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2-068

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068. 定時放送①


 夕闇が包む孤島、その全体に轟き渡るひゃははははは、とけたたましい笑い声。それは一頻り続いた後、慇懃そうな男の口調に変わる。

「・・・はい、どうも。まさかお忘れだなんて酷い事は申されませんよね、ジョーカーです。夜分お騒がせして申し訳ありませんが、これも定められた義務、そしてルールなので、御容赦願います。定時報告の時間となりましたので、これより現時点での死亡者の名簿を読み上げたいと思いまーす。よろしいですかー、読みますよー」

 一拍置いて、

「まず・・・♂ノービスさん。
 次、♂アーチャーさん。
 ♀シーフさん。
 プロンテラ案内要員さん。
 ♀モンクさん。
 ♀ローグさん。
 ♂商人さん。
 ♀アサさん。
 ♀プリさん。
 ・・・以上、9名で・・・えー、合ってますね。残り、41名に御座います。いや、今回の参加者の面々は皆、やる気のある方が多いようで嬉しい限りですねぇ。前回の時なんか酷かったものですよ、皆が皆怯えてばかりでちっとも動こうとせず・・・・・。おっと、愚痴を話し出すと長くなるとよく私、人に注意されるんでした。これは失礼をば」

 苦笑しながら、ジョーカーの声は続ける。

「えー次は、禁止区域の発表ですね。それじゃ少し、――ちゃんとはじめに支給すると言っておいたにも関わらず、箱のほうにばかり気を取られて未だ地図の存在に気が付いていない方もいらっしゃられるようですがね、はい皆様、地図を取り出して下さいますか。
 ・・・宜しいですか、一応地図の見方を説明しますと、その地図、数字とアルファベットを振ったラインで区切られておりますよね。そして、その区切られたひとつひとつのエリアのうちどれかひとつだけ、血に染まったかのように赤くなっている筈。その赤いエリアが、今その地図の所持者が潜んでおられるエリアということになります。そして・・・・・こうすれば」

 参加者達は思っていることだろう、大音量で響き渡るこの耳障りな声と言い、勝手に色が変わるおかしな地図といい、一体どのような能力を使っているのかと。
 これが、「GM」の持つ力の一端か。

「如何でしょう、幾つかのエリアが暗く、闇に沈んだかのように変色されましたか? 今色が変わった、そのエリアが『禁止エリア』となります。これより30分の後、この『禁止エリア』には二度と足を踏み入れる事許されなくなりますので、御注意をば。
 もしたった今現在『禁止エリア』と現在位置が重なっている方がいれば、速やかに避難なされますよう。大変な事になってしまわれますので・・・・・、命は大切に。ね?」

 地図が示した『禁止エリア』は―― A-2。 D-7。 F-5。 G-4。 I-5。

「さて、この辺りで定時報告は次回に続くとしましょう。私の声がまた聴きたいと仰られる方は、明日の朝まで是非生き延びて下さいますよう・・・・・・それでは皆様、良い夜を。おやすみなさいませ」

 そうして途絶える道化師の声。
 闇訪れる孤島に、再び静寂が戻った。

<残り41名>



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