バトルROワイアル@Wiki 177


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177.失敗



ゲフェンの街に着いた♀セージ一行は、♀ウィズの記憶を頼りに村正を見つける。

案外とそれはあっさり見つかり、これで儀式に必要な物はとりあえず全て揃った事になる。

一同に安堵の吐息が漏れるが、♀セージは険しい表情のまま地面に文字を記す。

『やっかいなのはここからだ。首輪開封は即座にGM秋菜の知る所となるだろう。それを回避するには何か策が必要になる』

♀ウィズは既にその事を考えてあったのか、同じく地面に書き記す。

『私達が同士討ちを始めて、その戦闘でお互いが倒れたという事にするのはどう?』

♀セージは首を横に振る。

『駄目だ。外された首輪という証拠が残る。

それこそ我々の遺体が欠片も残らないような状態でなければ、それは成り立たない』

♀ウィズはきょろきょろと辺りを見回し、そして木造の大きな家を指さした後、書いた。

『メテオであの手の建物の下敷きにするってのはどう?』

ぎょっとした顔になる♀セージ。

『何? お前SGの他にメテオまで覚えていたのか?』

通常、大魔法と呼ばれる物はそう何種類も覚えられる物ではない。

だが、♀ウィズはメテオとSGの双方を極めていたのだ。

悔しいやら嬉しいやらなんともいえぬ複雑な表情を見せる♀セージ。

『わかった。ではエンペリウム奪取後、その手で行くとしよう』

♀クルセも♂アーチャーも♂プリーストもそれで問題があるように思えなかったので特に反論はしなかったが、そこで♂プリーストが落ちている枝を拾って文字を書きだした

皆、新たに仲間に加わった♂プリーストとの経緯の関係上、自然緊張した雰囲気になる。

『待て。首輪開封は確実に為せるのか?

エンペリウムを手に入れる事が出来たとして、ぶっつけ本番で問題無いような術とも思えないが』

♀セージ、♀ウィズの二人ともが少し考えてから、肯く。

『そうだな、確かに試してみる必要はあるかもしれん』

『おっけ、同じ手二度使う事になりそうだけど、メテオはそもそも戦闘においても有効な魔法だし問題は無いわね』

その文字を見た♀クルセが一歩前に出る。

『よかろう、ならば一番手のその役目は私が引き受けよう』

成功率を上げる為に呪いのアイテム、そして心臓を集めたという事はつまり、この術には失敗の可能性があるという事に他ならない。

そしてこの首輪を外す為の術である以上、失敗イコール爆発である事は想像に難く無い。

なればこそと、♀クルセは名乗りを上げたのだ。

♂アーチャーは心配そうに♀クルセを見る。

その心配は術の事だけではないであろうが、♀クルセは笑顔であった。

『心配するでない。何せこの中で一番神のご加護を期待出来るのは私であるからな。一番私が成功率高かろうて』

そう書いて♂アーチャーの肩を軽く叩く。

あの様な事があったばかりなのに、♀クルセには迷う気配すら見られない。

そんな♀クルセに戸惑う♂アーチャー、だが♀クルセは今度は口に出してこう言った。

「少年、前に進むべき時を見誤ってはならんぞ。状況がどうあれ……」 ♀クルセは自分の胸を軽く叩く。

「ここを強く持つ事だ。そうすれば自ずと道は開かれよう」

小僧扱いされたにも関わらず、♂アーチャーはそう言う♀クルセを羨望のまなざしで見る。

が、当の♀クルセは頭の中だけでぼそぼそと呟いていた

『あのザマを少年に見られていなくて良かった……ああっ、私も修行が足りんっ!』

どうやら、迷宮の森を抜けた後の事を思い出していたようだった。

段取りはこうだ。

被験者である♀クルセと♀セージ、♂プリーストの三人が建物の中に入る。

建物の中で、乱闘するフリをしつつ術を行いそれが成ったなら、窓ガラスをたたき割る。

それと同時に外から♀ウィズが建物に向けてメテオの詠唱開始。

メテオ第一弾の落下と共に三人は、逃げ出す際にお互いぶつかったりしないようにそれぞれ別の出口から建物を脱出、以後♀クルセは一切発言せず、そして他の者も♀クルセは死んだ物として会話を行う。

