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2-005

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005 暗殺者の美学


見上げれば雲ひとつない晴れ空。
チリチリとアタシを焼く初夏の日差しに思わず立ちくらむ。

アサシンであるアタシはどうにも直射日光というやつが嫌いだ。
とりあえず木立に身を隠して、置かれた状況でも考えるとしようかね。

ピエロ帽のGM、アイツの言葉を信じるなら、ここは無人島。
渡された地図を見てもそれが分かる。
亀島に似ているけどこんな島は見たことがない。

そして、始まったのは1人になるまでの殺し合い。
なんでこんな殺し合いをしなきゃならないのかは分からないけど、
ここから脱出する手段が見つからない限り殺し合いは遅かれ早かれ始まる。

理由はこの首輪。

この首輪がある以上、アタシたちはうかつな行動ができない。
逆うことで爆発するということは、ヤツらはアタシたちをどこかで監視しているということで、
いつでも任意のタイミングでコイツを爆発させることができるんだと思う。

こうなった以上、覚悟を決めなくちゃいけない。
最後まで生き残って、1人になったって無事に元の世界に帰れるかどうかは分からない。
けど、殺し合いをせずに生きて帰れる確率なんてのはさらに限りなく低い。

───コイツは面白いことになってきたわね

話の中にはイゾルデ女王の名前が出ていた。
そこから分かるのはこの殺し合いが合法だということ。
女王陛下直々の殺人許可証なんていうのは滅多にもらえるもんじゃないわ。

アタシは気付かず口元をほころばせる。

この島にいるアタシ以外の全ての人間を殺す、これ以上ない最高の仕事だ。
そうと決まれば、まずは得物を手に入れなくちゃいけない。

配給された鞄の中身を確認する。
二日分の水、それと四食分の食料、さっき眺めた地図にコンパス、青箱が二個、

迷わず青箱を開け、中を覗き込む。
赤く輝く宝石が5つ、青く輝く宝石が5つ、それから黄色く輝く宝石が5つ。
触媒の石、いわゆるジェムストーンというやつね。

続いてもう一つの箱も開ける。
中に入っていたのはコンポジットボウとオリデオコンの矢筒。
コンポジットボウには何のカードも挿さってはいない。

く、と自分の運のなさを嘆く。
アタシは弓なんて使ったこともないし、毒の使い手でもないからジェムストーンにも価値がない。

それでもまったく何の武器もないよりはマシか、とひとりごちて矢筒から矢を1本取り出す。
オリデオコンの鋭い矢先に指先をあて、そのまま指を沈める。

つぷり、と刺さる音、そしてあふれ出す赤い血。

そのまま血塗れた指先で顔に化粧。
これがアタシ流の願掛け。

───どうか少しでもたくさん殺せますように

そう願ってからアタシは闇の訪れを待つことにした。

<♀アサシン:所在地不明(木立で夜まで待機?) 備考:毒スキルは修得していない>
<所持品:レッドジェムストーン5個、ブルージェムストーン5個、イエロージェムストーン5個、S3コンポジットボウ、オリデオコンの矢筒>

<残り:50名>



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