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021

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匿名ユーザー

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021.神の思惑


 母さん。父さん。兄さんに妹。お元気ですか?僕は、今、少し落ち込んでいます。
 何故って?はは…理由は、言えません。オサッシクダサイッ!!
 でも、何時ものことです。ガンバッテマスッ!!
 首都(プロンテラ)では、桜も早々と散ってしまった今日この頃。
 でも、時々寒い日もあります。
 皆さん、お体には気を付けて、お元気で居てください。
 愚息より。かしこ。

 …

 僕が渡された大きな箱は、とても重い物でした。
 僕は、とてもわくわくしていました。いったい中に何がはいっているんだろう?
 想像していたのです。空想といっていいのかもしれません。

 僕は、一度もこの箱を開けた事が空けたなかったのです。
 勿論、噂程度には聞き及んでおりましたが。

 懸命に勉強を重ね、薬の秘術を識り、世界の根幹をなす知識を学び、諸物の変化の理論を実践して、夢でもあった職業に、漸く付いて。
 毎日が夢に満ちて。充実はしていたけれど、その代わりに貧しかった僕には、そんなものを買う余裕はなかったのです。

 手をかけました。大きな青い箱の掛け金に。
 ドキドキとする胸を必死で押さえつけて、ゆっくりと上蓋を持ち上げます。

 青箱一個、開ける。

 ぱさり。山盛りになっていた葉が、一枚落ちました。
 そこには、大量のハーブが突っ込まれていました。

 赤、白、緑、青、黄色。
 箱をさかさまにし、振ってみると色とりどりのハーブが地面を染め上げていきます。

 そして、最後に、一枚の紙切れ。
『オサッシクダサイッ!! ガンバッテマス!!』

びりびりと、その紙切れを破り棄て、もう一個の箱に手を掛けます。

 青箱。一個空ける。

 その中には、頑丈そうな、乳鉢とすりこぎが一つづつ。
 そして、やっぱり最後には、一枚の紙切れ。

『ガンバッテクダサイッ!!』


 …気が付くと、僕は大地にひざを着き、『orz』となっていました。
 こんなもので、一体何が出来るというのでしょうか?

 ねるねるねるねを練る様に、気合を込めて、ハーブを摩り下ろせとでも言うのでしょうか?
 『ネルネルネルネルネルネェェェェェッ!!』劇画調になった僕が、脳裏で叫びながら、すりこぎで、ハーブをすりつぶしています。
 そして、それを一口パクリ。『ウマーーイ』。ぱらぱぱっぱぱーん♪背景がぴかぴかと光輝きます。

 …少し、いいかもしれません。

 あるいは、このすりこ木で、襲い来る連中を迎撃するのでしょう。
 ヘッドロックをかまし、すりこぎでその頭を…
 『URYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!』(ぽこぽこぽこぽこぽこぽこ…)

 …少し、かっこいいかもしれません。

 ですが、所詮は妄想です。
 僕は、現実に戻ると散らばったハーブをかき集め、自分の袋に詰め込んだのでした。

 …とても、重たいものです。
 足とか、体とか、あと、荷物とかが。


<♂アルケミスト ハーブ類青・白×50 それ以外100ヶ すり鉢一個獲得(注:落としたりしない限り、割れません)>

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