続ける。

『アリスは既に誰かに殺された後だった。そしてその心臓は、首輪外しの儀式の成功率を上げ得るものであったから、今回このような真似をした』

後ろを振り向き、♀ウィズ達に向かい更に続ける♀セージ。

『お前達は例え遺体とはいえ、人の心臓をえぐり取ると言ったら反対しただろう。だから、遠目に見かけた遺体の事は話さずに私一人で為したのだ』

♂プリーストは必死になって冷静でいようとしていた。



『もちろんです、♂プリさんはここで待っていて下さい。今度こそ……ボクはここに仲間を集めますから!』



『そう? ノービス君は腹に致命的な一撃喰らっても、あいつを殺そうとはしなかったわよ』



二人の言葉が重くのしかかる。

苦悩する♂プリーストを余所に、♀ウィズが鋭い視線を♀セージに投げかける。

「……そうね、♀アルケミの時それ言ってたら、私あなたを絞め殺してたわ」

♀クルセは複雑な表情で♀セージを見る。

「死者を冒涜するなぞ反対するに決まっている。いや、しかし……必要なのか……それが」

♂アーチャーはただ無言で♀セージを見つめていた。

そんな重苦しい雰囲気の中、突然♂プリーストが鞄から二枚の板を取り出す。



どん!



そして二枚を組み合わせながら地面に立て、血を吐くような思いで言う。


「俺と一緒に……戦ってくれ!」



立てた板は、♂ノービスが遺した彼の遺志であった。

♂プリーストはそれがどんなに困難な道でも、歩き通すと♂ノビの遺体に誓ったのだ。

同じ誓いを立てた♀アサシンの遺体の前で、それを自ら破る事は♂プリーストには決して出来ない事であった。

歯を食いしばり、痛い程に板を握りしめる♂プリーストに、♀セージは言った。



「ああ、一緒に行こう」



遂に首輪開封の鍵、プリーストを仲間に迎えた♀セージ一行。

しかし、その代償として♀セージは最も重要で掛け替えの無い物「信用」を失ったのだ。



<♀セージ、所持品/クリスタルブルー プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)
      現在地/ゲフェン北東mjolnir_06
      備考/♀アサシンとの戦闘で重傷を負う>
<♀ウィズ、所持品/たれ猫、フォーチュンソード
      現在地/ゲフェン北東mjolnir_06>
<♂アーチャー所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個
      現在地/ゲフェン北東mjolnir_06>
<♀クルセ、所持品/青ジェム2個、海東剣
      現在地ゲフェン北東mjolnir_06>
<♂プリースト、所持品/チェイン、へこんだ鍋
      現在地/ゲフェン北東 mjolnir_06>
<♀アサシン 死亡 所持品/ウサミミヘアバンド、TCジュル
      現在地/ゲフェン北東 mjolnir_06>

<残り15名>




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