バトルROワイアル@Wiki

2-046

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046. Bloody murderer


(あれは・・・・・・まずい、あれは)

村と呼ぶには少し小さすぎる、荒れ果てた集落。林の中に朽ち捨てられた、ぼろぼろになった家の密集地帯。
その建物のひとつの影に寄り添うように隠れながら、近付く者の気配を必死に察知しようとしていた♂商人が初めて視界の端に捉えた人影――♂ローグは、望遠鏡を透して一目見ただけで関わりになってはいけないということが解った。
全く隠そうとしていない殺気と、何がそんなに愉快なのか両端を吊り上げた口元、おまけとばかりに手に持っている包丁には既に赤黒い染みが確認できる。

(落ち着け、俺、今は、ヘタに動いちゃダメだ、じっと息を潜めて、やり過ごしゃいいんだ、・・・・・・)

どくんどくんどくん。早鐘のように心臓が暴れる。落ち葉を踏みしめ木陰から現れたローグはそのまま、♂商人の隠れているこの集落に足を踏み入れた。
あいつが来た方向は、地図上では西。今♂商人の下ってきた小さな山、その北側を迂回して来たということか。
まだ、距離は遠い。一軒一軒家々を調べていくつもりだろうか。それなら、あいつがどこかの家に入ったらここを離れよう。幸いここは林の中、逃げようと思えば隠れ場所は幾らでもある。
そして思惑通り、♂ローグは一軒の廃屋の前に立つと、扉の剥がれた玄関口に一歩足を置いた。

(よし・・・建物に入る)

今のうちだ、離れよう。壁伝いに後ずさりつつ望遠鏡をそっと降ろし、肉眼でローグの姿を再確認。
建物の中に・・・入っていない。
眼が合った。どくん。♂商人の全身の産毛が逆立つ。
瞬間、ローグの姿がふっと掻き消える。

「げ、やべ」
見つかった。なんでだ。気配とかそういうのでか? 音なんか立てなかったよな、俺?
――殺人者の勘って奴さ
頭の中で作り出した♂ローグの映像(イメージ)が、深淵から響くような声でそう答えてくれた。
ああああああどうでもいい、今はそんなこと。すぐに離れないとやばい。これは、正直やばい。くそっ、ツイてねえ。
走れ、他の誰に見つかってもいい。あいつに捕まるよりはましだ。
あいつに捕まったら、絶対、殺される。
まだ死なねえよ、俺死にたくねえよ。
トンネルドライブで隠れているのだろうが、とにかくまずはあいつの視界から姿を隠さなくては。
建物の影から影へと、点を結ぶように走る。
頑張れ、逃げろ、俺。
さらに次の建物の角を曲がった時。

「2回も仕損じたんでな。コレ以上獲物を取り逃がすのは、俺のプライドが許さねえ」

目の前には自分を迎えに来た、死の使いが眼玉を爛々と光らせて突っ立っていた。


  *  *  *


「食料、・・・地図はいらねぇ、んで望遠鏡か、使えねぇ。・・・・・・ぁ、何だこいつぁ」
返り血に濡れたローグは、たった今斬り刻んだばかりの♂商人の死体の所持品を漁っていると、ポケットから紙袋に包まれた菓子のようなものを見つけた。ぱっと見たところ非常食のようだが、コレがこいつへの支給品であるとすると、ただの非常食である保証はどこにもないわな。
よし、次に誰か見つけたら、殺る前にこいつを食わしちまおう。一体こいつがどういう代物なのか、それでハッキリすんだろ。
「ちとまだスリル不足だが」
滴り続ける包丁の血を、舌で掬う。美味ぇわ、格別だ。

「・・・楽しくなってきたじゃねえか」


<♂商人 現在位置 林の中の集落(G-4) 状態・・・死亡>

<♂ローグ 現在位置 林の中の集落(G-4) 状態・・・変化なし>
<所持品・・・包丁(血濡れ) クロスボウ 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×3>

<残り43人>


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