バトルROワイアル@Wiki 2-051


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51 TwinTail


「むぅ」

せせらぎを見据えてその男、軽装の剣士の様に見える彼―――♂セージ―――は唸った。
その隣にはツインテールの金髪を揺らす♀商人の姿も見える。
結局、彼女は恐る恐るではあるものの一人きりでいることよりは二人でいることを選んだのだった。
ただし、♂セージが常に先頭を歩くという条件付で。

そういう取り決めの中で♂セージは海岸線から川を見つけ出しそれを遡上するルートを取った。
彼自身、まずは水のある場所の確認をしておきたかったからだ。
そして、彼がそう考えるように水場を確認しにきた者がいるかどうかを調べておきたかったからでもある。
その結果、彼はある意味予想通りのもの、他方では全く思いがけないものを見つけていた。

「…誰?…グラリスさん?カプラサービスまで犠牲になっているの?」

隣の商人の少女が隣の♂セージにだけ聞こえるような声で呟く。
そう、彼の目線の先にあるせせらぎでは、カプラグラリスが一糸纏わぬ姿で水浴びをしている。
腰の辺りまで伸びた見事な髪ときらきらと光る乱反射のお陰でボディラインはよく見えない。
しかし、これだけははっきりといえる。
女性として成熟された体を惜しげもなく晒して沐浴を続ける彼女の姿は

「う~ん、すばらしい」

と浮世離れしている♂セージをして唸らせるものがあった。

「バカッ」

反射的に怒鳴りつけた♀商人の声が甲高く響く。
♂セージがあわてて少女の口を押さえつける。
グラリスが声のした方向へと警戒の視線を送る。

そしてグラリスは見た。
カプラWのトレードマークであるツインテールが踊るところを。
見知らぬ男がその髪の持ち主を押さえ込もうとしているところを。
全身があわ立つ。血のりを流している間も手の届く位置に置いておいた得物を手に立ち上がる。

(あの男ッ…殺すッ!!!!)

抜き身のバスタードソードを腰溜めに構え駆け出そうとし、人を殺して研ぎ澄まされた直感が歩みを止める。
直後、彼女の目の前に紅蓮が広がる。あと一歩踏み込んでいれば間違いなく全身を焼かれていた。
相手は魔術師か、と思う。しかし、Wを助けなければとも思う。弓ならばと思う、だが手元にない!

一瞬の逡巡。

その間に紅蓮に染まる視界の向こうではWが踵を返して逃げ出し、同様に男も彼女を追ってこの場を去っていた。
ファイアウォールが消えた視界にはうっそうと茂った森だけが残された。
Wの名前を声が枯れるまで叫びたい衝動に駆られるが、血がにじむほど唇をかみ締めて何とか押し止める。
W自身も恐れているだろう私に、あの子の名前を呼ぶことは絶対に許されない。
そう自分を無理矢理納得させると、グラリスは当初の目的を果たし乾いた衣類を身に付け始めた。

Wはきっと逃げ切れたと信じる。放送、とやらでWの死を聞かされるまで諦めない。
もし、Wが殺されていたら。あの男、痛覚を持って生まれてきたことを後悔させてやる。
敵は、男の魔術師だ。

――― 一方そのころ ―――

ほうほうのていで逃げ出した二人は西へと向かっていた。

「…覗きなんてするから逃げなきゃならなくなるんだよ」

唇を尖らせて♂セージに抗議する♀商人。しかし、隣を歩く男は悪びれもせずに言う。

「んー、そういうわけではありません。
 彼女、たぶん既に人を殺めています」

のほほんといつもの調子で言われた物騒な言葉に♀商人は身を硬くする。

「いいですか、想像力を働かせてください。
 今のこの島の状況は非常に危険なものがあります。これはいいですね?」

総勢50人を超える冒険者が互いを殺して回る戦場。危険でないわけがない。
商人の少女は首を縦に振る。

「結構です。ではそんな状況中で貴女は水浴びをしたいと思いますか」
「あ…」

思うわけがない、という意味の軽い呟き。羞恥心もそうだが、それ以上に危険に即応できない。

「うん、そうなのです。彼女はこんな状況でも水浴びをしなくてはならなかった。
 それはどうしてなのでしょう?汗をかいた?泥をかぶった?
 違います。そんなものは放っておいても当面差し支えありません。
 あるいは、みすぼらしい自分を見せ付けることで同情を買うことが出来るかもしれません」

なにをおいても洗濯しなくてはならないもの、匂いを消さなくてはならないもの。
それに思い当たって♀商人の顔色が青くなる。対照的に♂セージは不敵に笑う。

「そうそれでしょう。血のりですよ。流石にこれは不味い。
 自分が既に人を手に掛けました、と言って回るようなものですからね。
 ましてこんな戦場に来てしまった哀れなカプラ職員という肩書きで不意を打つつもりならこれはいけません。
 ゆえに、彼女は少々の危険を冒しても服を洗濯し、身体についた血の匂いを拭わなくてはならなかったと」

そう結論付けます。と、まるで何かの論文の様に♂セージは言った。

「そして、血のりを拭っていたという仮説を支持するものがあります。
 彼女の近く、きらきら光っていたでしょう?
 逃げる時に振り返って見たのですが、あの位置には水辺がないのです。
 つまり、あれは、金属の反射光だったわけです。
 彼女、大型の刃物を持っていますよ。気をつけなきゃなりませんねぇ」

やはりのほほんという隣を歩く男に少女はあきれたように言う。

「いつ気づいたの?」
「そりゃ、もぉ、最初っから」
「答えがわかっているならどうしてあんなに時間を掛けていたのよ?」
「いい質問です。物事の本質をついています。
 世の中、どのような緊張状態にあっても余裕を保つことが生き残る秘訣なのです。
 そして、緊張状態をほぐしリラックスすることは意外と簡単に出来ます。
 人間も所詮は動物でありますから、その本能に忠実に行動すればいいので…」

直後、森の中に乾いた音が鳴り響いた。
どーやら彼女は♂セージの言いつけを守って平手打ちの出来る距離をキープしていたらしい。
頬に出来た赤い紅葉を摩りながら、♂セージは歩き出す。それでも先頭を歩くのは男としての意地だろうか。
そうかもしれない、いつの時代も男は悲しい生き物なのである。

<♂セージ>
位置:F3から西へ
所持:青箱2
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得
仲間:♀商人

<♀商人>
位置:F3から西へ
所持:青箱2
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型 疑心暗鬼は解消気味?
仲間:♂セージ

<グラリス>
位置:F3
容姿:カプラ=グラリス
所持:所持品-TBlバスタードソード 連弩 普通の矢筒 案内要員の鞄 ♀モンクの青箱 古いカード帖
備考:血染めの服は洗濯済み。汚れ程度にしか目立たない。魔術師ぬっころーっす


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