バトルROワイアル@Wiki 2-024


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

24.逆毛と栗毛


オレはどうやら嫌われ者らしい。
そりゃそうだよな、この外見で聖職者なんて子供でも逃げ出すっつーの。
それでもよ、いくら赤色の逆毛でローグですら逃げ出すような強面だからってよ、

『とりあえず今回の人身御供は君ね』

はねぇだろうが!
大司教の野郎、少しはすまないだの申し訳ないだの、
そういう顔をすりゃ、まだ諦めもついたってもんだ。

よっぽどオレを聖堂教会から追い出したかったみてぇだな、ちきしょう。
確かにオレは戒律破りで、悪人だったら容赦なく殺して生きてきた。
けどよ、

「よりにもよって噂に聞いたBRなんぞに参加させられちまうとはな───」

いかんいかん、つい弱気になって声を外に出しちまった。
自分で出した声に動揺して辺りを見回すなんて、オレもだせぇよな。

さて、現状の再確認をしよう。オレの青箱からは武器が出なかった。
鞄の中に詰まっていたのは溢れ出さんばかりの干し肉、水筒、地図にコンパスに赤ポーションが5つ。
青箱から出たのはでっかいゼロピと───

修道女のヴェール

これはあれか?
オレの自慢のこの逆毛を隠せってことか?
男の顔でこんなもの被ってたら変態以外のなにものでもねぇぜ。

情け容赦のない世の不条理ってやつに思わず干し草を、じゃない、干し肉を噛む。

ふとあることに気付く。
修道女のヴェールにカードを挿し込むためのスロットが付いていたことだ。
思わぬ幸運に口元が緩む。

さらにありがたいことに、カードは既に挿さっていた。
マヤパープルカード、それはハイディングやクローキングを見破ることのできる力を秘めたカード。
こんな特典が付いてちゃヴェールを被らないわけにはいかない。

いいぜ、こうなったらどこまでも落ちてやる。
被ってやればいいんだろうがっっ!

こうしてオレは愛すべき逆毛を封印した。

「──────」

見える…
幻覚じゃないかと目をこする。

見える・・・
ヴェールを外してそこに誰もいないことを確認し、もう一度ヴェールを被る。

やっぱり見える・・・
見えるのは10mほど向こうで木立に紛れるかのように木に寄り添って立っている栗毛の少年。

ソイツはシーフで、つまりソイツはハイディングでずっと隠れているというわけで、
オレは何食わぬ顔でソイツが立っている場所にじりじりと近づく。

「──────」

栗毛の♂シーフは微動だにしない。
さらにじりじりと相手の間合いまで近づく。

「───!!───」

近付いて来たオレに気付いたのか♂シーフは祈るような姿勢をとり、涙ぐんだ目でオレの方を見た。
オレは決して目を合わさないように、気付いていないフリを継続する。

♂シーフも気付かれているとは思っていないのだろう。
それほどにコイツのハイディングは完璧だ、気配がまるでない。
カードの力で見えなければオレだって気付かなかったに違いない。

♂シーフの今にも泣き出しそうな顔に反応しないように気をつけながら、そのまま周囲を見渡す。
そして♂シーフの横を通り過ぎようとして───

♂シーフが安堵の表情を浮かべたところで

───勢いよく♂シーフに飛びかかった。

余りの驚きに♂シーフはひゃぁ、という声をあげ、
マウントポジションを取ったオレの下でバタバタと両手両足を動かす。

だがオレもそれなりの修羅場をくぐってきたプリーストだ。腕力にだって自信がある。
この体勢になっちまえばよほどの力量差、体格差でもない限りひっくり返されることはない。

有利な姿勢のまま♂シーフに声をかける。

「おい、お前、戦う気ねぇだろ?」

オレの言葉に♂シーフは目を大きく開く。
どうして、とでも聞きたいんだろう。

「お前、オレがお前の間合いに近づいても戦う姿勢すら見せなかったじゃねぇか」
「僕のハイディングに気付いていたんですか!?」

「そういうこった。諦めてオレに殺されるか、抵抗するか、さぁどうする?」

オレはニヤニヤと笑いながら♂シーフの心を探る。
人間の本性なんてのは死に直面させればすぐに分かる。
そうやって今まで何人もの善人面した悪人を見破って殺してきたんだからな。

「にーさん、アンタいい人でしょ? 本当に殺す気があるなら僕もう殺されてますもん」

♂シーフは口を尖らせて言う。

この小僧、かわいらしい顔してなかなかしたたかな考え方をするじゃねぇか。
なるほど、少年といえど立派なシーフということか。

ところがコイツは、

「僕はね、ハイディングしか取り得のないシーフなんです。
 だからこのハイディングが見破られたときが僕の最期だと思ってました。
 だから───」

───殺していいですよ

なんてことを言ってきやがった。

「このバカシーフ」

いいながらコイツの頭をぽかりと殴る。

「痛い、痛いですよ」
「うるせぇ、このバカシーフ」

続けて2~3発げんこつを叩き込む。

「痛い、にーさん勘弁、勘弁してください」
「お前、死んでもいいんだろうが。だったら痛みなんて関係ないだろ?」

オレの言葉に♂シーフは再び涙目で、それでも力強い目でオレを睨む。

「いい顔するじゃねぇか、誰だって痛ぇのは嫌だもんな。死ぬのだって嫌に決まってる。
 だから、な。諦めちまうことはねぇんだ。生きる権利なんてのは誰にだってあるだろう?」
「それでもここは殺し合うための舞台で、僕たちは最後の1人になるまで殺し合わなくちゃいけないんですよ。
 だったらどうしようもないじゃないですか!」

♂シーフの言葉にオレはうんうんと頷く。

「確かにお前の言う通りだな。
 だけどな、生きようとする意志をなくしちまってるヤツを見たら励ましてやるのがプリーストってもんだからな」
「修道女のヴェールなんて被った変態プリーストに言われても説得力がないです」
「うるせぇ」

ぽかりともう一発。

「オレはな、仕掛けてくるヤツしか殺すつもりはねぇんだ。
 これでも人を見る目には自信があってよ。
 お前が臆病で、だけど死にたくない、そして人を殺したくない善人だってことくらいは分かるぜ」
「にーさんそんな顔でお人好しなんですね、よく誤解されません?」
「お前、まだ殴られ足りないのか?」
「冗談、殺してもくれないのに殴られるだけなんてのはゴメンですよ」

ふふ、と笑う♂シーフ。
つられてオレもがははと笑う。

「どうせお互い死んでこいと言われた身だろ。
 全力で生きてから死ぬなら死んだあとでお経くらいは唱えてやるぜ」

マウントポジションから立ち上がり、軽く両膝の汚れを払う。
それからオレは♂シーフに右手を差し出す。

♂シーフの顔に浮かんだのはためらいの感情、それからオレの右手を無視して立ち上がる。

「これだからプリーストは嫌いなんですよ」

ボソリとつぶやく♂シーフ。
それだけ言えりゃ上等ってヤツだ。

オレはどう考えても配給されすぎな鞄の中の食料と水を♂シーフに渡し、
これからのことを相談することにした。

もちろん、このゲームからオレたちふたりが生きて帰るための相談であることは言うまでもない。

<♂プリースト>
現在位置-海岸から少し離れた木立(H-4)
所持品-修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴-逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考-殴りプリ

<♂シーフ>
現在位置-海岸から少し離れた木立(H-4)
所持品-青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴-栗毛
備考-ハイディング所持

<残り46名>


戻る 目次 進む
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|