♀セージはこの直前、♀ウィズに術の詳細の説明を行っていた。

曰く、不足の事態に備えてこの術を行使出来る者は複数居た方が良いという事であり、それは万人が納得出来る理由であった。

『……♀クルセは良い事を言う。意志を強く持つ……か。

ああ、目的があってそれを成す意志があればここまで無理が保つ物だと私も初めて知ったよ』

♀セージは準備を整え、思考を巡らしながら、最後の最後まで傷の痛みを誰にも悟られずに済みそうであった。

建物の中から罵声が聞こえる。

「やはり貴様が裏切っていたのか! この卑怯者め!」

「落ち着け♀クルセ! くそっ! やはり正気を失っていたか!?」

「予想はしていたが最悪のケースだなこりゃ……段取り通り行くぞ! いいな!」

「何かを弄しておるのか!? やはり貴様達は私を裏切る気なのだな!」

「ばっかやろう狂気に負けやがって!

お前が悪いんだよ!

俺達にこうさせたお前が一番な!あの世に行っても恨むんじゃないぞ!」

村正を手にしている♀クルセに向かって♀セージと♂プリーストの術が放たれる。

床には心臓から垂らした魔法陣、そして、♂プリーストの持つ青ジェムが砕けると術が完成する。

♀セージが肯くのを見た♀クルセは一気に首輪を引きちぎる。

それは事も無げに千切れ、床に転がった。

『よしっ!!』

♂プリーストが窓ガラスを室内のイスをぶん投げてたたき割る。

「おーい! こっちは仕留めたぞ! 聞こえてるか♀ウィズー!」

「室内から聞こえる訳がなかろうが。さっさと逃げるぞ、術の詠唱は途中で止められないんだからな」

「げっ! そーいやそーだった!」

そう叫ぶ♂プリーストの語尾に重なるように建物全体を衝撃が揺らした。

『なんだと!?』

その第一弾は、なんと♂プリーストの脱出予定場所である窓ガラス真上に落着。天井が崩れ、窓ガラス周辺はガレキに埋まってしまう。

メテオは落下地点をおおまかにしか決められない、それを知っている♀セージにとってはこの事態も予想の内であった。

♂プリーストに自分の脱出経路を使うよう手で合図すると、自分は別室に走り出す♀セージ。

外の♀ウィズは既に詠唱を終えて三人が出てくるのを厳しい表情で待ち続けている。

「あぶねっ! これ本気でヤバイぞ!」

そう言って♂プリーストが飛び出してくる。

すぐに無言のまま♀クルセが飛び出してきて、♂アーチャーと♀ウィズの二人に手を振る。

だが、♀セージはいつまで経っても出てくる気配は無かった。

既にメテオはその詠唱を終わり、七個目の隕石が建物に落下した所である。

建物はその二階部分が半壊し、紅蓮の炎が建物全体を包んでいた。

♀セージは不足の事態に備えて用意していたもう一つの脱出経路に入った途端、その場に座り込んでしまった。

『ははっ……流石に……気が抜けたな。痛みで最早体が動かん』

背中が冷たい、おそらく出血も激しくなってきたのであろう。

『プリーストの術は可能な限り温存しておかなければな。

♂BSの存在もある、他の参加者の事もある。私は間違っていない……』

確認は出来てないが切り札も放ってある。自分に出来る事は全てやったと自負している。

『炎がまわってきたか。押さえられている魔力でよくもここまでの破壊力を……相変わらずだな……あいつは』

向こうがどう思っているかはわからないが、♀セージが最も信頼しているのは♀ウィズであった。

『後は任せたぞ……お前なら、きっと……』

そこまで考えた♀セージの目の前の扉が開いた。

「居たっ! このバカ! 怪我がきついんならそう言っときなさいよ!」

ありえない、あってはならない。

内部でここまで延焼が進んでいる建物に突入するなぞ、こいつならばその危険性がわからないはずはない。

「プリーストさん! 私がこいつ背負うからヒールしながら脱出するわよ!」

すぐに傷の痛みが少しづつ癒えていく。

常に冷静であり続け、それがいかなる選択であろうと、目的に対して常に最適の行動を取るべきである。

これは魔術を志す者ならすべからく頭に入れておくべき事柄だ。

ならばその魔術の才に長けたこいつが、こんな行動を取るはずがない。

「やばい! 床が抜ける!」

♂プリーストは全力で抜けかけた床を走り抜けると後ろを振り返る。

♀ウィズは、その冷静な判断力で状況を把握し、最適と思われる行動を取った。

『愚か者がっ! 何をするかっ!?』

朦朧とする♀セージの意識が一発で目覚める。

♀ウィズは背負った♀セージを前方に向けて放り投げた。

同時に崩れる床、♂プリーストは柱を片手で掴み、残った手で♀セージの手を掴む。

♀セージはその手を掴みながら、♀ウィズに向けて手を伸ばす。

しかし、その腕は空しく空を切った。

落下する♀ウィズ。

地下室と思しきそこには既に火の手が回っており、その真ん中、まだ微かに火が回っていなかったそこに♀ウィズは落ちていった。

鈍い激突音、そしてあらぬ方に曲がった右腕。

♀セージは声を限りに叫んだ。

「起きろ! 右側の炎を突破すれば階段があるからそこを登れば出口だ!」

だが、♀ウィズは何の反応も示さなかった。

炎は♀ウィズを囲み、その右腕を燃やし始めた。

「何をしている!? 早く起きないか!」

♂プリーストは両手が塞がっている状態で魔法も使えない。

喚く♀セージを力づくで引き上げると、すぐにキュアとヒールを唱える。

既に炎は♀ウィズの両足にまでその領域を広げていた。

「頼む! 早く起きてくれ!

手遅れになってしまうではないか!

プリースト! ヒールをもっと頼む!」

♂プリーストは周囲を見る。既に一階に居る自分達の周りまで炎が広がっている。

「お前をここで失う訳にはいかんのだ! ええい、ならばっ!」

そう言うと♀セージは床に空いた穴に飛び込もうとするが、♂プリーストが腰を抱えてそれを止める。

「離せっ! あいつが居なくてはこの先……」

「もう手遅れだ! 落下の時にあいつは死んでる!

ここで俺達まで倒れる訳にはいかないだろうが!」

「バカなっ!? 意識を失っただけ……」

「だったらキュアとヒールで反応しない訳ないだろう!」

そう言い放つと♀セージを抱えたまま♂プリーストは廊下を駆け出す。

だが、元来た道は既に炎の海となり、慌てて別ルートを探すが、どこもかしこも炎に包まれ、煙が立ちこめている。

「くそっ! 俺達のどっちが欠けても駄目だっていうのに……」

♂プリーストは屋敷の構造を思い出す。

「確か……」

そこまで言って♂プリーストは耳を懲らす。

「なんだ? 炎の音でもない……衝撃音?」

突然脳を走った閃き、♂プリーストはそれに従って衝撃音のしたと思われる場所に向かった。

そして再度聞こえる衝撃音。

そこには、崩れた壁を前に必死の形相でこちらを見ている♀クルセの姿が見えた。

傷の痛みと煙と熱で気を失った♀セージが意識を取り戻すと、♂プリーストは入れ違いにその場にひっくり返った。

ヒールを使いすぎたらしい。♂アーチャーが♀セージの額に濡れたタオルを置く。

♀クルセは、少し離れた所で自身の首を指さす。そこに例の首輪は無かった。

半身を起こすとすぐに全てを思い出す♀セージ。

「なんという事だ……なんという……」

俯き、両手を腿の上に付く。

「私のミスだ……取り返しのつかない……私の……ミスだ……」



<♀セージ、所持品/クリスタルブルー プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)>

<♂アーチャー所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個>

<♀クルセ、所持品/青ジェム1個、海東剣>

<♂プリースト、所持品/チェイン、へこんだ鍋>

<♀ウィズ、死亡 所持品/たれ猫、フォーチュンソード>

<現在地/ゲフェン市街>

<残り14名>


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